第五話 『追憶』
閑静な住宅街の一軒家の玄関先で1人の男性の遺体が発見された。
検死をしていたミカは市倉と石川には挨拶するが、立花は完全無視。
不思議な死体で死因は解剖してみないと分からないと言う。
男性は指輪をしているものの他に所持品はなく身元不明。
石川は男性の霊に話を聞くが、彼は何も覚えていないと・・・
「何か凄く大事なこと忘れてる気がするんです。
お願いします! 助けて下さい!!
こうなったら自分が誰か、なんで死んだか思い出すまで
あなたの側 離れませんからね。」
男性の解剖が始まる。
石川の側を離れないと言った霊も自分の解剖を見学。
「エグイな~。 ちょっとしんどいんで見なくてもいいですか?」
検死の結果、死因は解離性大動脈瘤による急性心不全と判明。
胸に残った痣から推測すると丸い棒状の物で
勢いよく突かれた衝撃が原因で、
直径が10センチくらいだからバットの先を想像すれば分かりやすいとミカ。
右の側頭部に傷があり出血した痕もあるから、
最近管内で多発しているノックアウト強盗の犯行か?と。
ノックアウト強盗が出たと知らせがあり、
石川と立花が張り込みをしていたところ、
目の前にそれらしき犯人像の人物が現れた。
男が逃げ出したため追いかけ捕まえる2人。
捕まえてみたものの、男は死んだ男性を知らないと言った。
ノックアウト強盗で死んだんじゃないのかもと・・・
現場近くのコンビニのゴミ箱から、
男の物と思われる財布が発見された。
免許証や社員証から男の名前は岡部義剛と判明。
コンビニの防犯カメラの映像から、
近所の高校の野球部員が捨てたことが分かり、
その高校生に話を聞いた。
最初は話さなかったが岡部が死んだと知り、
酔っ払って寝ていた男性から財布を抜いたと言った。
けど財布を抜いた時はまだ生きていたと。
一方、自分の名前が判明したにも関わらず、
岡部自身は何も思い出せないまま。
明日、奥さんが遺体確認に来るから、
奥さんを見れば記憶が戻るのでは?と石川。
翌日、奥さんが来るのを外で待っていた石川と岡部。
「ブスだったらどうしよう・・・」と岡部。
やって来た奥さんはブスじゃなかった(笑)
遺体を見て泣き崩れる奥さん。
岡部は真面目で頑張り屋で愚痴も殆ど言わず、
自分と娘を幸せにするために必死で働いてくれてたと思うと言う。
「記憶、戻ってるんでしょ?
あの日あったことを話してくれませんか?
あなたが犯罪に関わっていない限り悪いようにはしませんから。」
「付き合って欲しいところがあるんです。」
石川は岡部の思い出の場所を巡る。
岡部はポツポツと話し始めた。
仕事のことで色々あったが、家庭では強い夫、父親で在りたかったため、
奥さんに悩みを打ち明けることが出来なかった。
出張と嘘をついて休みを取り、
行ったことのなかった風俗巡りをしようと思ったと。
「気持ちが荒れてたんでしょうね。
風俗に行けばちょっとは気が晴れるかなと思って。
どうせならとことん遊んでやろうと思って
3日間の休みを取りまして、こう、
風俗巡りをしようと思ってたんです。・・・呆れてる?」
「呆れないわけないでしょ。 ガッカリです。
さっきまでのいい話が台無しですよ。」
事の真相は、勇気がなく風俗には行けず、
飲み屋をハシゴするものの気分は晴れなかった。
その時、チェーンの柵を目にして、
陸上でハードルをやってた時代を思い出し、
飛び越えようとして躓き失敗。
ポールに胸を強打してヤバイ状態になった。
暫くして立ち上がることが出来たが、ふらつき電柱に頭をぶつけた。
「失礼ですが・・・コメディー映画のような展開ですね。」
その後、這うようにあの家へ行くも途中で力尽きてしまった。
岡部は石川にお願いがあると脅す。
石川は便利屋スズキに手紙の代筆を依頼。
岡部のスーツケースにその手紙を入れ、奥さんに引き取ってもらう。
家に帰った奥さんはその手紙を見つけた。
『彩と美夏へ
急に思い立って仕事の合間にこれを書いています。
お父さんは口下手だからいつも君たちに
大切な何かを伝えられていないような気がしています。
でもこれだけは信じてほしくてこうして書き残しておくことにしました。
お父さんは君たちの事を愛しています。 すごく愛しています。
お父さんの平凡な人生の中で君たちだけがキラキラと輝いています。
例えば、記憶を失ったとしても、その輝きを見るだけで、
すぐに全てを思い出せるはずです。
今から君たちを抱きしめるために帰ります。
多分、君たちを目の前にしたら、照れてしまって、
本当に抱きしめることが出来ないけれど、そんな気持ちで帰ります。
待っていて下さい。』
手紙を読み奥さんは号泣。
奥さんと娘が抱き合って泣いているのを岡部が抱きしめていた。
が、岡部は消えず石川の側にいた。
「いつになったら消えてくれるんですかね。」
「そんな薄情なこと言わないで下さいよ。
一緒に事件解決した仲じゃないですか。」
「事件っていうか自爆でしょ。」
「もっと優しい言い方があると思うんですよね。
だってこっちは死者ですよ?」
「明日お祓いに行こうかな。」
「うわっ・・・そういうズルするんだ。
これが最後のお願いです。
もう乗りかかった船じゃないですか。」
「沈みかかった船のような気がするんですけど。」
岡部に連れられて岡部の自宅に侵入。
「とうとう不法侵入かよ・・・」
岡部の葬式のため家族がいないのを見計らい忍び込む。
娘の成長記録のDVD鑑賞を楽しそうにする岡部。
「今頃、焼かれちゃってんのかな?」
DVD鑑賞をして満足したのか岡部は消えていた。
1人残された石川は「もう少し見てから帰りますね。」と
岡部のいた場所に向かって言った。
今までとは違いかなりコメディ路線だった。
岡部の死因に唖然・・・
なんというか・・・死んでも死にきれない。
岡部の情けない頼りない感じがクドカンにピッタリだったよ。
途中、犯人追いかけて車のボンネット飛び越える石川が
めっちゃかっこよかった!!
今回はサイくん&ガーくんが出なくてちょっと寂しかったよ。
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