http://blog.goo.ne.jp/comment_allez-vous_madame
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2014年6月1日、AHA/BLSヘルスケアプロバイダーコース(於:飯田市立病院)を受講し、 成人、乳児、小児の一次救命処置、気道異物の除去、AEDの使用などについて学びました。前回のBLS受講から2年経過し、有効期限の更新が目的の受講でした。
最近は、ALSO、BLSO、NCPR、産科救急セミナー(京都産婦人科救急診療研究会)、BLS、ICLS、ACLS、PALS、JPTECなど、救命に必要な知識とスキルを習得するためのシミュレーション講習会に参加する機会が増えてますが、BLSはこれらすべての基本ですから、常日頃繰り返し練習してBLS手順を体に染み込ませておく必要があります。BLS、ACLS、NCPRなどの手順は5年ごとに大幅に変更されています。例えば、AHAガイドライン2010では、BLS手順が、A→B→C(気道、呼吸、胸骨圧迫)からC→A→B(胸骨圧迫、気道、呼吸)にと大きく変更されました。来年(2015年)には新しいガイドラインが公表されますので、またいろいろな手順の変更もあると思います。最新の情報を入手し、シミュレーション講習会にも参加し、実戦で活用できるようにチームでトレーニングを繰り返していく必要があります。
セミナー開催情報: ALSOプロバイダーコース
主 催: 飯田市立病院(院長:金子源吾)
共 催: NPO法人周生期医療支援機構(OPPIC)
開催場所: 飯田市立病院(主会場:南棟3階 講義室)
日時: 平成26年6月28日(土)、29日(日)
募集定員: 25名
2013/6/30 ALSOプロバイダーコース in 飯田市立病院
11月24日は早朝より飯田市立病院でNCPR講習会(Aコース)が開催されました。産婦人科医、新生児科医、麻酔科医、研修医、助産師、NICU看護師、救命救急士など多くの参加がありました。今回、私はインストラクターとして参加し、講義と実技指導を担当させてもらいました。私自身は出生時に児の蘇生が必要な場面に日常的によく遭遇しておりますが、実際には新生児科の先生がすぐに駆けつけてくださる職場の体制にあるので、臨床の現場で新生児蘇生を実際に担当することはめったにありません。そのため、NCPRアルゴリズムは勉強して覚えてもすぐに忘れてしまいますが、数か月毎に院内で開催されるNCPR講習会に参加する度にテキストを一通り総復習できて、知識保持のために非常に役立っております。私の担当した実技実習のブースに麻酔科の先生がいらっしゃって、気管内挿管手技のコツなどいろいろ教えていただくことができ、勉強になりました。
11月23日に東京で開催された「母体急変時の初期対応のための実技セミナー」(京都産婦人科救急診療研究会)に参加してきました。4時間のコースでいろいろと勉強になりました。母体急変はいつどこで発症するかわかりません。いざという時に備えて、常日頃から準備しておく必要があります。今回、妊婦の出血性ショック、心肺停止、血栓性肺塞栓症、脳出血、アナフィラキシーショック、羊水塞栓症、子宮内反症などの母体急変時の初期対応について、蘇生人形を使ってシミュレーション体験することができました。
長野県においても、将来的には、信州大学やこども病院などが中心となって、こういった産科救急のシミュレーション講習会が県内の各地域ごとに定期的に開催されるようになって、(NCPR、BLS、ACLS、PALS、ICLSなどのように)産婦人科医、助産師、救急医、救命救急士などいろいろな職種の人たちが気軽に参加できるようになったら理想的だと思いました。(NCPR講習会のように)各地域で定期的に繰り返し産科救急の講習会を開催し、周産期医療に関わる人達に(新生児仮死に対する初期対応だけではなく)母体急変時の初期対応の基本実技を浸透させておく必要があります。各医療機関の体制、各地域の救急医療体制の実状、数年ごとの産科ガイドラインの改定などに合わせて、実技講習会の内容も年々進化させていくことができたら、母体や新生児の救命率を向上させることに寄与できて非常に有用だと思われます。
久し振りに家族で昼神温泉のそば処「おにひら」に行き、ざるそばをいただきました。昨年2月より糖質制限食を開始し、ご飯、パン、うどん、そばなどの穀類の摂取は絶ってきたので、そばを食べたのは1年半ぶりでした。とてもなつかしい味で堪能しました。
そばは、米や小麦製品に比べGI(glycemic index)値が低い食品です。GI値が高い食品は食後に血糖値が急激に上昇し、インシュリン分泌を活発にします。インシュリンが分泌され過ぎると脂肪を体内にため込んでしまう原因となります。
長期間にわたる糖質制限食に関しては賛否両論ありますが、極端な糖質制限食を長期間継続するよりは、炭水化物もある程度は摂取し、全体の摂取カロリーを通常の3割程度減らして生涯にわたり継続する方が、健康な状態を長期間維持できると思われます。しかし、摂取カロリーを厳密に計算していくのは私には無理なので、頻回に体重や体脂肪率を計測して、運動量や食事の量を大雑把に調整していけばいいのではないかと考えています。
****** 体重管理グラフ
****** 体脂肪率管理グラフ
世界中で毎年400万人の新生児死亡があり、そのうちの約2割が分娩時の仮死によるものとされています。つまり、世界中で毎年80万人の新生児が分娩時の仮死で死亡していることになります。また、約10%の新生児は出生時に子宮外の環境に適応するために吸引や刺激などのサポートを必要とし、約1%の新生児は人工呼吸や胸骨圧迫などの積極的な蘇生なしでは生存は難しいとされ、出生直前まで予測できない重症の新生児仮死も決してまれではありません。
胎児は母体内で発育の初期から心拍動を開始し循環器系は機能してますが、呼吸器系は母体内では全く機能してなくて、出生直後に急激な変化が起こって呼吸を開始します。その急激な変化に適応できず呼吸をうまく開始できない病態(新生児仮死)が一定の頻度で発生します。新生児蘇生法はそれに対していかに介入すれば呼吸を開始させることができるのか?というスキルです。従って、新生児蘇生法は、成人や小児の心肺停止を対象とした心肺蘇生法とは全くコンセプトが異なります。新生児蘇生法の蘇生成功率は、成人や小児の心肺蘇生法と比べて格段に高いです。
仮死で蘇生が必要な場合は、出生直後に蘇生の必要性を判断し適切な蘇生処置を開始する必要があります。産科病棟には大勢の産科医や助産師が勤務してますが、交代制勤務でいざという時に誰が担当しているのかわかりません。いざという時に誰が担当していていても常に同じレベルで蘇生を直ちに開始できるように準備を整えておく必要があり、チーム全員がNCPR講習会を定期的に受講してシミュレーション・トレーニングを繰り返して、新生児蘇生法に習熟しておく必要があります。
自宅や救急車内で分娩となってしまう妊婦さんは当科でも毎年必ず数人いますので、地域の救急隊とも産科救急の対応についてよく話し合って手順を決めておく必要があり、救急隊員を受講対象とした分娩介助や新生児蘇生法などのシミュレーション・トレーニングも必要だと思います。
最近は「自炊」にはまってます。「自炊」と言ってもお料理の自炊ではなく、紙の本の背表紙の部分を裁断機で裁断し、ドキュメントスキャナーで取り込んで自前で電子書籍を作る作業のことです。8月中旬から始めて、すでに100冊以上の書籍を解体し電子化しました。保存すべき自分の蔵書のすべてを電子化するのが最終目標です。薄い本だとすぐに作業は終わりますが、1600ページ以上の大型本(Williams ObstetricsやBerek & Novak's Gynecologyなど)では、1冊電子化するのに丸1日がかりということもあります。電子化した本を読む時はiPadで読むことになり、日常的に全蔵書を持ち歩くことが可能となります。今後は、本を買う時もなるべく紙の本ではなく電子書籍で買うようにしたいと思ってます。ただ日本では、紙の本と比べて、電子書籍はまだまだ圧倒的に少いのが現状です。しかし、いずれは日本でも、本と言えば電子書籍となる時代が遠からずやって来ると思います。そうなれば、「自炊」なんて面倒な作業はしなくてもよくなります。
「自炊」のすすめ 電子書籍「自炊」完全マニュアル 価格:¥ 1,575(税込) 発売日:2011-07-22 |
当科ではここのところ毎月120件以上の分娩があり、多くの婦人科手術もあって、夜昼構わず死ぬほど忙しい日々が続いてます。疲れ切って眠くてしょうがない時もたまにありますが、チームでよく話し合い、一致団結して目の前の課題を一つ一つ解決していく過程は、非常に楽しくて、充実感にあふれてます。私が当科に赴任した当初は見知らぬ地での孤独な戦いでしたが、それから24年が経過して、一緒に頑張ってくれる仲間が大幅に増えました。今の当科のスタッフはみんな気合が入っているとても頼りになる仲間達です。みんなで一致団結して事に当たれば、どんな困難でも必ず克服できるような気がしてます。今建設中の周産期センターが完成すれば、スタッフの意気はますます高まるのではないかと思います。この地でともに産婦人科学を学び、ともに頑張っていく仲間を、今後も増やしていきたいと思います。
idiopathic thrombocytopenic purpura
[ITPの定義]
・ ITPは血小板膜蛋白に対する自己抗体(IgG)が発現し、血小板に結合する結果、主に脾における網内系細胞での血小板の破壊が亢進し、血小板減少をきたす自己免疫性疾患である。
・ 種々の出血症状を呈する。通常、赤血球、白血球系に異常を認めず、骨髄での巨核球産生能の低下もみられない。自己抗体の発現機序は明らかでなく、血小板減少をもたらす基礎疾患がなく、薬剤の関与がないことから特発性と呼ばれている。
・ ITPは妊娠中によく合併する自己免疫性疾患であり、妊娠に合併する率は0.3~0.4%である。
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ITPの症状
・ 血小板数<10万/μL: 出血時間延長。
血小板数<5万/μL: 出血傾向出現。
血小板数<2万/μL: 大出血や致命的な出血。
・ ITPが非寛解のまま妊娠した場合、母体の抗血小板抗体(IgG)が経胎盤的に胎児に移行して、胎児の血小板も減少することがある。児の頭蓋内出血の原因となりうる。母体由来のIgGが消失するため、児の血小板数は生後3~4週間で正常化する。
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ITPと妊娠・分娩との関係
1. 妊娠・分娩が疾患に与える影響
・ 増悪する可能性がある
2. 疾患が妊娠・分娩に与える影響
・ 分娩時出血 ・ 産道血腫(腟壁血腫)
・ 児の頭蓋内出血
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ITP合併妊娠の治療
1. 血小板数10万/μL以下でも、出血傾向がなければ治療の必要がない。
2. 胎児採血(臍帯血穿刺)により胎児の血小板数を測定し、
①血小板数<5万/μLでは頭蓋内出血を予防するために帝王切開とする
②血小板数≧5万/μLでは経腟分娩を原則とする
(しかし、ITPの母体から出生した新生児の頭蓋内出血発症率は現実にはきわめて低く、臍帯穿刺に伴う児への危険性から、臍帯穿刺による分娩方針決定については異論もある。)
3. 分娩に際しては血小板数5万/μL以上を保っておく必要がある。分娩2~3週前からステロイド大量療法(プレドニゾロン40~60mg/日)を行い、これが無効の場合には、γグロブリン大量療法(400mg/kg/日、5日間静注)を行う。グロブリン療法では治療開始後5~7日目に血小板数が最高となることが多いので、この時期に分娩を計画する。
母児共に血小板数5万/μL以上であれば原則として経腟分娩でよい。極力産道損傷を避け、児娩出後は子宮収縮剤を投与し出血量の軽減を図る。
4. 分娩時大量出血の場合は血小板輸血
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ITP合併妊娠の分娩方法
・ 分娩方法:産科的適応がない限り経腟分娩とする。
(血小板数5万/μL以上の適切な時期に)計画分娩を行い、切創や裂傷を避けた緩除な分娩を原則として、吸引・鉗子分娩は避ける。
・ 帝王切開:血小板数を少なくとも5万/μL以上に持続させる。血小板輸血、赤血球輸血を準備する。
帝王切開の適応:
①産科的適応がある場合
②第1子の出生時に血小板減少が認められた場合の第2子の分娩
③あらかじめ児の血小板数が5万/μL以下であることがわかった場合
******
ITPの胎児・新生児への影響
・ 抗血小板抗体陽性で母体のplatelet associated IgG(PAIgG)が高値である場合、その児はpassive immune thrombocytopeniaを発症する危険性がある。
・ 出生時、新生児の血小板数が正常であっても、生後4~5日目に最低となり、正常化するまで約1か月を要するので、経過観察が必要である。
・ 母体が脾摘を受けている場合、母体の血小板数はさほど低下していてなくても、児の血小板数がきわめて低値を示す場合がある。
・ 新生児の頭蓋内出血発症率は低く(1%)、臍帯穿刺に伴う児への危険性から、臍帯穿刺による分娩方針決定については積極的に行わなくなった。
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次回妊娠へのアドバイス
・ 寛解しないうちに妊娠したものでは、増悪することが多い。
・ 完全寛解してからの計画的妊娠。
・ ピロリ菌があれば、除菌後の妊娠。
・ 難治性の場合は、摘脾後の妊娠を考慮。
****** 問題
妊娠中の血小板減少症で正しいのはどれか。1つ選べ。
a 妊娠性血小板減少症(gestational thrombocytopenia)の頻度が高い。
b 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)合併妊娠で新生児の約50%に血小板減少が起こる。
c ITPで新生児頭蓋内出血を予防するために帝王切開術が必要である。
d 母体のITP治療にはデキサメタゾンを用いる。
e 胎児の中大脳動脈の収縮期最大血流速度で胎児血小板数が推定できる。
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正解:a
a 妊娠性血小板減少症は、妊娠中の血小板減少の原因の74%を占める。
b ITP合併妊娠では、約14%の頻度で新生児血小板減少症を発症する。
c 原則的に、分娩様式は経腟分娩であり、帝王切開は産科的適応による。
d プレドニゾロン投与が第一選択となることが多いが、緊急性が高い時には免疫グロブリン大量投与を行う。
e 胎児の中大脳動脈の収縮期最大血流速度で胎児貧血が推定できる。
コメント(私見):
産科、小児科、救急などを中心に、全国いたるところで医療崩壊がだんだん現実化しています。医師不足の問題は、早急に解決すべき国家的課題です。国の主導のもとに、県、市町村、大学病院、一般病院、診療所などが足並みをそろえて、一致協力してこの問題を解決する方向に向かっていく必要があります。それなのに、国のリーダーの認識が、『現在の医師不足は、医師の常識欠落が原因!』ということでは、いつまでたってもこの問題は解決しないと思います。医療の担い手である医師達の全面的な協力が得られなければ、この問題を解決することはできないと思います。
****** 毎日新聞・社説、2008年11月21日
「医師は常識欠落」 麻生さん「失言」では済まない
全国都道府県知事会議で医師不足への対応を問われた麻生太郎首相が「自分で病院を経営しているから言うわけではないが、医者の確保は大変だ。(医師には)社会的常識がかなり欠落している人が多い」と述べた。地方の医師不足の原因が医師側にあることを指摘したかったとみられるが、乱暴な発言だと言わざるを得ない。これには医師の団体だけでなく、首相を支える政府・与党からも批判や苦言が相次いだ。異例のことである。
麻生首相はさらに「(医師不足が)激しくなれば、責任はお宅ら(医師)の話ではないのか。お医者さんを『減らせ、減らせ』と言ったのは、どなたでしたかという話も申し上げた」と追い打ちをかけた。
医師の団体が医師抑制を働きかけたことは事実だが、それを後押ししたのは自民党だった。医師不足を医師側の責任と主張するのなら、客観的な事実を示すべきだ。自らの病院経営の中で感じたことを話したのだとすれば説得力がない。首相発言は医師不足の現状を打開する手がかりになるどころか、混乱をもたらすだけだ。こういう発言こそ「社会的常識」を欠いたものと指摘せざるをえない。
麻生首相は同知事会議の後、記者団に「まともなお医者さんが不快な思いをしたというのであれば、申し訳ありません」と釈明、発言の翌日、首相官邸を訪れた日本医師会の唐沢祥人会長に対し「言葉遣いが不適切であり、撤回したい」と陳謝した。一日で撤回に追い込まれるような発言は二度とすべきではない。
言わなくてもいいことを軽々に口にし、医師不足にどう対応するのかという、国民が一番聞きたいことを言わないというのは、おかしい。これでは医療に対する国民の不安を取り除くことはできない。
医師不足を招いた歴史的な経過を踏まえて原因を分析し、具体的な解消策を示すのが政府の仕事である。麻生首相には発言を改めて謝罪し、医師不足対策の先頭に立ってもらいたい。妊婦が受け入れを断られて死亡した問題が起きるなど、医師不足の解消は直ちに取り組むべき問題だからだ。
人手不足で過重な勤務をしながら、現場で患者のために日夜働いている医師はたくさんいる。こうした医師らの努力を麻生発言が無にしてしまうことにならないか、心配だ。「失言」だと釈明して済む問題ではない。医師不足という「未曽有の危機」を麻生首相はどこまで理解しているのだろうか、と言いたくなる。
医師不足対策は緊急の課題である。国、都道府県、そして病院や診療所の医師らが足並みをそろえて動き出さないと、問題は解決しない。医師の理解と協力が何よりも必要なときに、あえて神経を逆なでするような不用意な言葉を投げつけてしまった責任は重い。
(毎日新聞・社説、2008年11月21日)
****** 共同通信、2008年11月21日
医師批判発言を陳謝 首相「不適切」と撤回 日医会長の抗議受け
麻生太郎首相は20日午後、日本医師会(日医)の唐沢祥人(からさわ・よしひと)会長と官邸で会い「医師は社会常識がかなり欠落している人が多い」との自身の発言について陳謝し、撤回した。唐沢氏が「耐え難い環境で医療現場を懸命に守る医師の真摯(しんし)な努力を踏みにじるもので、奈落の底に突き落とされた思いだ」と抗議。首相は「言葉の使い方が不適切だった。発言を撤回し、謝罪する」と述べた。
自民党を支持する有力団体からの抗議で発言の陳謝と撤回を余儀なくされ、首相の軽率な言動があらためて浮き彫りになった。日医内には「何が何でも自民党を支えるわけではない」(中川俊男(なかがわ・としお)常任理事)との意見があり、衆院解散・総選挙に向け支援態勢にも影響しかねない状況だ。
面会は日医側が要求した。同席した竹嶋康弘(たけしま・やすひろ)副会長によると、唐沢会長が「特定の職業を名指しして、根拠なしに差別するものであり、激しい憤りを禁じ得ない」「日本の医療を根底から否定するものだ」とする抗議文を読み上げ、首相に手渡した。
首相は19日の全国知事会議で、医師不足に関し「(医師には)社会的常識がかなり欠落している人が多い。ものすごく価値観が違う」と発言。その後「まともなお医者さんが不快な思いをしたというのであれば、申し訳ない」と述べたが、日医には首相発言に対し、会員からメールなどで数十件の抗議が寄せられたという。
(共同通信、2008年11月21日)
****** 共同通信、2008年11月21日
首相の資質疑われる発言 全国医師連盟も批判
勤務医らでつくる全国医師連盟(黒川衛(くろかわ・まもる)代表)は20日、麻生太郎首相の「(医師には)社会的常識がかなり欠落している人が多い」との発言について「今後、一国の総理大臣としての資質を疑われるような発言は控えるよう要望する」とのコメントを発表した。
コメントは、発言について「過労や経営的苦境の中で、患者のために努力している勤務医、開業医を大きく落胆させた」と指摘。「発言後に陳謝したことを差し引いても看過できない」と批判している。
(共同通信、2008年11月21日)
****** 共同通信、2008年11月21日
不愉快な思いさせた 舛添氏も首相発言で陳謝
舛添要一厚生労働相は20日夜、麻生太郎首相の「(医師には)社会的常識がかなり欠落している人が多い」との発言について「他の政治家の発言を私が謝罪するわけにはいかないが、皆さまに不愉快な思いをおかけしたことをおわびする。その分いい仕事をして挽回(ばんかい)したい」と陳謝した。
周産期医療と救急医療の連携を検討する厚生労働省専門家会合で述べた。会合は、医師を中心に検討を進めている。
(共同通信、2008年11月21日)
****** 朝日新聞、2008年11月21日
医師会抗議「医療を根底から否定」、首相は陳謝
医師は「社会的常識がかなり欠落している人が多い」と発言したことをめぐり、日本医師会の唐沢祥人会長が20日、首相官邸に麻生首相を訪ね、「発言は日本の医療を根底から否定するものであり、国民を失望させた」などとする抗議文を手渡した。首相は「発言を撤回します」と述べ、陳謝した。
唐沢会長は「医師の真摯(しんし)な努力を踏みにじるものであり、奈落の底に突き落とされた思いだ」などと、強い不快感を表明。首相は「『価値観が違う』ことを強調して、『社会的常識が欠落する』という言葉が出てきたわけで、言葉の使い方が不適切だった」と釈明した。
また、茨城、栃木両県医師会も同日、それぞれ首相あてに「政治家として否、社会人として持つべき常識すら欠如している」「関係者の努力を無にし、日夜身を削っている医師の神経を逆なでする」などとする抗議文を送った。
首相は同日夜、官邸で記者団に「(唐沢会長には)丁寧に真意のほどを説明して、理解を求めるようにさせていただいたということだと思う」と語った。一方で「具体的な発言の内容について、私の方からその内容をあなたに説明するつもりはありません」と述べ、唐沢会長とのやりとりの詳細は明かさなかった。
(朝日新聞、2008年11月21日)
****** 日本医師会、2008年11月20日
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20081120.pdf
平成20年11月20日
内閣総理大臣
麻生 太郎 殿
麻生総理の発言に対する抗議
社団法人 日本医師会
会長 唐澤 祥人
昨日開催された全国都道府県知事会議において、麻生総理は医師について「社会的常識がかなり欠落している人が多い」と発言された。
この発言は、特定の職業を名指しして、根拠なしに差別するものであり、激しい憤りを禁じえない。
全国の医師会員を代表して、また国民の一人として断じてこれを認めることはできない。総理には、発言を撤回し、誠意をもって謝罪をしていただきたい。
いま、医療現場は、常識では考えられないほどの過酷な労働環境にある。国民は、医療を受けられなくなるとの不安に怯え、救急、産科、小児科を中心に医療崩壊が現実化してい ることは、総理も認識されているはずである。
日本の医療は、医療現場の献身的な努力と、厳しい現状の中でも国民が医師をはじめとした医療関係者を信頼してくれることにより、ぎりぎりのところで持ちこたえられているの である。
こういう中にあって、総理の発言は、日本の医療を根底から否定するものであり、国民を失望させた。
先般の二階経済産業大臣の発言に続き、国政を代表する立場にある総理のあまりにも認識を欠いた軽率な発言は、耐え難い環境で医療現場を懸命に守る医師の真摯な努力を踏みに じるものであり、奈落の底に突き落とされた思いである。
このままでは、日本の医療の再生はますます困難になる。
総理自身が熟考された上で、あやまちを認め、認識をあらためられることを強く求める。
(日本医師会、2008年11月20日)
**** 全国保険医団体連合会、2008年11月20日
http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/081120asou.html
医師削減を決めた過去の閣議決定を無視する麻生首相の暴言に断固抗議する
2008年11月20日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇
いま日本は、政府による長年の医療費抑制政策とその帰結である医師不足によって、地域医療が崩壊しつつある。とくに救急医療、産科医療、小児救急に顕著に現れている。ところが、麻生太郎首相は11月19日、全国知事会議で、地方の医師不足に関連し、「地方の病院での医者の確保の話しだが、自分で病院経営しているから言うわけじゃないけど大変だ。社会的常識がかなり欠落している人が多いんで」とのべ、地域医療を守っている医師を誹謗しただけでなく、医師不足の責任について、「責任はおたくら医者の話じゃないんですか。しかも医者の数を減らせ減らせ、多過ぎると言ったのはどなたでしったっけ」とも発言し、医師団体に責任転嫁した。二階俊博経済産業相が10日にのべた、「何よりも医者のモラルの問題だと思いますよ。忙しいだの、人が足りないだのというのは言い訳にすぎない」との暴言と軌を一にするものである。今日の深刻な医師不足を解決しようとする姿勢がまったく見えない麻生首相は行政府の長として失格と言わざるを得ない。
そもそも、政府は1982年に医師数の抑制を閣議決定し、97年には再び「医学部定員の削減に取り組む」ことを閣議決定した。その結果、今日OECD加盟30カ国中27位で、加盟国の平均値と比べると日本の医師数は13万人も不足し、診療現場に深刻な医師不足問題を生じることになった。これは明らかな失政である。
政府は今年になって医師の養成数を増やす方針に転換したものの、その内容はまったく不十分であり、現状の医師不足を解決できる内容ではない。就労医師数目標を最低でもOECD諸国平均値以上にするために、医学部定員を大幅に増加するとともに、毎年2200億円の社会保障費の削減を同時に止め、医療費抑制政策を転換させるべきである。
(全国保険医団体連合会、2008年11月20日)
****** 全国医師連盟、2008年11月20日
http://www.doctor2007.com/asou1.html
麻生総理大臣の「社会常識欠落の医師多い」発言に関する報道に際して、全国医師連盟の見解
麻生総理大臣の「社会常識欠落の医師多い」発言は、過労や経営的苦境の中で、 患者さんの為に努力している勤務医・開業医を大きく落胆させました。
多くの医療関係者や超党派国会議員などが、医療の再生に向かって論議し行動しています。 そんな中、現役閣僚である二階経済産業大臣の『医師のモラル』発言に引き続き、 このような発言がなされたことは、発言後に陳謝したことを差し引いても、看過できるものではありません。
一方で、残りの発言には、医師削減を主張してきた団体と、最終的に医師削減政策を推し進めてきた 厚生労働行政に対する苦言や、ハイリスク診療科へのインセンティブの導入の提案などがみられます。 これは、これまでの厚生労働行政における問題の核心を突いており、今後の方向性を示す発言と捉えることもできます。
麻生総理大臣には、今後、一国の総理大臣としての資質を疑われるような発言は控えた上で、 医療崩壊を加速する医療費抑制を転換し、診療環境改善をはかる医療政策を推進することで、 リーダーシップを取っていくことを要望します。
平成20年11月20日 全国医師連盟執行部
(全国医師連盟、2008年11月20日)
****** 時事通信、2008年11月19日
「社会常識欠けた医者多い」=麻生首相が発言、すぐに陳謝
麻生太郎首相は19日、首相官邸で開かれた全国知事会議で、地方の医師不足問題に関連して「社会的常識がかなり欠落している人(医者)が多い。とにかくものすごく価値判断が違う」などと述べた。首相はその後、記者団に「まともな医者が不快な思いをしたというのであれば申し訳ない」と陳謝したが、医師の資質を批判したとも受け取れる発言で、今後波紋を呼びそうだ。
同会議で首相は、「地方病院での医者の確保は、自分で病院経営しているから言うわけじゃないが大変だ」と強調。その上で、「小児科、婦人科が猛烈に問題だ。急患が多いところは皆、(医師の)人がいなくなる」「これだけ(医師不足が)激しくなってくれば、責任は医者の(方にある)話じゃないか」と述べ、産婦人科に対する診療報酬加算などの対応が不十分との認識を示した。
問題の発言は、医師の多くが産婦人科などでの過重な勤務を敬遠して開業医に流れる現状に、知事側が懸念を示したのに対して飛び出した。首相は同日夜、記者団に「医者は友達にもいっぱいいるが、おれと波長が合わねえのが多い」としながらも、「そういう(社会常識の欠落という)意味では全くない」と釈明した。
(時事通信、2008年11月19日)
****** 時事通信、2008年11月19日
麻生首相こそ社会常識欠落=鳩山氏
民主党の鳩山由紀夫幹事長は19日夜、麻生太郎首相が地方の医師不足問題に関連し「社会的常識がかなり欠落している人(医者)が多い」などと発言したことについて、「首相の方こそ社会的常識が欠落している」と批判した。都内で記者団に語った。
これに関連して同党幹部は、「東京も医師不足は深刻で、大都市への偏在が問題という意味なら、失言というより認識不足だ」と指摘。その上で「全国の医者を敵に回す発言で、(支持団体である)医師会の自民党離れに拍車が掛かるのではないか」と述べた。
(時事通信、2008年11月19日)
****** 時事通信、2008年11月20日
首相発言は不適切と官房長官=医師不足問題、自民・大島氏も苦言
河村建夫官房長官は20日午前の記者会見で、医師不足問題に関連して「社会的常識がかなり欠落している人(医師)が多い」とした麻生太郎首相の発言について「医師不足、特に周産期医療で不幸な事例も起きた責めをすべて医師団に(負わせる)という問題でもない」と述べ、首相発言は不適切だとの認識を示した。
河村長官は「(首相自身が)謝罪したので、あれこれ言うつもりはない」としつつも、「政府は一丸となって、産科・小児科、救急医療の医師を確保しなきゃいけない。勤務医環境の改善が必要だ」と強調した。
また、自民党の大島理森国対委員長も同日午前の党正副国対委員長会議で、「昨日から首相のいろいろな発言があったが、首相に対して『言葉は大切である』と申し上げなければならないこともある」と述べ、首相は発言に注意を払うべきだと強調した。大島氏は総裁選で首相を支持するなど盟友関係にあり、異例の苦言を呈した形だ。
首相は19日の全国知事会議で「社会的常識の欠落」に言及したほか、「これだけ(不足が)激しくなってくれば、責任は医者の(方にある)話じゃないか」などと発言。その後、記者団に「まともな医者が不快な思いをしたというのであれば申し訳ない」と釈明した。
(時事通信、2008年11月20日)
****** 時事通信、2008年11月20日
「軽さ」際立つ首相発言=失言と軌道修正-与野党が批判
麻生太郎首相の不用意な発言に与野党から批判が相次いでいる。首相は20日、日本医師会(日医)の唐沢祥人会長に、「社会的常識がかなり欠落している人が(医師に)多い」などとした自身の発言を撤回、陳謝したが、与党内からも首相への苦言は続出。政策に関しても前言撤回や軌道修正が目立ち、与党内には首相発言の「軽さ」を懸念する声が強まっている。
「まったく言葉の使い方が不適切だった」。首相は同日午後、「医師常識欠落」発言の抗議に訪れた日医の唐沢会長に頭を下げた。
民主党の菅直人代表代行は同日の記者会見で「常識がないのは首相の方ではないか。本人が非常識だ」と批判した。与党からも「指導者の一言一句に国民の注意が集まる。影響を考えて発言していただきたきたい」(津島雄二元厚相)などと厳しい声が出た。
日医はもともと自民党の有力支持団体だが、茨城県医師連盟が次期衆院選での民主党支持を打ち出すなど、自民離れの動きがある。今回の首相発言で、自民党内には「医師会が自民党を支援しない口実になる」(閣僚経験者)と影響を気にする声もある。
生煮えの政策をぶち上げてしまう首相への不満も政府・与党内には根強い。道路特定財源の一般財源化に伴って地方に配分する1兆円について、首相は19日は地方交付税で配る方針を表明したが、自民党道路族が反発するや、20日は「自由に使えるなら何だっていい」とあっさり軌道修正した。
定額給付金の所得制限の是非をめぐっても、政府・与党決定まで首相の発言が二転三転したのは記憶に新しい。民主党の菅氏は「いろんな発言で迷走している『迷走総理』だ。首相としての資質を欠いている」と指摘した。与党内には「(首相は)トップダウンでアピールしたいのだろうが、やることなすこと全部裏目。このままでは政権は駄目だ」と弱気な声も出始めている。
(時事通信、2008年11月20日)
****** 時事通信、2008年11月20日
「医師常識欠落」発言を撤回=日医会長に陳謝-麻生首相
麻生太郎首相は20日午後、日本医師会(日医)の唐沢祥人会長と首相官邸で会い、「社会的常識がかなり欠落している人が(医師に)多い」などとした自身の発言について、「価値観が違うことを強調したかったが、まったく言葉の使い方が不適切だった」などと陳謝し、撤回した。
会談を受け、首相は同日夜、首相官邸で記者団に対し「丁寧に真意を説明し理解をいただいた」と述べた。また、「新聞記者の挑発に乗ることなく務めなければいかん、と電話をしてきた人もいっぱいいた。発言は慎重にというご意思を大変ありがたく受け止めさせていただく」と述べ、自身の発言に慎重を期す考えを示した。
唐沢氏は、発言に抗議するために訪れたもので「医療現場は、常識では考えられない過酷な労働環境にある」と現状を説明、「国政を代表する総理のあまりにも認識を欠いた軽率な発言は、耐え難い環境で医療現場を守る医師の真摯(しんし)な努力を踏みにじるものだ」と首相を批判する抗議文を提出し、謝罪と発言の撤回を求めた。会談後、唐沢氏は記者団に「(首相には医師を)できるだけ励ましてもらいたい」と語った。
この後、会談に同席した竹嶋康弘副会長が厚生労働省で記者会見し、国政選挙で自民党を支持してきた日医の方針について「今度の発言で変えることはない」と述べた。
一方、河村建夫官房長官は同日の記者会見で「首相の旺盛なサービス精神が勇み足をしたのかなという思いもする」と擁護しつつも、「一国の首相としてできるだけ慎重にやっていただくに越したことはない」と語った。
(時事通信、2008年11月20日)
****** 時事通信、2008年11月21日
首相発言、閣僚からも苦言=「慎重かつ慎重に」「不適切」
麻生太郎首相が医師不足問題に関連して「社会的常識がかなり欠落している人が(医師に)多い」と発言したことに対し、21日の閣議後の記者会見で、閣僚からも苦言を呈する声が相次いだ。
野田聖子消費者行政担当相は「首相は一言一言が大きな影響を及ぼす。慎重に、かつ慎重にやっていかなければならない」と指摘し、小渕優子少子化担当相は「国民に誤解のないように発言をしなければならない」と不快感を示した。
また、公明党の斉藤鉄夫環境相は「わたしは必死で地域医療を支えている方のご努力を知っている。あの発言は不適切」と厳しく批判。塩谷立文部科学相も「今後またそういうことのないよう注意深くやっていただくことだ」と注文を付けた。
一方、首相が道路特定財源の一般財源化に伴う地方への配分額1兆3000億円超のうち、1兆円を使途が限定されない地方交付税にすると発言し、翌日に交付税にはこだわらないと軌道修正したことをめぐり、河村建夫官房長官は「道路特定財源については(自民党の)PT(プロジェクトチーム)にお任せするのが基本線だから、当面は静観をいただくことがこれからは必要」と述べた。自民党内の論議を見守る姿勢を示したものだ。
これに対し、首相に近い鳩山邦夫総務相は「首相は正しい認識を持っている。地方が自由に使えるお金(という首相の解釈)が、一般財源化の意味だ」と語り、首相を全面的に擁護した。
(時事通信、2008年11月21日)
****** 共同通信、2008年11月20日
「医師は社会常識欠ける」 首相、知事会で問題発言 すぐに陳謝、医師会反発
麻生太郎首相は19日、官邸で開かれた全国知事会議で、医師不足問題に関連し「自分で病院を経営しているから言うわけではないが、医師の確保が大変なのはよく分かる。(医師には)社会的常識がかなり欠落している人が多い。ものすごく価値観が違う」と発言した。
地域や診療科により医師不足が深刻な現状に関し、医師の資質自体にも原因があるとの見方を示したとみられる。首相は同日夜、記者団に発言の真意を問われ「まともなお医者さんが不快な思いをしたというのであれば申し訳ない」と陳謝したが、医師の団体は強く反発しており、波紋が広がりそうだ。
知事会議で、首相は「小児科、婦人科といったところは急患が多いから、みんな医師が引く。そういう診療科は(診療報酬の)点数を引き上げればいい」と指摘。その上で「これだけ医師不足が激しくなれば責任は医師側にあるのではないか」と述べた。
また、首相は記者団に「医者は友達にもいっぱいいるが、おれたちと波長が合わないのが多い」とも説明した。
首相の親族による麻生グループは、福岡県飯塚市で「飯塚病院」を経営している。
(共同通信、2008年11月20日)
****** 共同通信、2008年11月20日
首相発言要旨
麻生太郎首相の全国知事会議での医師をめぐる発言の要旨は以下の通り。
(出席知事の医師不足に関する発言に対し)医者の確保をとの話だが、自分で病院を経営しているから言う訳じゃないけど、大変ですよ。はっきり言って、最も社会的常識がかなり欠落している人が多い。ものすごく価値判断が違うから。それはそれで、そういう方をどうするかという話を真剣にやらないと。全然違う、すごく違う。そういうことをよく分かった上で、これは大問題だ。
小児科、婦人科(の医師不足)が猛烈に問題になっているが、これは急患が多いから。急患が多いところは皆、人が引く。点数が入らない。点数を変えたらいいんです。これだけ激しくなってくると、医師会もいろいろ、厚生省も、5年前に必ずこういうことになりますよと申し上げて、そのまま答えがこないままになっている。
これはちょっと正直、これだけ激しくなってくれば、責任はおたくらの話ではないですか。おたくってお医者さんの。しかも、お医者の数を減らせ減らせと言ったのはどなたでしたか、と申し上げて。党としても激しく申し上げた記憶がある。臨床研修医制度の見直しについてはあらためて考え直さなきゃいけない。
(共同通信、2008年11月20日)
****** 共同通信、2008年11月20日
「首相の言葉と思えない」 医師の団体が反発
麻生太郎首相の「医師は社会常識がかなり欠落している人が多い」という発言に関連して、医師の団体からは批判や反発の声が相次いだ。
病院勤務医を中心に約800人が加盟する「全国医師連盟」の黒川衛(くろかわ・まもる)代表は「驚いた。一国の首相の言葉とは思えない配慮のない発言で残念だ」とした上で、「一生懸命働いている医療者のことを真剣に考え、社会全体で医師不足対策を考えてほしい」と注文を付けた。
また開業医が多い全国保険医団体連合会の住江憲勇(すみえ・けんゆう)会長は「日本の医療費が低水準にある中で、地域医療を守っている医師の気持ちを全く理解していない」と切り捨て、「二階俊博経産相が、相次ぐ妊婦の受け入れ拒否は『医師のモラルの問題』と発言したのを撤回したばかり。医師不足に関する麻生内閣の認識はどうなっているのか」と批判した。
定例記者会見中に首相発言が舞い込んだ日本医師会の中川俊男常任理事は「信じられない。これから確認したい」と述べ、あぜんとした表情を見せた。
(共同通信、2008年11月20日)
****** 共同通信、2008年11月20日
国のトップとして認識不足
東大医科学研究所准教授で、産科医らでつくる「周産期医療の崩壊を食い止める会」事務局長の上昌広(かみ・まさひろ)氏の話 医師不足や、特に小児科や産科の医師の過酷な勤務状況は報道などを通じ明らかになって久しい。舛添要一厚生労働相や医療界など、関係者が一丸となって、問題打開に向けて尽力している最中、国のトップがこのような発言をするのは、認識不足で、残念としか言いようがない。
(共同通信、2008年11月20日)
****** 共同通信、2008年11月20日
厚労相が首相発言に苦言 誤解招く発言気を付けて
舛添要一厚生労働相は20日、麻生太郎首相が「(医師には)社会的常識がかなり欠落している人が多い」と発言したことについて「現場で勤務医も悲鳴を上げながら頑張っており、そういう方々に誤解を与えるようなことがあったら残念。医師不足、医療崩壊(などの対策)に全力を挙げているので、政府の姿勢を示すためにも誤解を招く発言は気を付けられた方がいいと思う」と苦言を呈した。
その上で「首相も謝罪したということなので、反省の上にたって問題の解決に努めたい」と強調した。都内で記者団に述べた。
河村建夫官房長官も同日の記者会見で、「国民は医師不足の状況を不安に思っている。その責めをすべて医師にというわけにはいかない。政府も医師の確保や勤務環境の改善など現況を変える取り組みを急ぐ必要がある」と述べた。
また自民党の大島理森国対委員長も国対正副委員長会議で「昨日からいろいろな発言があるが、首相に対し『言葉は大切だ』と申し上げなければならないこともある」と述べた。同党内では「非常識な発言。こんな発言を続けられたら次の選挙は戦えない」(中堅議員)などの声が上がっている。
(共同通信、2008年11月20日)
****** 毎日新聞、2008年11月20日
麻生首相:「医者は社会的常識が欠落」 地方の不足巡り放言
麻生太郎首相は19日、全国都道府県知事会議で地方の医師不足への対応を問われ、「自分で病院を経営しているから言うわけではないが、医者の確保は大変だ。(医師には)社会的常識がかなり欠落している人が多い。うちで何百人扱っているからよく分かる」と述べた。地方の医師不足の原因が医師側にあることを指摘したものだが、日本医師会などが反発するのは必至だ。(5面に発言要旨)
さらに、「正直これだけ(医師不足が)激しくなれば、責任はお宅ら、お医者さんの話ではないのか。お医者さんを『減らせ減らせ、多すぎだ』と言ったのはどなたでしたか」と、過去の医師側の発言を紹介する形で批判した。
首相は同日夜、首相官邸で記者団に「お医者さんになったおれの友達もいっぱいいるんだけれど、何となく意見が全然、普段から波長の合わないのが多いな」と感想を述べた。一方で、「まともなお医者さんが不快な思いをしたというのであれば、それは申し訳ありません」と釈明した。【石川貴教】
(毎日新聞、2008年11月20日)
****** 毎日新聞、2008年11月20日
麻生首相:「医師は常識欠落」発言撤回 言葉不適切と謝罪
麻生太郎首相は20日、「(医師は)社会的常識がかなり欠落している人が多い」などとした自らの発言について、首相官邸に抗議に訪れた日本医師会の唐沢祥人会長に「言葉の使い方が不適切だった」と伝え、発言を撤回したうえで謝罪した。
同席した日医の竹嶋康弘副会長によると、唐沢会長は「特定の職業を名指しし、根拠なしに差別するもので、激しい憤りを禁じ得ない」などとした抗議文を読み上げて首相に手渡した。首相は「医師の価値観が(一般の人と)違うことを強調した流れで、『社会的常識が欠落』という言葉を使ってしまった。撤回し、謝罪いたします」と答えたという。
日医をめぐっては、後期高齢者医療制度を批判する茨城県医師会の政治団体が次期衆院選での民主党候補推薦を決めるなど混乱が続いている。首相発言には全国の会員から抗議のメールが多数寄せられているという。
衆院選への影響について、記者会見した中川俊男常任理事は「現場の気持ちを踏みにじった発言で、かなりの影響があるのではないか」と語った。【吉田啓志】
(毎日新聞、2008年11月20日)
****** 毎日新聞、2008年11月20日
麻生首相:「医師常識欠落」発言 舛添厚労相が苦言
麻生太郎首相が医師について「社会的常識が欠落した人が多い」と発言したことに対し、舛添要一厚生労働相は20日午前、「現場の勤務医も悲鳴を上げながら頑張っている。そういう方々に勇気をくじく誤解を与えるようなことがあれば残念だ」と述べ、苦言を呈した。東京都内で記者団に語った。
これに関連し、河村建夫官房長官は同日午前の記者会見で、「首相自身が謝罪しており、あれこれ言うつもりはない」と述べたうえで、「政府は一丸となって産科、小児科、救急医療の医師を確保しなければいけない」と医師不足対策に取り組む姿勢を強調した。
一方、全国の開業医・歯科医で構成する「全国保険医団体連合会」は同日「深刻な医師不足を解決しようとする姿勢がまったく見えない」などと首相の発言に抗議する声明を発表した。【坂口裕彦】
(毎日新聞、2008年11月20日)
****** 朝日新聞、2008年11月20日
首相発言に批判・苦言相次ぐ 閣僚・自民党内から
麻生首相が、道路特定財源や郵政会社の株式売却をめぐって党内論議を経ずに踏み込んだ発言を繰り返したり、「(医者は)社会常識がかなり欠落している人が多い」と発言したりしたことに対し、自民党内や閣僚からは20日、批判や苦言が相次いだ。
自民党の山本有二道路調査会長は、道路特定財源の一般財源化により1兆円を地方交付税として配分する、という前日の首相発言について記者団に「あり得ない。誰も守らない。今後の道路行政に新たな支障が起きる」と批判。首相の漢字の読み間違いが続いていることを挙げて「交付税を交付金と読んだらつじつまが合う」と皮肉った。
参院自民党の脇雅史国会対策筆頭副委員長も会見で、道路問題で「公の場で発言されて趣旨がよく分からないというのは非常に問題」と批判した。
郵政株の売却をめぐる発言に対しても、中川秀直元幹事長が町村派総会で「郵政民営化をひっくり返すことは我々がやってきたことの全否定になる。断固許してはならない」と強く批判した。
一方、首相の「医者の社会常識欠落」発言には、舛添厚生労働相が東京都内で記者団に「現場の勤務医も悲鳴をあげながら頑張っているので、勇気をくじく誤解を与えるようなことがあれば残念。誤解を与えるような発言は気をつけた方がよい」と苦言を呈した。河村官房長官は会見で「医療を取り巻く現況の厳しさの責めを、すべて医師にというわけではない」と釈明した。
相次いだ首相の発言に、相談相手でもある同党の大島理森国対委員長も、会議で「昨日から総理のいろいろの発言がある。総理に対して言葉は大切である、と申し上げなければいけない」と語った。
(朝日新聞、2008年11月20日)
****** NHKニュース、2008年11月19日
首相 社会常識欠落の医師多い
麻生総理大臣は、総理大臣官邸で開かれた全国知事会との会合に出席し、地方が抱える医師不足の問題について、みずからの考え方を示した際、医師のことを「社会的な常識がかなり欠落している人が多い」と発言しました。
これは、会合の中で出席した知事から「地方が抱える医師不足の問題についてどう考えるか」という質問が出たのに対し、麻生総理大臣が、みずからの考え方を述べた際に発言したものです。この中で麻生総理大臣は、医師不足の問題に関連して「自分で病院を経営しているから言うわけではないが、はっきり言って、社会的な常識がかなり欠落している人が多いと思われる。とにかく、ものすごく価値判断が違う。それはそれで、そういう方をどうするかという話を真剣にやらないといけない」と述べました。また、麻生総理大臣は「急患が多い診療科は、皆、医者は引く。だとしたら、そういう診療科だけ診療報酬を引き上げるなど、変えてみたらどうか。正直、これだけ医師不足が激しくなってくれば、責任は医師の側にあるのではないか。ただ、目先のことをどうするかというところで、医師不足の声をしんしに受け止めなければならない」と述べました。これについて日本医師会の中川俊男常任理事は、定例の記者会見で「麻生総理大臣がそのような発言をするとは、とても信じられない。事実関係を確認したい」と述べました。日本医師会では、麻生総理大臣の発言について、真意を確認したうえで今後の対応を検討することにしています。麻生総理大臣は19日夜、総理大臣官邸で記者団に対し「おれの友達にも医者がいっぱいいるが、なんとなく話をしても、ふだん、おれとは波長が合わない人が多いと思った。まともな医者が不快な思いをしたというのであれば、それは申し訳ない」と述べました。
(NHKニュース、2008年11月19日)
コメント(私見):
2月7日の国会審議のテレビ中継の映像をインターネットで見ました。今回の柳沢厚生労働大臣の答弁の要旨は以下の通りと私は理解しました。実際に映像を見ていただきたいと思います。
以下、柳沢厚生労働大臣の答弁内容の要旨
『産科医が減少しているのは、分娩件数の減少と比例していて、分娩件数あたりにすれば産科医数は特に減っていない。従って、産科医療は病院のネットワーク化で効率化すれば十分に対応できるはずだ。
外科医の減少は、外科が呼吸器外科とか消化器外科とか細分化され、それぞれの科別に分けると統計上減っているように見えるが、実際の外科医の数は減ってない。
大野病院事件は現在公判中なのでこの事例に対する具体的答弁は差し控えるが、かなり特殊な事例であることは把握している。今後、同様の事件が起きない対策として、第三者機関による事故調査制度を早急に成立させる。
助産師不足の問題は、今後、看護師に助産師の免許を与えることと、休業助産師を現場復帰させることで対応してゆく。横浜の事件は起訴猶予となったが、看護師の内診が違法行為にあたるという現在の厚労省の認識に変わりはない。』
(以上、国会での答弁内容の要旨)
要するに、現在進行中の産科医減少は、単に分娩件数減少に呼応した現象に過ぎず、今後、病院のネットワーク化と医療の効率化で対応することが十分に可能との認識でいらっしゃるようです。
大臣というポストは、そのポストに指名されるまで全然関係がなかった分野にいきなり飛び込んで、事態がどうなっているのか?を突然のにわか勉強で理解しなければならない御立場でいらっしゃるので、現時点では、産科崩壊に対して一般人並の乏しい理解でしかなくて、何の危機感も持ってないというのも、ある意味、仕方がないのかもしれません。その点、枝野幸男議員は現場の状況をかなり正確に把握してらっしゃるようで、現在の産科で問題となっている諸問題に対して鋭く質問をしていて非常に感心しました。
【勤務医つれづれ開業日記のコメント欄で、この質疑応答の様子の文字化作業が現在進行中です。現時点で文字化されている部分をコピーさせていただきました。いつもお世話になっています。】
***** 国会審議テレビ中継、2007年2月7日
枝野幸男議員-10分から本論
【衆院予算委】枝野議員、周産期医療の改善等の必要性を強調、民主党ニュース
*** 勤務医つれづれ開業日記のコメントより
(僻地の産科医・さま)
枝野議員 「なぜ産婦人科と外科だけ(医師が)減っているのか?産婦人科の医師は94年から04年の10年間で8%減っている。」
柳沢厚労相 「いま手元にH16年の資料しか手元にないが、産科医10594人、施設はH17年2933施設と聞いている。」
枝野 「大阪市では市民病院を4施設から3施設に集約化したが、それでも産科はさらに病院を減らさねばならなくなっている。都市部でもハイリスクを扱える病院は足りない。」
厚労相 「産科の医師減少は出生数減少の問題。出生数あたりの医師の数は横ばいである。」
枝野 「なぜ産科と外科だけが減っているか?」
厚労相 「産科は出生数が減っているから。外科は専門化しており、呼吸器外科や消化器外科などを足すと外科総数はかわらない。」
枝野 「福島県大野事件の概要説明。知っているか?」
厚労相 「大野事件は特別な事案と心得ている。」
枝野 「大野事件は大変稀なケースで、執刀された医師が逮捕・起訴された。こんな初歩的ではない専門性の高い医療で、結果がうまくいかなかったからと逮捕されれば、リスクのある医療を誰もしなくなる。こういう場合にこそ法務大臣の指揮権があるのではないか。僻地医療でリスクのある出産を一人で担ってきた産科医だった。初歩的ミスではなく、真摯に対応もしている。しかし、僻地医療を一人で担い、高度な医療で残念な結果になることもある。結果が悪ければ起訴・逮捕になりうると全国の医師にメッセージしてしまう結果となっている。それでは産科などやってられない。」
厚労相 「この事件については公判中なので述べられない。一般的な話では医事紛争には第三者機関が必要。来年度をめどに厚労省として取組みたい」
枝野 「このように誠実に最善を尽くしても、ベストな結果が出なかった場合に、今後はどうしていけばいいのか? 厚労省からはこの事件に対して公式な表明がない。高度な医療技術をもった頑張っている医師に対して、あまり関わらない方がいいというメッセージを出すことになっている。現在リスクのある医療にかかわっている医師が、やめてしまっていいのか。医師の養成は10年くらいの時間がかかる。」
厚労相 「何が可能か検討していく。」
枝野 「起訴したあとでも公訴とりさげは可能なはず。このまま刑事罰の対象としていいのか?」
厚労相 「その検討が必要とは考えていない。」
枝野 「厚労省と法務省はきちんと協議すべき。横浜の堀病院の看護師内診事件でも違法ではあるが構造的問題と言ったが。」
法相 「助産師不足が背景にあり、構造的問題。今回の事件自体では内診による危険性が認められなかったなどの結果、起訴猶予となった。」
枝野 「厚生省は看護師の内診を違法としているが、今後どうしろというのか?」
厚労相 「厚労省としては違法と認識。起訴猶予となったのは厚労省として恥ずかしい。早く克服しなければ。」
枝野 「厚労省としての危機感を感じられない。看護師が内診するのがダメであれば早急に対応すべき。看護師でも一定の条件があれば内診してもいいのであれば、認めてあげるべき。現場は困っている。」
厚労相 「重大な問題と受け止める。違法状態とすべきではない。看護師免許もちつつ助産師資格を与えたい。」
枝野 「助産師不足なら看護師を活用すべき。頑張るべきは現場ではなく厚労省である。現場の看護師や医師に責任をおしつけるべきではない。足りないものを養成するのに何年かかると思っているのか? 違法とするなら、養成できてくるまでの期間はどうすればいいのか?」
厚労相 「厚労省としては看護師に助産師の資格を取ってほしい。また休業助産師を再教育して即戦力としたい。同時に拠点病院を中心としたネットワーク化で効率化したい。」
枝野 「現場の病院はどうすればいいのか答えてもらっていない。人手は足りない。H22になっても1000人の助産師さんが足りない。今回は起訴されなかったが、次は起訴されるかもしれないという不安を現場に押し付ける結果になっている。」
厚労相 「ネットワーク化すればいい。」
枝野 「助産師さんは拠点病院にだけいればいい存在ではない。出産の場である診療所にも必要。充足するまで違法と打ち捨てるのは無責任だ。」
厚労相 「とにかくネットワーク化、効率化だ。出生数が減っているから仕方ない。」
枝野 「医療現場にしわ寄せがいっている。総理はどう考えますか?」
安倍総理 「今回の起訴猶予は構造的問題でもあり、個々の問題でもある。助産師が足りないのは事実。助産師養成・発掘(とはいってないが)ネットワーク化、派遣医師の支援をしたい。」
枝野「大甘な厚労省の予測でもH22に1000名の助産師が足りない。日本産婦人科医会の現場の声では、1343箇所の診療所を調査した結果、助産師0%充足が250施設、30%以下が353施設、70%以下が532施設、70%以上は208施設であり、助産師不足解消には最低10年かかるといわれている。建前は美しいが、現場医師はどうしたらいいのか? 大野事件も構造的な問題ではないか。そもそも365日24時間の僻地産科を一人で支えること自体、現場医師には過剰な負担。ミスも出やすく、ただでさえ危険な出産が一層危険になる。厚労省は現場が働きやすくなるような環境を作るべき。」
厚労相 「大野事件については答弁を差し控える。一般的に第三者機関で解決したい。また無過失補償でも解決をしたいと思っている。」
枝野 「産科医療は弱体化しつつある。現場でベストを尽くしても患者が亡くなる事もあり、逮捕されるかもしれない。厚労相の言っているのは建前ばかり。」
安倍総理 「この事件は公判中なので答えられない。」
枝野 「起訴された事件でも公訴取り下げをできるはず。このケースには真摯に検討をして欲しい。」
▽勤務医つれづれ開業日記の別のコメントより
(ブログ読者の有志の方々による共同作業)
開会日:平成19年2月7日 (水)
会議名:予算委員会
収録時間:7時間 10分
発言者一覧
説明・質疑者等(発言順): 開始時間 所要時間
金子一義(予算委員長) 9時 00分 01分
猪口邦子(自由民主党) 9時 01分 40分
斉藤鉄夫(公明党) 9時 41分 21分
枝野幸男(民主党・無所属クラブ) 10時 02分 2時間 00分
金子一義(予算委員長) 13時 00分 01分
高井美穂(民主党・無所属クラブ) 13時 00分 1時間 01分
川内博史(民主党・無所属クラブ) 14時 01分 1時間 10分
小宮山洋子(民主党・無所属クラブ) 15時 11分 1時間 51分
答弁者等
大臣等(建制順)
安倍晋三(内閣総理大臣)
長勢甚遠(法務大臣)
伊吹文明(文部科学大臣)
柳澤伯夫(厚生労働大臣)
甘利明(経済産業大臣)
高市早苗(沖縄及び北方対策担当大臣 科学技術政策担当大臣 イノベーション担当大臣 少子化・男女共同参画担当大臣 食品安全担当大臣)
10:19 枝野
まずこどもをうみたいと思っている人が子供を安心して産むためには産科医療・周産期医療がしっかりとしていなければいけません。ところが日本では医師全体の数は伸びてはおりますが、私が公表されている統計データーで把握をできている厚生労働省の04年度の調査で、えー減っているのは、産科と産婦人科と外科だけであって、たとえば94年から04年までの10年間で産婦人科の医師は8%ダウンをしている。とこういう統計になっております。もしそのもの情勢わかっておれば厚生労働大臣お願いします。
11:20 柳沢
えーまぁあのあとおいおい○○委員からご質問がありますのであとから答えさせていただきますが、いま委員の私もまさしくそのとおりだと、思います。あえて申し上げさせていただきますならさる12月25日に人口の問題に関連して、合計特殊出生率1.39を目標にしたそういうまぁ政策をたてたらどうかというご質問を委員から伺いました。そのとき私は、そういうことは適切ではないと思うと、というのは結婚をする、子供をうむというのは、まさに個人の自由に属する問題であって、我々の国は、そういった自由の意思の複合体としてつくられているという風に自分は考えるからだということを、申させていただいたんです。これは付け焼刃で申したのではなくって私はその前にまぁちょっと遠い話ではありますが、昭和53年大平内閣がスタートするときに家庭基盤強化ということをタイトルに歌った政策を打ち出しました。あのときに随分議論がありました。家庭生活そのものをとりあげることではないかという議論もあった一方で、家庭に政治が入り込むことはよくない。せいぜい政治がやりうることは家庭基盤の制度なんだ。そこにとどまって頑張るべきなんだ。そういう議論が対立いたしまして、最終的に家庭基盤の整備ということが政策目標のなったとそういういきさつを私もよく承知し記憶もありますのでそのような観点から発言をしたということであります。(13:20)さて産婦人科のお医者さんの数ということでございますが、さて産婦人科のお医者さまの数は、H16のものしかございませんが、産科または産婦人科を主科とするお医者さんの数は10592人 分娩を実施した施設の総数は2933人ときいています。
14:00 枝野
「(略)いま数値をだしていただきましたが、今、現実リスクのある妊娠(略)リスクの高い妊娠。分娩を扱える病院が明らかに急激に大幅に減っている。これは大阪の例でありますが大阪市が4つある市立病院を3つ再編しましてそれでも病院をへらさないといけないところへきていて、人口減少の地域ははもちろんのこと都会でもリスクのある分娩出産を扱える産科の医師が減っている。という状況が背景にあるといわれている。この現状認識は厚生労働大臣にしたらお認めになりますか。(16;32)
16:44 柳沢
医師の数が医療の需要とどのようにマッチするかということは我々にとっては重要な課題でございます。いうまでもないことでございます。まぁ特に今先生がご指摘になられたような産科の医師の場合は出生数の減少というようなことで、実は総数としても減っているわけではありますが、出生数辺りの医師の数が減っているわけではない。だいたい横ばい状態。(17:29)ということは、そういうことを行政としてやればいいかということですが、やっぱりこれはネットワーク化というか、拠点病院を指定してですね。あとは診療所を含めてネットワーク化してリスクの発生した医療については早急に拠点病院に搬送して、こういう体制をつくるのが大事であるとなっていまして、現在周産期と周産期医療ネットワークというようなものを構成しつつ拠点病院もしっかりと整備しつつあることによって、こういうある種の効率化というか効率化というと経済的みたいですが、医療の安全性を高めながらという方向性での医療を構築しております。(18:30)
18:40 枝野
そういう答弁は、あきらかに現場のみなさんとずれているんではないか、と思うんですね。たしかにですね、その拠点化をしなければならないという部分もあるかもしれない。しかし先ほども申しましたけれど、出産はもともとリスクがあるとわかっている場合もありますけれど、実際に出産分娩に入って、あら急に破水ってこともあるわけでして、その場合にたとえば拠点化をして結果として身近な診療所は家から歩いて10分だけど、病院は車で10分です。そういう拠点化だったらわかりますよ。ところが現実におこっていることは島からリスクのある出産は扱える産科の医師・病院がなくなる、車で何時間も行かないといけない、実際に出産・分娩のときというのは妊婦の方だけではなくてですね、うまれた跡のお子さんのことだとか、いろんなことを考えると、配偶者である男性とか、おじいちゃんおばあちゃんとか家族とかみんな家族ぐるみでのプロセスであるわけですよね。そのときに何かあったときには救急車で二時間、たとえば都市部においてはギャクにみんな満床でそんなリスクの高い患者を運び込まれても、受けられないよって。関西でありましたよね?それで出欠死をされた妊婦さん。そういうのがつぎつぎにおこっている。だけど拠点化だから仕方ないんだ。ということで、本当に安心して生める育てることのできる社会づくりをしているとゆうことになるんでしょうか?私はまったく逆の方向に行っているんじゃと、妊婦のみなさんには健康だけではなく心理的なことも親身になってくださる医師のみなさんや助産師の皆さんが必要である。普段はこっちの病院で、いざとなったらあっちの病院行くからといって果たして実際にさぁ子供を生み育てましょうというこういうときに安心になれるでしょうか(21:37)
21:37 柳沢
枝野委員がご指摘いただいた離島、僻地に関しては格別の措置をいたしておりまして、出産の日が近くになったときには近くに来て宿泊して出産の日を待つ。またその運賃・宿泊費は別途の手当てをいたしております。突然何か起こったから拠点病院にいってそういうことがうまくいくのかとお話をいただきましたが、これは今それぞれの県で医療計画を策定しておりまして、医療提供体制の拠点病院を中核としたネットワーク化もしております。実は先行事例もありまして先般視察に行ってきました。E2システムといって、お医者さんが、病院のお医者さんと診療所のお医者さんが両方とも行き着け、情報が常に交換し合っている。こういうネットワーク化を実現しているところも実はございまして、こういう形で私どもの今の医療体制を安心のものにしていく努力が私には必要であると思いますし、的確に行われることが大切であると考えています。(23:27)
23:30 枝野
あの~、別の視点から聞きますと、先ほど私が取り上げました、04年度の厚生労働省調査の時点でですね、医師の数が減っているのは産婦人科と外科だけというふうに厚生労働省調査の結果になっています。この傾向は大きく変わっていないだろうと思います。なぜ産科、産婦人科と外科だけ減っているのか、大臣はご理解されてますか?
24:15 柳沢
え~、ま、産科はですね、先程来私も触れたかと思いますけれども、出生数の減少で医療ニーズがはっきり低減している、ということの、まあ、反映というふうに、え~、承知をいたしております。
外科については、一般の外科という捉え方をすると確かに減少しているんですけれども、医療の専門化が進捗しておりましてですね、先生ご承知の通り、呼吸器外科、消化器外科・・・消化器内科もあるし消化器外科もあるんです、呼吸器内科もあるし、呼吸器外科もあるんです。そういうものについてですね、外科という一括りをして、まあ、あの~、統計を取ると、いうようなことをいたしておらないと、一般の外科という、つまり外科そのものが縮小しているというふうには我々は考えておりません。
25:28 枝野
あの~、これも通告しているんでたぶんお勉強してこられていると思うんですが、福島県の大野病院事件という事件の経緯、それから私この問題を法務委員会で取り上げたことありますが、その時の経緯・・・大臣は事前に勉強して頂いてきておられるでしょうか?
25:57 柳沢
え~、これはですね、大野病院事件につきましては、私ども、個別の事案であると言うことで、これは従来の慣例によりまして、ここで所見を申し述べることは差し控えさせて頂きたいということでございます。
26:20 枝野
この大野病院事件というのは、福島で起きた事件なんですけれども、え~、出産分娩の際に、非常にレアなケースであったようでございますが、胎盤が癒着をして、その処置のプロセスで母親が出血死をされてしまったと、大変お気の毒な事例であって、残されたご家族の皆さん、あるいはご本人の無念というものは、本当に何とも申し上げられない事件であるというふうに思います。
で、この事件について、その執刀した産科の医師が昨年、逮捕されて・・・業務上過失致死で、起訴をされたという事件でございます。
で、私の所にも、産科の医師ではありませんが、知り合いの医師から、こんな事件を放置しておいたらリスクのある医療に従事をする医師はいなくなりますよ、というご指摘を頂きました。
その後、あるいは同時並行かもしれませんが、産科、産婦人科の学会等、全国の関係者の皆さんが、これはひどいじゃないかということで、厚生労働省にも要望をあげたというふうに思います。
私は法務委員会でこの問題を取り上げまして、まだ起訴前でございましたので、私はあえて、これは、こういう場合のためにこそ法務大臣には警察に対する指揮権があるのではないかと、いうことを申し上げました。
個別の刑事事件に今なっておりますので、起訴してしまっていますので、ま、起訴の取り下げは検察によってはできますから、それも本当はお考えを頂かなくてはいけないと思うんですが、私はあの、医師の刑事責任を甘く見ろと言うつもりは全くありません、これはあの、ご存じの方も多いと思いますけど、私はこの場で十数年前、薬害エイズ事件でむしろ医師の刑事責任をちゃんと問わないことに対して、激しく指摘をして、実際にその後医師の刑事責任を問うという形で事件が推移を致しました。従いまして、刑事責任を負うべき事件についてはちゃんと医師の責任を問わなければならないというふうに思います。
26:20~
刑事事件になってますから、更正要件に該当して形式的には処罰対象になる事件かもしれませんが、この事件、やはりどうトータルで見てもこの今被告人になっている医師が逮捕され・・・逮捕されるということは逃亡・証拠隠滅のおそれがあるから逮捕したわけで、逮捕自体がそもそもおかしい、もし起訴するとしても在宅事件ではないかと・・・なおかつその今言った全体の医療、高度医療、リスクの高い医療に対して、触らぬ神に祟りなしということをこういう時に使っていいかどうかわかりませんが、まさにリスクの高いことをやって真摯にベストを尽くしても刑事責任が問われるかもしれない、と、こういうメッセージを発信してしまった。その後現実に、それではとてもリスクの高い産科医療やってられないよと、あるいはそんな科は選択したくないよという声は、各所で上がっています。
こういう実態を厚生労働大臣、どう考えますか?
32:10 柳沢
え~、このまあ、事案については、あの~、いろいろ経緯もあるようでございますが、ここではこれを言明する、所見を述べることは差し控えさせて頂きますが、いずれにしましても、こういうことに非常に危機感を持って関係の団体等もですね、これでは困る、と、いう声を上げていらっしゃることもございます。
で、医事紛争につきましては、産科医療に限らず、医療事故の真因究明をですね、第三者が行うということがやはり医療の透明性を増し、患者にとって納得のいく医療確保のためにも必要だというふうに考えておりまして、このような仕組みを構築するという方向で現在いろいろな検討が行われているところでございます。
年度内を目途に、厚生省としての試案をとりまとめまして、これをパブリックコメントあるいは有識者による検討にかけまして、来年度において最終的な仕組みを確定したいということで、取り組ませて頂く予定になっております。
33:37 枝野
あの~・・・今後ね、医療事故について、どういうふうにするのか・・・もちろん、特に医療事故で人の命が失われているという場合については、例えばベストを尽くして、真摯にベストを尽くしたかどうかをちゃんと事務的にチェックしないといけないということはあるだろうと思います、あるいはあまりにも初歩的な平均水準以下の技量で、というようなことがあったら、それは一定のペナルティと言いますか、何らかの処置は必要だろうというふうに思います。
だけれどそれと同時に、真摯に、誠実に最善を尽くしなおかつとても初歩的なミスとは言えないような、そういったケースが現に今、刑事裁判にかけられているんですよ。で、それに対して、厚生労働省からも法務省からも、何のメッセージも発信されていないんですよ。これで本当に・・・もちろんそれでも自分は産科の医療に使命感を持っているんだということで頑張っておられる産科の医師の方、たくさんいらっしゃいます、あるいは高度の外科の医療に携わっている方、たくさんいらっしゃいます。
しかし、やはり傾向として、それよりも、医療ミスがあっても死亡とかという重大なことに繋がらない医療の方が無難だよねという方向にどうしても流れていってしまうのは、ある意味人間のやることですから当然だろうと思います。
ですから、これを何とか食い止めないといけない、政治として行政としてしっかりとメッセージを出していかないと・・・
これ、医師の養成というのはそこから何十年間に影響していく訳でありまして、他の科をやっていた人が時代状況が変わったからじゃあ産科に変わりますと簡単になれる世界じゃありませんから、あの~、例えば今現に医大に通ってらっしゃる方々がこれから数年間どういう道を選択されるのか、あるいは今現に産科の医療をやってる人がとてもやってられないよといって離れている方が現にいらっしゃる、そういって離れて数年経ってまた戻ってきましょうって、簡単にいかないわけでありますよ、しかも高度の医療に近い人ほど、つまり技術を持っている人ほどそのリスクを高く感じている・・・
先ほど、関西で出産時出血死をされたケース、最近もあったなという話をしましたけれども、いやあうちは満床だからとかいって、リスクの高い患者さんは危ないと思ったら受け入れない方が一番無難なんです、刑事責任を問われないようにすれば。
と、いう現実を、本当に厚生労働大臣、そんな悠長な話でいいと思ってるんですか?
38:24 枝野
少なくともですね、法務省とあの時私は申し上げたと思うんですが法務委員会で。ま、当時と大臣が替わってますが。厚生労働省と法務省との間で、真摯に協議をして、これがまさに現場に与える社会的影響、それから逆に法務省としての、あるいは検察を通じて持っている法と証拠の状況として、もしかすると私が情報不足で、その初歩的なこういう状況だとしても処罰に値するようなケースなのかもしれない、それは私はまさに刑事裁判の証拠をその時点で見ている訳ではない、現時点でも公判に出てきているものしか見ていませんから、ま、しかしどうも公判に出てきている状況を見ても、最初の私の判断は間違ってないなと今のところ思っておりますが、それこそ検察・法務の持っている証拠と状況と医療の現場の実態ということをせめて協議をして検討するぐらいしたらいいじゃないかと、私あの時申し上げたんですが・・・どうもされてないように思うんですが。先程来、個別の案件をうんぬんって話ありますが、実際にその後個別の案件をちゃんと法務省というか検察庁は判断しているんですよね?
39:26
あの~、横浜の無資格助産事件というのがありまして、つい最近起訴猶予になりました。この起訴猶予の理由の中に、検察は、構造的問題というのを挙げていると報道されていますが、間違いありませんか法務大臣?
39:55 長勢
え~、今ご指摘の事件でございますが、横浜地検におきまして不起訴処分をいたしました。その際に、一つは本件の背景には助産師偏在等を原因とする産科個人病院及び産科診療所における助産師不足があり、本件は周産期医療における構造的な問題の一端であって、事態の改善に向けて施策が推進されている分野において、被疑者らを処罰することが相当であるとは考えられないこと、その他、具体的な危険がないとか、あるいはそのうち是正措置(?)がとられているとか、あるいは退職されているとかいったような理由をあげてこれらの諸般の事情を考慮して起訴を猶予したものであるという旨の発表をしたものと承知いたしております。
40:54 枝野
報道によるとですね、今法務大臣がお答えになったように、横浜地検は構造的問題があるということも理由の一つにして起訴猶予にしている・・・起訴猶予というのは構成要件的には違法である、刑罰に該当する、けれども起訴しないという判断をした訳であって、・・・
厚生省は、報道によるとこれは看護師による内診行為、助産師でないとできない内診行為について看護師が行っていたという事件でありますけれども、「厚生労働省は違法としているが」、ということでありますが、今のような横浜地検の構造的問題であるという指摘を受けて、どうするんですか?
41:47 柳沢
え~、まあ、厚生労働省としては法と証拠に基づいてこれは違法であると、いうことで、まあ、立件されることをそのままにしておいたということでございますが、判決においてですね、構造的問題をですね、いわば、理由とされた、そうした扱いがされたことについては、司法の側からもこの問題について重大な問題提起があったと、いうように受け止めております。
これについては早急にですね、裁判に置いてですね、そのようなことを指摘されるよな、いわば行政としては恥ずかしいと、いうようなことを言わざるを得ないと思うんですが、そういう状況を早く克服しなければならないと、このように思っております。
42:53 枝野
あの~、正確に言いますと、裁判ではなくて裁判の前、起訴をしなかった、しかも起訴猶予ですから不起訴・・・あの~、嫌疑なしではありませんから。嫌疑なしとか嫌疑不十分とかではありませんから、犯罪には当たる、当たるけれども起訴をしない。その理由として構造的な問題として・・・つまり、犯罪には形式的には当たるけれども、起訴をしないということの理由として、いわば、そういう露骨な表現でありますが厚生労働省の怠慢を指摘されてるんですよっ。
その、その危機感が、今の御答弁から全く感じられないんですよ。
危機感、必要じゃないですか。
これがですね、厚生労働省の顕示している方針の通り、看護師が内診をすると・・・助産師に代わってするということが、いけないことだ、よくないことだ、危ないことだと考えるならば、早急にそれに代わってどうするのかしなきゃならないし、そうではなくて、いや何らかの条件をクリアすれば看護師でもいいんだということであるならば、それはそれでこうして現場で対応してやっている病院・医師あるいは看護師が、その刑事罰の危険にさらされないで安心して仕事が出来るように、どっちか早急にしなきゃいけないじゃないですか、どっちにするんですか!?
44:19 柳沢
失礼しました、これは起訴猶予ということであれば、これは検察官の判断ということでございますので、その点は訂正致します。
先ほど申したように、そうしたことを、仮に検察官であれ、指摘をされて、いわば省の処分を差し控えると、いうことはやはり我々の行政に対して重大な問題提起をしているということでございます。
今、議員は、そもそもそうしたことを許してしまう、そういう法改正をすればいいじゃないかと、いうようなことを選択肢の一つとして申されたように私はお聞きしましたが、しかし私はやはりそうしたことはなすべきではないと、このように考えておりまして、我々は、看護師資格を持ちながら同時に助産師資格を持つ、これは両者を養成する過程等に顧みられればそんなに難しいことではない訳ですから、至急にですね、夜間の講習か何かによりまして、看護師資格を持つ者に助産師資格を与えるというような再教育を早急にやるべきであると、このように考えております。
45:35 枝野
あの、時間があれば後でやろうと思っていますが、私、助産師さんの、看護師さんとは別の・・・何というんでしょう、知識、技能というものをもっともっと生かさなきゃいけないと思っていますので、助産師さんが不足しているのであれば、その養成ということに早急に取り組む、それはまさにその通りでありますが、まさに最初の柳沢さんの例の松江での発言の、女性が頑張って欲しい・・・
頑張るのは女性の前に厚生労働省なんですよ。これも、厚生労働省の今までの厚生行政のツケを現場の医師・看護師に押しつけてるじゃないですか。
いや、これから養成するにしたってですよ、養成されて実際に現場が構造的な問題と検察から指摘されないようにしっかりと数がそろって、どの病院でも必要な助産師さんがそろうというまでに何年かかるんですか?
その間、実際に目の前の患者さんを抱えている病院は、患者さんを抱えているけど助産師は足りないと、だけれども目の前に患者さんがいるんだからそれは対応しなきゃならないと、そういうことの中で形式的には違法であると、形式的には違法であるけれどもそれをやらなければ現場が回らない、そのツケを現場の病院に押しつけているんですよ。
そういう発想が、こういう社会政策にとってあべこべだと言っているんですよ。
どうするんですか、養成、育成する、何年かかるんですか?
そろうまでに。構造的な問題が解消されるまでに。
その間、違法な状態、どうするんですか?
いやあ、じゃあ違法じゃない状態で、実際に患者さんが来ても、うちは助産師さんが足りないから他へ行って下さい、ということで、たらい回しするんですか。
どうするんですか!?
47:34 柳沢
もちろん、中期的というか、先生は時間が掛かるというのであえて私は中期的というお話しをさせて頂きますけれども、厚生労働省としては先ほど申し上げるように看護師に特別な研修をして助産師資格も持って頂くと、これも一つの方法です。
それからまた現にですね、現役を引退している助産師さんを再研修して、至急即戦力の現場に戻って頂くと、こういうことも考えておるわけでございます。
同時に、先程来申し上げております通り、とにかく拠点病院を中心とするネットワークシステムというものを構築致しまして、これに対して対応していく。これは周産期医療につきましてもそうですし他の医療についてもそうした考え方で、とにかく医療を今までのようにポツポツと独立して切り離されて存在している病院あるいは診療所の問題ではなくて、その地域全体のネットワークの中で、医療ニーズをきっちりと対応していく、こういうようなことを考えているということでございます。
49:00 枝野
答えて頂いてないんですよ。
現場の病院はどうすればいいんですか?
厚生労働省の05年12月に出している看護職員需給見通しでもですね、助産師について、平成22年で1000名不足をする、厚生労働省自身の需給見通しでも平成22年で1000人不足すると、出ているんですよ。現場の実態からすれば、これの平成18年度の需要見通しと供給見通しと、ま、こういうところで需要と供給と使っていいのかと人の問題なんでそもそもそう思いますけれども、厚生労働省の文章にそう書いてありますからそのまま読みますが、1700と出ているんですが、現場の実態こんなもんじゃないですよ、助産師さんの不足は。その甘い見通しに基づいても、そして5年後の22年でも1000名不足すると言っているんです。
その間、これ実際に検察から書類送検をされているんですね、病院は。
書類送検されているけれども、構造的な問題だから、起訴は勘弁してあげましょうと言われているんですね。でも構造的な問題だから、この病院はもしかするとこういう事件で書類送検されたから、助産師さんを何とかかき集めてやるかもしれないけど、構造的な問題なんですからどっかでやっぱりまた同じように書類送検されるかもしれない、今度はもしかすると起訴されるかもしれない、だけど助産師さんは実際足りない、こういう状況が数年間放置されるんですよ。
そのツケを現場に回すんですかと、聞いているんですよ!?
50:34 柳沢
これは、重ねての答弁になりますが、今のシステムを、各診療所あるいは病院がバラバラにあまり連携しないで対処しているというものを、もっとネットワーク化していろいろなところに円滑に、一番適切な医療を受けられる所に患者さんを持って行く。こういうことによって、需給の、まあ確かに需給という言葉を使ってはいけないのかもしれませんけれども、マッチというものを、我々としては的確に計っていきたいという施策を当面追求している、もちろん、マンパワーの不足についてもこれを軽視するとか等閑しているとかではなくて、それはそれとして対処しようとしている。その両面から対処している、というのが現状であります。
51:42 枝野
あの~、ネットワーク化・拠点化自体の話、先程来私はそれ自体がこのケース、このケースというのは産科医療について、どれぐらい意味があるのかということ自体疑問に思っていますが、仮にそれがあったとしてもですよ?、助産師さんというのは、その拠点病院のような大きな、つまりリスクのある患者さんについて妊婦さんについて対応すべき病院にだけいればいいんじゃなくて、まさに日常の、かかりつけ的診療所においても、内診等について医師か助産師でなきゃできないことになっていて、その特に診療所における、診療所における助産師の充足率・・・基準に対しても何人いるのかということについても、大幅に不足しているんですよ。
だからネットワーク化が解決策にはならないんですよ。
26:20~
このケースの場合は、僻地医療であって、一人の産科の医師でその広域地域のリスクのある出産、分娩を、一人でずっと担ってこられました。そしてそれは、いろいろと専門家の方のご意見も聞かせていただいてますが、少なくとも初歩的なミスであるとか、あるいはその、例えば酔っぱらって手術をしたとかですね、道義的に許されないようなことではない・・・真摯に対応して、しかもそれがもしとことん法律的に突き詰めて、更正要件的に業務上過失致死に当たるのかどうか、ということは最終的にはこれは裁判所が決めることだとは思います、その可能性はあるからこそ検察は起訴したのかもしれません。
しかしながら、僻地医療をたった一人のお医者さんで担っていて、真摯に対応して、しかも初歩的な医療ミスではない、高度な医療の非常にレアなケースへの対応、残念ながら力及ばずお母さんが亡くなられてしまったというケース・・・ご本人も道義的な責任を強く感じておられる。
これを逮捕して、起訴をして、刑事処分をする・・・なるほどリスクの高い医療をやったら、全力を尽くして、真摯に全力を尽くしても結果が悪ければ刑事責任を取らされる可能性があるんだと、こういうメッセージを政府は全国の高度医療に携わっている医師の皆さんに発信をしてしまったんです。
で、起訴をする前でしたので、こういう時のためにこそ法務大臣の指揮権という制度があるんじゃないんですかと、私は指摘をしました。そして、起訴というのは起訴便宜主義ですから、更正要件に該当したら全て起訴をするということではない、それが起訴をしなければならない、起訴するに値するかどうかというのは、検察が判断できる、その事件ごとに、と、いうことであります。