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本日は、大野病院事件の第7回公判が、福島地裁で開かれ、被告人質問が行われました。これからネット上で得られる情報を収集し、順次追加していく予定です。
リンク:
第七回公判について(周産期医療の崩壊をくい止める会のホームページ)
ロハス・メディカル ブログ
福島県立大野病院事件第7回公判(0)
福島県立大野病院事件第7回公判(1)
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****** OhmyNews、2007年9月1日
被告医師も検察調書を否定「クーパー、理解されなかった」 福島県立大野病院事件、第7回公判
軸丸 靖子
福島県立大野病院で2004年12月、帝王切開手術を受けた女性が死亡し、執刀した同院の産婦人科・加藤克彦医師が業務上過失致死などに問われている福島県立大野病院事件の第7回公判が8月31日、福島地裁で開かれた。今回から数カ月かけて、弁護側の証人尋問が行われる。
被告人質問に立った加藤医師は、争点の1つであるクーパー(手術用はさみ)の使い方について、「クーパーを使うこと自体が違法行為だという前提で検察の尋問を受けた。何度もそうではないと説明したが受け入れられなかった」と証言。クーパーを使ったのは間違っていたと供述したとされる検察調書を否定した。
この日証言台に立ったのは加藤医師1人。午前9時半の開廷から午後7時まで延々尋問が続いたがそれでも終わらず、弁護側最終尋問を持ち越すほどの長丁場だった。
冒頭、弁護側は、逮捕から起訴まで21日間、検察による連日の過酷な取調べがあったことを指摘。特に最後の1週間は平均10時間近い拘束で、「頭がぼーっとするようなこともあって何が事実か分からないことがあった」(加藤医師)状態で調書の大半が集中的に作成されたことを明らかにした。
その上で、加藤医師は癒着胎盤と子宮との剥離を手で行わず、クーパーで乱暴に切除したとする検察側調書について、
「クーパーを使うのは危険であるとの前提で検察は話をしてきて、何度もそうではないと説明したが、受け入れられなかった。かみ合わない状態が逮捕されてからずっと続いた」
と取調べの状況を説明。
『剥離開始時は右手3本の指を差し入れることができたが、徐々に入らなくなり、指2本、それも困難になり、やがて1本の指も入らなくなった。指より細いクーパーであれば差し込むことができるだろうと安易に考え、クーパーでの剥離を開始した』
とする検察調書についても(「検察側冒頭陳述」参照)、
「何度説明しても理解してもらえない状況で、どう言えば良いのかと。例えば3本の指が2本の指、1本の指、それからクーパーというように言えばいいのかと聞いたら、『そう、そういう風に具体的に』といわれ、それで調書が作られてしまった。(3本、2本、1本というのは)実際の状況ではない」
「まるでクーパーを使うこと自体が違法行為だという見方で尋問を受けた。殺人者としてクーパーを使ったとも言われた」
「最後の調書読み上げで供述内容に訂正を入れるときには、他の訂正箇所に気をとられていて、訂正が及ばなかった」
と、検察調書にある供述内容を否定した。
また、「剥離は手指を使って静かに行わなければならないのに、指が入らなくなったからといってクーパーを差し込んだ」とする検察の主張についても、帝王切開であり術野は十分にあったこと、むしろ手を差し込んでは見えなくなる剥離部分が見えるためクーパーの方が安全であると反証した。
一方の検察側も、加藤医師に対し、クーパーを使ったときの状況および検察での取調べに対する質問を繰り返した。
次回は9月28日。
* * *
検察側は午後1時半から7時まで、予定時間を再三オーバーして同じ質問を繰り返した。だが、記事をまとめるにあたって、取るべきところは正直なかった。被告人質問という裁判の目玉であるにも関わらず、である。
医療訴訟にはいろいろあるが、この事件に関しては、私は医師側・弁護側に立って取材している。被害者側に立たないのではない。単に医療崩壊を食い止めるために医師を守ろう、というだけでもない。ただ、医師という職業の特殊性を排除しても、警察・検察側の主張には無理があるのだ。その上に、医療事故を刑事裁判で解決しようとすることの無理がある。
被害者のご遺族は裁判を傍聴されているが、公判が進むほどに、はたしてこの内容で、家族を亡くした悲しみや医師に対する怒りが癒されるのだろうか、と思えてくる。裁判の中で、亡くなった女性が手術台の上のモノの扱いをされるのを聞いて、かえって傷つくのではないか。手術室で何があったのかは明らかになるかもしれないが、そのために遺族が傷つく必要はあるのだろうか。
話がずれたが、こうした私の考えや立場は差し引いても、この日の検察側尋問は取るところがなかったのだ。尋問の締めくくりに、検察は
「(超音波検査)だけでなくMRIをやっておけば良かったと思わないか?」
「医師として、癒着胎盤についての知識が足りなかったと思わないか?」
「大学や近隣の病院から応援の医師を呼んでおけばよかったとは思わないか?」
「クーパーを使わなければ良かったと思わないか?」
「あなたは自分に、医師としての知識と手技と判断について落ち度があったとは思わないか?」
と立て続けに問いかけたが、加藤医師はいずれも
「思わない」「やれる限りのことを精一杯やった結果」
と言い切った。
常に知識を向上させることが前提の医師という職業に対しては、ピントのずれた質問だろう。昨日のベストは今日のベストではないからだ。大体、そういう状況で患者を前にベストを尽くせない医師では困る。
この裁判には全国の医療関係者、そして患者が注目している。検察にはぜひ、説得力と聞きごたえのある尋問をしてほしい。
(OhmyNews、2007年9月1日)
****** 毎日新聞、2007年9月1日
県立大野病院(大熊町)で04年、帝王切開手術中に女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(39)の第7回公判が31日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であった。初めての被告人質問で、加藤被告は術中、「出血も血圧も脈拍も安定していたので、はく離を中断しようとは思わなかった」と、はく離を継続した妥当性を主張した。【松本惇】
起訴状によると、加藤被告は04年12月、帝王切開手術中、はがせば大量出血するおそれがある「癒着胎盤」であると認識しながら、子宮摘出手術に移行せず、手術用はさみ(クーパー)で胎盤をはがし失血死させた。また、医師法で定める24時間以内の警察署への異状死体の届け出をしなかった。
加藤被告は術前に行った超音波検査(エコー)の画像について「血流が胎盤から離れているので、癒着胎盤を疑うことはできない」とした。手術処置の妥当性などを鑑定した新潟大教授の医師は前回公判で、「癒着胎盤を疑ってもいいと思う」と証言していたが、加藤被告は鑑定医の見解を否定した。
一方、胎盤を手ではがすことが難しくなった時点で、「癒着胎盤の疑いを少し持った」と語った。だが、胎盤が3分の2以上はく離しており、胎盤はく離後の子宮収縮による止血効果を期待してはく離を継続した、という。クーパーの使用については、はく離面を目視できることや局所的に力を込められることを挙げ、「手で胎盤をはがすよりもクーパーを使った方が子宮を傷つけず、胎盤の取り残しもない」と妥当性を主張した。
検察側の「医師としての知識が不足していたと思わないか」という質問に対し、加藤被告は「精いっぱいの結果だった。最善を尽くしたと考える」と初公判での主張を繰り返した。
次回公判は9月28日。弁護側が鑑定を依頼した産婦人科医の証人尋問を行い、場合により、加藤被告への尋問も再び行う。
(毎日新聞、2007年9月1日)
****** 福島放送、2007年9月1日11時12分
加藤被告、落ち度なしを強調/大野病院公判
大熊町の県立大野病院医療過誤事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(39)の第7回公判は31日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれた。
被告人質問が行われ、弁護側の質問に対し加藤被告は胎盤を、はく離する部位を目視しながら医療用はさみ(クーパー)を使用したことを明らかにし、「手を使ってのはく離より、子宮を傷つけない」と医療行為に落ち度がなかったことを強調した。
一方、検察側は癒着胎盤を予見できたことについて追及したが、加藤被告はあいまいな供述を繰り返した。
公判は休憩をはさみ、約10時間にも及び、検察側、弁護側双方の再質問を次回以降に持ち越した。
次回は9月28日午前10時から。
(福島放送、2007年9月1日)
****** 朝日新聞、2007年9月1日
「癒着、手術中に気づいた」
-被告医師、検察の「事前認識」否定-
県立大野病院で、04年に女性(当時29)が帝王切開手術中に死亡した事件の第7回公判が31日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であり、業務上過失致死と医師法違反(異状死体の届け出義務)の罪に問われた産科医加藤克彦被告(39)が、被告人質問に臨んだ。検察側が事前に認識していたと指摘した子宮内膜と胎盤の癒着について、加藤被告は「手術中に気付いた」とし、胎盤を無理にはがしたとする手術用ハサミの使用は、「適切な処置だった」と断言した。
-ハサミ使用「適切な処置」-
証言によると、加藤被告は、超音波検査などで女性の子宮内部に血流を認めたが、量が少なく、「前置胎盤では普通」と判断。尿に潜血も少量みられたが、膀胱(ぼう・こう)炎と診断した。超音波検査だけで、MRI検査をしなかったことには「癒着胎盤の診断に信頼性が低いため」と述べた。
手術に際し、応援を依頼した別の医師に癒着の認識を示唆したことには「二つ返事で応援に応じてもらえなかったため」と証言した。
帝王切開手術中の経過も詳細に証言した。
子宮表面に血管が浮かんでいたが、「押すと消えたので、癒着胎盤とは思わなかった」とし、胎盤の位置は「子宮の後壁から前壁の下部にあった」とした。
加藤被告は臍帯(さい・たい)を引いたが胎盤がはがれず、「癒着ではなく、子宮の収縮が悪いと思った」と証言した。手で胎盤を約3分の2剥離(はく・り)したころ、手でははがれにくくなったため、癒着胎盤も想定し始め、「先の丸いクーパー(手術用ハサミ)と手での剥離を併用した」という。理由について「手での剥離だとはがす場所が見えない。クーパーを使うと作業が遅くなるが、子宮も傷つけない」とし、正当な医療行為だと主張した。
検察側が癒着があるとした子宮前壁の胎盤は、「後壁を剥離中に左手で持ち上げたら、ぺろんとはがれた」と証言した。剥離中の出血は550ミリリットルとし、加藤被告は「じわっと出血していた」と供述。出血は剥離後に増えたと述べた。
取り調べ段階ではクーパーの使用が不適切だったと供述後、初公判で「適切な処置だった」と主張した。「安全性は説明したが、検察官には理解も納得もしてもらえなかった」と述べ、検察調書を否定した。
●「記憶する限り立証できた」 弁護側
主任弁護人の平岩敬一弁護士は閉廷後、「加藤被告本人が記憶する限りのことを立証できた」と振り返った。検察調書の任意性を次々に否定したことについては、「刑事事件での被告人調書には、検察が考えたことが入りやすく、真実とかけ離れたものになりがち」と話した。
●調書の責任性 「何を問題に」 検察側
福島地検の村上満男次席検事は、閉廷後、調書の任意性について、弁護側が「何を問題にしているのかわからない」と切り捨てた。さらに、「被告人の主張は、細かい部分で公判初期の主張と異なっていた」と指摘し、反対尋問である程度の反論をしたが、評価はまだ下せないとした。
◇「剥離の判断で過失」主張 これまでの検察側
検察側は、胎盤剥離(はく・り)が原因の大量出血による失血死とし、「剥離が難しいと分かった時点で、子宮摘出などの処置に移行すべきだった」などと加藤被告の過失を主張した。女性は異状死で、24時間以内に警察署に届け出る医師法で定められた義務があるとした。
第2回公判で、証人の産婦人科医、加藤謙一・双葉厚生病院副院長が捜査時の供述を翻し、「剥離でのクーパー使用は、手で剥離するよりも優れているかもしれない」などと弁護側の「素早く剥離(はく・り)するための妥当な医療行為」という主張に沿うような証言をした。
第6回公判では、県警の依頼で、加藤被告の処置を検証する鑑定書を作成した新潟大学医学部の田中憲一教授が証人として出廷。癒着胎盤を無理にはがした場合の危険性などについて証言。子宮摘出に移ったタイミングは、「ちょっと遅かった。(早期に摘出すれば)救命可能性はあった」と、検察側の主張に沿った意見を述べた。
(朝日新聞、2007年9月1日)
****** 福島民友、2007年9月1日
医療行為の正当性主張/大野病院事件・被告人質問
大熊町の県立大野病院で2004(平成16)年12月、帝王切開で出産した女性=当時(29)=が手術中に死亡した医療事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(39)の第7回公判は31日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれ、加藤被告の被告人質問が行われた。
初公判の罪状認否以来、約7カ月ぶりに手術の様子を供述した加藤被告は「手術用はさみ(クーパー)で無理に癒着部分をはがし取って失血死させた」などとする起訴事実を全面的に否認、あらためて無罪を主張した。その上で「適正な医療行為の中で偶発的に合併症が起きて女性が死亡した」とした。
加藤被告は弁護側の質問に対して「胎盤の剥離(はくり)中は血圧も脈拍も安定していた。クーパーを使えば、胎盤の取り残しもなく子宮も傷つけない」と、クーパーを使った胎盤の剥離を継続した正当性を主張。
「胎盤剥離後に血圧が低下したが、輸血などで血圧が上昇したのを確認して子宮摘出を行った。その後に(大量出血の要因となる)産科DICが起きた可能性がある。産科DICになっていなかったら助かったかもしれない」と述べ、適正な医療行為の中で偶発的に女性の状態が悪化して亡くなったと述べた。
この日は、加藤被告への質問時間が予定より約1時間延長され、検察側の反対質問までで終了した。次回は28日午前10時から、弁護側の胎盤病理専門医の証人尋問が行われる。
(福島民友、2007年9月1日)
****** 福島民報、2007年9月1日
医療行為に「落ち度なし」 大野病院公判で加藤被告
福島県大熊町の県立大野病院医療過誤事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた大熊町下野上、産婦人科医加藤克彦被告(39)の第7回公判は31日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれた。被告人質問が行われ、弁護側の質問に対し加藤被告は胎盤を、はく離する部位を目視しながら医療用はさみ(クーパー)を使用したことを明らかにし、「手を使ってのはく離より、子宮を傷つけない」と医療行為に落ち度がなかったことを強調した。一方、検察側は癒着胎盤を予見できたことについて追及したが、加藤被告はあいまいな供述を繰り返した。公判は休憩をはさみ、約10時間にも及び、検察側、弁護側双方の再質問を次回以降に持ち越した。次回は9月28日午前10時から。
(福島民報、2007年9月1日)
****** 朝日新聞、2007年8月31日
手術・調書確認に迫る
-大野病院事件公判 きょう被告人質問-
県立大野病院で04年、女性(当時29)が帝王切開手術中に死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反の罪に問われた産科医加藤克彦被告(39)の第7回公判が31日、福島地裁で開かれる。「適切な処置だった」として罪状を否認した加藤被告への被告人質問があり、手術方法の正当性や捜査段階での調書の信用性などについて本人の認識がただされる。
公判では、胎盤と子宮の癒着を認識した時点で、胎盤剥離(はく・り)を中止すべきだったかどうかが争点になっている。
弁護側は、剥離を続けたのは、出血を止めるためであり正当、と主張。加藤被告は初公判後の記者会見で、胎盤をはがすためのクーパー(手術用ハサミ)使用について、「勾留(こう・りゅう)中は取り調べに対し、『クーパーの使用は不適切だった』と言ったが、今はそういうことは考えていない」と述べ、正しい医療行為だったと主張した。どのような認識で胎盤を剥離したのか、法廷での発言が注目される。
検察側はこれまでの公判で、県警の依頼で鑑定書を作成した新潟大学医学部の田中憲一教授らを証人尋問し、「クーパー使用の有無にかかわらず、無理やり胎盤をはがした点が問題」との主張を展開している。
また、加藤被告は捜査段階での供述内容を翻しており、検察官調書の信用性が争点の一つ。検察側は、加藤被告の供述に強制はなかったとしているが、弁護側は取り調べに問題があったことの立証も試みる方針だ。
(朝日新聞、2007年8月31日)
**** 朝日新聞、2007年8月31日11:09
被告の医師が検察調書を否定 帝王切開手術中の死亡事件
福島県立大野病院で、04年に女性(当時29)が帝王切開手術中に死亡した事件の第7回公判が31日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であり、業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反の罪に問われた産科医加藤克彦被告(39)が、被告人質問に臨んだ。
加藤被告は「クーパー(医療用ハサミ)を使えば胎盤の取り残しもなく、子宮も傷つけないと判断したと説明したが、検察官には理解も納得もしてもらえなかった」と述べ、検察調書を否定した。加藤被告は、取り調べ段階では施術が不適切だったと供述していたが、初公判では「適切な処置だった」と主張した。
(朝日新聞、2007年8月31日11:09)
**** 毎日新聞、2007年8月31日11:43
福島県立大野病院(同県大熊町)で04年、帝王切開手術中に女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(39)の第7回公判が31日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であった。初めて被告人質問があり、加藤被告は「手で胎盤をはがすよりもクーパー(手術用はさみ)を使った方が子宮を傷つけず、胎盤の取り残しもない」などと手術の妥当性を主張した。
(毎日新聞、2007年8月31日11:43)
****** 河北新報、2007年8月31日
被告、あらためて無罪主張 大野病院事件 福島地裁
福島県立大野病院(大熊町)で2004年、帝王切開中に子宮に癒着した胎盤を剥離(はくり)した判断の誤りから女性患者=当時(29)=を失血死させたとして、業務上過失致死罪などに問われた産婦人科医加藤克彦被告(39)の第7回公判が31日、福島地裁であった。加藤被告は被告人質問で「自分に落ち度はなかった。当時の状況の中で最善を尽くした」とあらためて無罪を主張した。
争点となっている胎盤と子宮の癒着が分かった時期について、加藤被告は「はがれにくいのは胎盤癒着のためとは考えていなかった。剥離の途中、クーパー(医療用はさみ)を使い始めたころから胎盤癒着が頭に浮かんだ」と説明。癒着を認識した上で剥離を始めたとする検察側主張に反論した。
検察側が危険性を指摘するクーパーの使用については「指での剥離が3分の2以上進んだ時点で、クーパーも併用した。指と違って剥離部分が見え、力を込めてピンポイントで剥離がしやすい」と適切な判断だったことを強調した。
その上で「検察の取り調べで何度も説明したが納得してもらえなかったため、調書の内容について訂正は求めなかった」と述べ、「指がすき間に入らなかったからクーパーを使った」とした調書の供述内容を翻した。
起訴状によると、加藤被告は04年12月17日、女性の帝王切開手術で胎盤と子宮の癒着を確認し剥離を開始。継続すれば大量出血で死亡することが予見できる状況になっても子宮摘出などをせず、剥離を続けて女性を失血死させた。
(河北新報、2007年8月31日)
*** 福島中央テレビ、2007年8月31日12:00
大野病院の裁判 被告の産婦人科医が証言
大熊町の県立大野病院で、帝王切開の手術を受けた女性が死亡した事件の裁判で、きょう、被告の医師本人が証言に立っています。
業務上過失致死などの罪に問われている県立大野病院の産婦人科医、加藤克彦被告は、2004年に、当時29歳の女性の帝王切開の手術をした際、無理に癒着した胎盤を引き剥がして死亡させたなどとされています。
きょうの公判では、注目の被告人質問が行われています。
これまで起訴事実を否認している加藤被告は、「胎盤は、手で剥がしている時点でかなり剥がれ、最後に医療器具のクーパーを使用した」と証言し、検察側の「無理に引き剥がした」との主張を否定しました。
公判は夕方まで続く見通しです。
(福島中央テレビ、2007年8月31日12:00)
*** 福島中央テレビ、2007年8月31日19:01
大野病院の医師の裁判 被告の産婦人科医が証言
大熊町の県立大野病院で、帝王切開の手術を受けた女性が死亡した事件の裁判です。
きょうの公判では被告人質問が行われ、被告の医師本人が証言に立ちました。
業務上過失致死などの罪に問われている県立大野病院の産婦人科医、加藤克彦被告は、2004年に、当時29歳の女性の帝王切開の手術をした際、無理に癒着した胎盤を引き剥がして死亡させたとされています。
きょうの第7回公判では、被告の加藤医師本人が証言に立ちました。
法廷で加藤被告は、これまでと同じく起訴事実を否定する証言を繰り返しました。
今回の裁判は全国から注目を集めていますが、これまでの公判で浮かび上がった争点は二つです。
一つ目は手術の前に胎盤が癒着しているのを予側できたのかという点、もう一つは手術中に癒着した胎盤を剥きはがす医療行為を中止すべきだったのかという点です。
結果的には、この医療行為を続けたことで、女性は大量出血して亡くなりました。
この二つの争点をめぐって、検察側と弁護側が激しい攻防を展開している中で、きょうの被告人質問を迎えました。
争点について被告は、まず癒着を予測できたのかについて「事前に行った超音波検査や女性の症状から、胎盤が癒着していることは認められなかった」と答えました。
そして、胎盤を引き剥がす医療行為を続けた点については「手でかなりの胎盤をはがすことができた。
より的確に剥がすために、最終的に医療用ハサミのクーパーを使った」と述べ、無理やり引き剥がしたのではない、と主張しました。
このほか、加藤被告は「手術中に出血が増えることもなく、血圧なども安定していたため、引きはがすことをやめようとは思わなかった」などと、自らの医療行為が正しかったことを強調する証言を続けました。
裁判はこの後も医療の専門家が次々と証言に立ち、その「医師の判断」について、激しい攻防が続くと見られます。
(福島中央テレビ、2007年8月31日19:01)