ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

仕事納めの日

2011年12月29日 | 飯田下伊那地域の産科問題

昨日は仕事納めで、予定手術は2件で正午には仕事が終了する筈でしたが、午後に入って緊急手術が4件あり、最後の2件の緊急手術は並列で同時に実施しました。午前中に陣痛室に入って来た7名の妊婦さんの分娩も午後に集中しました。

何とか昨日のうちに仕事は終了しましたが、緊急手術や分娩のラッシュで、夕方の仕事納めの式(市長訓示、院長訓示など)やその後の納会には、産婦人科医は一人も出席できませんでした。

仕事納めの日が一年でも最も忙しい日だったんではないか、と思いました。

しかし、今年はまだ終わってません。お正月までにはあと3日も残っているので、もしかしたら、もっと忙しい日があと1回くらいはあるかもしれません。


ALSOとは?

2011年12月25日 | 周産期医学

Advanced Life Support in Obsterics

12月23日~24日、亀田総合病院で実施されたALSOプロバイダーコースに参加して来ました。「ALSOって一体全体何なんだろう? 超有名な<wbr></wbr>亀田総合病院を一回見学したい」、という単純な動機で今回初め<wbr></wbr>て参加させていただきました。産科分野にもこんな素晴らしい教育コースのシステムがあることを初めて知ることができ<wbr></wbr>、非常に有意義な2日間でした。今回はテキストのプリントアウトや予習などを全くしないで手ぶらで参加してしまい、ALSO独特の語呂合わせもまだ暗記できてません。今度参加する機会があれば、テキストの予習、語呂合わせの暗記などをしっかりやった上で参加したいと思います。

当科の産婦人科医は、最近では2~3年ごとに構成員がほぼ全員総入れ替えになってますし、助産師の数もかなり増えて、ここ数年間でほぼ倍増しました。患者さんの数も数年前とは全く比べものにならないほど大幅に増えました。周産期医療は、多くの職種の者たちが一致協力して行う典型的なチーム医療の世界で、NCPRやALSOのようなエビデンスに基づいて確立された教育・トレーニングシステムを導入し、チーム構成員の全員に十分浸透させる必要があります。

それにしても、亀田総合病院(千葉県鴨川市)は非常に遠かったです。自家用車と鉄道とタクシーとを乗り継いで、片道に7時間以上!かかりました。長野県内でもALSOが広まってほしいものだと思いました。( 長野県でも開催するとしたら、最初は、インストラクター<wbr></wbr>の先生をお呼びして、信大かこども病院で開催していただ<wbr></wbr>くのが現実的かと思われます。将来的には、県内各基幹病院の持ち回りで開催できるようになったら理想的だと思います。

Also

****** 以下、ALSO-Japnのホームページより引用

Advanced Life Support in Obsterics(ALSO)とは、医師やその他の医療プロバイダーが、周産期救急に効果的に対処できる知識や能力を発展・維持するための教育コースである。またプライマリケア医だけでなく産婦人科の研修医を対象とした訓練でもある。1991年にACLSとATLSに基づいて、ウィスコンシン州の一般診療医師二人がALSOを考案した。1993年にコース権利はAmerican Academy of Family Physicians(AAFP-米国家庭医学会)によって認可され、現在全米ではほとんどの分娩施設において、分娩に関わる医療プロバイダーがALSOの受講を義務づけられている。またALSOコースは世界的に普及活動が行われており、2009年現在までに、50ヵ国以上でプロバイダーコースが開催され、10万人以上がALSOコースを完了した。

コースの教材は、シラバス(教科書)、レクチャー、実地訓練のためのマネキンを使用したワークショップである。筆記試験とマネキンによる実技試験(メガデリバリー)がコースに含まれている。ALSOはLDRにおける産科の救急的対処を強調しているが、その他に出産前のリスク評価、妊娠初期の性器出血、患者-医師関係、出産危機における両親のサポート、そして医療過誤リスクの減少といったテーマも含まれている。

プロバイダーコースは二日間。重要レクチャーは妊娠初期の合併症、難産、妊娠の内科的合併症、妊娠後期の性器出血、分娩後大出血、早産、前期破水、妊婦の蘇生法、そしてマタ二ティケアにおける安全性の8つ。少人数グループによる重要ワークショップは肩甲難産、胎位・胎向異常、鉗子と吸引、分娩中の胎児監視、重要な症例の5つ。オプショナル・ワークショップ:会陰縫合、帝王切開、超音波検査、出産危機における両親への対処、そして新生児蘇生の5つ。

プロバイダーコースを完了した際、参加者は5年間有効の認証を受けることができる。プロバイダーコースの教官になることを希望する場合、一日間のインストラクターコースを受講しなければならない。

日本では2008年に金沢大学の周生期医療専門医養成支援プログラムグループが、米国家庭医療学会から日本でのALSOセミナー運営権を取得し、2008年11月に金沢大学医学部にて初めてプロバイダーコース、インストラクターコースを開催した。日本国内、米国から23名が参加した。2009年4月1日より日本におけるALSO普及活動は、NPO法人周生期医療支援機構(本部:石川県金沢市)がALSO-Japan事業として運営をおこなっている。

(以上で引用終わり)


多忙なれど充実して楽しい日々

2011年12月18日 | 日記・エッセイ・コラム

最近は、月当たりの分娩件数 110~120件がほぼ定着し、年間の分娩件数はおそらく 1300~1400件程度となる勢いです。比較的暇な日もありますが、忙しい日は一日十数件の分娩があり、先週も立て続けに五件連続で帝王切開を実施した日がありました。

年の瀬も押し迫ってきた今日この頃ですが、年内に帝王切開がまだ十数件予定され、年明け早々にも、連日、帝王切開が三件くらいづつ予定されてます。おそらく、正月休み中も、毎日緊急手術があるのではないかと予想してます。

この週末も、病院から約 5km離れた場所で病院の忘年会が開催されてましたが、宴会の最中に当直の先生から緊急コールがあり呼び出されました。タクシーを呼ぶよりも手っ取り早いと考えて、宴会場から病院までの約 5kmを小走りで駆けつけ、そのまま朝まで若手医師達と緊急対応しました。

私も定年退職までの 7年3ヵ月は、気力・体力の続く限り、この地域の産婦人科医療を死守するために頑張り抜きたいと考えておりますが、扱う症例数が非常に多くなってきましたので、大学病院の産婦人科との緊密な連携なしでは一日たりともやっていけません。大学の医局には優秀な後輩医師達が大勢いて、教育もきちんと行き届いているので、次世代へのバトンタッチは、何があっても絶対に大丈夫だと確信しております。私も定年退職がだんだん近づきつつありますが、若い後輩医師達と共に新しい医学を学び、共に成長してゆけるので、非常に充実した楽しい日々です。


日本人の出生時体重は年々減少している!

2011年12月12日 | 周産期医学

平成23年10月27日、「平成22年乳幼児身体発育調査の概況」が厚生労働省より発表されました。この調査は10年ごとに実施されてます。平成2年、平成12年、平成22年の身体発育値の推移を見ると、10年ごとに出生時平均体重および出生時平均身長が減少してます。

H22

近年、Developmental Origins of Health and Diseases (DOHaD) という概念が注目されてます。1980年代にBarkerらがはじめに提唱したのでBarker説ともいわれます。世界中の多くの疫学的な検討がこの学説を支持しています。これは、「胎生期から乳幼児期に至る栄養環境が、成人期あるいは老年期における生活習慣病発症リスクに影響する」という考え方で、具体的には、「胎児期に低栄養環境におかれた個体が、出生後、過剰な栄養を投与された場合に、肥満・高血圧・2型糖尿病などのメタボリックシンドロームに罹患しやすくなる」というものです。

日本人の出生時平均体重が年々減少し続けているのは、日本人の胎児期の栄養状態が悪化していることを意味し、今後、日本人のメタボリックシンドロームの発症率が増加する危険性が極めて高いのでは?と懸念されています。

日本人の出生時平均体重が減少している主因は妊婦の栄養摂取不足によるとの説が有力です。我が国では、これまで長年にわたって、多くの産科施設において妊婦健診で厳格な体重管理を行ってきました。しかし、厳格に体重管理を行う根拠は必ずしも充分ではありません。今後は、妊娠中の栄養状態が児の将来の健康に影響を及ぼすことを、十分認識する必要があります。

妊娠中の体重増加の推奨値に関しては統一見解がなく、介入研究も極めて少なく、厳しい体重管理を行う根拠となるエビデンスは乏しく、慎重な姿勢が求められます。 厳格に体重管理を行う根拠は必ずしも充分ではないと認識し、個人差を考慮してゆるやかな指導を心がける必要があります。

日本人の食事摂取基準(2010年度版、厚生労働省)では、普通の体格の妊婦(非妊時BMI 18.5~25.0)が妊娠40週の時点で約3kgの単胎児を出産するのに必要な体重増加量は11kgとしています。

参考資料:
 平成22年乳幼児身体発育調査の概況について
 DOHaD( Barker説 )とは?


物忘れ癖

2011年12月04日 | 日記・エッセイ・コラム

若い時分から、人の名前をすぐに忘れてしまい、なかなか思い出せなくて苦労することが非常に多いです。毎日顔を合わせて何年間も一緒に仕事をしている病棟スタッフなのに、実は、まだ名前を十分に憶えきれてない人が大勢います。病棟の宴会などで、突然、「名前当てクイズ」が始まり、「さて私の名前は何でしょう?」と病棟スタッフから次々に名前を聞かれ、ほとんど答えられず自分でもびっくり仰天してしまうことも慣例行事となってます。

また、財布、キー、携帯電話、院内PHS、愛読書などを、そこいら辺によく置き忘れて、「私の財布を見なかったか?」などと、毎日のように「置き忘れ事件」を繰り返してます。私の人生のかなりの時間がそれで浪費されてます。

物忘れ癖のために日常業務に支障をきたすようだとまずいので、重要書類は決して自分では保管しないようにして、すぐにクラークさんに手渡して厳重に管理してもらいます。また、日々の自分のスケジュールをしっかり把握しきれてないので、会議などの直前に院内PHSで知らせてくれるようにクラークさんに頼んであります。

最近、amazonで探し物探知機「どこいっ太郎」を購入しました。財布や車のキーなどを探すのに便利な道具として購入しました。部屋の中でも、子機に取り付け、親機のボタンを押せば、探し物が音を発するので見つけられます。難点は子機が大きすぎることです。

探し物探知機 【どこいっ太郎】 RF-315N

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