****** 朝日新聞、2009年8月21日
新型インフルが流行期入り
先週だけで11万人受診
厚生労働省は21日、新型の豚インフルエンザが全国的に流行期に入ったと発表した。国立感染症研究所の推計では、最新の1週間(8月10~16日)にインフルで約11万人が全国の医療機関を受診。全国約5千の医療機関の定点調査では、1週間に受診した1医療機関あたりの患者数は1.69人で、「流行開始」の目安の「1人」を初めて超えたという。夏に流行するのは調査を始めた80年代以降で例のない事態だ。
季節性インフルも交ざっている可能性もあるが、ほとんどが新型インフルとみられる。厚労省は「新型インフルの流行シーズンに入った」としている。
都道府県別では、1医療機関あたりの患者数は、沖縄県(29.60人)が最も多く、次いで奈良県(2.96人)、滋賀県(2.48人)など。「1人」を超えた自治体は26都府県で、前週の6都府県から急増した。前週(8月3~9日)は全国で0.99人。
季節性インフルでは過去10年、流行開始から5~10週間でピークを迎えたが、1医療機関あたりの報告数の最多は50.07(04~05年)だった。
新型インフルが大半とみられる今回は、7月から急激に患者数は増えている。厚労省は新型の感染拡大の予想は難しいとするが、秋以降に流行を迎えるとみて準備していた対策の前倒しを迫られる。
厚労省は感染者の重症化予防を最大の目的にして対策を進めるとしている。9月に、重症化しやすい、ぜんそくなど持病のある小児患者の親らを集め、感染防止策などを説明する予定。
また、厚労省のまとめでは、7月28日から8月18日までに新型インフルによる入院患者は累計230人で、うち、15人が急性脳症や人工呼吸器が必要な状態に陥った。
入院患者全体のうち、糖尿病や腎臓、心臓の病気、ぜんそくなどの持病があったり、妊娠したりしていたのは93人で、約4割を占めている。
年代別では、入院患者のうち19歳以下が8割。21日までに亡くなった3人は、いずれも基礎疾患がある50~80代。
新型インフルの流行警報が19日に出た沖縄県。県立中部病院内科・感染症科の遠藤和郎医師は「軽症の方が救急病院や総合病院に集中すれば、病院機能がまひしてしまう。まずは、近くの開業医を訪ねて欲しい」と呼びかける。
(朝日新聞、2009年8月21日)
****** 朝日新聞、2009年8月21日
ワクチン確保、国による一括購入も検討
新型インフルエンザ
新型の豚インフルエンザワクチンの確保について、厚生労働省は21日、国による一括購入も視野に検討していることを、民主党の新型インフルエンザ対策本部の会合で明らかにした。世界的なワクチン不足が予想される中、社会的な混乱を防ぐため、政府は専門家らから意見を聴き、9月にも接種の優先順位を示すことになっている。
同省の担当者は、「国の一定の管理下で供給先をコントロールする以上、国で確保することも一つの方法として検討している」としている。通常の予防接種は、企業から医療機関が買う形で流通しており、国による確保は異例のことだ。
(朝日新聞、2009年8月21日)
****** 朝日新聞、2009年8月21日
メタボも死亡リスク高まる恐れ 仏研究所
新型インフルエンザ
新型インフルエンザで死亡した27カ国の574人を分析した結果、妊娠とメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は死亡するリスクを高める恐れが確認された。仏公衆衛生研究所のチームが20日付の欧州科学誌ユーロサーベイランス電子版に発表した。
世界保健機関(WHO)や各国保健省などが公式発表した、新型インフルによる死者は7月16日段階で684人。そのうち患者情報がある574人を分析した。
もとの健康状態がわかる死者241人の9割で持病があった。持病のある人の比率を年齢別にみると、0~9歳は7割、20~29歳は8割にとどまった。
持病でもっとも多いのが、肥満や糖尿病を含めたメタボ(3割弱)だった。60歳以上の持病では心臓や呼吸器疾患が多かった。季節性インフルや過去のパンデミック(世界的大流行)の経験では、メタボはリスクとはされていなかった。
研究チームは、「メタボに多い肥満が治療効果を低めるのか、それとも糖尿病が病状を悪化させるのか、動物実験でみられるように肥満が免疫機能を落とすのか、まだ不明だ」としている。
妊婦は16人。死亡した20~39歳の女性の3割を占め、季節性インフル同様、妊婦は重症化する恐れが強いことも確認された。
死者の平均年齢は37歳で、51%は20~49歳。60歳以上の高齢者の比率は平均12%だが、国別ではカナダ(36%)や豪州(28%)のように高い国もあった。研究チームは「高齢者はひとたび感染すると重症化しやすい」と警告する。(大岩ゆり)
(朝日新聞、2009年8月21日)
****** 毎日新聞、2009年8月21日
新型インフル:流行期入り
厚労省「経験ない状況に直面」
厚生労働省は21日、新型インフルエンザが全国的な流行期に入ったと発表した。今月10~16日に全国約4600の定点医療機関から報告があった患者数は7750人に上り、1施設当たり、流行水準の「1人」を超える1.69人に達した。インフルエンザの夏場の流行は、国が82年に調査を始めて以来初めて。厚労省は「経験のない状況に直面している」として、新学期を前に感染拡大を防ぐ対策の徹底を呼び掛けた。
新型インフルエンザ患者は7月後半から増え始め、定点(1施設当たり)の報告は7月20~26日が0.28、同27日~8月2日が0.56、同3~9日が0.99だった。10~16日に全国で受診した推計患者数は、前週より5万人多い11万人で、大半が新型の感染者とみられる。夏場の流行について、厚労省は「免疫がないため感染が広がりやすいが、理由は分からない」としている。
地域別では、沖縄県が29.60と突出して高く、奈良、滋賀、福島、東京、大阪、茨城、高知の7都府県で2を超えた。保健所単位では北海道、富山、熊本を除く44都府県で1を超える地域がある。
季節性インフルエンザの場合、定点報告数が1を超えると感染は拡大の一途をたどり、流行開始から6週間前後でピークを迎える。ここ10年のピークは最大が05年の50.07、最少が01年の10.59。感染力や気象条件が異なるため、厚労省は「新型のピークがいつ、どの程度になるかは予測がつかない」と話す。
新型インフルエンザは、大半の人が感染から数日で回復するが、妊婦や乳幼児、ぜんそくや糖尿病など基礎疾患がある人は重症化しやすい。海外では未成年を中心に、健康な人が肺炎で死亡するケースも報告されている。
厚労省は、他人に感染を広げないことが重要だとして、急な発熱やせきの症状がある場合、いきなり医療機関に行くのは控え、かかりつけ医や保健所の発熱相談センターにまず電話するよう求めている。【清水健二、江口一】
(毎日新聞、2009年8月21日)
****** 毎日新聞、2009年8月21日
新型インフル:国がワクチンを一括買い上げへ
厚生労働省は21日、ワクチンメーカーから新型インフルエンザワクチンを一括購入する方針を固めた。
国は現在、新型のワクチンは、妊婦など重症化の恐れが高い人への優先接種を検討している。年内に確保できるのは最大1700万人分で不足の恐れがある。このため、リスクの高い人に確実に接種するには国による管理が必要と判断した。一括購入の財源や、接種時に国民が負担するかどうかは今後詰める。
毎年流行する季節性インフルエンザのワクチンは、医療機関が購入している。【江口一】
(毎日新聞、2009年8月21日)
****** 毎日新聞、2009年8月21日
新型インフルエンザ:ワクチン、妊婦・乳幼児ら優先 医療従事者も--厚労省
新型インフルエンザのワクチン接種を巡り、厚生労働省は20日、専門家らとの意見交換会を開き、妊婦や乳幼児、基礎疾患(ぜんそく、糖尿病、腎機能障害など)のある患者など重症化しやすい人に優先接種することで大筋合意した。患者を診る医療従事者も接種対象とする。学会などからも意見を聞いたうえで、政府が9月中に対象と優先順位を決め、10月下旬にも接種が始まる。
ワクチンの接種対象について、政府は08年9月、警察や消防など社会機能の維持などに携わる97業種の従事者を5段階に分ける案を示していた。しかし、当時想定していたのは高病原性の鳥インフルエンザ由来だったため、現状に合った方針を改めて考えることになった。
臨床の医師や患者代表らが参加した意見交換会では、ワクチン接種の第一の目的を、重症化や死亡の防止とすることで一致。そのため、重症化するリスクが高い層と、感染者と接触する医療従事者が、優先的な接種対象に挙がった。重症化しやすい基礎疾患の範囲は、27日に学会などが加わって議論する。
一方、見解が割れたのが、現在入院患者の約6割を占める未成年者(乳幼児を除く)の扱い。「感染拡大防止が目的ではないので、感染しても数日で回復する人には必要ない」との意見の一方で、「未成年者の入院が相次げば医療機関がパンクする」との懸念も出た。また、ワクチン接種の法令上の位置付けについて、厚労省の上田博三健康局長は、行政が勧奨しない任意接種が適当だとする考えを示した。
厚労省によると、新型インフルエンザのワクチンは7月中旬から国内生産が始まり、最初のワクチンは10月下旬に完成予定で、年内に最大1700万人分、来年2月までに最大3000万人分を確保できる見通し。不足する場合の輸入も検討している。【清水健二】
(毎日新聞、2009年8月21日)
****** NHKニュース、2009年8月22日
全国的流行入り 警戒呼びかけ
先週医療機関を受診したインフルエンザの患者は、全国で11万人に上るとみられることがわかり、新型インフルエンザが全国的な流行に入りました。厚生労働省は、うがいや手洗いといった感染予防の徹底をあらためて求めるとともに、夏休みを終えた学校で感染が広がるおそれがあるとして警戒を呼びかけています。
厚生労働省によりますと、今月16日までの1週間に医療機関を受診したインフルエンザの患者は、全国で11万人に上ると推計され、そのほとんどは新型インフルエンザとみられるということです。また、定点観測をしている医療機関1か所あたりの平均の患者数は1.69人で、全国的な流行の目安となっている1人を大幅に上回っていることがわかりました。これを受けて厚生労働省感染症情報管理室の中嶋建介室長が21日に記者会見し、「新型インフルエンザが流行に入った」と発表しました。厚生労働省は、うがいや手洗いといった感染予防の徹底をあらめて求めるとともに、症状が出た人は、マスクを着用し、外出を控えるよう呼びかけています。また、夏休みが終わって新学期が始まると感染が急速に拡大するおそれがあるとして、学校に対して、生徒や教職員の体調管理に注意するよう呼びかけるとともに、感染者が出た場合は学級閉鎖や休校などの対策を検討するよう求めています。
(NHKニュース、2009年8月22日)
****** NHKニュース、2009年8月22日
インフルエンザ脳症に注意を
新型インフルエンザに感染した子どもが、インフルエンザ脳症になったという報告が相次いでいることから、厚生労働省は、意識障害などの症状が出た場合にはすぐに小児科を受診するよう注意を呼びかけています。
インフルエンザ脳症は、インフルエンザに感染した患者が突然、高い熱やけいれん、意識障害などを起こすもので、後遺症が問題になっているほか、最悪の場合、死亡することもあります。厚生労働省によりますと、新型インフルエンザの感染の拡大に伴って、これまでに4歳から14歳までの6人の子どもが相次いでインフルエンザ脳症と診断されたということです。このため厚生労働省は、乳幼児などを持つ親に対して、子どもに呼びかけに応えないといった意識の低下や、けいれん、それに意味のわからない言動などがみられた場合にはすぐに小児科を受診するよう呼びかけています。また、強い解熱剤は症状を悪化させるとして使わないよう求めています。インフルエンザ脳症は病状の進行が速いため、厚生労働省は、親や保護者の対応が重要だとして、注意を呼びかけています。
(NHKニュース、2009年8月22日)
****** NHKニュース、2009年8月22日
WHO 治療の指針を勧告
新型インフルエンザをめぐってWHO・世界保健機関は、慢性の病気を抱える患者や妊娠した女性など、重症化の危険性が高いとされる人たちについては、ウイルスの診断がつく前でも症状が出ていればすぐに治療を始めるよう勧告しました。
WHOは21日付けでタミフルなど抗ウイルス薬の投与について、ガイドラインを公表しました。それによりますと、新型インフルエンザが広く流行している地域で、患者にインフルエンザのような症状が出ていれば、新型に感染した可能性が高いとみるべきだと指摘しています。とりわけ、心臓や肺の疾患、糖尿病、ぜんそくなど慢性の病気を抱える患者や、妊娠している女性など重症化する危険性が高いとされる人たちについては、ウイルスの診断がつく前でも症状が出ていれば、すぐに治療を始める必要があると勧告しています。その一方で、ほとんどの人は感染しても重症化しないで済んでいることから、健康で症状も軽い患者については必ずしも抗ウイルス薬を投与する必要はないとしています。WHOは、その理由として費用がかかることや、薬に対する耐性ウイルスが広がるリスクなどを挙げています。WHOがまとめた最新の集計によりますと、感染による死者は全体で1799人、感染者数は18万人に上っていますが、実際の感染者数はさらに多いものとみられています。
(NHKニュース、2009年8月22日)
****** NHKニュース、2009年8月22日
集団感染 76%は学校などで
新型インフルエンザの集団感染の76%は学校や保育所で起きていることがわかり、厚生労働省は、夏休みが終わると集団感染が急増するおそれがあるとして警戒を呼びかけています。
厚生労働省は、先月24日から今月9日にかけて報告された新型インフルエンザの集団感染1067件について、どのような集団で発生したか分析しました。その結果、最も多かったのは高校の312件で、このほか、中学校が157件、保育所が107件、小学校が97件、大学が92件、短大と専門学校があわせて22件、中高一貫校が14件、それに幼稚園が7件で、学校関係があわせて808件と全体の76%を占めています。この中では、夏休み中のクラブ活動やキャンプなどの行事を通じて感染が広がったという報告が目立っています。また、新型インフルエンザで入院した患者230人のうち、60%以上の146人を5歳から19歳の幼稚園や学校に通う年代が占めています。このため厚生労働省は、夏休みが終わると集団感染が急激に増えるおそれもあるとして、学校側が児童や生徒の体調に十分注意するとともに、感染者が増えた場合は学級閉鎖や休校などの措置をとり、感染の拡大を防ぐよう呼びかけています。
(NHKニュース、2009年8月22日)
****** フジテレビ、2009年8月21日
厚労省、新型インフルエンザの全国的流行が始まったと宣言 全国の推計患者数は11万人
21日、新型インフルエンザの全国的な流行宣言が出された。スポーツ界でもさらに感染が広がる中、ワクチンが世界中で取り合いになるともみられている。
20日、新型インフルエンザで主力を欠く日本ハムに、1 - 4で楽天が快勝した。楽天の野村克也監督は20日、「きょうのヒーローは誰? インフルエンザよ」と話した。
一方、甲子園で、ベンチ入り18人から4人も欠けた14人で3回戦を勝ち抜いた島根県の立正大淞南高校は、さらにキャプテンが感染したとみられ、13人で準々決勝に臨んだが、新潟県の日本文理高校に11 - 3で敗れた。立正大淞南の崎田聖羅投手は「フィールドで戦っているのは9人同士なので、そこは関係なく、自分たちの野球をやり続けました」と語った。太田 充監督は「ここにはいないけれども、心は1つにして、きょうも戦いましたので、本当に申し訳ないという思いとともにですね、『ありがとう』と言いたいです」と語った。
そんな中、厚生労働省は21日午後、新型インフルエンザの全国的流行が始まったと宣言した。先週1週間で報告された患者数は、全国的な流行開始の目安となる1施設あたり1人を超え、推計患者数は11万人となった。
さらに21日、長野県では、基礎疾患がない30代の女性が重症となった。
国内で2009年に生産可能とされるワクチンは、1,300万~1,700万人分。政府は、5,300万人分が必要と見積もる中、足りない分は輸入する意向を示している。しかし、自治医科大学の尾身 茂教授は「輸入した一部は、発展途上国に寄付するとか、貢献するということ」と話した。世界中で取り合いになるとみられるワクチン。WHO(世界保健機関)は18日、ワクチン不足が発生する可能性を警告している。
厚労省は当初、新型インフルエンザのワクチンを国内で2,500万人分生産できると試算していた。しかし20日までに、国民のおよそ1割に相当する1,300万~1,700万人分と下方修正している。
一方で、アメリカなどは、国民の30~78%分をすでに発注しているという。
そんな中、アメリカの研究チームは、ワクチン接種の優先順位について、通学年齢の子どもと、その親の世代にあたる30代の成人を優先的に接種させれば、新型インフルエンザの大流行を抑えることができて、ワクチンの不足も回避できるとの試算結果をまとめている。
(フジテレビ、2009年8月21日)