****** 京都病院、2009年7月26日
緊急手術で外来休止も、当直は維持
南丹病院の産婦人科医減員で
丹波2市1町の中核病院である公立南丹病院(京都府南丹市八木町)で、8月から産婦人科の常勤医が2人に減り、出産の取り扱い数を減らして対応する。全国的に医師不足が問題になる中、丹波でも産婦人科医療の課題が表面化した。
2市1町で出産ができる医療機関は、同病院と亀岡市の民間診療所の2カ所だけ。南丹病院は年間500件前後の分娩(ぶんべん)を取り扱い、「南丹医療圏」で唯一、異常分娩や未熟児を扱う周産期医療二次病院として、早期破水など高リスクの妊婦の大半を受け入れている。
同病院は8月以降、里帰り出産を制限することで分娩数を月10件前後減らす方針。さらに、帝王切開などが緊急に入った場合、手術中は外来診療を休止するなどの影響が出ることも懸念されている。
南丹病院の産婦人科は夜間や祝日の当直体制を敷いており、現行の常勤医3人でも「医師の負担が大きい」との声が上がっていた。同病院は当面の措置として非常勤医を増員しようとしたが、現在めどが立っていない、という。医師の当直回数を増やすなどして当直体制を維持する方針だが、「長期になると体力にも限界がある」と医師の健康を不安視する声も出ている。
国民健康保険南丹病院組合の国府正昭副管理者は「厳しい状況になって住民に迷惑をかけるかもしれない。理解と協力をお願いしたい」と訴えている。
(京都病院、2009年7月26日)
****** 京都新聞、2009年7月25日
南丹病院 8月から分娩数を縮小へ
産婦人科医産休、補充できず
亀岡、南丹両市と京丹波町からなる「南丹医療圏」の中核医療施設、公立南丹病院(南丹市)が、産婦人科の常勤医3人のうち1人が産休に入る影響で、8月から分娩(ぶんべん)数を減らすことが25日分かった。子宮がんなど高度医療が必要な患者や、府北部の妊婦の受け入れにも、支障が出る可能性がある、という。
南丹病院の産婦人科は常勤医3人、非常勤医2人の態勢で月約40件の分娩を扱っている。常勤医1人が8月から産休に入ることが判った昨冬以降、医師の派遣元の大学病院に医師補充の要望を続けたが、6月下旬に産婦人科医不足などを理由に「派遣は困難」と回答があった。
同病院は今月15日、「南丹医療圏の産婦人科医療が崩壊しかねない」として、医師確保に支援を求める山田啓二府知事あての要望書を提出。里帰り出産などを制限して8月以降は分娩数を月30件前後に減らす方針だ。府北部から昨年、妊婦や出産直後の女性の搬送を15件受け入れたが、8月以降は困難になる恐れがある。同病院を運営する国民健康保険南丹病院組合の国府正昭副管理者は「産婦人科医療を守るため医師派遣を引き続き要望する」としている。
(京都新聞、2009年7月25日)
****** 読売新聞、栃木、2009年7月25日
佐野厚生総合病院 出産取り扱い継続へ
医師不足によって11月末で出産の扱いを休止する可能性が出ていた佐野厚生総合病院(佐野市堀米町)は、医師を確保できることになり、12月以降も出産受け入れを継続することを決めた。休止した場合、県南部の出産受け入れ体制に大きな影響が出ると懸念されたが、回避された。
同病院の産科の常勤医は現在2人だが、医局とのつながりの深い昭和大学(東京都)や佐野市内の産婦人科開業医の協力を得て、医師の派遣によって少なくとも1日3人体制で勤務できる見通しがつき、出産取り扱いの継続を決めたという。
同病院は年間に約350件の出産を扱っており、母体や胎児へのリスクが高い出産に対応する県内7か所の「地域周産期医療機関」の1つでもある。
2007年度に5人だった産科常勤医が08年度に3人に減少、さらに3月末で1人が退職し、医師不足が深刻化していた。
(読売新聞、栃木、2009年7月25日)
****** 産経新聞、和歌山、2009年7月16日
新宮市医療センター 産婦人科医師2人増の4人
産婦人科の医師不足が課題となっていた新宮市立医療センター(同市蜂伏)は7月から医師2人を増員して4人勤務とし、同科の診療体制を1診から2診に変更した。
同センター医療業務課によると、産婦人科はこれまで月~金曜の午前と月、水、金曜の午後に1診体制で診察していたが、医師の増員に伴い月~金曜の午前は毎日2診体制となり、午後も月曜は2診(水、金曜は1診)ができるようになった。
産婦人科の医師は開院当初は3人だったが退職などで2人となり、その後3人体制に戻ったものの17年12月に1人が退職。18年1月から医師2人の状態が続いていた。
20年4月に大阪府門真市の開業医が勤務することになり3人となったが、この医師も4カ月で退職し、同年8月から2人体制となっていた。
同センターは新宮市、東牟婁郡内に加え、三重県熊野市などの住民らが利用。“里帰り出産”も含めた平成20年度の出産件数は331件で、産婦人科の治療など外来患者は1万696件、入院患者は5066件-などとなっている。
(産経新聞、和歌山、2009年7月16日)
****** 産経新聞、東京、2009年7月8日
武蔵野市が病院を財政支援 産科医療維持
産婦人科の救急医療体制維持を図るため、武蔵野市は地域の医療拠点である武蔵野赤十字病院(同市境南町)に財政支援することを決め、同病院と8日、覚書を結んだ。今年度は同病院産婦人科の宿日直手当として500万円を補助する。
産婦人科の医師不足が各地で深刻化する中、昨年9月に救急搬送された調布市の妊婦が地域の病院に受け入れ拒否されて重症化する問題が起きたことを契機に、市は同病院と対策を協議してきた。
市健康課によると、市内で現在、周産期の急患の受け入れができるのは、武蔵野赤十字病院と民間開業医の2院だけ。武蔵野赤十字病院の産婦人科医は12人で、夜間や週末の宿直態勢を維持するのに苦心している状態という。
同病院産婦人科の年間の宿日直手当は総額約2500万円だが、補助額は総患者数に占める市民の割合から算出した。多摩地域で自治体による病院の財政支援は珍しいケース。現在のところ同病院産婦人科に近隣市から財政支援の動きはないという。
昨年9月の妊婦受け入れ拒否問題後、近隣の武蔵野市、三鷹市の行政や医師会が広域連携で対策を講じるため協議会を開いたが、有効な対策は打ち出せず、その後は協議会も開かれていないのが現状。
武蔵野市健康課の中野健史課長は「多摩地域でもお産のできる病院数は減っており、多摩西部から武蔵野赤十字病院への患者さんの搬送が増えている。広域で対策を講じていくべきかもしれない」と話している。
(産経新聞、東京、2009年7月8日)