ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

Dr.Kの弾き語り(ピアノ・ギター)院内コンサート

2011年03月30日 | MUSIC

Dr.Kの弾き語り院内コンサートが開催され、<wbr></wbr>多くの闘病中の患者さん達が会場に集まりました。婦人科病棟からも、広汎子宮全摘後3日目の患者さん、化学療法中の患者さん、緩和ケア中の患者さんなどの姿を見かけました。K先生、本当にありがとうございました。

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YouTube: Dr.K弾き語り


福島原発事故による妊婦・授乳婦への影響について(2) -汚染農産物の出荷停止と乳児の水道水摂取を控え

2011年03月26日 | 東北地方太平洋沖地震

****** 日本産婦人科医会ホームページより

http://www.jaog.or.jp/News/2011/sinsai/fukusima_0325.pdf

平成23 年3 月25 日

l福島原発事故による妊婦・授乳婦への影響について(2) 
-汚染農産物の出荷停止と乳児の水道水摂取を控える通知に対して冷静な対応を-

社団法人日本産婦人科医会 会長 寺尾俊彦

 政府は3 月21 日、東京電力福島第1 原発から放出された放射性物質により、汚染の暫定基準値を上回った農作物に対して、福島県など4 県という広範な地域を対象とした異例の出荷停止に踏み切りました。さらに、3 月23 日には、乳児の飲用に関する暫定的な指標値である、100Bq/kg(ベクレル/キログラム)を超えた、210 Bq/kg が測定されたため、東京都は、23 区及び一部の多摩地域の乳児による水道水の摂取を控えるように、また授乳中の母親も避けた方が好ましいとの、通知を発しました。

 このように、国や都から食品や飲料水の放射線汚染に関する通知が報じられると、食物の放射線汚染に関する正確な知識を持たない生産農家は無論のこと、一般の国民は大変不安になり困惑いたします。

 結論からいえば、出荷停止を受けた農作物や牛乳の放射能の測定値は、暫定基準値より高かったのですが、妊婦や授乳中の女性が、もしこれらを一時的に摂取したとしてもまた、軽度汚染水道水を連日飲んでも、実際の健康被害はありませんし、また、軽度汚染水道水を用いて授乳しても、乳幼児に健康被害は起こらないと考えられます。

 下記に、なぜ健康被害は起こらないか、また、暫定基準値や食物汚染の放射線単位などのご説明をいたしますので、よくご理解いただき、どうぞ、過度の心配をすることなく、冷静に対応することをお願い致します。

1.国が出荷停止の判断をした理由

 万一、原発事故により高濃度の食品汚染が起こった場合は、放射性物質の被害は広域に広がる可能性があります。しかし、食品衛生法では規制値を超えていない農産物の出荷規制まではできないため、広域の規制が難しいのです。

 実際に、原発事故の周辺大気中で、濃度は低いのですが、放射能が検出されているだけに、その大気にさらされる農作物の放射線濃度が検出されることは、避けられません。そこで、原発事故を想定した放射性物質の規制値はなかった各農作物に、急きょ規制値を暫定的に設け、対象の品目と地域を明確にすることで、規制値以下で店頭に流通している農産品は、安全だということを示すことが、風評被害を防ぐために重要だと判断されたのです。

 今回適用された暫定規制値は、原子力安全委員会が「指標」を示し、厚生労働省食品安全部長名で3 月17 日、全国の都道府県知事に通知されました。その上で、原子力災害対策特措法の原子力災害対策本部長たる首相からの指示によって、広域の出荷停止を可能とする非常措置に踏み切ったのです。

2.暫定規制値はどのようにして決めたのでしょう。

 厚労省によると、原子力安全委員会により示された「飲食物摂取制限に関する指標」を暫定規制値としました。これは、国際機関「国際放射線防護委員会(ICRP)」が1 年間に、ほとんど健康被害を及ぼすことがない、許容できる体内被曝量を1 ミリシーベルト(1mSv)としていることを受け、1年間摂取し続けても1 ミリシーベルトを超えないように設定された指標です。食品安全委員会のリスク評価を経て正式な基準値を決定したものです。

 仮に1 回、規制値の100 倍程度の放射性物質に汚染された農作物を誤って摂取してしまったとしても、身体的な影響が表れることはないのです。

 「飲食物摂取制限に関する指標」を基に、食品・飲料水などを6 項目に分け、放射性ヨウ素や放射性セシウムなどの出荷制限する汚染基準値として、飲料水や牛乳は1 キロ当たりヨウ素300 ベクレルなどと暫定的に定めました。

 この通知を受け、各都道府県、保健所を設置している市、東京23 区が対象品目のサンプル検査を実施しています。

 もしも、放射性ヨウ素や放射性セシウムなどの放射性物質が基準値以上であれば、食品衛生法に基づき生産者による出荷を差し止めることになります。

 基準値は放射性セシウムで飲料水や牛乳・乳製品が1 キログラムあたり200 ベクレル、野菜類、穀類、肉・卵など同500 ベクレル、放射性ヨウ素では飲料水などが同300 ベクレル、野菜類同2000 ベクレルなどです。

 ただし、大人と違い、乳児は放射性物質を吸収しやすいとのデータがあるため、1 キログラムあたり100 ベクレルを超えた飲料水(水道水)を用いて乳児用調製粉乳を溶かし乳児に与えることや乳児の水道水摂取については控えること等が通知されています。また、同100 ベクレルを超えた牛乳・乳製品も乳児に飲ませないよう求められています。

3.放射線単位のベクレルとシーベルトの関係

 放射線による人体への影響度合いを表す単位を「シーベルト(Sv)」、放射性物質が放射線を出す能力を表す単位を「ベクレル(Bq)」といいます。

 ベクレル(Bq)は、ある放射性物質がどの程度放射線を出すかを示す単位ともいえます。

 放射性物質にはさまざまな種類があり、各々の放射性物質によって、放出される放射線の種類やエネルギーの大きさが異なるため、これにより人体が受ける影響も異なります。このため、放射線が人体に与える影響は、放射性物質が出す放射線量(ベクレル)の大小を比較するのではなく、放射線の種類やエネルギーの大きさ、放射線を受ける身体の部位なども考慮した数値(実効線量:シーベルト)で比較する必要があります。

 放射性物質の種類・摂取経路によって、身体への影響は異なるため、人体への影響を表すシーベルト(Sv)は、
シーベルト(Sv) = ベクレル(Bq) × (実効線量係数)
(実効線量係数は、核種・摂取経路などにより異なる)

によって計算されます。
たとえば、
①300Bq の放射性ヨウ素131 の入った食物1 キログラムを食べた時の人体への影響は、
300Bq × 2.2 × 10-5 = 0.0066ミリシーベルト(mSv)
②500Bq の放射性セシウム137 の入った食物1 キログラムを食べた時は、
500Bq × 1.3 × 10-5 = 0.0065ミリシーベルト(mSv)
被曝したことになります。

4.出荷停止された農作物

3 月21 日:福島県、茨城県、栃木県及び群馬県

原子力災害対策特別措置法第20 条第3 項の規定に基づき、原子力災害対策本部長である内閣総理大臣から、関係自治体に対し、食品の出荷制限の指示がありました。

①福島県、茨城県、栃木県及び群馬県において産出されたホウレンソウ及びカキナ(都道府県単位の産地表示は義務づけられていますが、消費者は栽培方法を区別できないため、露地物かハウス物かなどにかかわらず、県内全域での生産品が対象になりました)
②福島県において産出された原乳(搾りたての牛の乳)

3 月23 日:東京都

食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な指標値である、100Bq/kg(ベクレル/キログラム)を超えた、210 Bq/kg が測定されました。
都によれば、23 区及び一部の多摩地域では、乳児による水道水の摂取を控えるように、また授乳中の母親も避けた方が好ましいと通知されました。厚労省によれば、生活用水(お風呂や手洗いなど)としての利用は問題なく、また、暫定的規制値の100Bq/kg は、十分な余裕をもって設定された値であり、一時的な使用による健康影響はないため、代わりとなる飲用水がない場合は、飲用しても差し支えないとのことです。

3 月23 日:福島県

以下の11 品目から暫定規制値を超える放射性物質が検出されました。

ホウレンソウ、キャベツ、ブロッコリー、かぶ、アブラナ、茎立菜(くきたちな)、信夫冬菜(しのぶふゆな)、山東菜(さんとうな)、小松菜、ちじれ菜、紅菜苔 (ホンツァイタイ・コウサイタイ)

対象となる野菜は、
摂取・出荷を差し控えるもの
・非結球性葉菜類及び結球性葉菜類:ホウレンソウ、コマツナ、キャベツ 等
・アブラナ科の花蕾(からい)類:ブロッコリー、カリフラワー 等
出荷を差し控えるもの
・上記に加えカブ
です。
(全国農業協同組合連合会を経由した福島県の露地野菜は、21 日以降、出荷されていないとのことです。)

3 月23 日:茨城県

 加工前牛乳パセリから、暫定規制値を超える放射性物質が検出され、牛乳パセリについて出荷制限を指示されました。

 これらの指示は、当分の間続くことになるようです。

5.今後、留意してほしいこと

Q1 放射性物質が付着した食品を摂取するとどうなりますか?

A1 放射性物質が、食べ物や水から口に入ると、体内にとどまって放射線を出します。しかし、仮に1 回、規制値の100 倍程度の放射性物質を誤って摂取してしまったとしても、身体的な影響が表れることはありません。まして規制値以下の野菜については、心配する必要はありません。
(放射性ヨウ素131 は8 日たつと放射線の量が半分に、16 日後には4 分の1 と次第に減り、土壌には長く残りません。放射性セシウム137 は、放射線の量が半分になるのに30 年かかり、土壌に長くとどまって農産物に影響を与えます。ただし、放射性セシウムが付着した野菜を摂取し、体内に入ってもその多くは排出されます。)

Q2 放射性物質はどうやって野菜に付着するのでしょうか?取り除く方法はありませんか?

A2 放射性ヨウ素と放射性セシウムは風で運ばれ、ホウレンソウなど葉の大きいものほど付きやすいと言われています。
キャベツでは、外側には付きますが、中には入りにくいです。野菜は水でよく洗えば、ある程度放射線量は減少します。キャベツなどは外側の葉を取ってから水洗いするとよいでしょう。
また、放射性物質は土の表層にとどまりやすく、短期的には大根などの根菜類への影響は少ないとも言われています。

Q3 子どもへの影響は心配ないですか?

A3 子どもは大人より、放射線の影響を受けやすいと言われています。大人では体内に入った放射性ヨウ素のうち、約7%が甲状腺に留まり、残りは24 時間以内に排出されます。一方、子どもでは、約20%が甲状腺にたまってしまいます。従って、子どもの方が健康への影響は大きくなりやすいのです。
しかし、今回の規制値は、子どもが放射性ヨウ素に被ばくした食物の摂取を続けても問題がない結果を基に作られていますので、安心してください。

Q4 すべての野菜が問題なのでしょうか?

A4 規制値を超える値が出たのは、主に、ホウレンソウ、かき菜などの葉物野菜と、ブロッコリーなど花蕾(からい)類が中心です。畑で葉を広げて育つために、放射性物質を受け止めやすいようです。他の野菜には問題が出ていないものもあります。
福島県の検査では、ニラ、ネギ、ふきのとう、アサツキ。
茨城県では、ネギ、レンコン、ハウスで栽培したトマト、イチゴ、キュウリ、ニラ、水菜、チンゲンサイ、ピーマン、エシャロット、大葉、切りミツバ、セロリ、小玉スイカ、覆いをかけて栽培したレタス、白菜は規制値以下の低い値でした。
また、露地栽培の野菜に規制値を超えたものが多いようです。ハウス栽培した野菜や、露地栽培でも寒さよけで不織布をかけて育てた野菜は、規制値以下が多かったようです。

Q5 出荷制限が指示された野菜が市場に出回ることはないでしょうか?

A5 全国農業協同組合連合会を中心に該当野菜の出荷がない事を確認し、市場、卸、小売でも、該当野菜の入荷がない事を再確認していますので、心配はありません。
国、厚労省などからの情報には、気をつけるようにしましょう。

Q6 放射性物質が検出された水道水を、知らずに飲んでしまいました。大丈夫でしょうか? また、飲み水以外の使用もいけないのでしょうか?

A6 短期間の飲用では、健康上に問題はありません。
現在、厚生労働省は、福島原発事故の影響で、水道水の摂取制限が指示された場合に関して、以下の見解を発表しています。
①飲用水には用いない。
②生活用水(お風呂や手洗いなど)としての利用は問題ない。
③代わりとなる飲用水がない場合は、飲用しても差し支えない。
しかし、実際的には、水道水の代わりにペットボトルの水を求めても、商店には不足しており、水道水に摂取制限を受けた地域の多くの国民は、それを手に入れることは困難です。
厚労省の見解があるとしても、既にご説明したように、今の軽度汚染水道水は、毎日飲んでも健康被害は起こりませんし、既に測定値は、基準値以下になり始めているところも出始めています。
現実的には、今まで通り、飲用していて差し支えないのです。

Q7 妊婦や授乳中の女性が、摂取制限を受けた水道水を飲んでも、胎児や乳児に影響はありませんか?

A7 妊婦や授乳中の女性が、軽度汚染水道水を飲んでも、胎児や乳児に健康被害は及ばないことを、日本産婦人科学会はその理由を含め、詳しく、ご説明しています。
内容が重なりますので、下記のHPの発表を読んで、ご理解いただき、ご安心ください。

放射線の妊婦と乳幼児に対する健康に関して、
安心であると、詳しく説明しているホームページ

1. 日本産婦人科学会
水道水について心配しておられる妊婦・授乳中女性へのご案内

http://www.jsog.or.jp/news/pdf/announce_20110324.pdf

2. 日本医学放射線学会放射線防護委員会
妊娠されている方、子どもを持つご家族の方へ-水道水の健康影響について

http://www.radiology.jp/modules/news/article.php?storyid=912


水道水について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内

2011年03月25日 | 東北地方太平洋沖地震

****** 日本産科婦人科学会ホームページより

http://www.jsog.or.jp/news/pdf/announce_20110324.pdf

水道水について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内

平成23 年3 月24 日
日本産科婦人科学会

平成23 年3 月23 日(水曜日)東京都の金町浄水場の水道水に1kg(1.0 リットルあるいは1000 ミリリットルに同じ)当たり210 ベクレルの放射性物質が含まれていると発表されました。以下に、1kg 当たり200 ベクレル前後の放射性物質を含む水道水(軽度汚染水道水と表現します)を長期にわたって飲んだ場合の健康への影響について学会の見解を示します。

1. 軽度汚染水道水を妊娠期間中(最終月経開始日より分娩まで)毎日(計280日間)1.0 リットル(1,000 ミリリットル)飲むと仮定した場合、妊娠女性がその間に軽度汚染水道水から受ける総被曝量は1,232 マイクロシーベルト(1.232 ミリシーベルト)と計算されます。
おおよその母体被曝量は以下のように算出されます。

総被曝量(マイクロシーベルト)=(摂取ベクレル総量)×2.2÷100
例えば、500 ベクレル/kg の水を1 日1.0 リットルずつ365 日飲むと
500×365×2.2÷100=4,015 マイクロシーベルト(約4.0 ミリシーベルト)となります。

2. お腹の中の赤ちゃん(胎児)に悪影響が出るのは、赤ちゃんの被曝量が50,000 マイクロシーベルト(50 ミリシーベルト)以上の場合と考えられています。なお、日本産科婦人科学会では放射線被曝安全限界については米国産婦人科学会の推奨に基づいて50 ミリシーベルトとしてきております。一方、これら問題に関する国際委員会の勧告、ICRP (International Commission on Radiological Protection) 84 等に基づいて安全限界を100,000 マイクロシーベルト(100 ミリシーベルト)とする意見もあります。この違いは他の多くの安全性指標と同様、安全域をどこまで見込むかという考え方の違いによるものです。なお、赤ちゃん(胎児)の被曝量は、母体の被曝量に比べて少ないとされています。胎児が100,000~500,000 マイクロシーベルト(100~500 ミリシーベルト)の被曝を受けても胎児の形態異常は増加しないとの研究報告もあり、ICRP84 は「100 ミリシーベルト未満の胎児被曝量は妊娠継続をあきらめる理由とはならない」と勧告しています。

3. 母乳中に分泌される(出てくる)放射能活性を持ったヨウ素は母体が摂取した量の4 分の1 程度と推測されますが、確定的なことはわかっていません。

4. これらを総合すると、現時点では妊娠中・授乳中女性が軽度汚染水道水を連日飲んでも、母体ならびに赤ちゃん(胎児)に健康被害は起こらないと推定されます。また、授乳を持続しても乳幼児に健康被害は起こらないと推定されます。

5. しかし、胎児・乳幼児は成人に比べ被曝の影響を受けやすいとされており、被曝は少ないほど安心です。したがって、軽度汚染水道水以外の飲み水を利用できる場合には、それらを飲用することをお勧めします。

6. 妊娠中女性は脱水(体の中の水分が不足すること)には特に注意する必要があります。したがって、のどがかわいた場合は決してがまんせず、水分を取る必要があります。のどがかわいた場合には、スポーツドリンク、ミネラルウォーター、ジュース、牛乳などがお勧めです。

7. 今後も水道水の放射性物質汚染(ベクレル値)には注意して下さい。今回お示しした式を使用して、野菜などからの被曝も計算できます(野菜何グラム当たりのベクレルかに注意が必要です。1.0 キログラムは1,000 グラムと同じです)。


福島原発事故による妊婦・授乳婦への影響について

2011年03月21日 | 東北地方太平洋沖地震

****** 日本産婦人科医会ホームページより

http://www.jaog.or.jp/News/2011/sinsai/fukusima_0319.pdf

平成23 年3 月19日

日福島原発事故による妊婦・授乳婦への影響について

社団法人日本産婦人科医会
会長 寺尾 俊彦

3 月11 日に発生した東日本大震災で被災した福島第1原子力発電所の連続事故による、放射線被ばくを避けるために、その周囲20 キロ圏内の住民に避難指示、20 キロから30 キロの圏内の住民に屋内退避の指示が出ています。

このため、妊産婦や、授乳婦そして、新生児、乳幼児に対して、放射線被ばくを心配する声が上がっています。

しかし、放射線被ばくによる影響は、事故が起こった場所からどれだけ離れているかによって、異なります。

現時点で報道されている被曝線量では、原発のすぐ近くで大量に被曝した場合は別として、妊婦、胎児、授乳等には特に悪影響を及ぼさないレベルであると考えられます。

誤った情報や風評等に惑わされることなく、冷静に対応されますようお願い申し上げます

1. チェルノブイリ原発の大事故でも、避難距離は50 キロでした

レベル7であった史上最大のチェルノブイリ原発事故の時でも、約50 キロ離れていれば、健康を守るのに十分であったと記録されています。今回の、レベル5と判断された、福島原発事故では、50km 以上離れた地域での放射線による健康被害の可能性はほとんど考えなくてよいでしょう。また、現在、総線量100 ミリシーベルトを超えないように、避難・屋内退避などの指示が出されていることから、30km以上離れていれば、健康被害はないと考えられます。

2. 被曝線量は、数値だけでなく単位が大事です。単位を確認してください

報道の多くは、線量の単位として、人体への放射線の影響度を示す‘1 時間あたりのシーベルト(Sv/h)’を使用しています。

例えば、100 マイクロシーベルト/時間の放射線を10 時間被曝すると、総被曝線量は1,000 マイクロシーベルト(= 1 ミリシーベルト)になります。これに対して,産婦人科診療ガイドライン等は、放射線エネルギーの総量(吸収線量)を示すグレイ(Gy)を単位として使用しています。今回は、1 グレイ=1シーベルト であると理解してください。また、1,000 マイクロ = 1 ミリ です。

3. 100 ミリシーベルト(おおよそ100 ミリグレイ)以下では、被害はありません

胎芽・胎児への影響は、妊娠週数と被曝線量によりますが、器官形成期(妊娠初期)であっても100 ミリシーベルト(おおよそ100 ミリグレイ)以下の被曝線量であれば問題はありません。

一方、人体(妊婦・授乳婦を含む)は、年間およそ2.4 ミリシーベルトの自然放射線を被曝していますが、一度に数百ミリシーベルト以上を被曝した場合は人体に影響(急性障害:吐き気・嘔吐、リンパ球減少など)する場合があります。

防災体制の基準としては、原子力発電所で0.5 ミリシーベルト/時間(500 マイクロシーベルト/時間)以上の被曝が予測される場合に、緊急事態が宣言されます。その周囲については、総量10~50 ミリシーベルトの被曝が予測された時点で屋内待避、総量50 ミリシーベルト以上が予測された時点では避難となります。

国からの情報は、多くの機関から監視されており、正確な情報が伝えられていると評価されますので、上記の基準により、現時点での避難勧告等が出ているのです。

4. 万一被ばくした場合の被害

チェルノブイリ原発事故後20 年の経時的調査による国連のレポートによると、この事故により、子供の時にミルクを飲んで被曝した人たちの甲状腺がんが著明に増加しましたが、白血病や先天異常児等は増えなかったと報告されています

この甲状腺がん増加の原因は、放射性ヨードに汚染された空気を吸い込んだり、汚染された草を食べたりした牛のミルクに、放射性ヨウ素が多量に含まれていたためです。

5. 甲状腺がんの予防対策

原発事故等で、放射性ヨード等の放射性物質に暴露された場合は、甲状腺への放射性ヨードの取り込みをブロックできるヨウ化カリウムの予防投与が推奨されています。

具体的には、50 ミリシーベルト以上の被曝があった場合、妊娠中・授乳中の女性も含め、40 歳未満の人に、ヨウ化カリウム(50mg)丸薬を2錠、1 回のみの予防投与が勧められます。

副作用は、胎児や新生児ではヨウ化カリウムによる甲状腺機能低下症、成人ではヨウ素過敏(アレルギー反応)、甲状腺機能抑制などです。

ヨウ化カリウムの授乳への影響は、短期間であれば問題ありません。

******

なお詳細につきましては、日本産科婦人科学会ホームページに3 月16 日付で掲載の「福島原発事故による放射線被曝について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内(特に母乳とヨウ化カリウムについて)」を参考にしてください。


愛の夢 第3番 (フランツ・リスト)

2011年03月21日 | MUSIC

愛の夢(Liebesträume)」は3曲からなるピアノ曲で、「3つのノクターン」という副題を持ち、第3番が特に有名である。作曲者のフランツ・リスト(Franz Liszt、1811-1886)はハンガリーに生まれ、ドイツやオーストリアなどヨーロッパ各国で活躍したピアニスト・作曲家である。両親の血統、母語、最も長い活躍地のいずれもドイツに属したが、彼自身は生地のハンガリーを祖国と呼び、死後もドイツ人よりはハンガリー人と記載されることが多い。

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フランツ・リスト(1839年)

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YouTube: リスト 愛の夢 第3番 Lizst, Liebestraum Nr.3 ("A Dream of Love No.3")


胎児から新生児への変化

2011年03月20日 | 周産期医学

● 呼吸器系の適応

胎盤におけるガス交換
胎児のガス交換は、胎盤絨毛間腔(intervillous space)で母体血と胎児血とのガス分圧の差による拡散によって行われる。

胎児の血液は、赤血球数が増加(多血)し、酸素親和性の強い胎児ヘモグロビン(HbF)が主体となっている。

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出生後の第一呼吸、第一啼泣
第一呼吸開始のメカニズムについてはいまだ明らかになっていないが、寒冷、接触、音、光などの刺激のほか、胎盤循環停止による酸素と二酸化炭素分圧、pHの変化が呼吸中枢に感知されることにより開始すると考えられている。

第一呼吸によって肺に空気が流入し、肺が開き第一啼泣が起きる。このとき児は声門を少し閉じて泣くため、呼気に陽圧が加わり肺胞を確実に開くことができる。

呼吸開始とともに、肺の血管抵抗が急速に減弱し肺血流が増加、肺でのガス交換が確立する。

肺液(lung fluid)の排出、吸収
産道通過時に胸郭が圧迫され、肺液は鼻腔、口腔から排出される。

肺に空気が入るのと同時進行で、肺液は肺胞腔から間質へ、さらに毛細血管やリンパ管に吸収されていく。

● 循環系の適応

胎児循環(fetal circulation)
・ 右心房(right atrium)に上大静脈(superior vena cava)と下大静脈(inferior vena cava)が還流する。上大静脈は静脈血であるが、下大静脈には胎盤で酸素化された血液が静脈管(ductus venosus)を通って流れ込んでいる。

・ 右心房に流入した酸素分圧の高い血液は卵円孔(foramen ovale)を通って左心系に入る。

・ 上大静脈からの酸素分圧の低い血液は右心房から右心室(right ventricle)へ入って肺動脈(pulmonay artery)へ流れる。

・ 肺動脈血流は動脈管(ductus arteriosus)を通って下行大動脈(descending aorta)に合流する。

・ 下行動脈の血液の一部は内腸骨動脈(internal iliac artery)から分枝する臍帯動脈(umbilical artery)を経て胎盤に至り、再び酸素化を受ける。

Photo

Fetalcirculation

新生児循環への変化
1. 肺動脈が開く。
2. 卵円孔が閉鎖する。
3. 動脈管が収縮する。
4. 動脈管が閉じる。
5. 臍帯動脈が閉じる。
6. 胎児循環がなくなる。

新生児循環の特徴
・ 動脈管は低酸素症で容易に再開通する。
・ 卵円孔は低酸素症で容易に再開通する。
・ 肺動脈抵抗がまだ高く、しばらくは右心系の負荷が残る。


被災住民の方々に対する支援活動

2011年03月18日 | 東北地方太平洋沖地震

休暇をとって被災地に入り、現地での支援活動に従事することはなかなかできません。でも、当地に避難して来られた被災住民の方々に対する支援活動、例えば、避難して来られた妊産婦の方々の分娩のお手伝いなど、微力ながら私達のできることを可能な限り実施したいと思います。

被災住民の方々が被災地にずっと留まって、避難所で不便で不自由な暮らしを無理をして続けるよりは、ライフラインや医療体制の整った安全な地域に一時避難していただくことも重要だと思います。

****** 日本産科婦人科学会HPより(要約) 

福島原発事故による放射線被曝について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内(特に母乳とヨウ化カリウムについて)

放射線被曝により甲状腺がんの発症率が高くなります。乳幼児や若年者では特に甲状腺がんの発症率が高くなります。胎児の甲状腺にも悪影響がでます。40 歳以上では被曝してもあまり発症率は高くならないとも報告されています。

甲状腺がんになりやすくなる被曝量は50 ミリシーベルト(50,000 マイクロシーベルト)以上とされています。例えば、時間当たりの被曝量が2,000 マイクロシーベルトの環境にいると、25時間で総被曝量が50ミリシーベルト(50,000 マイクロシーベルト)となり、甲状腺がん発症の危険が高くなります。

ヨウ化カリウム錠(50mg 錠を2 錠)を被曝後なるべく早期に服用すると、甲状腺がん発症の予防効果があるとされています。50 ミリシーベルト(50,000 マイクロシーベルト)以上の被曝を受けた40 歳以下の妊娠・授乳中女性にはヨウ化カリウム錠(50mg 錠)2 錠服用をお勧めします。しかし、ヨウ化カリウム錠を妊娠中女性が服用すると、胎児に甲状腺機能低下が起こることがあります。胎児や乳幼児にとって甲状腺ホルモンは脳の発達に特に重要とされているホルモンです。したがって、妊娠中女性がヨウ化カリウムを服用した場合には児は出生後ただちに甲状腺機能の検査を受けます。

50 ミリシーベルト(50,000 マイクロシーベルト)以上被曝したが、既に安全な場所(大気の放射能汚染がない)に移動し、安全な水と食物(放射能汚染がない水と食物)を摂取している場合には50mg 錠を2 錠1 回服用(計100mgを一回)で十分です。しかし、この薬剤の効果持続時間はだいたい24 時間です。再び50 ミリシーベルト(50,000 マイクロシーベルト)以上の被曝があった場合には同様にヨウ化カリウムを100mg服用します。しかし、妊娠中女性では胎児への副作用(甲状腺機能低下)も心配されるので、2 回目服用は特に慎重に行なうべきとの意見もあります。

妊娠中もしくは授乳中の女性では、ヨウ化カリウム服用が児の甲状腺機能低下につながる可能性があります。したがって、妊娠中ならびに授乳中の女性にあっては、ヨウ化カリウムを服用しないで済むよう、特に被曝量を少なくする工夫が重要です。線源(ここでは福島原発)から離れること(遠隔地への移動)が可能な状況であれば、それをお勧めします。

****** 共同通信、2011年3月18日

全国で妊婦受け入れを 厚労省、被災地支援で

厚生労働省は17日、東日本大震災で被災した妊婦が安全な状況で出産できるよう、被災地でない都道府県に受け入れ態勢の整備を求める通知を出した。

被災地でない都道府県には、関係機関と相談の上、被災した自治体や医療機関の相談を受け付ける窓口を設けるよう要請。被災地の妊婦や新生児が他県での出産や緊急医療を希望した場合、受け入れについて適切に対応するよう求めた。

被災した県にも、他県での出産希望者には適切に情報提供するよう求めた。

(共同通信、2011年3月18日)

****** 長野県産科婦人科医会

被災地の妊産婦さんが、長野県内への移動を希望される際には、長野県のすべての産 婦人科で可能な限りの対応をいたします。 分娩受け入れ施設が不明の場合には、長野県産科婦人科医会事務局 (信州大学医学部産婦人科医局内)にご連絡

電子メール:ifujin@shinshu-u.ac.jp
FAX:0263-39-3160
TEL:0263-37-2719

いただけば、当該地区の分娩可能医療機関の情報を提供いたします。なお、長野県も北部を主体に大きな地震が発生しており、 施設によっては、受け入れ状況が変動する可能性があることをご了承願います。

(長野県産科婦人科医会)

****** 信濃毎日新聞、2011年3月18日

南相馬市民103人が飯伊に 飯田市用意のバス5台で

東日本大震災で沿岸部が壊滅的な被害を受けた福島県南相馬市の被災住民103人が17日夜、飯田市が用意したバス5台で避難先の飯田下伊那地方に到着した。住民は約10時間に及ぶ長旅に疲れた表情を見せながら、飯田市の風越山麓(ろく)研修センターなど同市と下条、泰阜、豊丘村が用意した6施設へ向かった。

南相馬市の桜井勝延市長が16日に被災住民の受け入れを飯田市に要請、同市が下伊那郡の町村にも協力を呼び掛けた。桜井市長は「申し訳ない思いでいっぱいだが、市の再生のためにも市民の命を守りたい」と話している。

飯田市の職員ら約20人が16日夜、市のマイクロバス3台と信南交通(飯田市)のバス2台で被災地へ。南相馬市の中心部は東京電力福島第1原発から20~30キロの屋内退避指示の圏内に位置するため、被災住民は圏外でバスに乗った。

バスは17日午後10時36分ごろ、飯田市の中央道飯田インター近くの駐車場に到着。牧野光朗市長ら4首長が出迎えた。1台のバスに乗り込んだ牧野市長は「本当に長い間、ご苦労さまでした」と声を掛け、住民たちは「ありがとうございます」。同市丸山町の風越山麓研修センターに着いた住民24人は「お願いします」「お世話になります」などと話しながら施設へ入った。

桜井市長は市議時代から飯田市を視察で訪れるなどしており、昨年10月に同市内で開かれた「定住自立圏」全国市町村長サミットにも出席。桜井市長によると、南相馬市内では原発事故により一時1万人余が避難。電気や水道の復旧は進んだものの、津波による安否不明者も少なくない。飯伊地方での受け入れに感謝しながら「離れた飯田とのつながりを復興のエネルギーとしたい」と気丈に話した。

(信濃毎日新聞、2011年3月18日)

****** NHKニュース、長野、2011年3月18日

飯田市が被災避難者を受け入れ

福島第一原子力発電所の事故で屋内退避などの指示が出されている福島県南相馬市では、市内に残っているおよそ3万人を順番に県外に避難させていて、このうち100人余りが17日夜、飯田市に到着しました。

福島第一原発の相次ぐ事故を受け、福島県南相馬市ではこれ以上とどまるのが困難になったとして市民、およそ3万人を県外などに避難させています。

このうち、県内では、飯田市や豊丘村など1つの市と3つの村で100人余りを受け入れることになりました。

17日は、午後10時過ぎ、4歳から86歳までの南相馬市の住民、103人を乗せたバスが飯田市に無事到着し、それぞれのバスに乗り換え、下伊那地域の6か所の施設に移動しました。

このうち、飯田市丸山町にある市の研修施設には26人が到着し、市の職員たちが「お疲れさまでした」と声をかけていました。

施設には、市が用意したおにぎりや着替えが用意されていて、避難してきた人たちは疲れた表情を見せながら大きな荷物を持って次々に施設の中に入って行きました。今回、受け入れを行った市や村では、今後も要請があれば、さらに避難者を受け入れることも検討したいとしています。

03月18日 08時59分

****** NHKニュース、長野

南相馬市から避難 一夜あけ

福島第一原子力発電所の事故を受けて福島県南相馬市から17日夜、飯田市などに避難してきた住民100人あまりは、市などが用意した施設で新たな生活を始めています。

福島第一原発の相次ぐ事故を受け、福島県南相馬市ではこれ以上とどまるのが困難になったとして市民、およそ3万人を県外などに避難させています。

長野県内には17日夜、南相馬市の住民、103人が到着し、飯田市や豊丘村など、4つの自治体が6つの施設で受け入れています。このうち25人が避難している飯田市丸山町の市の研修施設では、昨夜、疲れ切ったようすだった人たちが一夜明けて、少し安どしたような表情を見せていました。

18日は飯田市内に住む南相馬市出身の男性が施設を訪れ、「みなさんが、無事来てくれてうれしいです。困ったことがあれば、電話をしてください」と励ましていました。

これに対して避難している人たちの中には、涙を流す人もいました。家族で避難している18歳の男性は、「福島では毎日地震におびえていたので、受け入れてもらえてうれしいです。地元を離れるのはつらかったですが、昨夜はぐっすり寝ることができました」と話していました。
飯田市などでは避難している人たち対して食事や衣類の提供も行っていて今後、要請があれば、さらに福島県の住民を受け入れることも検討したいとしています。

03月18日 13時20分

****** NHKニュース、長野

知事“被災者受け入れ”表明

阿部知事は、東北関東大震災で被災した人たちを受け入れるための窓口を18日、県庁内に設置し、今後、人工透析を受ける必要がある人や自宅に住めなくなった人などを受け入れていく考えを明らかにしました。

阿部知事は18日開かれた会見で東北関東大震災で被災し、県内に避難してくる人たちを受け入れるための窓口として「避難者受入対策チーム」という組織を18日、県庁内に設置したと公表しました。この対策チームは被災者を受け入れることができる施設のとりまとめや、受け入れ施設についての情報提供を行うとしています。

そのうえで当面の対応としては人工透析を受ける必要がある人については長野市周辺と松本市周辺の病院で優先的に対応する、自宅に住めなくなった人や避難指示を受けた人については県営住宅などに受け入れる、さらに自主的に避難した人については、旅館やホテルなどで料金を割り引いて受け入れるとしています。

阿部知事は、「県として受け入れ窓口を設置するので、協力が可能な方からの情報提供をお願いしたい。県民全体で温かく迎えていただくことが重要だ」と話しています。

03月18日 13時20分

(NHKニュース、長野、2011年3月18日)


動脈管開存症(PDA)

2011年03月18日 | 周産期医学

patent ductus arteriosus

● 概要

満期産児では、動脈管は生後48時間から72時間で動脈管の血流はほとんど消失し、数日以内に自然閉鎖する。

動脈管開存症は、動脈管が出生後も遺残している病態である。

初期には大動脈から肺動脈への血液の流入(左右シャント)により肺の血液量が増加し、左心系うっ血性心不全を示すが、病気の進行により肺動脈圧が大動脈圧を超えると肺動脈から大動脈への血液の流入(右左シャント)が生じ、静脈血が全身に循環することにより低酸素血症を示す(Eisenmenger症候群)。

動脈管開存症では通常の血流量より多くの血液が流れるため、肺動脈や肺静脈の血管径は拡張する。

Pda_2

● 病因

胎生期には肺が酸素化に寄与することはないため、右心室が駆出する血液が肺へすべて流れないように、動脈管が生理的に開存し主肺動脈から下行大動脈へと血流をバイパスしている。動脈管は胎内ではプロスタグランディンEの生成により維持されているが、出生後の酸素分圧の上昇とプロスタグランディンEの血中濃度低下に伴って収縮し、数週間かけて器質的に閉鎖する。何らかの原因でこの過程が阻害されると動脈管開存症が生じる。

未熟児動脈管開存症では、動脈管の閉鎖過程の遅延が原因となっている。

成熟児動脈管開存症は何らかの内因性異常が原因と考えられるが、原因が特定できることは少ない。ある種の染色体異常症、先天性風疹症候群、胎児アルコール症候群、高地の居住者に動脈管開存症の率が高いと言われている。

● 病態

動脈管を介して大動脈から肺動脈へとシャント血流が流れ、肺血流量が増加する。左心系の容量負荷が生じる。高度のシャント血流があると左心系の負荷による心不全症状をきたし、多呼吸、頻拍などを呈する。拡張期の短絡が増加すると拡張期血圧が低下し、冠循環の低下、腸肝循環の低下、脳循環の低下などによる臓器不全症状をきたす。太い動脈管では肺高血圧症が生じ、放置すると肺血管閉塞性病変からEisenmenger化する。

PDAでは、感染性心内膜炎のリスクが増加する。心雑音がないPDAの感染性心内膜炎のリスクについて明らかなエビデンスはない。

● 自覚症状

左右シャント量が少ない場合には自覚症状はない。

左右シャント量が多い場合には、多呼吸、陥没呼吸、気道感染の増加、哺乳力低下、体重増加不良などの高肺血流にともなった症状をきたす。

● 他覚症状

左右シャント量が増加するほど左室心尖拍動は顕著となり側方に偏位する。

速脈(急速に強くなり、急速に消失する)がみられる。

第2肋間胸骨左縁に最強点を有する連続性雑音Gibson雑音)を聴取する。

Eisenmenger化した動脈管開存症では動脈管開存に由来する雑音は消失し、動脈管を介する右左シャントのため下半身がチアノーゼを示す

●検査成績

① 心エコー:
PDAは左肺動脈-主肺動脈接合部と下行大動脈の間にある。カラードップラー法を用いると容易に肺動脈内に左右シャント血流を検出することができ、これをガイドにするとPDAが直接描出される。シャント血流量の増加に伴って左房、左室、上行大動脈の拡大が観察される。ドップラー法で示されるシャント血流の最大流速により肺高血圧症の程度が評価できる。

② 胸部Xp:
左右シャント量が多い場合、肺血流量の増加に伴って肺血管陰影が増強し、左房、左室の拡大による心陰影の拡大、上行大動脈の拡張を認める。Eisenmenger化すると心陰影は正常化し、肺血管陰影は中枢部では拡大、末梢で目立たなくなる。

● 治療

未熟児PDAにおける動脈管の収縮を促す治療としては、インドメサシンが保険適応となっている唯一の薬剤である。インドメサシンはプロスタグランジンの生合成を抑制することで動脈管の収縮を促す。副作用としては乏尿・腎障害、低血糖症、血小板機能低下、消化管穿孔などがある。インドメサシンの動脈管収縮効果は投与量依存性であるが、重篤な副作用も有するため少量投与が原則とされている。インドメサシンを使用するに当たっては、動脈管閉鎖のことばかりでなく副作用の発現への注意が必須である。

心不全症状を呈している症例に対しては強心剤、利尿剤などによる抗心不全治療を行い、早期に閉鎖手技を行う。薬物治療で心不全症状がコントロールされた症例、心不全症状がなく心雑音のみの症例でも、待機的な閉鎖適応になる。

閉鎖手段として、外科的治療(直視下結紮・切離手術、クリップを使用した胸腔鏡手術)およびカテーテル治療がある。

一般的には1歳未満で心不全症状がコントロール不可能な症例では外科治療を選択する。外科治療(開胸手術)の安全性、成功率は高いが、合併症として反回神経麻痺、乳び胸、脊柱側彎などが生じうる。胸腔鏡手術は肋間筋の損傷が軽微で術創を小さくできる利点がある。

1歳以上で動脈管の内径が2.5mmを超えない症例はカテーテル治療のよい適応となる。わが国ではGianturcoコイルや着脱可能型コイルを用いた塞栓術が行われている。カテーテル治療ではコイルの脱落、遺残短絡、遺残短絡に伴う溶血、コイルへの感染などの問題が生じうる。コイル塞栓後の軽微な遺残短絡はほとんどの場合自然閉鎖することが知られている。

コイル塞栓による閉鎖術は3mm以上の径を有する動脈管開存の場合には困難であるが、動脈管開存用のAmplatzer閉鎖栓が開発され、良好な臨床成績を収めている。

一般に外科治療やカテーテル治療後、半年程度は感染性心内膜炎に対して注意する必要があるとされている。

心雑音がないPDAに対して治療を行うべきかについては明確な指針はない。

●予後

閉鎖適応のある動脈管開存症に対する治療は安全性が高く、治療を終了した症例ではその他の合併症(僧帽弁逆流など)がなければ予後は良好である。


福島原発事故による放射線被曝について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内(特に母乳とヨウ化カリ

2011年03月17日 | 周産期医学

http://www.jsog.or.jp/news/pdf/announce_20110316.pdf

                       平成23 年3 月16 日
                       日本産科婦人科学会

このご案内は以下の妊娠・授乳中女性を対象としております。また、現時点(平成23 年3 月16 日15 時)のご案内ですので、今後の状況変化により、このご案内は無効となる場合もありますのでご注意ください。

平成23 年3 月15 日、午前6 時時点で福島原発より5km 以上離れたところに居住していた妊娠・授乳中女性へのご案内

1. 福島原発事故放射線被曝による、ご本人、胎児(お腹の中の児)、母乳ならびに乳幼児への悪影響について心配する必要はありません。実際に受けた被曝量は人体に影響を与えない低レベルのものです。したがって、ヨウ化カリウムを服用する必要はありませんし、母乳をあきらめる必要もありません。

2. ヨウ化カリウム服用を考慮したほうがいい妊娠・授乳中女性は50,000 マイクロシーベルト(50 ミリシーベルトと同じ量)以上、被曝したと考えられる方にかぎります(昨日のお知らせ中にお示ししてあります)。

3. この場合のヨウ化カリウムの効能は母体の甲状腺保護作用であり、放射線によるその他の影響をすべて防止するものではありません。

4. 外出はできるだけ避け、窓も閉めておくことをお勧めします。

5. 例外的に 3 月15 日午前6 時~同正午間に福島原発に極めて近いところに居住していた方には50 ミリシーベルト以上の被曝があった可能性は否定しきれません。しかし、報道等のデータによれば、その可能性も極めて低いと考えられます。

6. このご案内は平成 23 年3 月16 日15 時の状況を基にしております。今後の福島原発の状況変化によっては、50 ミリシーベルト(50,000 マイクロシーベルト)以上の被曝を受ける可能性がありますので、報道等に十分注意して下さい。報道される測定場所と放射線量(ミリシーベルト、あるいはマイクロシーベルト)には特に注意して下さい。

7. 発表される被曝量(ミリシーベルト、あるいはマイクロシーベルト:1 ミリシーベルトは1,000 マイクロシーベルトと同じ)は測定場所(多くの場合、屋外)に1 時間いた場合の量ですので、時間数をかけると総被曝量となります。屋内にいた場合にはこの数値よりも低いものとなります。

以下は昨日(平成23 年3 月15 日)のご案内内容です。

Q1: 被曝によりどのようなことが起こりますか?
A1: 甲状腺がんの発症率が高くなります。
乳幼児や若年者では特に甲状腺がんの発症率が高くなります。しかし、被曝により発症したがんは比較的おだやかな性格を持ったがんとされ、治療なしでもゆっくりとしか進行しないとされています。40 歳以上では被曝してもあまり発症率は高くならないとも報告されています。被曝するとお腹の中の児(胎児といいます)の甲状腺にも悪影響がでます。

Q2: 被曝量と甲状腺がん発症には関係がありますか? もし、あるとしたら、どの程度被曝したら甲状腺がんになりやすくなるのでしょうか?
A2: 被曝量が多いと甲状腺がんになりやすいとされています。
甲状腺がんになりやすくなる被曝量については50 ミリシーベルト(1 ミリシーベルトは1,000 マイクロシーベルトと同じ量ですので、マイクロシーベルトで表すと、50,000 マイクロシーベルト)以上とされています。
例えば、時間当たりの被曝量が2,000 マイクロシーベルトの環境にいると、25時間で総被曝量が50,000 マイクロシーベルトとなり、甲状腺がん発症の危険が高くなります。

Q3: 甲状腺がんの発症予防法はありますか?
A3: ヨウ化カリウム錠(50mg 錠を2 錠)を被曝後なるべく早期に服用すると、予防効果があるとされています。
50 ミリシーベルト(50,000 マイクロシーベルト)以上の被曝を受けた40 歳以下の妊娠・授乳中女性にはヨウ化カリウム錠(50mg 錠)2 錠服用をお勧めします。通常(平常)時にはこの薬剤は医師により処方されます。インターネット等でヨードチンキやルゴール液を飲むと予防効果があるという噂がありますが、効果がありませんし、危険ですので、飲んではいけません。また、海藻類をたくさん摂取しても効果は限定的と考えられています。被曝量が50 ミリシーベルトより少ない場合にはヨウ化カリウムを服用する必要はありません。

Q4: ヨウ化カリウム錠にはどのような副作用があるのでしょうか?
A4: 甲状腺機能低下(甲状腺ホルモンが少なくなること)とアレルギー反応が心配されます。
成人の場合はあまり心配ないのですが、乳幼児では甲状腺機能低下が特に心配されます。また、妊娠中女性が服用すると、胎児に甲状腺機能低下が起こることがあります。胎児や乳幼児にとって甲状腺ホルモンは脳の発達に特に重要とされているホルモンです。したがって、妊娠中女性がヨウ化カリウムを服用した場合には児は出生後ただちに甲状腺機能の検査を受けます。同様に乳幼児がヨウ化カリウム投与を受けた場合にも甲状腺機能の検査を時々受けることになります。
 ヨウ素過敏症とわかっている方、また過去にエックス検査時の造影剤でアレルギー反応を起こした方にはヨウ化カリウム服用はお勧めできません。

Q5: ヨウ化カリウムは一回だけ服用すればいいのですか?
A5: 50 ミリシーベルト(50,000 マイクロシーベルト)以上被曝したが、既に安全な場所(大気の放射能汚染がない)に移動し、安全な水と食物(放射能汚染がない水と食物)を摂取している場合には50mg 錠を2 錠1 回服用(計100mgを一回)で十分です。
 しかし、この薬剤の効果持続時間はだいたい24 時間です。再び50 ミリシーベルト(50,000 マイクロシーベルト)以上の被曝があった場合(例えば、25,000マイクロシーベルトの環境に2 時間いる)には同様にヨウ化カリウムを100mg服用します。しかし、妊娠中女性では胎児への副作用(赤ちゃんの甲状腺機能低下)も心配されるので、2 回目服用は特に慎重に行なうべきとの意見もあります。

Q6: その他、注意することはありますか?
A6: 妊娠中もしくは授乳中の女性ではヨウ化カリウム服用が児の甲状腺機能低下につながる可能性があります。したがって、妊娠中ならびに授乳中の女性にあっては、ヨウ化カリウムを服用しないで済むよう、特に被曝量を少なくする工夫が重要です。線源(ここでは福島原発)から離れること(遠隔地への移動)が可能な状況であれば、それをお勧めします。


新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)

2011年03月15日 | 周産期医学

persistent pulmonary hypertension of the newborn

● 概念

胎児期あるいは出生後の低酸素血症に伴い、肺動脈の平滑筋の肥厚や攣縮によって、出生後も高い肺血管抵抗が持続し、その結果動脈管、卵円孔を通じた右左シャントや、肺内シャントによって、100%の酸素投与下でも酸素化が十分に得られない状態が生じる。このような状態は新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)と呼ばれる。

※ 以前は胎児循環遺残(PFC; persistent fetal circulation)と呼ばれていた。

● 病因と病態生理

PPHNは、正期産児または過期産児に生じる肺血管系の障害である。

新生児仮死、胎便吸引症候群、低酸素症、低体温などのストレスが誘因となり、肺の血管床が収縮を起こして肺動脈の血管抵抗が上昇して肺高血圧となる。

その他の原因には、動脈管または卵円孔の早すぎる閉鎖(これにより胎児の肺血流量は増加、母体のNSAID使用により誘発される)、赤血球増加(血液の流れを悪くする)、先天性横隔膜ヘルニア(左肺が重度の低形成で、肺血流量の大部分が右肺に流入する)、新生児敗血症(おそらく、細菌性リン脂質がシクロオキシゲナーゼ経路を活性化させたことによる血管収縮性のプロスタグランジン産生で生じる)などがある。

とくに先天性横隔膜ヘルニア、肺低形成などが病因の場合には、肺血管床の発達が悪いため重篤な病態を示すことが多い。

正常の新生児は、出生直後の呼吸開始に伴って肺胞が広がり、肺胞を取り巻く肺血管床の血管抵抗も急速に低下する。しかし、出生直後から上記のような重篤なストレスに暴露すると交感神経の緊張状態となり肺血管の収縮を起こす。また、低酸素血症、高二酸化炭素血症なども直接的に肺血管の収縮を起こし、肺血管抵抗が胎児のように上昇したままとなり肺高血圧が持続する。肺動脈につながる右心室、右心房の血圧も高く、動脈管または卵円孔を介した右左シャントを引き起こし、難治性の全身性低酸素血症に至る。

● 臨床症状

頻呼吸、陥没呼吸、高度のチアノーゼ。

新生児仮死や胎便吸引症候群に続発することが多い。

動脈管を介する右左シャントを有する乳児においては、右上腕動脈で下行大動脈よりも酸素化が良好になるため、右上肢と下肢とでチアノーゼに差が生じることがある(下肢の酸素飽和度が右上肢よりも5%低くなる)。

● 診断

出生後の新生児において、動脈酸素分圧(PaO2)と経皮的動脈酸素飽和度(SpO2)の著しい低下を示す。

心臓超音波検査により、右心室および肺動脈の血圧が、左心室および大動脈の血圧と同等あるいはそれ以上になっており、卵円孔または動脈管における右左シャントを示す。

出生後の新生児において、血液ガス分析検査やパルスオキシメーターの測定により、著しい低酸素血症を認めた場合には、常に本疾患を強く疑う。チアノーゼを起こす先天性心疾患は全て鑑別の対象となるが、心臓超音波検査により、解剖学的に明らかな異常を認めずに上記のような所見が得られたら診断は確定する。

● 治療

疾患の進行を防ぐために、酸素(強力な肺血管拡張作用がある)による治療を直ちに開始する。酸素はバッグマスク換気または機械的人工換気を介して投与し、また肺胞の機械的拡張が血管拡張を助ける。

吸入酸素濃度(FiO2)は、初めは100%に設定すべきだが、肺損傷を最小限にするために動脈血酸素分圧(PaO2)を50~90mm Hgに維持するよう下方調節する。PaO2が一旦安定すると、FiO2を2~3%ずつ減少させ人工呼吸器の圧を減少させることによって、離脱を試みる。PaO2の大幅な減少は再発性の肺動脈血管収縮を引き起こすことがあるので、変化は段階的にすべきである。

圧外傷を最小限に抑えつつ肺を拡張および換気するため、高頻度振動型人工呼吸器(HFO; high frequency oscillatory ventilator)を使用することも多い。

一酸化窒素(NO)の吸入は血管内皮の平滑筋を弛緩させ、肺細動脈を拡張させて、それによって肺血流量を増大させ、約半数の患児において酸素化を急速に改善させる。初回量は20ppmで、効果があれば徐々に減らしていく。

重症の場合、以前は体外式膜型人工肺(ECMO; extracorporeal membrane oxygenation)を使用することも多かったが、現在では、NO吸入療法により肺血管が拡張し改善するため、侵襲の大きく管理も大変なECMOを使用することは稀になっている。

病因となる基礎疾患への対応も重要であるが、あらゆるストレスにより交感神経が緊張し肺動脈の収縮を引き起こすため、まず、患児にストレスをかけない管理をすることを忘れてはならない。苦痛を伴う検査や処置(採血、ライン確保、気管内吸引など)は最小限にする必要があり、鎮静剤および鎮痛剤を積極的に使用する。

● 予後

予後は必ずしも良好ではない。

重症の横隔膜ヘルニアや肺低形成など、先天的に肺血管床の発育が著しく悪い場合には予後不良である。


地震のマグニチュードは9.0 気象庁発表

2011年03月13日 | 東北地方太平洋沖地震

今回の地震について、気象庁はこれまでマグニチュードを8.8と発表していましたが、地震波などの観測データを詳しく分析した結果、震源域は長さが約500km、幅が約200kmに及び、断層の破壊は断続的に5分以上続いたことが分かり、地震の規模を改めて計算した結果、マグニチュードは9.0だったと気象庁より発表されました。

7年前の、インド洋大津波を引き起こし20万人を超える犠牲者が出たスマトラ島沖の巨大地震(マグニチュド 9.1)にほぼ匹敵する規模ということになります。

また、気象庁は、マグニチュード7以上の余震が発生する確率について、13日午前10時から3日間以内が70%、その後3日間以内は50%と推定されると発表しました。マグニチュード7以上の地震が内陸や沿岸部で起きると、ところによって震度6強や震度6弱の激しい揺れが起きるおそれがあり、気象庁は、余震による揺れに厳重に警戒するとともに、再び津波が起きる可能性もあるとして厳重に警戒するよう呼びかけています。

3月13日午後の会見での気象庁の発表内容:
今回起きました東北地方太平洋沖地震について、その本震の規模を再解析いたしました。その結果、これまで8.8と言っておりました規模を、9.0と改正します。これは、当初、われわれが普通に行う通常の地震が起きたときの割れ方をしたときの解析をしておりましたが、今回の地震の破壊の様子をもう一度、丁寧に点検してみますと、通常とは異なりまして、複雑な形で3回、巨大な地震が起こる、連続して発生すると、このような起き方をしているということがわかりました。このことから、連続して複雑な形で3つ起こっていることを、意識してもう1度、再解析を行ったところ、マグニチュードは9.0であるということがわかりましたので、本日、8.8から9.0に訂正するようお知らせをしているところでございます。


東北地方太平洋沖地震

2011年03月11日 | 東北地方太平洋沖地震

3月11日午後2時46分、三陸沖を震源地とするマグニチュード8.8の巨大地震がありました。宮城県で震度7の非常に激しい揺れを観測したほか、福島県では7mを超える大津波が観測されるなど、北海道から沖縄県にかけて広い範囲で津波や火災が発生しました。 

震源の深さは24kmと推定され、地震の規模を示すマグニチュード8.8は、地震の観測が始まった明治以降、国内では最大となります。この地震のあと、本州の太平洋側を中心に、余震とみられるマグニチュード7前後の大きな地震が相次いで発生しています。

気象庁はこの地震を「東北地方太平洋沖地震」と名付けました。現在、テレビのどのチャンネルでも、地震に関するニュースを伝えてます。この地震による被害はきわめて甚大で、被害の詳細は未だ不明ですが、多数の死者、行方不明者が出ている模様です。