新型インフルエンザの流行のピークが9月下旬~10月にかけてと予測され、ワクチンの供給は10月下旬以降ということですから、ワクチン接種のタイミングが間に合わない可能性が高いです。
また、いくら発熱していても、陣痛発来している妊婦を産科病棟以外では受け入れることが困難で、流行のピーク時には、多くの妊婦の発症者を院内で隔離することが難しくなってしまうかもしれません。
助産師や産婦人科医などの産科病棟スタッフにも感染者が続出する事態となれば、多くの産科施設で一時的に分娩受け入れが困難となってしまうかもしれません。
地域によっては、大混乱となってしまうかもしれません。各地域で、流行時の感染妊婦の受け入れ方法などについて、よく話し合っておく必要があると思います。
妊娠している婦人もしくは授乳中の婦人に対しての新型インフルエンザ(H1N1)感染に対する対応Q&A (一般の方対象) 、日本産科婦人科学会
****** 朝日新聞、2009年8月29日
新型インフル、9月下旬にも発症のピーク
厚生労働省は28日、新型の豚インフルエンザの今後の患者数の推計を初めて公表した。国民の2割が発症すると想定し、その場合、約38万人が入院し、約3万8千人が重症になり、ピーク時には1日に約76万人が発症する見込み。現在は流行が拡大し始める初期段階にあるとみられる。入院ベッドの確保など、重症化しやすい子どもや持病のある人ら向けの医療態勢の確立が急務だ。
厚労省は各都道府県が医療態勢を整える際の参考にしてもらうために推計した。海外の流行状況などを踏まえ、季節性インフルの2倍程度に当たる国民の2割(約2500万人)が発症するものとしたほか、新型インフルのこれまでの傾向などから入院率や重症化率を試算した。
ピークの時期は具体的に示していないが、国立感染症研究所の推計にあてはめると、9月下旬から10月にかけてピークを迎えるとみられる。
ピーク時には全国で約4万6千人が入院していると想定した。世代別では乳幼児(0~5歳)3500人、小児(6~15歳)1万1800人、成年(16~64歳)2万人、高齢者(65歳以上)1万1100人。大半の患者は軽症で回復する見込み。
流行は9週目でピークになり、19週目にいったん終息するとしている。ピークや終息の時期、発症者数などは変動する恐れがある。ウイルスの病原性が変化したり、薬が効きにくくなる耐性が出たりすると、流行の規模が大きくなる可能性がある。国民の3割が発症した場合も推計しており、約95万人が入院し、19万人が重症化するとしている。
また、都市部など人口密集地は患者数が多くなり、持病を持つ高齢者の多い地域では重症者が増えるなど、地域ごとに状況は異なってくるとみられる。厚労省の担当者は「感染症の流行には必ず終わりがくるが、正確な予測は難しい」としている。季節性インフルの流行が重なる可能性もあり、注意を呼びかけている。専門家は流行の第2、3波も警戒している。
試算をもとに厚労省は、都道府県などに対し、各地域の人口や年齢構成を踏まえて、患者の受け入れ態勢を整えるよう求めた。多数の入院患者が出た場合に備え、現在使っていない結核病床などを活用することも盛り込んだ。夜間の外来診療態勢を整えるため、診療所の診療時間延長や輪番制の導入など、地域の中核病院と診療所の連携も求めた。 【権敬淑、野瀬輝彦】
(朝日新聞、2009年8月29日)
****** NHKニュース、2009年8月29日
新インフル対策 手引書で周知
新型インフルエンザの大規模な流行に備えるため、厚生労働省は、医療機関の受診方法や自宅療養の注意点などをまとめた手引書をまとめ、周知を進めていくことになりました。
厚生労働省がまとめた想定によりますと、新型インフルエンザの感染がこのまま拡大すると、国民の5人に1人にあたる2500万人余りが発症し、およそ3万8000人が重症になるということです。このため厚生労働省は、こうした大規模な流行に備えるため、感染が疑われる人や患者を対象とした手引書を作り、周知を進めていくことになりました。手引書では、まず、感染が疑われる場合は、掛かりつけの医師や保健所などに設置されている「発熱相談センター」に問い合わせて受診するよう求めています。また、持病がある人や妊娠している人は、掛かりつけの医師に電話で相談し、受診する医療機関を紹介してもらうよう呼びかけています。さらに、自宅で療養する場合には、家族などとはなるべく別の部屋で過ごして接触を避けるとともに、熱が下がってから2日間は外出を控えるよう求めています。厚生労働省は、この手引書をインターネットのホームページに掲載するとともに、都道府県などを通じて周知していくことにしています。
(NHKニュース、2009年8月29日)
****** NHKニュース、2009年8月28日
3万8000人が重症の想定
新型インフルエンザの感染がこのまま拡大すると、ことし10月をピークに国民の5人に1人に当たる2500万人余りが発症し、およそ3万8000人が重症になるという想定を厚生労働省がまとめました。
この想定は、毎年の季節性インフルエンザの流行や海外における新型インフルエンザの感染動向などをもとに、厚生労働省が推計したものです。それによりますと、新型インフルエンザに感染して発症する人は季節性インフルエンザのおよそ2倍で、国民の5人に1人に当たる2555万人に上るとしています。このうち、1.5%に当たるおよそ38万人が入院し、0.15%に当たるおよそ3万8000人が肺炎やインフルエンザ脳症などを引き起こして、重症になると推計しています。ただし、ぜんそくや糖尿病など重症になりやすい持病がある人やインフルエンザ脳症になりやすい幼児などに感染が広がった場合は、重症になる人の割合は3倍以上の0.5%に高まる恐れがあるとしています。感染のピークを迎えることし10月には、最も多いときで1日76万人が発症し、4万6400人が入院している状態になると見込んでいます。地域によっては、発症者が30%に達し、人口が密集する都市部では、さらに割合が高まるおそれもあるとしています。厚生労働省は、各都道府県に対し、この想定をもとに医療機関のベッド数や人工呼吸器の数などを検証し、必要な医療態勢を整えるよう求めることにしています。
(NHKニュース、2009年8月28日)
****** 読売新聞、2009年8月28日
インフルピーク時、1日76万人発症…厚労省
厚生労働省は28日、新型インフルエンザの今後の流行に関する試算を発表した。10月の流行ピーク時には1日当たり約76万人の患者が新たに出て、全国の入院患者は最大時で4万6400人に上る可能性があるとした。
厚労省は同日、流行に備えた医療体制を早急に整備するよう各都道府県に要請した。
試算は海外の流行状況や感染率などから、季節性インフルエンザ感染者の約2倍にあたる国民の平均2割、都市部などでは同3割が発症すると想定。今シーズンの入院率を全患者の1・5~2・5%(38万人~64万人)、インフルエンザ脳症や肺炎など重症者の発生率を同0・15~0・5%(3万8000人~12万8000人)として算出した。
患者数のピークは流行開始8週間後になるとし、国内での流行開始(今月10~16日)に当てはめると、10月上旬ごろに来る。入院患者のピークは患者数のピークから約1週間遅れ、全国の入院患者は4万6400人に達する。国民の3割が感染すると、入院患者は6万9800人に上るという。死者数の試算はしていないが、米国の想定では入院患者の約30人に1人が死亡するとしている。
都道府県には、診療所での夜間診療延長なども準備するよう指導。ぜんそくや糖尿病など持病がある人は医療機関で感染する恐れがあるため、医療機関に対して電話による診療、持病の薬を長期間使えるよう一度に処方することも求めている。
(読売新聞、2009年8月28日)
****** 毎日新聞、2009年8月28日
新型インフル:1日最大76万人が発症 厚労省試算
厚生労働省は28日、新型インフルエンザに国民の20%が罹患(りかん)した場合、ピーク時には1日に約76万2000人が発症し、約4万6400人が入院するとの「流行シナリオ」をまとめた。現状をシナリオに当てはめると、9月下旬~10月上旬にピークを迎える恐れがある。患者急増に備え、厚労省は同日、都道府県に夜間診療時間の延長や重症患者の受け入れルール策定などを要請した。
入院は1日4万6400人
流行シナリオは、国内外の感染の広がり方や季節性インフルエンザの流行パターンを参考に試算した。罹患率を20%(例年の季節性の2倍程度)と仮定すると、感染者が増え始めてから5週目に1日当たりの発症者が10万人を超え、9週目に最大になる。国立感染症研究所の推計では、今月17~23日の患者数は約15万人で、シナリオの3~4週目に相当し、「9週目」は9月下旬~10月上旬になる。
入院のピークは10週目。14週目まで1日1万人超の状態が続き、患者の0.15%の約3万8000人が重症化すると試算した。罹患率が30%の場合は、ピーク時の入院患者が6万9800人になる。
厚労省は、流行ピーク時も医療体制を維持できるよう▽診療所の時間延長や輪番制の夜間外来▽一般病床などを使った緊急時の定員超過入院▽隣県との医師派遣や重症患者受け入れルールの策定▽慢性疾患患者へのファクスによるインフルエンザ治療薬処方--などの準備を医療機関に求めた。【清水健二】
(毎日新聞、2009年8月28日)