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新規入局者の獲得競争では、地方大学産婦人科は相当な苦戦を強いられているようです。この逆風の中で、一人でも新規入局者を獲得できでば、値千金の大手柄です。研修受け入れ先の大学の関連病院としても、若手医師にとって魅力のある研修病院に大変身してゆく必要があると考えています。
3月23日に追加投稿
*********毎日新聞、社会ニュース(3月23日)
<産婦人科医>志望4割減 不規則勤務、訴訟リスク…
04年度に必修化された2年間の臨床研修制度を終えて4月から大学で産婦人科を専門に選ぶ若手医師は、制度発足前に比べ4割も減ることが日本産科婦人科学会(日産婦、武谷雄二理事長)の調査で分かった。勤務条件の悪さや出産トラブルによる訴訟が多いことが敬遠材料になっている。福島県立大野病院で起きた帝王切開手術中の死亡事故で、産婦人科医が業務上過失致死などの罪に問われ、学会内には「さらに希望者が減る」との懸念もある。
調査は今年1~2月に全国81大学の産婦人科医局を対象に実施した。研修を終え、4月以降に医局に入る医師数やその減少の理由を聞いた。
81大学の産婦人科医局に入局する医師は合計で210~212人と推計された。臨床研修制度の発足前の年間約350人に比べ4割減だった。
特に、北海道や東北、信越地区と九州の大学で減少が目立った。
志望者が減った理由について16大学は「臨床研修制度でほかの診療科を経験し、負担の多い診療科を敬遠するようになったため」と回答。夜間や休日の出勤が多いなど勤務条件の悪さや訴訟のリスクが高いことを挙げる回答も目立った。
「(勤務条件のいい)麻酔科や皮膚科、形成外科に人気が集中し、志望者の1人が麻酔科に変わった」(信州大)や「入局を勧めたが、(勤務がきついと)拒否された」(山口大)など、リクルートの難しさを指摘する意見も寄せられた。
(以下略)
(以上、毎日新聞より引用)
******* デーリー東北新聞社、2006年3月19日(日)
弘前大産婦人科教室への入局者3年連続ゼロ
弘前大医学部産婦人科学教室(旧・医局)への二〇〇六年四月の入局予定の医師がいず、〇四年度から三年連続で入局者ゼロとなる見通しであることが、十八日分かった。東北六県の大学医学部でも、入局予定者は合計で、わずか八人にとどまる。激務や医療訴訟の多さなどが背景にあり、産婦人科医不足はますます深刻な状況になっている。
同日、弘前市で開かれた青森県臨床産婦人科医会で、弘前大の横山良仁講師が明らかにした。
それによると、東北地方の医学部がある六大学の産婦人科学教室への〇六年四月の入局者見込みは、福島県立医科大が最多の四人、岩手医科大は二人、秋田大と山形大はそれぞれ一人。弘前大と東北大はともに三年連続で入局者がゼロだった。
全国的にみても、産婦人科へ入局予定の医師は二百十人。〇三年度の四百十五人と比べ、ほぼ半減する。また約三分の一が首都圏の大学に入局する見通しで、都市への偏在に拍車がかかる。
十八日の医会には約七十人が出席。医学生や研修医、医師の代表者が「産婦人科医獲得を目指して」をテーマに意見を発表した。
医学生は「忙しくて訴訟が多いというマイナスイメージが大きい」、「(産婦人科は)学生時代の実習で広く学ぶことが困難で、興味を持つことができない。改善が必要」と訴えた。医師からは「地域の偏在は何もしなかった厚生労働省のミス」、「安心して働くことができる環境をつくることが大事だ」と指摘した。
**********東奥日報 2006年3月19日(日)
産婦人科への新規入局 弘大ゼロ
二〇〇六年度、東北地方の六大学の医学部産婦人科に新規入局する若手医師は計八人にとどまり、うち弘前大学はゼロであることが日本産婦人科学会の調査で分かった。新規入局者は全国で二百十人と、三年前に比べ半減。地方大学の産婦人科が先細りする一方で、全体の三分の一余りの七十三人が東京都での勤務を予定しており、不均衡な一極集中も浮き彫りになった。
調査は三月で二年間の卒後臨床研修を修了する研修医の入局意向を把握するため、同学会が二月、全国八十一大学付属病院の教授、総医長、医局長に対しアンケート形式で実施した。回収率は100%。十八日に弘前市の弘前プラザホテルで開かれた「県臨床産婦人科医会」で、弘前大学医学部の産婦人科医師が発表した。
調査によると、来年度の医学部産婦人科入局見込み者は全国二百十人。二〇〇四-〇五年度は卒後臨床研修制度のスタートに伴い、全国的に新規入局者がいないため比較できないが、〇三年度の四百十五人に比べると半減した。地区別では東京都七十三人、関東(東京都を除く)二十八人、大阪府十人、中部三十六人、九州十四人、東北八人、北海道五人など。東北地方八人の内訳は弘前大学ゼロ、岩手医科大学二人、東北大学ゼロ、秋田大学一人、山形大学一人、福島県立医大四人となった。
〇一-〇三年度をみると、弘前大学は毎年三人ずつ入局し、東北六県では十八-二十四人の新規入局者がいただけに来年度は大きく減員することになる。これは過重勤務、訴訟の多さなどにより産婦人科を敬遠する傾向が強まったことや、研修先を選択できるようになった卒後臨床研修制度により、若手医師の都会志向や大学病院離れが一気に顕在化したものとみられる。