はじめに
近年、わが国においても食生活の欧米化や運動不足から肥満の人が増えています。肥満とは、単に体重が多いだけではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態を言います。肥満は、糖尿病や脂質異常症・高血圧症・心血管疾患などの生活習慣病をはじめとして数多くの疾患のもととなるため、健康づくりにおいて肥満の予防・対策は重要な位置づけを持ちます。
肥満度の判定には、国際的な標準指標であるBMI(Body Mass Index)=[体重(kg)]÷[身長(m)2]が用いられます。男女とも標準とされるBMIは22.0ですが、これは統計上、肥満との関連が強い糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)に最もかかりにくい数値とされています。
標準体重(kg)=身長(m)2×22
肥満の定義:脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)25以上のもの
肥満度の定義(日本肥満学会、2011)
なお、上記基準で肥満と判定された方でも、筋肉量が多く体脂肪率が正常の場合は、医学的にはダイエットの必要はありません。そういう方が無理にダイエットを実行すると筋肉が落ちてしまい、体脂肪率が上がって健康を害してしまうこともあり得ます。ダイエットの目的はあくまで余分な体脂肪を取り除くことにあり、単に体重を減らすことではありません。
ダイエットの目的
ダイエットの目的は単に体重を減らすことではなく、体についた余計な脂肪を減らすことにあります。脂肪は落とさずに筋肉と骨だけを落としてしまうような減量方法では、体重は減っても体脂肪率は逆に増加してしまい、肥満解消にはなりません。また、体の水分をぬいて急激に体重を減らすような減量方法では、脱水症状をきたし非常に危険です。このように非健康的な「間違ったダイエット方法」が巷にはあふれていますからくれぐれもご用心下さい。
脂肪はどこに蓄えられるのか?
体内の脂肪の量は、脂肪細胞に蓄えられている脂肪の総量です。人体の脂肪細胞の数は成人で250~300億個と言われています。肥満の場合、この一つ一つの脂肪細胞の中に蓄えられている脂肪の量が普通の3倍にもなります。さらに、この脂肪細胞の数が多くなればなるほど体脂肪の全体量も多くなり太りやすくなるわけです。人間は一生の間に3回脂肪細胞の数が増える時期があります。妊娠末期の胎児期、生後1年間、思春期の3回です。いったん増えた脂肪細胞の数を減らすのは難しいので、これらの3回の時期に脂肪細胞の数をできるだけ増やさないように気をつける必要があります。妊娠末期の胎児期に脂肪細胞の数が多くなり、生まれた後の肥満が運命づけられてしまう場合もあります。幼少期からの肥満は肥満細胞の数が多いタイプの肥満(細胞増殖型肥満)で、なかなかやせられず、やせても元に戻りやすい傾向があります。青年期にはやせていて中年以降に肥満となったいわゆる「中年太り」では、脂肪細胞の数は正常でそのサイズが肥大化しています(細胞肥大型肥満)。ダイエットには成功しやすいタイプの肥満です。
脂肪細胞の体内での役割は?
1. 必要なときに燃焼してエネルギーを補給する(備蓄エネルギー)
2. 体温保持などの断熱作用
3. 内臓を正常な位置に保つためのクッション
脂肪細胞は体を正常に維持するために欠かせないものです。体脂肪率10%以下では、環境の変化や暑さ寒さに弱く、細菌に対する免疫力も弱く、胃下垂になるなどの健康障害も多くなります。体脂肪率の正常値は、成人男性で15~20%、成人女性では20~25%程度といわれています。
人類の長い進化の歴史のほとんどの期間は飢餓との闘いだったと考えられます。狩猟民族の場合、獲物がとれなければ何日も絶食だったでしょうし、農耕民族の場合でも天候不順の年は収穫が無く飢え死に続出だったでしょう。だから、脂肪細胞の中に余剰エネルギーを備蓄する能力というのは人類がこの世に生き残ってゆくために授けられた非常に大切な能力だったと思います。現在の日本は、毎日3回の食料を確保できるのは当たり前の世の中です。原始時代では人類生き残りのためのサバイバル能力であったエネルギー備蓄能力が、今の世では余計な脂肪蓄積の元凶ともなっています。
肥満の原因
摂取エネルギー(食べた食物のエネルギー)が消費エネルギー(基礎代謝量+活動エネルギー)を上回ると、余ったエネルギーが脂肪に変えられて脂肪細胞の中に蓄えられます。肥満の原因は、摂取エネルギーが多すぎる(食べ過ぎ)か、消費エネルギーが少なすぎるか(運動不足)のいずれかです。
太りやすい体質の人と太りにくい体質の人は確かに存在します。同じ量を食べても、太ってしまう人もいれば、ちっとも太らない人もいます。太りやすい体質は遺伝的要因も大きいですが、さらに後天的な社会的・環境的要因も重要です。
また、早食いやどか食いの摂食パターンは肥満を招きやすく、精神的ストレスから過食に走ったり、ムードで食べ過ぎてしまう人も太りやすく、最大の太る原因は食習慣にあると言えます。食習慣は幼少時より長い時間かかって身についたものですから、それを改めるのは容易なことではありません。しかし、せっっかく苦労して減量しても、悪い食習慣を改めない限り、あっと言う間に元の木阿弥です。太る原因となる悪い食習慣はぜひとも改める必要があります。肥満解消を志す人はまず自分自身の食習慣をしつけ直す覚悟が必要です。
減量のリバウンド現象,ヨーヨー現象とは?
ダイエットがうまくいって、いったん減量に成功したとしても、その後再びもとの体重へ戻ってしまうという体重の「リバウンド現象」はよく経験します。ダイエット成功後に短期間で前よりもさらに太るというのはよくある話です。特に急激なダイエットで短期間に大幅に減量すると、体重がすぐに逆戻りしやすいことが知られています。リバウンド後は以前より筋肉が減り脂肪だけが増えていて、しかも脂肪がとれにくい状態になってしまってます。この減量とリバウンドというサイクルを幾度も繰り返す「ヨーヨー現象」(または「ウェイトサイクリング」)に陥ると、1度目よりも2度目と回を重ねる毎に、ますます減量しにくく、かつリバウンドしやすくなる方向に生体は変化していきます。これは、ダイエットを実行する前よりはるかに悪い状態です。やせることよりも、やせた状態をいかに維持するかの方が、はるかに重要で困難な問題です。やせた状態を維持するために絶対に必要なことは、太る原因となった食習慣を変えることです。減量で減らした体重をいかに維持するかが最重要事項です。ダイエット成功後、油断してはいけない期間は2年間です。特にダイエット成功後の半年間くらいは最も警戒すべき時期です。食事量には常に気を配り、体重が増加し始めたらすかさず運動量を増やすなどして早めに対処する必要があります。
減量後の体重維持は減量の程度が大きいほど困難です。現状から10%程度の減量でも成人病は著しく改善されますから、最初から理想体重を目指して挫折を繰り返すよりは、現在の不健康な状態から少しでも脱却できる実行可能な目標体重を設定してそれを確実にクリアしていく方が現実的でしょう。米国健康財団の健康体重に関する勧告では,まずは体重の10%程度の減量で十分としています。そしてこの体重を6カ月以上維持し、体重増加のないことを確認してから次のステップに移るようにとしています。
体重を減らす食事
食事療法は摂取エネルギーを少なくするのが基本ですが、人間が生きてゆくうえで必要最小限のエネルギー(基礎代謝量)は確保する必要があります。極端に食事量を減らし過ぎると、基礎代謝率が下がって減量困難となる上に、筋肉や骨格などにも影響し、無月経などの月経異常、貧血、低カリウム血症、肝機能異常、低血圧症、精神異常、まれには突然死すら招いたりします。ですから、食事療法を実行する際には、摂取エネルギーの量、バランスのとれた栄養が問題になります。
体脂肪1kgを燃焼させるためには、エネルギー収支の赤字を7200kcalつくる必要があります。一般に、脂肪1gを燃焼させるためには9.3kcalを消費する必要がありますが、実際には体脂肪には水分が含まれているので、体脂肪1g減らすための消費エネルギーは7.2kcalとなります。
例えば、1日に2400kcalのエネルギーを消費している人が1日の摂取エネルギーを1600kcalに落とした場合、1日あたりのエネルギー収支の赤字は800kcalですから、体脂肪を1kcal減らすには、7200÷800=9日かかります。これなら1カ月で3kgの減量に成功するはずです。
日常生活や仕事を普通にこなしながら減量する場合、1日の摂取エネルギーを男性1600kcal、女性1400kcalにし、1カ月3kg減を目標にゆっくり減量しましょう。
どんなに少なくする場合でも、男性は1500kcal、女性は1200kcalを必ずとるようにして下さい。ただし、肥満度40%を越える高度肥満の人では、入院して医師の管理下で1日の摂取エネルギーを男性1000kcal,女性800kcalとする厳重な減食療法が行われる場合もあります。
ダイエットの基本はあくまで食事制限にあります。1日の摂取エネルギーを正確に知るためには、どうしてもカロリー計算が必要になります。しかし、食材からカロリーを計算してゆくのは面倒です。メニューごとにカロリーを表示しているカロリーブックを使ってみるのも一つの方法です。外食の時どれくらい残したらいいのか判断したりするにも便利です。
肥満の人は、常日頃、摂取カロリー過剰で胃拡張の状態となっていて、食べ過ぎないと満足できない状態となってます。その悪い食習慣を断ち切らないかぎり、たとえいったん減量に成功しても、すぐに元の体重に戻ってしまいます。適正な食事量で満足できるように、気長に自分をしつける必要があります。
ダイエットには運動も必要
食事制限によるダイエットを開始すると、ちゃんと実行すれば、最初の1カ月間はおもしろいように体重が減少しますが、2カ月目にはいると体重の減少はほとんど止まります(適応現象)。これは体が少ない摂取エネルギーに合わせて基礎代謝量を低下させて消費エネルギーを減らそうとするために起こる現象です。ダイエットの途中で挫折する人の多くは、体重減少のみられないこの時期に減量をあきらめてしまうのです。
この適応現象を克服するために必要なのが運動なのです。運動をすると活動エネルギー消費に加えて基礎代謝量も増加します。さらに余剰エネルギーが脂肪に変換されにくくなります。適応現象を克服するために必要な1日運動量は300kcal程度とされています。およそ一万歩の歩行がこの運動量に当たります。
食事制限+運動がダイエットの基本
食事制限だけでは適応現象によって体重減少が止まる時期が何度もやってきます。そこで、さらに体重を減らすためには、より過酷な食事制限か、運動を加えるかのどちらかを選択しなければなりません。より過酷な食事制限は健康状態を悪化させてしまいます。食事制限はそのままにして、根気よく運動を続けて、何度も訪れる適応現象を克服してゆくことが大切です。運動で消費できるエネルギーはそれほど多いものではありません。食事制限なしで、運動だけで体重を減少させることはほとんど不可能です。運動で体脂肪1kgを減らすためには,7200kcalのエネルギーを消費する必要があり、これをウォーキングに換算すると24万歩分の運動で消費されるエネルギーで、ランニングだとマラソン3回分の消費エネルギーです。運動の前後に体重計の目盛りが減るのは発汗で体の水分が減った分がほとんどで、運動後に水を飲んだらすぐに元に戻ります。運動後に食欲が増進して普段より余分に食べてしまえば、むしろ体重は増えてしまいます。減量のためには、運動をしてなおかつ摂取カロリーもある程度は制限する必要があります。
ダイエット効果のある運動
適応現象を克服してゆくためには、1日300kcal程度消費する運動が必要ですが、具体的にいうと、歩行で75分、階段の昇りで40分、自転車こぎで1時間、水泳やなわとびで30分、これらの運動を継続した場合の消費エネルギー量が300kcalに相当します。300kcalというと,ビールなら大ビン1本と同じエネルギー量です。運動後にビール1杯飲めば消費エネルギーはプラスマイナスゼロとなってしまいますから用心してください。
ダイエットには、短距離走のような急激で激しい運動よりも、軽く汗ばむ程度の軽い全身運動を長く続けるほうが効果があります。運動開始直後は、エネルギー源として筋肉中のグリコーゲンや血液中のブドウ糖が使われますが、運動開始後15~20分たってから脂肪が使われるようになり、30分を経過すると使用されるエネルギーのほとんどが脂肪になります。そのため,脂肪を燃焼させるためには、30~60分くらいは運動を持続した方が効果的です。また、週1回程度の運動ではダイエット効果はほぼゼロに等しく、毎日継続して行える歩行などの軽い運動がダイエットには適しています。毎日継続できるかどうかが重要で、激しい運動は必要ありません。
体脂肪は,時間をかけてゆっくりと温めなければ燃焼が始まらず、しかも燃焼し続けるには多量の酸素を必要とします。脂肪を燃焼させるために一番効果のある運動が、大量の酸素を使う有酸素運動(酸素を取り入れながら行う運動)です。ウォーキング、スロージョッギング、水中ウォーキングなどです。
ダンベル体操などの筋肉トレーニングでは、筋肉を鍛えて筋肉の量が増え、基礎代謝量が増えることによって消費エネルギーが増加します。また、ダイエットの食事制限で、脂肪ばかりでなく筋肉なども減少してしまう可能性がありますから、筋肉を鍛えて筋肉減少を予防することは大切です。
要するに、ダイエットのためには、ウォーキングなどの有酸素運動を主とし、それを補う形でダンベル体操のような筋肉運動も併用するのがベストと考えられます。
ウォーキングのすすめ
ウォーキングは、誰でも気軽に始められて安全で故障の心配も少なく、健康維持や脂肪燃焼にも最適な万人向きの全身運動です。日常生活の中に、ウォーキングを積極的に取り入れて習慣化しましょう。
ジョッギングでは、足首、ひざ、腰に体重の3~4倍の衝撃が加わるため、ひざや腰などの故障を起こしやすいことが指摘されています。心臓への負担も大きく、ジョッギング中の突然死も少なくありません。ジョッギング提唱者のジム・フィックスさんも走行中に死亡しました。ジョッギングなどの激しい運動では、細胞に障害を与える活性酸素が体内で発生しやすく、健康作りや脂肪燃焼の目的のためには、むしろウォーキングやスロージョッギングなどのような『適度の運動』の方がむしろ効果が高いことが実証されています。『適度な運動』とは心拍数110~125/分程度を維持できる比較的軽い運動です。にこにこ笑いながら歩く程度の運動強度です。実は、これが最も効率的に体脂肪が燃焼する運動強度でもあります。運動強度がこれ以上になると糖質(グリコーゲン)が主なエネルギー源として使われ、これ以下では脂肪が十分に燃焼されません。
ウォーキングの目標:1日1万歩
フィットネス・ウォーキングの理想的なペースは、1分間に約100歩と言われています。このペースで1日1万歩というと、トータルで1日約100分のウォーキングが基準となるわけです。高度肥満の人の場合は、急にがんがん歩くと、関節痛や筋肉痛を起こしたり、心臓に異常をきたす危険さえあります。従って、最初は足腰への負担の少ない水中歩行やサイクリングなどから入り、ある程度体重を落としてからウォーキングに進むことをお勧めします。
ゆっくり気長に継続しましょう
ダイエットの食事は、カロリーを押さえた栄養バランスのよい食事を規則正しく食べるというのが王道で、これ以外には方法論はありません。しかし、栄養士がついているわけでもなく、カロリー計算なんてやってられません。そこで、具体的には例えば、『間食は一切止め、3度の食事を品数はいつもと同じにして、各品の量をいつもの2/3に減らす(外食の場合は各品を1/3づつ残す)』というような方法も有効です。これを気長に続けてゆけば確実に体重は落ちていくはずです。最初の2週間くらいは空腹感に悩まされますが、3週間目以降くらいになると胃も小さくなってきて空腹感は次第になくなります。これと1日1万歩のウォーキングを組み合わせて確実に実行してゆけば、1日当たり600~800kcal程度のエネルギー収支の赤字を作り出すことが可能です。これを継続すれば1カ月3kg程度の減量ペースが期待できます。方法論としては非常に単純なことです。実行すれば必ず成功するはずですから、これをゆっくり気長に継続しましょう。
内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満
以前は肥満とは皮下脂肪の蓄積と考えられていましたが,CT検査により肥満者(ときには肥満ではなくても)にはおなかの中の臓器の周囲に大量の脂肪が蓄積している人がいることが分かりました。このおなかの中に脂肪(内臓脂肪)がついた肥満を内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)、皮下脂肪の多い肥満を皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)に分けると、従来、肥満が引き金になると考えられていた糖尿病、高脂血症、高血圧、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)や動脈硬化など生活習慣病の多くは、実は皮下脂肪型ではなく、内臓脂肪型に多いことが分かりました。肥満と病気の研究は今や内臓脂肪の研究に絞られてきたと言っても過言ではありません。内臓に脂肪がたまってお腹ポッコリ(リンゴ型)の肥満の人は、腰回りなど下半身を中心に皮下脂肪が多くたまっている(洋ナシ形)の肥満の人よりも危険です。
リンゴ型肥満 洋ナシ型肥満
内臓脂肪こそ悪玉脂肪の最たるものだということです。この内臓脂肪は内臓の周囲や腸間膜の表面などに大量についていますが、その存在はCTで突き止める以外にありません。CTでへその部分を輪切りにすると白く映るのが筋肉で、脂肪は黒く見えます。内臓脂肪は皮下脂肪より目立ちにくいのですが、生活習慣病を招く危険性が高く、臨床的には、皮下脂肪の量よりも内臓脂肪の量の方がずっと問題視されています。内臓脂肪型肥満は、さまざまな疾患を合併しやすく、内科的治療の対象となる場合が少なくありません。
やせの大食い(褐色脂肪細胞の働き)
脂肪は脂肪細胞にためられますが、この脂肪細胞にはまったく働きの違う2種類があります。脂肪細胞のほとんどは白色脂肪細胞で、これは全身にあって余剰エネルギーの蓄積という役目を担っています。褐色脂肪細胞は余剰のエネルギーを消費する逆の働きを担っています。
褐色脂肪組織は、首の後ろ、背中の肩甲骨あたり、脇の下、心臓の周囲、腎臓の周りにあり、総量でも40g程度しかありません。褐色脂肪組織は交感神経系に支配され、熱を出してエネルギーを消費します。褐色脂肪組織は寒さから体を守るために働く他に、余計なエネルギーを燃やし肥満を防ぐ働きもしています。褐色脂肪細胞の働きの活発な人は脂肪がどんどん燃焼されて、いくら食べても太らない(やせの大食い) 体質の人です。逆に,褐色脂肪細胞の働きが悪ければ、脂肪がなかなか燃焼されず肥満につながりやすいということになります。やせの大食いは,この褐色脂肪組織が発達しているということで説明できると考えられます。もし、将来、この褐色脂肪細胞の働きを有効利用することが可能となれば、肥満解消の大きな助けになることも期待されます。
まとめ
肥満は、脂肪組織が過剰に蓄積した状態です。健康に問題がなければ治療の必要はありませんが、BMI:25以上で、肥満によって合併症が発症したり、健康に問題が生じたりしている場合は肥満症と診断され、減量が必要になります。過剰な脂肪の蓄積は、さまざまな病気に近づいている状態ともいえます。これからはBMIの数値と一緒に起こりうる合併症なども意識して、肥満を予防していく時代です。
参考:
内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満
メタボリックシンドロームの診断基準