ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

減量後のリバウンド

2021年01月06日 | ダイエット

いったん減量に成功してもその後体重が元に戻ってしまう現象リバウンドと言います。特に急激なダイエットで短期間に大幅に減量すると体重がすぐに逆戻りしやすいことが知られています。

ダイエットで減量すると脂肪とともに筋肉も必ず減ります。筋肉が減ると基礎代謝量が減少し、今まで消費していたエネルギーが消費できなくなるので脂肪が体につきやすくなります。これがリバウンドの主原因の一つとなります。減量とリバウンドのサイクルを幾度も繰り返すと、1度目よりも2度目と回を重ねる毎に筋肉が減少して脂肪が増え、ますます体重が増えていきます。

やせることよりも、やせた状態をいかに維持するかの方が、はるかに重要で困難な問題です。ダイエット成功後の半年間くらいは最も警戒すべき時期です。食事量には常に気を配り、体重が増加し始めたらすかさず運動量を増して早め早めに対処する必要があります。

減量後の体重維持は減量の程度が大きいほど困難です。最初から理想体重を目指して挫折を繰り返すよりは、実行可能な目標体重を設定してそれを確実にクリアしていく方が現実的です。とりあえずの目標達成後はその体重を6カ月以上維持して体重増加のないことを確認してから次のステップに移ることが勧められます。

  月別体重変化

  週別体重変化

  日別体重変化

肥満とダイエットの基礎知識
内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満
メタボリックシンドロームの診断基準
ダイエット効果のある運動は?
体重管理アプリ
お勧めのダイエット本(最後のダイエット)


お勧めのダイエット本

2021年01月01日 | ダイエット

最後のダイエット(石川善樹著)というダイエット本が、たまたまaudiobook.jpの聴き放題作品の中に入っていたので、9月の入会直後に試しに本書をダウンロードして聴いてみました。

多くの人がダイエットに取り組み、気合と根性で一時的に減量に成功しますが、そのほとんどの人がリバウンドしてダイエット開始前よりも体重が増えてしまいます(図1)。そして多くの人はダイエットをやればやるほど太っていきます(図2)。その原因は、ダイエットや加齢の影響で筋肉量が減って基礎代謝量(安静時に生命維持のために消費される必要最小限のエネルギー代謝量)が減るため、一時的なダイエット成功後に生活習慣を元に戻すとすぐに体重が元より増えてしまいます(図3)。本来、ダイエットに成功するとは減量後にその体重を維持できることであり、ダイエットは減量期間維持期間をセットで考える必要があります(図4)。

私は若い時から年末の職場健診を目標に短期間で10kg前後の減量をするのを年中行事としてました。その結果として年々体重が増加し(30年間で20kg増)、この本に書いてある通りの典型的な経過(ウエイトサイクリング)をたどりました。

実際問題として、ダイエットは減量期間よりも維持期間の方がはるかに難しいと思います。世にあふれているダイエット本はこの減量期間の方法論について記載されているものがほとんどで、減量に成功した後の維持期の重要性を強調している本書は非常に参考になります。もしも本書のアドバイスに従って維持期を1年間持続することができれば、その生活様式が新しい生活習慣となって、減量した体重を一生維持することが可能となる筈なので、今回が人生最後のダイエットとなることも期待されます。

最後のダイエット audiobook.jp
最後のダイエット Kindle版

参照:
肥満とダイエットの基礎知識
内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満
メタボリックシンドロームの診断基準
ダイエット効果のある運動は?
体重管理アプリ


体重管理アプリ

2020年12月21日 | ダイエット

RecStyleというスマホの体重管理アプリを使用してます。このアプリを使い始めたのが2020年8月28日で、その時の体重が82.1kgでした。直近の体重が74.6kgで、17週間で7.5kgの体重減少なので、週平均0.44kgの減少、月平均だと1.8kg程度の減少です。年初の体重が85kg程度だったので、この一年で約10kg程度の体重減少です。このアプリは非常にシンプルで使いやすく、3日坊主の私でも半年間続いてます。半年前に28.4だったBMIがやっと25.8まで下がってきて、BMI:25.0の目標にもう少しで到達できそうな状況です。実のところ、ダイエットは目標達成後の体重維持が一番難しいです。一時的にダイエットに成功しても、ほとんどの人がその後にリバウンドしてます。今までの私もそうでした。これからも毎日体重を記録し続けることが非常に重要だと思ってます。


本日の散歩

2020年11月13日 | ダイエット

1年ほど前から地元の公営温泉プール(ほっ湯アップル)の水中フィットネス教室に週2回(月・木)通い始めました。コーチの指導で50分間水中で体をいろいろ動かします。運動の後に温泉でリラックスして帰宅すると疲れてよく眠れます。土日は自主練習してますので、ほぼ1日おきにプールに通ってます。先月はほっ湯アップルの改修工事のため1カ月ほど教室がお休みだったので、水中フィットネスのかわりに、早起きしてウォーキングやスロージョッギングなどを始めました。アップルウォッチで歩数を計測して1日2万歩を目標にしてます。ここのところ体重も少し減ってきて歩きやすくなってきたので、休日には登山も始めました。登山をすると1日3万歩近くになります。ほっ湯アップルの改修工事も終了したので、今月から水中フィットネス教室も再開されました。教室仲間は地元の運動好きの六十代~七十代のおじいさん・おばあさん方で、コーチのお姉さんの御指導の元、楽しくやってます。できれば百歳まで続けたいです。


内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満

2020年08月31日 | ダイエット

肥満は内臓脂肪型肥満皮下脂肪型肥満に分かれます。


  リンゴ型肥満、洋ナシ型肥満

内臓脂肪型肥満は、腹腔内の腸間膜などに脂肪が過剰に蓄積しているタイプの肥満で、下半身よりもウェストまわりが大きくなるその体型からリンゴ型肥満とも呼ばれます。中年以降の男性に多く見られます。内臓脂肪型肥満が原因で、高血糖・脂質異常・高血圧などを発症した状態がメタボリックシンドロームです。内臓脂肪の蓄積を防ぐことが、糖尿病、高脂血症、高血圧、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)や動脈硬化などの生活習慣病の予防につながると考えられます。内臓脂肪はつきやすく減りやすいといわれています。

日本のメタボリックシンドロームの診断基準では、内臓脂肪の蓄積を必須項目としています。この場合の内臓脂肪蓄積とは、CTスキャンでおへその位置で体を輪切りにしたときの内臓脂肪面積が100cm2を超えているものを指し、これに相当する簡便な目安としてウェスト周囲径(男性85cm以上、女性90cm以上)が採用されています。

皮下脂肪型肥満主に皮下組織に脂肪が蓄積するタイプの肥満で、お尻や太ももなど下半身の肉づきが良くなるその体型から洋ナシ型肥満(下半身型肥満)とも呼ばれ、女性に比較的多くみられます。日本におけるメタボリックシンドロームの診断基準で女性のウェスト周囲径の基準値が男性より大きい値となっているのも、女性の方が皮下脂肪のつきやすい傾向があるためです。皮下脂肪は内臓脂肪に比べていったんついてしまうとなかなか減らしにくい面があります。

参考:
肥満とダイエットの基礎知識
メタボリックシンドロームの診断基準

参考サイト:メタボリックシンドローム、e-ヘルスネット(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/)、厚生労働省、2019


メタボリックシンドロームの診断基準

2020年08月29日 | ダイエット

内臓脂肪症候群(metabolic syndrome)
診断基準

メタボリックシンドロームは、内臓脂肪蓄積を基盤として血圧や血糖、血清脂質の異常をひきおこす病態と考えられています。つまり、内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)をきっかけに脂質異常、高血糖、高血圧となる状態です。運動不足・食べすぎなどの長年の生活習慣の積み重ねが原因である場合が多く、日本では、ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性85cm・女性90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れるとメタボリックシンドロームと診断されます。生活習慣の見直し・改善によりメタボリックシンドロームを解消しましょう。

メタボリックシンドロームの診断基準(2005)
日本内科学会などの8つの医学系学会が合同して策定

  • CTスキャンなどで内臓脂肪量測定を行うことが望ましい。
  • ウエスト径は立位・軽呼気時・臍レベルで測定する。脂肪蓄積が著明で臍が下方に偏位している場合は肋骨下縁と前上腸骨棘の中点の高さで測定する。
  • メタボリックシンドロームと診断された場合、糖負荷試験がすすめられるが診断には必須ではない。
  • 高トリグリセライド血症・低HDLコレステロール血症・高血圧・糖尿病に対する薬剤治療を受けている場合は、それぞれの項目に含める。
  • 糖尿病、高コレステロール血症の存在はメタボリックシンドロームの診断から除外されない。

引用:山岸 良匡、メタボリックシンドロームの診断基準、e-ヘルスネット(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/)、厚生労働省、2019

参考:肥満とダイエットの基礎知識


肥満とダイエットの基礎知識

2020年08月24日 | ダイエット

はじめに
近年、わが国においても食生活の欧米化や運動不足から肥満の人が増えています。肥満とは、単に体重が多いだけではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態を言います。肥満は、糖尿病や脂質異常症・高血圧症・心血管疾患などの生活習慣病をはじめとして数多くの疾患のもととなるため、健康づくりにおいて肥満の予防・対策は重要な位置づけを持ちます。

肥満度の判定には、国際的な標準指標であるBMI(Body Mass Index)=[体重(kg)]÷[身長(m)2が用いられます。男女とも標準とされるBMI22.0ですが、これは統計上、肥満との関連が強い糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)に最もかかりにくい数値とされています。

標準体重(kg)=身長(m)2×22
肥満の定義:脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)25以上のもの

肥満度の定義(日本肥満学会、2011)

なお、上記基準で肥満と判定された方でも、筋肉量が多く体脂肪率が正常の場合は、医学的にはダイエットの必要はありません。そういう方が無理にダイエットを実行すると筋肉が落ちてしまい、体脂肪率が上がって健康を害してしまうこともあり得ます。ダイエットの目的はあくまで余分な体脂肪を取り除くことにあり、単に体重を減らすことではありません。

ダイエットの目的
ダイエットの目的は単に体重を減らすことではなく、体についた余計な脂肪を減らすことにあります。脂肪は落とさずに筋肉と骨だけを落としてしまうような減量方法では、体重は減っても体脂肪率は逆に増加してしまい、肥満解消にはなりません。また、体の水分をぬいて急激に体重を減らすような減量方法では、脱水症状をきたし非常に危険です。このように非健康的な「間違ったダイエット方法」が巷にはあふれていますからくれぐれもご用心下さい。

脂肪はどこに蓄えられるのか?
体内の脂肪の量は、脂肪細胞に蓄えられている脂肪の総量です。人体の脂肪細胞の数は成人で250~300億個と言われています。肥満の場合、この一つ一つの脂肪細胞の中に蓄えられている脂肪の量が普通の3倍にもなります。さらに、この脂肪細胞の数が多くなればなるほど体脂肪の全体量も多くなり太りやすくなるわけです。人間は一生の間に3回脂肪細胞の数が増える時期があります。妊娠末期の胎児期、生後1年間、思春期の3回です。いったん増えた脂肪細胞の数を減らすのは難しいので、これらの3回の時期に脂肪細胞の数をできるだけ増やさないように気をつける必要があります。妊娠末期の胎児期に脂肪細胞の数が多くなり、生まれた後の肥満が運命づけられてしまう場合もあります。幼少期からの肥満は肥満細胞の数が多いタイプの肥満(細胞増殖型肥満)で、なかなかやせられず、やせても元に戻りやすい傾向があります。青年期にはやせていて中年以降に肥満となったいわゆる「中年太り」では、脂肪細胞の数は正常でそのサイズが肥大化しています(細胞肥大型肥満)。ダイエットには成功しやすいタイプの肥満です。

脂肪細胞の体内での役割は?
1. 必要なときに燃焼してエネルギーを補給する(備蓄エネルギー)
2. 体温保持などの断熱作用
3. 内臓を正常な位置に保つためのクッション

脂肪細胞は体を正常に維持するために欠かせないものです。体脂肪率10%以下では、環境の変化や暑さ寒さに弱く、細菌に対する免疫力も弱く、胃下垂になるなどの健康障害も多くなります。体脂肪率の正常値は、成人男性で15~20%、成人女性では20~25%程度といわれています。

人類の長い進化の歴史のほとんどの期間は飢餓との闘いだったと考えられます。狩猟民族の場合、獲物がとれなければ何日も絶食だったでしょうし、農耕民族の場合でも天候不順の年は収穫が無く飢え死に続出だったでしょう。だから、脂肪細胞の中に余剰エネルギーを備蓄する能力というのは人類がこの世に生き残ってゆくために授けられた非常に大切な能力だったと思います。現在の日本は、毎日3回の食料を確保できるのは当たり前の世の中です。原始時代では人類生き残りのためのサバイバル能力であったエネルギー備蓄能力が、今の世では余計な脂肪蓄積の元凶ともなっています。

肥満の原因
摂取エネルギー(食べた食物のエネルギー)が消費エネルギー(基礎代謝量+活動エネルギー)を上回ると、余ったエネルギーが脂肪に変えられて脂肪細胞の中に蓄えられます。肥満の原因は、摂取エネルギーが多すぎる(食べ過ぎ)か、消費エネルギーが少なすぎるか(運動不足)のいずれかです。

太りやすい体質の人と太りにくい体質の人は確かに存在します。同じ量を食べても、太ってしまう人もいれば、ちっとも太らない人もいます。太りやすい体質は遺伝的要因も大きいですが、さらに後天的な社会的・環境的要因も重要です。

また、早食いやどか食いの摂食パターンは肥満を招きやすく、精神的ストレスから過食に走ったり、ムードで食べ過ぎてしまう人も太りやすく、最大の太る原因は食習慣にあると言えます。食習慣は幼少時より長い時間かかって身についたものですから、それを改めるのは容易なことではありません。しかし、せっっかく苦労して減量しても、悪い食習慣を改めない限り、あっと言う間に元の木阿弥です。太る原因となる悪い食習慣はぜひとも改める必要があります。肥満解消を志す人はまず自分自身の食習慣をしつけ直す覚悟が必要です。

減量のリバウンド現象,ヨーヨー現象とは?
ダイエットがうまくいって、いったん減量に成功したとしても、その後再びもとの体重へ戻ってしまうという体重の「リバウンド現象」はよく経験します。ダイエット成功後に短期間で前よりもさらに太るというのはよくある話です。特に急激なダイエットで短期間に大幅に減量すると、体重がすぐに逆戻りしやすいことが知られています。リバウンド後は以前より筋肉が減り脂肪だけが増えていて、しかも脂肪がとれにくい状態になってしまってます。この減量とリバウンドというサイクルを幾度も繰り返す「ヨーヨー現象」(または「ウェイトサイクリング」)に陥ると、1度目よりも2度目と回を重ねる毎に、ますます減量しにくく、かつリバウンドしやすくなる方向に生体は変化していきます。これは、ダイエットを実行する前よりはるかに悪い状態です。やせることよりも、やせた状態をいかに維持するかの方が、はるかに重要で困難な問題です。やせた状態を維持するために絶対に必要なことは、太る原因となった食習慣を変えることです。減量で減らした体重をいかに維持するかが最重要事項です。ダイエット成功後、油断してはいけない期間は2年間です。特にダイエット成功後の半年間くらいは最も警戒すべき時期です。食事量には常に気を配り、体重が増加し始めたらすかさず運動量を増やすなどして早めに対処する必要があります。

減量後の体重維持は減量の程度が大きいほど困難です。現状から10%程度の減量でも成人病は著しく改善されますから、最初から理想体重を目指して挫折を繰り返すよりは、現在の不健康な状態から少しでも脱却できる実行可能な目標体重を設定してそれを確実にクリアしていく方が現実的でしょう。米国健康財団の健康体重に関する勧告では,まずは体重の10%程度の減量で十分としています。そしてこの体重を6カ月以上維持し、体重増加のないことを確認してから次のステップに移るようにとしています。

体重を減らす食事 
食事療法は摂取エネルギーを少なくするのが基本ですが、人間が生きてゆくうえで必要最小限のエネルギー(基礎代謝量)は確保する必要があります。極端に食事量を減らし過ぎると、基礎代謝率が下がって減量困難となる上に、筋肉や骨格などにも影響し、無月経などの月経異常、貧血、低カリウム血症、肝機能異常、低血圧症、精神異常、まれには突然死すら招いたりします。ですから、食事療法を実行する際には、摂取エネルギーの量、バランスのとれた栄養が問題になります。

体脂肪1kgを燃焼させるためには、エネルギー収支の赤字を7200kcalつくる必要があります。一般に、脂肪1gを燃焼させるためには9.3kcalを消費する必要がありますが、実際には体脂肪には水分が含まれているので、体脂肪1g減らすための消費エネルギーは7.2kcalとなります。

例えば、1日に2400kcalのエネルギーを消費している人が1日の摂取エネルギーを1600kcalに落とした場合、1日あたりのエネルギー収支の赤字は800kcalですから、体脂肪を1kcal減らすには、7200÷800=9日かかります。これなら1カ月で3kgの減量に成功するはずです。

日常生活や仕事を普通にこなしながら減量する場合、1日の摂取エネルギーを男性1600kcal、女性1400kcalにし、1カ月3kg減を目標にゆっくり減量しましょう。

どんなに少なくする場合でも、男性は1500kcal、女性は1200kcalを必ずとるようにして下さい。ただし、肥満度40%を越える高度肥満の人では、入院して医師の管理下で1日の摂取エネルギーを男性1000kcal,女性800kcalとする厳重な減食療法が行われる場合もあります。

ダイエットの基本はあくまで食事制限にあります。1日の摂取エネルギーを正確に知るためには、どうしてもカロリー計算が必要になります。しかし、食材からカロリーを計算してゆくのは面倒です。メニューごとにカロリーを表示しているカロリーブックを使ってみるのも一つの方法です。外食の時どれくらい残したらいいのか判断したりするにも便利です。

肥満の人は、常日頃、摂取カロリー過剰で胃拡張の状態となっていて、食べ過ぎないと満足できない状態となってます。その悪い食習慣を断ち切らないかぎり、たとえいったん減量に成功しても、すぐに元の体重に戻ってしまいます。適正な食事量で満足できるように、気長に自分をしつける必要があります。

ダイエットには運動も必要
食事制限によるダイエットを開始すると、ちゃんと実行すれば、最初の1カ月間はおもしろいように体重が減少しますが、2カ月目にはいると体重の減少はほとんど止まります(適応現象)。これは体が少ない摂取エネルギーに合わせて基礎代謝量を低下させて消費エネルギーを減らそうとするために起こる現象です。ダイエットの途中で挫折する人の多くは、体重減少のみられないこの時期に減量をあきらめてしまうのです。

この適応現象を克服するために必要なのが運動なのです。運動をすると活動エネルギー消費に加えて基礎代謝量も増加します。さらに余剰エネルギーが脂肪に変換されにくくなります。適応現象を克服するために必要な1日運動量は300kcal程度とされています。およそ一万歩の歩行がこの運動量に当たります。

食事制限+運動がダイエットの基本
食事制限だけでは適応現象によって体重減少が止まる時期が何度もやってきます。そこで、さらに体重を減らすためには、より過酷な食事制限か、運動を加えるかのどちらかを選択しなければなりません。より過酷な食事制限は健康状態を悪化させてしまいます。食事制限はそのままにして、根気よく運動を続けて、何度も訪れる適応現象を克服してゆくことが大切です。運動で消費できるエネルギーはそれほど多いものではありません。食事制限なしで、運動だけで体重を減少させることはほとんど不可能です。運動で体脂肪1kgを減らすためには,7200kcalのエネルギーを消費する必要があり、これをウォーキングに換算すると24万歩分の運動で消費されるエネルギーで、ランニングだとマラソン3回分の消費エネルギーです。運動の前後に体重計の目盛りが減るのは発汗で体の水分が減った分がほとんどで、運動後に水を飲んだらすぐに元に戻ります。運動後に食欲が増進して普段より余分に食べてしまえば、むしろ体重は増えてしまいます。減量のためには、運動をしてなおかつ摂取カロリーもある程度は制限する必要があります。

ダイエット効果のある運動
適応現象を克服してゆくためには、1日300kcal程度消費する運動が必要ですが、具体的にいうと、歩行で75分、階段の昇りで40分、自転車こぎで1時間、水泳やなわとびで30分、これらの運動を継続した場合の消費エネルギー量が300kcalに相当します。300kcalというと,ビールなら大ビン1本と同じエネルギー量です。運動後にビール1杯飲めば消費エネルギーはプラスマイナスゼロとなってしまいますから用心してください。

ダイエットには、短距離走のような急激で激しい運動よりも、軽く汗ばむ程度の軽い全身運動を長く続けるほうが効果があります。運動開始直後は、エネルギー源として筋肉中のグリコーゲンや血液中のブドウ糖が使われますが、運動開始後15~20分たってから脂肪が使われるようになり、30分を経過すると使用されるエネルギーのほとんどが脂肪になります。そのため,脂肪を燃焼させるためには、30~60分くらいは運動を持続した方が効果的です。また、週1回程度の運動ではダイエット効果はほぼゼロに等しく、毎日継続して行える歩行などの軽い運動がダイエットには適しています。毎日継続できるかどうかが重要で、激しい運動は必要ありません。

体脂肪は,時間をかけてゆっくりと温めなければ燃焼が始まらず、しかも燃焼し続けるには多量の酸素を必要とします。脂肪を燃焼させるために一番効果のある運動が、大量の酸素を使う有酸素運動(酸素を取り入れながら行う運動)です。ウォーキング、スロージョッギング、水中ウォーキングなどです。

ダンベル体操などの筋肉トレーニングでは、筋肉を鍛えて筋肉の量が増え、基礎代謝量が増えることによって消費エネルギーが増加します。また、ダイエットの食事制限で、脂肪ばかりでなく筋肉なども減少してしまう可能性がありますから、筋肉を鍛えて筋肉減少を予防することは大切です。

要するに、ダイエットのためには、ウォーキングなどの有酸素運動を主とし、それを補う形でダンベル体操のような筋肉運動も併用するのがベストと考えられます。

ウォーキングのすすめ
ウォーキングは、誰でも気軽に始められて安全で故障の心配も少なく、健康維持や脂肪燃焼にも最適な万人向きの全身運動です。日常生活の中に、ウォーキングを積極的に取り入れて習慣化しましょう。

ジョッギングでは、足首、ひざ、腰に体重の3~4倍の衝撃が加わるため、ひざや腰などの故障を起こしやすいことが指摘されています。心臓への負担も大きく、ジョッギング中の突然死も少なくありません。ジョッギング提唱者のジム・フィックスさんも走行中に死亡しました。ジョッギングなどの激しい運動では、細胞に障害を与える活性酸素が体内で発生しやすく、健康作りや脂肪燃焼の目的のためには、むしろウォーキングやスロージョッギングなどのような『適度の運動』の方がむしろ効果が高いことが実証されています。『適度な運動』とは心拍数110~125/分程度を維持できる比較的軽い運動です。にこにこ笑いながら歩く程度の運動強度です。実は、これが最も効率的に体脂肪が燃焼する運動強度でもあります。運動強度がこれ以上になると糖質(グリコーゲン)が主なエネルギー源として使われ、これ以下では脂肪が十分に燃焼されません。

ウォーキングの目標:1日1万歩
フィットネス・ウォーキングの理想的なペースは、1分間に約100歩と言われています。このペースで1日1万歩というと、トータルで1日約100分のウォーキングが基準となるわけです。高度肥満の人の場合は、急にがんがん歩くと、関節痛や筋肉痛を起こしたり、心臓に異常をきたす危険さえあります。従って、最初は足腰への負担の少ない水中歩行やサイクリングなどから入り、ある程度体重を落としてからウォーキングに進むことをお勧めします。

ゆっくり気長に継続しましょう
ダイエットの食事は、カロリーを押さえた栄養バランスのよい食事を規則正しく食べるというのが王道で、これ以外には方法論はありません。しかし、栄養士がついているわけでもなく、カロリー計算なんてやってられません。そこで、具体的には例えば、『間食は一切止め、3度の食事を品数はいつもと同じにして、各品の量をいつもの2/3に減らす(外食の場合は各品を1/3づつ残す)』というような方法も有効です。これを気長に続けてゆけば確実に体重は落ちていくはずです。最初の2週間くらいは空腹感に悩まされますが、3週間目以降くらいになると胃も小さくなってきて空腹感は次第になくなります。これと1日1万歩のウォーキングを組み合わせて確実に実行してゆけば、1日当たり600~800kcal程度のエネルギー収支の赤字を作り出すことが可能です。これを継続すれば1カ月3kg程度の減量ペースが期待できます。方法論としては非常に単純なことです。実行すれば必ず成功するはずですから、これをゆっくり気長に継続しましょう。

内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満
以前は肥満とは皮下脂肪の蓄積と考えられていましたが,CT検査により肥満者(ときには肥満ではなくても)にはおなかの中の臓器の周囲に大量の脂肪が蓄積している人がいることが分かりました。このおなかの中に脂肪(内臓脂肪)がついた肥満を内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)、皮下脂肪の多い肥満を皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)に分けると、従来、肥満が引き金になると考えられていた糖尿病、高脂血症、高血圧、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)や動脈硬化など生活習慣病の多くは、実は皮下脂肪型ではなく、内臓脂肪型に多いことが分かりました。肥満と病気の研究は今や内臓脂肪の研究に絞られてきたと言っても過言ではありません。内臓に脂肪がたまってお腹ポッコリ(リンゴ型)の肥満の人は、腰回りなど下半身を中心に皮下脂肪が多くたまっている(洋ナシ形)の肥満の人よりも危険です。


   リンゴ型肥満    洋ナシ型肥満

内臓脂肪こそ悪玉脂肪の最たるものだということです。この内臓脂肪は内臓の周囲や腸間膜の表面などに大量についていますが、その存在はCTで突き止める以外にありません。CTでへその部分を輪切りにすると白く映るのが筋肉で、脂肪は黒く見えます。内臓脂肪は皮下脂肪より目立ちにくいのですが、生活習慣病を招く危険性が高く、臨床的には、皮下脂肪の量よりも内臓脂肪の量の方がずっと問題視されています。内臓脂肪型肥満は、さまざまな疾患を合併しやすく、内科的治療の対象となる場合が少なくありません。

やせの大食い(褐色脂肪細胞の働き)
脂肪は脂肪細胞にためられますが、この脂肪細胞にはまったく働きの違う2種類があります。脂肪細胞のほとんどは白色脂肪細胞で、これは全身にあって余剰エネルギーの蓄積という役目を担っています。褐色脂肪細胞は余剰のエネルギーを消費する逆の働きを担っています。

褐色脂肪組織は、首の後ろ、背中の肩甲骨あたり、脇の下、心臓の周囲、腎臓の周りにあり、総量でも40g程度しかありません。褐色脂肪組織は交感神経系に支配され、熱を出してエネルギーを消費します。褐色脂肪組織は寒さから体を守るために働く他に、余計なエネルギーを燃やし肥満を防ぐ働きもしています。褐色脂肪細胞の働きの活発な人は脂肪がどんどん燃焼されて、いくら食べても太らない(やせの大食い) 体質の人です。逆に,褐色脂肪細胞の働きが悪ければ、脂肪がなかなか燃焼されず肥満につながりやすいということになります。やせの大食いは,この褐色脂肪組織が発達しているということで説明できると考えられます。もし、将来、この褐色脂肪細胞の働きを有効利用することが可能となれば、肥満解消の大きな助けになることも期待されます。

まとめ
肥満は、脂肪組織が過剰に蓄積した状態です。健康に問題がなければ治療の必要はありませんが、BMI:25以上で、肥満によって合併症が発症したり、健康に問題が生じたりしている場合は肥満症と診断され、減量が必要になります。過剰な脂肪の蓄積は、さまざまな病気に近づいている状態ともいえます。これからはBMIの数値と一緒に起こりうる合併症なども意識して、肥満を予防していく時代です。

参考:
内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満
メタボリックシンドロームの診断基準

 


昔のヨガ本コレクション

2013年08月10日 | ダイエット

だいぶ昔、名大理学部に在学中(二十歳頃)、大学のヨガ研究会というサークルに所属し、合宿に参加したりしてヨガ修行に興味を持っていた一時期がありました。その後の人生行路では西洋医学や漢方などを学ぶ道を選ぶこととなり、久しくヨガに対する興味は全く失っておりましたが、昔のヨガ関連の愛読書の復刻版や中古本をamazonで見つけ出して、最近、いくつか購入してみました。時々、なつかしい気持ちでページをめくって眺めております。

佐保田鶴治著 ヨーガのすすめ 1967年
佐保田鶴治著 ヨーガ入門 1975年
番場一雄著 ヨーガ 1978年
番場一雄著 ヨーガのすべて 1982年
番場一雄 新・ヨーガのすすめ 1992年
沖正弘著 ヨガのすすめ 1971年
沖正弘著 ヨガ修正行法 1978年

佐保田鶴治氏は、インド哲学の研究者で大阪大学教授を60歳で定年退官した後にヨガを始められて、87歳で亡くなられました。

番場一雄氏は、佐保田鶴治氏のお弟子さんで、若い時からヨガ修行に邁進された有名なヨガの先生です。66歳の時に急に体調不良で亡くなられたそうです。

沖正弘氏も有名なヨガの先生です。日本にヨガを紹介した草分け的存在で、ヨガ関係の著書が多数あり、お弟子さんが大勢いらっしゃいます。亡くなられたのは64歳だったそうです。

こうして有名なヨガの達人の先生方の没年齢を見てみますと、ヨガの達人が必ずしも健康長寿を全うするというわけでもないことがわかります。もしかしたら、ヨガ修行年数とその人の寿命とはあまり密接な関係がないのかもしれません。

私は、中学~高校時代、陸上競技部に所属し長距離走が専門でした。名大時代の趣味はサイクリングで、名古屋市内に住んでましたが、地下鉄やバスなどはほとんど利用しないで、市内のどこに行くにもランニングか自転車で済ませてました。思えば、その頃は今よりも約15kg体重は軽く、はるかにスリムな体型でした。ヨガのポーズも今よりはずっとやりやすい体型でした。自分の二十歳頃の体型を目指してみたいと思います。

昔のヨガ本コレクションも一式揃ったので、無理をしない範囲で、またヨガもやってみたいと思ってます。

****** 昔のヨガ本コレクション

Yoga

****** 番場一雄著 ヨーガのすべて 1982年

Yoga1


低炭水化物ダイエット(経過報告)

2013年03月17日 | ダイエット

1年ほど前から低炭水化物ダイエットを続けてます。 今のところ、減量後のリバウンドはなんとか回避できております。低炭水化物ダイエットとは、ごはん、パン、うどんなどの主食の摂取を制限し、カロリー不足分は野菜、肉、魚、チーズ、豆腐などのおかずの方で摂取するという方法です。めんどうなカロリー計算は不要なので実行しやすいというメリットがあります。おかずでお腹がいっぱいになるので、そんなに辛くありません。実行しやすく、比較的短期間で効果が出やすいことから、私の周囲でも、低炭水化物ダイエットを実行している人は多いです。

炭水化物は短時間で吸収されやすいので、炭水化物を摂取した後は血糖値が急激に上がり、血糖値を下げるために膵臓からインシュリンが分泌されます。インシュリンは血中の糖分を細胞の中に脂肪として取り込むことによって血糖値を下げようとするので、炭水化物摂取の比率が多いと脂肪が体内にたまりやすい体質となります。一方、蛋白質や脂質は吸収に時間がかかるので、インシュリンの分泌量も少なくて済みます。また、炭水化物摂取量を制限して必要なカロリーを炭水化物でまかなえない場合は、膵臓からグルカゴンが分泌され、余分な脂肪を分解し、エネルギーとして使います。その結果、基礎代謝が高くなり、体脂肪を燃焼しやすい体質となります。以上が、低炭水化物ダイエット(アトキンスのローカーボダイエット)の考え方です。具体的には、アトキンスのローカーボダイエットでは、通常200~300gである炭水化物の摂取量を20~40gと非常に少なくし、糖分の代わりに脂肪がエネルギーとして使われる状態に誘導します。

しかし、この低炭水化物(糖質制限)ダイエットに関しては専門家の間でも賛否両論があり、日本糖尿病学会も「極端な糖質制限は健康被害をもたらす危険がある」と警告してます。参考: 体重管理XIV 「極端な糖質制限は健康被害をもたらす危険がある」(日本糖尿病学会) 北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟先生は、1日70~130グラムの緩やかな糖質制限を推奨し、「ケトン体の危険性は否定し切れないので、1日50グラム以下の極端な制限はやめたほうがいい。緩やかに行えば健康に心配はないが、血糖値や脂質、尿素窒素などの定期的なチェックは必要」と注意しています。糖尿病で腎症を発症している場合は厳禁で、薬物治療を行っている患者は糖質制限で低血糖に陥る危険もあります。特に糖尿病治療中の方は主治医の先生と十分に御相談になってください。

***** 定番の昼食メニュー

野菜サラダ2皿、豆乳1パック、さけるチーズ2個

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糖質制限(低炭水化物)ダイエットについて

2013年01月06日 | ダイエット

1年前のお正月頃は生涯最高体重記録を更新し、ついに着る服がなくなってしまって、やむなくAOKIに行ってスーツを2着新調しました。しかし、その新調したスーツがほとんど袖も通してないうちにブカブカになってしまったので、最近、AOYAMAに行ってまた新しいスーツを新調しました。

私が糖質制限(低炭水化物)ダイエットを開始したのは昨年2月頃で、開始直後の2ヶ月間で約10kg程度減量でき、そのあと減量した体重を一応維持できてます。

私の実行している糖質制限の方法は、ご飯、パン、うどん、蕎麦などの主食を抜いているだけの簡単な方法なので、面倒なカロリー計算もいらないし、いろいろ我慢しなくても済むので、私のようなずぼらな人間にも実行しやすく、それ程つらくもないです。血圧も正常化し、血液検査の異常値もほとんどが正常化し、数種類飲んでいた薬も全部やめることができ、以前と比べるとそんなに疲れなくなりました。ここ十年近く漢方の有名なやせ薬:防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)を内服し続けてきましたが、ほとんど効果を実感できなかったので最近やめました。

最近、病棟勤務の助産師さんの一人が糖質制限ダイエットを始めて最初の2か月間で5kgほど減量できたと喜んでます。

また、リバウンド防止のためには、毎日体重を計測して記録し続けることも非常に大切だと思います。

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私のダイエット遍歴

2012年11月05日 | ダイエット

私は今まで何度もダイエットを試みて、その度にリバウンドを繰り返してきました。

記憶に残る最初のダイエットは高校1年の時です。中学時代は柔道部に所属し太め体型で通しましたが、高校に入って陸上部に入部して長距離走に打ち込み、高校時代はスリム体型で通しました。最初に入学した名大理学部時代は、趣味がヨガとサイクリングでスリム体型を維持しておりましたが、信大医学部に入ってからは特に運動をしなくなり、だんだん体重が増加し、大学卒業時にはかなりの肥満体型になってました。

新入医局員の頃に一念発起して短期間のうちにランニングで20kg程度のダイエットに成功した記憶があります。一時期、医局三大ヤセの一人に数えられたこともありましたが、その後は運動の習慣がなくなって、いつの間にか肥満体型に逆戻りし、医局をやめる頃には医局三大デブの一人になっておりました。

今の病院に就職して24年間経過しましたが、その間、恒例の年中行事のようにダイエットとリバウンドを繰り返してきました。若い時は気合を入れると10kg程度の減量は比較的容易でしたが、年を取るにつれて減量がだんだん難しくなり、最近数年間はいくら頑張っても若い時ほどには簡単に減量できない状況が続いてました。

今年は恒例のダイエットを2月より開始して、最初の3ヵ月で約10kg程度の減量に成功し、その後の半年間は何とかその体重を維持してます。本当はあと5kgほどは減量したいと思っているのですが、これ以上の減量はなかなか難しい状況です。無理せず、ゆっくり気長に目標の体重に近づいていきたいと思っています。現在、日課として私が実行していることは、ゆるい糖質制限食と体重を毎日計測してグラフ化することくらいです。

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ダイエットについての私のアドバイス

2012年10月14日 | ダイエット

長年、経過観察のために数ヵ月ごとに私の婦人科外来を受診している患者さん方から、「前に受診した時と比べて体型がずいぶん変わってしまったけど、先生お体大丈夫なんですか?」などと心配していただくことがあり、それに対して、「大丈夫です。病気ではないです。以前は体重が増え過ぎていたので、ちょっとダイエットをしただけなんですよ。」と返答すると、そのままダイエットについての相談を受けることになることも最近はよくあります。ダイエットを希望する肥満患者さん達に対して、私は自分の体験を踏まえて、以下のように助言するようにしてます。

・ 小数点以下2桁(kg)まで計測できるデジタル体重計を入手して、毎日、一定条件で体重を計測しグラフをつけましょう。
・ 夕食はなるべく早めに済ませて、翌日の朝食まで絶食とし、朝食前に体重計測するのを習慣化しましょう。
・ 一般的に、肥満に対する食事療法としては「低カロリー・低脂肪食」が推奨されています。それでうまくいく人はいいのですが、「低カロリー・低脂肪食」は長期間きちんと継続していくのが難しく、最終的な成功率は比較的低いと言われてます。それに対し、「低炭水化物(糖質制限)食」は主食(御飯、パン、うどん、そばなど)を減らす方法で、カロリーや脂肪をそれほど気にしなくても済むので、比較的継続しやすく成功率も高いと思われます。一般向けに「低炭水化物(糖質制限)食」を推奨する本も多く出版されていますので、それらを読んで一度検討してみてください。【例:糖質制限食のススメ(山田悟・著)主食をやめると健康になる(江部康二・著)糖質ゼロの健康法(釜池 豊秋・著) など】

・ ダイエットの方法はいろいろありますが、どんなダイエット方法であっても、いったんは減量に成功した後に短期間で体重が元に戻ってしまう人が非常に多いです(リバウンド現象)。実際問題として減量そのものよりもその後のリバウンド防止策の方がよほど困難な問題であるとも言われてます。ダイエット成功後も決して油断せず、体重を毎日計測しリバウンドの兆しが現れたらそのつど早め早めに対処する必要があります。

ダイエット成功後に油断してはいけない期間は約2年間と言われています。特にダイエット成功後の半年間は最も警戒すべき時期です。食事量には常に気を配り、体重が増加し始めたら、すかさず運動量を増やすなどして早め早めに対処しましょう。減量後の体重維持は、減量の程度が大きいほど困難であることが知られています。現状から10%程度の減量でもメタボリックシンドロームなどの生活習慣病は著しく改善されますから、最初から理想体重を目指して挫折を繰り返すよりは、現在の不健康な状態から少しでも脱却できる実行可能な目標体重を設定してそれを確実にクリアしていく方が現実的です。米国健康財団の健康体重に関する勧告では、まずは体重の10%程度の減量で十分としています。そしてこの体重を6カ月以上維持し、体重増加のないことを確認してから次のステップに移るようにとしてます。

参考:ダイエットの敵、リバウンド現象を克服するためにはどうしたらいいのか?

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体重管理XV(リバウンド対策) ダイエット成功後の低脂肪食はリバウンドにつながる可能性がある

2012年08月08日 | ダイエット

数カ月間ダイエットに取り組んで減量に成功しても、減量した体重を長期間維持することは多くの人にとって難しい問題です。時間の経過とともにダイエットに対するモチベーションが下がるという行動上の問題と、体が減量した状態に生物学的に適応するという問題があり、結局はリバウンドして体重が増加する事例が少なくありません。

最近の研究で、減量達成後の低脂肪食はリバウンドにつながる可能性が示されました。

Ebbeling氏らは、ダイエット成功後に低脂肪食を取ると、体重のリバウンドにつながる可能性があるとの研究結果を「JAMA」(2012; 307: 2627-2634)に発表しました。この研究でEbbeling氏らは、三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)の割合が大きく異なる3種類の食事制限(低脂肪食、低GI食、超低炭水化物食)のうち、長期にわたって体重減少を維持するのにどれが有効かを比較検討しました。

情報源: 低脂肪食ダイエット VS 低炭水化物ダイエット

Ebbeling, CB. et al. Effects of dietary composition on energy expenditure during weight-loss maintenance. JAMA. 307, 2012, 2627-2634.

低脂肪食、低GI食(low-glycemic index diet)、超低炭水化物食の3種類の食事制限のうち、長期にわたって体重減少を維持するのにどれが有効かを比較検討した論文。

期間は2006年6月16日から2010年6月21日で、対象はBMI値27以上の体重過多あるいは肥満の成人(18歳から40歳)。参加者は、まず最初に“ならし期間”の食事で10~15%体重減少が見られた後、同じカロリーに揃えた以下の3種類の食事制限をランダムな順番でそれぞれ4週間づつ摂り続けた。

A:低脂肪食(エネルギー源として60%が炭水化物、20%が脂質、20%がタンパク質。血糖負荷は高い)
B:低GI食(エネルギー源の40%が炭水化物、40%が脂質、20%がタンパク質。血糖負荷は中程度)
C:超低炭水化物食(エネルギー源の10%が炭水化物、60%が脂質、30%がタンパク質。血糖負荷は低い)

評価項目:
1) 基礎代謝、総エネルギー消費量
2) ホルモン値(レプチン、尿中コルチゾール排泄量、など)
3) メタボリックシンドロームの要素(コレステロール、中性脂肪、インスリン感受性、CRP、血圧など)

結果:
● 基礎代謝量は、減量前と比べて、低脂肪食で1日平均-205kcalと最も大きく低下。低GI食は1日平均-166kcalと中程度の低下、超低炭水化物食は1日平均-138kcalと低下の度合いは緩やかだった。
● 総エネルギー消費量も、同様のパターンで低下した(低脂肪食:1日平均-423kcal、低GI食:1日平均-297kcal、超低炭水化物食:1日平均-97kcal)。
⇒つまり、低脂肪食は減量維持期間のエネルギー消費量が最も低下し、リバウンドを起こしやすい。

● 肥満者で低くなるレプチン感受性は、低脂肪食<低GI食<超低炭水化物食の順となった。
●インスリン感受性は低脂肪食が一番低く、血圧の変化は3種類の食事制限で違いはなかった。

●血清HDLコレステロール(善玉コレステロール)の値は、低脂肪食で平均40mg/dL、低GI食で45mg/dL、超低炭水化物ダイエットで48mg/dLだった。
●中性脂肪は低脂肪食で107mg/dL、低GI食で87mg/dL、超低炭水化物食で66mg/dLだった。
⇒超低炭水化物食が、中性脂肪を最も低く抑えられる上にHDLコレステロール値が高くなるため、メタボリックシンドロームの予防になると思われた。

●ストレス評価ホルモンである「尿中コルチゾール」の24時間排泄量が、超低炭水化物ダイエットで最も高くなった。コルチゾールのレベルが上がると、肥満、インスリン抵抗性や心血管系疾患を引き起こすことが過去の調査で知られている。
●体に炎症や傷がある場合に血清中に増えるタンパク質「CRP」の値が、超低炭水化物ダイエットで高い傾向にあった。
⇒超低炭水化物食は心血管疾患の合併や慢性の炎症を増加するリスクがある。

減量後にその体重を維持しようとした時、同カロリーの食事でも、超低炭水化物食は低脂肪食と比べて基礎代謝を1日平均67kcal高く維持でき、総エネルギー消費量は1日約300kcal高かった。この違いは、減量後に長期間、体重を維持するにあたって大きく影響する。超低炭水化物食は、エネルギー消費やメタボリック症候群に対しては最もよい影響を与えたが、心血管疾患の合併や慢性の炎症を増加するリスクがある。一方、低脂肪食は、エネルギー消費と血清レプチンを変化させるのでリバウンドしやすいと考えられ、メタボリック症候群への悪い影響もあった。低GI食は比較的マイルドではあるものの、超低炭水化物食と似ている。

****** JAMA. 2012 Jun 27;307(24):2627-34.

Effects of dietary composition on energy expenditure during weight-loss maintenance.

Ebbeling CB, Swain JF, Feldman HA, Wong WW, Hachey DL, Garcia-Lago E, Ludwig DS.

New Balance Foundation Obesity Prevention Center, Children's Hospital Boston, 300 Longwood Ave, Boston, MA 02115, USA.

Abstract

CONTEXT: Reduced energy expenditure following weight loss is thought to contribute to weight gain. However, the effect of dietary composition on energy expenditure during weight-loss maintenance has not been studied.

OBJECTIVE: To examine the effects of 3 diets differing widely in macronutrient composition and glycemic load on energy expenditure following weight loss.

DESIGN, SETTING, AND PARTICIPANTS: A controlled 3-way crossover design involving 21 overweight and obese young adults conducted at Children's Hospital Boston and Brigham and Women's Hospital, Boston, Massachusetts, between June 16, 2006, and June 21, 2010, with recruitment by newspaper advertisements and postings.

INTERVENTION: After achieving 10% to 15% weight loss while consuming a run-in diet, participants consumed an isocaloric low-fat diet (60% of energy from carbohydrate, 20% from fat, 20% from protein; high glycemic load), low-glycemic index diet (40% from carbohydrate, 40% from fat, and 20% from protein; moderate glycemic load), and very low-carbohydrate diet (10% from carbohydrate, 60% from fat, and 30% from protein; low glycemic load) in random order, each for 4 weeks.

MAIN OUTCOME MEASURES: Primary outcome was resting energy expenditure (REE), with secondary outcomes of total energy expenditure (TEE), hormone levels, and metabolic syndrome components.

RESULTS: Compared with the pre-weight-loss baseline, the decrease in REE was greatest with the low-fat diet (mean [95% CI], -205 [-265 to -144] kcal/d), intermediate with the low-glycemic index diet (-166 [-227 to -106] kcal/d), and least with the very low-carbohydrate diet (-138 [-198 to -77] kcal/d; overall P = .03; P for trend by glycemic load = .009). The decrease in TEE showed a similar pattern (mean [95% CI], -423 [-606 to -239] kcal/d; -297 [-479 to -115] kcal/d; and -97 [-281 to 86] kcal/d, respectively; overall P = .003; P for trend by glycemic load < .001). Hormone levels and metabolic syndrome components also varied during weight maintenance by diet (leptin, P < .001; 24-hour urinary cortisol, P = .005; indexes of peripheral [P = .02] and hepatic [P = .03] insulin sensitivity; high-density lipoprotein [HDL] cholesterol, P < .001; non-HDL cholesterol, P < .001; triglycerides, P < .001; plasminogen activator inhibitor 1, P for trend = .04; and C-reactive protein, P for trend = .05), but no consistent favorable pattern emerged.

CONCLUSION: Among overweight and obese young adults compared with pre-weight-loss energy expenditure, isocaloric feeding following 10% to 15% weight loss resulted in decreases in REE and TEE that were greatest with the low-fat diet, intermediate with the low-glycemic index diet, and least with the very low-carbohydrate diet.


体重管理XIV 「極端な糖質制限は健康被害をもたらす危険がある」(日本糖尿病学会)

2012年07月28日 | ダイエット

日本糖尿病学会は7月26日に、「極端な糖質制限は健康被害をもたらす危険がある」との見解を示しました。(読売新聞記事より)

ご飯やパンなどの主食を極端に控えるとどうしてもお腹がすいてしまうので、その分の穴埋めとして、チーズ、豆腐、魚、肉などを余分に摂取する食習慣になりがちです。そのような食習慣(極端な糖質制限、脂質・蛋白質の過剰摂取)を続けていると、短期的にはケトン血症や脂質異常症の、長期的には腎症、心筋梗塞、脳卒中、発がんなどの危険性を高める恐れがあるとの調査報告もあります。

同じく“糖質制限食”と称していても、提唱者によって“非常に極端な糖質制限”から“ごく緩やかな糖質制限”までいろいろで、どこまで糖質の量を制限すべきかの明確な基準は未だ定まってないようです。また、糖尿病の重症度や合併症も患者さんごとに異なりますので、患者さんの状況によっては極端な糖質制限食によって健康被害がもたらされる場合もあり得ると思います。誰でも彼でも一律に“糖質制限食”を同じやり方でお勧めするというわけにもいかないと思います。糖質制限食の適応基準、限界や安全性などについて、今後、日本糖尿病学会などでも十分に検討していただきたいと思います。

私自身は糖尿病ではありませんが、ダイエット目的で半年前に糖質制限食を開始しました。最初は極端な糖質制限を行い2カ月間で約10kg減量しました。その後は、リバウンド防止目的で穏やかな糖質制限を続けてます。今のところ体調には特に問題がなく、今後も穏やかな糖質制限食を継続していく予定です。

****** 読売新聞,2012年7月27日

「炭水化物 極端な制限危険」 
日本糖尿病学会 ダイエット目的に
警鐘

 主食を控える「糖質制限食(低炭水化物食)」について、日本糖尿病学会は26日、「極端な糖質制限は健康被害をもたらす危険がある」と警告した。糖質制限食は糖尿病の治療やダイエット目的で国内でも急速に広まっている食事療法だが、専門医の団体が見解を示すのは初めて。

 同学会の門脇孝理事長(東大病院長)は読売新聞の取材に対し、「炭水化物を総摂取カロリーの40%未満に抑える極端な糖質制限は、脂質やたんぱく質の過剰摂取につながることが多い。短期的にはケトン血症や脂質異常症の、長期的には腎症、心筋梗塞や脳卒中、発がんなどの危険性を高める恐れがある」と指摘。「現在一部で広まっている形での糖質制限は、糖尿病や合併症の重症度によっては生命の危険さえあり、勧められない」と注意した。

 一方、同学会では糖尿病の食事療法として、炭水化物を総摂取カロリーの50~60%にするカロリー制限食を勧めているが、この割合を45%程度まで減らせるかどうか検討を始める.

 門脇理事長は「ごく穏やかな糖質制限なら、総カロリーの減少効果が期待でき健康被害も心配ない。来年の治療指針改定で反映させ,極端な糖質制限の歯止めにしたい」と話している。

(2012年7月27日  読売新聞)

****** 読売新聞、2012年7月26日

糖質制限食に賛否両論 

 ご飯やパンなどの主食やでんぷん質の野菜、甘いものを制限する「低炭水化物食」。面倒なカロリー計算がいらず空腹感も少ないため、糖尿病治療やダイエットを目的にした「糖質制限食」など、様々な呼び名で急速に広まっている。医師の間でも賛否両論がある食事療法だが、効果や安全性はどうだろうか。

 (中略)

 糖質制限食は食後、急激に血糖値が上がるのを抑えることで、血糖値の安定を目指す食事療法だ。減量や血糖値のコントロールに効果があるという論文が相次いで発表され、米国糖尿病学会も、2年を限度に減量効果のある食事療法として認めている。

 しかし、どこまで糖質の量を制限すべきか明確な基準はなく、肉類や脂質はいくらでも取ってもいいという極端な方法論や、自己判断で通院や薬物治療を中断するなどの危険なやり方も横行する。過剰な糖質制限で、脂肪が分解してできるケトン体という物質が血中に増え過ぎる危険な状態に陥ったという報告や、死亡率、脳卒中や心筋梗塞などの危険性が高まったという長期の追跡調査もある。

 北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟さんは、1日70~130グラムの緩やかな糖質制限を推奨。「ケトン体の危険性は否定し切れないので、1日50グラム以下の極端な制限はやめたほうがいい。緩やかに行えば健康に心配はないが、血糖値や脂質、尿素窒素などの定期的なチェックは必要」と注意する。腎症を発症している場合は厳禁で、薬物治療を行っている患者は低血糖に陥る危険もある。

 国立国際医療研究センター糖尿病研究連携部長の野田光彦さんは、たんぱく質や脂質を食べる割合が増えるこの療法で長期的に脂質異常症や腎機能の悪化につながる可能性は否定できないと強調。「日本人でも長期的な健康影響を検証する必要がある」と指摘する。

(2012年7月26日 読売新聞)

****** 体重管理グラフ

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