日本助産師会はビタミンK2シロップ投与とホメオパシーの使用に関する実態調査の結果を公表しました。36か所の開業助産所(加盟助産所の1割弱)で、過去2年間に、ビタミンK2シロップを与えずにレメディのみを与えたことがあると回答したとのことです。複数の助産師が所属する助産所もありますし、ビタミンK2シロップの代わりにレメディのみを投与するなどというのは非常に極端な例ですから、日常的にホメオパシーを使用し続けている助産師の数は、おそらく、それよりもはるかに多いと思われます。
そもそもこれだけ社会問題化した後ですから、施設に対する自由回答のアンケートという調査方法だけでは、実態はなかなか明らかにならないと思います。
(日本助産師会ホームページ、2010年9月7日より)
http://www.midwife.sakura.ne.jp/midwife.or.jp/pdf/homoeopathy/homoeopathy220907.pdf
報道関係者各位
平成22年9月7日
社団法人日本助産師会 会長 加藤尚美
「ホメオパシー 」に関する調査結果の公表について
日本助産師会は、8月24日に公表された日本学術会議会長談話に全面的に賛成し、8月26日、ホメオパシーを医療に代わる方法として助産師が助産業務として使用したり、勧めたりすることのないよう、見解を発表したところです。
本会では、この見解発表以前に、山口県で乳児がビタミンK欠乏性出血症により死亡したとの訴提起の事実を受け、都道府県支部を対象に、支部内における分娩を取り扱うすべての開業助産師について、ビタミンK2シロップ投与とホメオパシーの使用に関する実態調査を実施し、別添のとおり取りまとめました。
平成22年8月末現在、本会会員で分娩を取り扱う開業助産所433か所(有床266か所、無床167か所)のうち分娩業務を休止している19か所を除いた414か所から回答がありました。ビタミンK2シロップの投与に関しては、414か所の全助産所が実施しており、過去2年以内でホメオパシーのレメディを投与しビタミンK2シロップを投与しなかったケースを取り扱ったことがあると回答した助産所は36か所ありました。投与しなかった主な理由は、薬剤拒否の妊婦からの強い希望があったこと、ビタミンK2シロップとホメオパシーのレメディと両方の説明を行い妊婦の選択によりレメディのみの投与になった等でした。
36か所の全助産所に今後もホメオパシーのレメディをビタミンK2シロップの代用として使用しないよう個別に指導いたしました。
本会としては、助産師がホメオパシーを医療に代わるものとして使用したり、勧めたりすることのないよう、継続的な指導や研修を実施し、会員への周知徹底を図ります。
(日本助産師会ホームページ、2010年9月7日より)
****** 朝日新聞、2010年9月7日http://www.asahi.com/health/news/TKY201009070514.html
助産所の1割でホメオパシー ビタミンK2与えぬ例
社団法人・日本助産師会は7日、加盟助産所の1割弱にあたる36施設で民間療法のホメオパシーが行われ、新生児に必要なビタミンK2を与えない例があったと発表した。山口では5月、ビタミンK2を与えられずに新生児が死亡したとして訴訟も起きており、厚生労働省は同日、同会会長あてに注意を求める通知を出した。
(中略)
助産師会は7月下旬から8月まで、全国433の助産所を対象に過去2年以内に、K2シロップを与えず、レメディーを与えていたケースがなかったか調査した。お産をしていない19施設をのぞく、414施設から回答を得た。
この結果、レメディーしか使わなかったケースがあったとする助産所は36施設に上った。複数の助産師が所属する助産所もあり、ホメオパシーを実践している助産師は36人を大きく上回る可能性が高いという。レメディーを与えた理由として、助産師がK2シロップとレメディーの両方を説明し、妊産婦がレメディーのみを選んだり、妊産婦からどうしてもと頼まれたりしたからと説明している。
(中略)
日本助産師会の岡本喜代子専務理事は「K2シロップは当然与えるものと認識していたので、36という数字は多いと思う。会員には、お産の現場でホメオパシーを使うことがないよう指導する。また、助産院のホームページなどでホメオパシーについて記載しないよう求めた」と話している。(岡崎明子)
(朝日新聞、2010年9月7日)