ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

精液検査

2020年07月08日 | 生殖内分泌

不妊症カップルの50%程度で男性側の原因もあるとされてます。精液検査は、受診されたほとんどの方が受ける不妊症の一般的な検査です。精液量、精子濃度、運動率、運動の質、精子の形態、感染の有無などを検討します。精液は、2~7日の禁欲期間の後に、マスターベーションで全量を採取します。病院で採取するのが望ましいのですが、20℃~30℃程度に保持することができれば自宅で採取して2時間以内に検査すればほぼ病院で採取した場合と同様の結果が得られることが多いと言われています。男性の精液性状は日によって大きく変動するため、悪い結果が出た場合でも再度検査をして問題ないとされることもあります。さまざまな因子が精液所見に関与していますが、なかでも禁欲期間の影響は大きいとされます。精液検査は3カ月以内に少なくとも2回施行し、2回の場合はその平均値、3回以上の場合はその中央値を採用します。

   精液検査の下限基準値(WHO、2010)

乏精子症、精子無力症の治療:
精液所見の程度により、配偶者間人工授精(AIH)体外受精(IVF)顕微授精(ICSI)が検討されます。重度の乏精子症や精子無力症ではIVFやICSIが第一選択となります

薬物治療:
低ゴナドトロピン性の性腺機能低下症ではゴナドトロピン療法で造精機能の回復が見込めますが、そのほかの原因不明の造精機能障害に対する薬物療法は有効性のエビデンスが乏しいです。

外科的治療:
精索静脈瘤に対する外科的治療
無精子症患者に対して、精巣生検で精巣内に精子が確認できれば、顕微鏡下精巣内精子回収法(micro-TESE)ICSIにより妊娠の可能性が期待できます。

参考文献: データから考える不妊症・不育症治療、竹田省ら編、メディカルビュー社、2017

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