9月21日に松本市の相澤病院で開催されたJPTECプロバイダーコース(第73回信州外傷セミナー)を受講しました。
ロード&ゴー、ログロール、全脊柱固定、高エネルギー外傷など、一日中、普段全く聞き慣れない救急現場の業界用語が飛び交い、普段全くやり慣れてない手技の練習が続き、何から何まで初めてのことばかりで、還暦の身には大変な一日でしたが、救急救命士の方々がこんな大変な苦労をして病院まで患者さんを搬送して来てくださることがわかって、非常に有意義な一日でした。
****** オープニング
****** JPTEC協議会ホームページより
JPTECとはJapan Prehospital Trauma Evaluation and Careの略語です。平成15年6月に我が国における病院前の外傷観察・処置標準化プログラムの普及を目的としてJPTEC協議会が発足しました。
JPTECプロバイダーとは、JPTECの内容を理解し実践できる者をいいます。資格取得には、JPTECプロバイダーコースを受講し、プロバイダー認定基準(筆記試験で74%以上、実技試験で可以上)を満たした者がJPTECプロバイダーと認定されます。有効期限は3年間です。
JPTECプロバイダーコースの到達目標は、病院前救急医療の現場におけるロード&ゴーの概念を理解し、各段階において必要とされる観察・処置を見落としなく迅速に実施できるようになることです。コースでは、この到達目標を達成するために、講義、実技実習(スキルステーションおよびシナリオステーション)を行い、そのあとに知識と手技の理解度を筆記試験と実技試験で確認します。
JPTECプロバイダーコースを受講することにより、我が国における外傷死亡の実態や外傷診療システム、防ぎえた外傷死の概念、ロード&ゴーの概念を理解し、外傷現場において適切かつ迅速な観察、ロード&ゴー適応の判断、生命危機に関わる外傷の処置を正しく実施できるようになること、さらに傷病者の重症度と緊急度の違いを理解し、傷病者に応じた観察・処置と医療機関の選定、適切かつ迅速な搬送ができるようになることを目指します。
****** 用語解説
ロード&ゴー(Load and Go): 救急救助現場などで使われる言葉。高エネルギー外傷患者や、重症度が高く救命できる可能性のある外傷患者に対して、観察と救命・応急処置を施したのち、5分以内に救急車に収容、迅速に病院に搬送すること。 ロード&ゴーが宣言された傷病者に対しては、頭頚部~体幹の生命に危険のある損傷の処置を最優先し、予後にあまり影響を与えない損傷への処置は優先度を下げるかまたは省略される。救急救命の現場では正確・確実な観察と処置が求められるため、その観察方法や処置についてはJPTECで標準化されている。
ログロール(logroll): ログロールとは、傷病者の身体を1本の丸太(ログ)に見立て、脊柱軸にひねりや屈曲を加えずに回す(ロール)動作である。この方法を用いることにより、脊柱軸を保持しながら背面観察を行い、素早くバックボード上に傷病者を移動することが可能となる。
全脊柱固定: ロード&ゴーの傷病者、脊椎・脊髄損傷の可能性のある傷病者等に対しては、頸椎を含む全脊柱固定が推奨される。頸椎カラー、頭部固定具、バックボード、固定ベルトを用いた固定法が推奨される。全脊柱固定の目的は脊柱をもっともストレスのない自然な位置に固定して搬送することである。
高エネルギー外傷: 「高所からの転落」「ある程度のスピード以上での自動車事故」など、「目に見える徴候がなくても、受傷機転から考えて生命に危険のある損傷を負っている可能性が無視できない状態」を高エネルギー外傷という。高エネルギー外傷には明確な判断基準は無い。衝突した時の車のスピードや、転落した高さなどを救助段階で知ることは難しいからである。救助者によって高エネルギー外傷と判断された傷病者に対しては、全てロード&ゴーを適用しなくてはならない。
****** 修了証