月経が発来しない状態を無月経(amenorrhea)という。
正常な月経の発来には、
①間脳-下垂体-卵巣系による制御、
②卵巣における性ホルモン産生、
③子宮・腟
のすべてが正しく機能する必要がある。
①初経前、②妊娠・産褥・授乳中、③閉経後の無月経を生理的無月経という。生理的無月経以外の無月経を病的無月経という。
満18歳になっても初経がみられないものを原発性無月経という。原発性無月経の原因としては、Müller管の分化異常(子宮欠損、アンドロゲン不応症など)や染色体異常(Turner症候群など)が多い。それに対して、順調にあった月経が3カ月以上停止したものを続発性無月経という。
黄体ホルモン製剤(ゲスターゲン)投与により消退出血が生じるものを第1度無月経という。それに対して、ゲスターゲン投与のみでは出血が起こらず、エストロゲン投与に引き続きエストロゲンおよびゲスターゲンを投与して消退出血が出現するものを第2度無月経という。エストロゲンとゲスターゲンとを投与しても消退性出血が起こらない場合は子宮性無月経と診断される。子宮性無月経の原因としては、子宮欠損や子宮腔癒着症(アッシャーマン症候群)がある。
無月経の診断法
第1度無月経:
第1度無月経は、卵巣には発育途中の卵胞を認め、血中エストロゲン値を一定量認めるため、子宮内膜は増殖しているが、排卵せずプロゲステロンの分泌がない。
①多嚢胞性卵巣症候群(LH>FSH)
②視床下部性無月経(FSH、LH、E2:ともに正常値)
第2度無月経:
第2度無月経は、中枢性のゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)分泌低下、もしくは卵巣機能低下が主な原因である。
①下垂体性無月経、重症の視床下部性無月経(FSH、LH、E2:ともに低値)
②早発卵巣不全、更年期(FSH、LH:ともに高値、E2:低値)
参考文献:
1) データから考える不妊症・不育症治療、竹田省ら編、メディカルビュー社、2017
2) 生殖医療ポケットマニュアル、吉村泰典監修、医学書院、2014
3) インフォームドコンセントのための図説シリーズ 不妊症・不育症(改訂3版)、苛原稔編、2016
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