Jan.25 2006 大間の鮪

2006年01月25日 | 風の旅人日乗
1月25日 水曜日

写真は、一昨日の奥沢のTさんのところで出していただいた、一本釣りで獲れた青森県・大間のホンマグロ。しみじみと美味しかった。
そして、それを美味しくいただきながら、しみじみと考えた。

かつて日本沿岸にはマグロが豊富にいた。6000年前の縄文時代初期の遺跡である青森県・三内丸山遺跡からは、大型のマグロの骨が多数出土している。その時代から、日本人は海に出て勇壮なマグロ漁をしていた。

それ以来、日本の海洋文化の大切な一翼を担う文化として連綿と続いてきたマグロ漁が、いま、危機に瀕している。
マグロが激減しているのだ。

資源を守る努力が足りなかった結果、我々現代人は、自分たちの子孫の分までのマグロを食い尽くしてしまおうとしている。遅まきながら関係筋はマグロ資源保護の強化策を打ち出し、来年度からは各国に割り当てられているマグロ漁獲高が大幅に厳しく制限されることになるという。

こういう事態に陥ったのは、我々、現代を生きている世代の責任である。
地球にマグロを残し、子孫が美味しいマグロを食べられる環境を守るために、我慢しなければいけないことはこれからもいろいろと出てくることだろう。

さらに複雑なことを内包する問題として、数字の上で漁獲量を制限することだけではなく、地球の食物資源のことや環境問題などお構いなしに、「便宜置籍船」という、法の網をすり抜ける方法を使ってマグロを獲り尽くそうとする台湾の一部の業者や、その業者からマグロを仕入れる日本の商社の倫理観をどのような努力で変えていくか、という問題も残っている。
人間の倫理観というものは、法律では変えようがなく、その人本人の自覚や、小さなときからの教育にも関わることで、だからこそ、難しい問題だと思う。
専門外のことなので、勇み足の意見は控えなければいけないが、地球の環境、各国の食文化など、広い視野で考えていくべきことなのだろう。

さて昨日は、夕方5時過ぎに葉山小学校前で、シーカヤッカーのUと待ち合わせて、バスに乗って逗子駅に行き、そこからJRで恵比寿駅に向う。
恵比寿駅から歩いてすぐのところにある映画制作会社の会議室に着いたのは、午後7時少し前だった。

日本に古くから伝わってきた帆走漁船を蘇らせて、現代の日本の海で活動しているサーファー、シーカヤッカー、漁師、セーラーがそれに乗り組んで、長い航海をする。その様子を撮影して映画にする、という構想を、その会社のKプロデューサーとM監督に説明するためだ。

ミーティングは大成功だった、と思う。
この難しいテーマを映画にすることに、Kプロデューサー、M監督ともに前向きに検討を始め、お互いにアイディアを出し合った。おおよその撮影スケジュールを決めたところで、キリがなくなりそうだったので、一旦この日の会議に読点を打ったときには、もうほとんど日付が変わりそうな時間になっていた。5時間近くもぶっとおしで、コーヒーだけで話し続けた。

藤沢に住むKプロデューサーの車で送ってもらい、途中、駒沢公園通りの『かっぱ』に寄って、3人で大盛ゴハンのモツ定食を食べ、葉山に戻ると午前2時近かった。
Kさんは翌日は朝一番の飛行機で沖縄にロケだと言っていた。ほとんど眠る時間がなかっただろうな。ありがとうございました。

今日は午後4時過ぎから、東京・六本木でTeam Nishimura Projectのミーティングだ。