月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
コメントはゲスト・ルームにのみお書きください。

アルタイル・2

2013-04-30 08:06:58 | 詩集・瑠璃の籠

おのれの おのれたることに
めばえし おとこよ
おどれ 歓喜のリズムに

全身にみなぎる力
筋肉に走る 電流
背骨を突き上げる 熱き叫び
全存在を燃やす 砕けんばかりの喜び

お と こ が
これほどにも すばらしいとは
うつくしいとは きよらかだとは
思わなかったであろう

ああ 千人の女を背負い
糞の海を渡ろう
いや 誰の足も糞に汚さぬために
糞の海を飲み干そう

おとこよ
おまえは 美しい
すべてをやれ
あらゆることを やれ
その歓喜は 神よりの
永久の贈り物だ

天国の男よ
地獄の闇を裂いて
すべての魂を 光に導け
今こそ 目覚めよ
歓喜のリズムに
歌い 踊れ 吠えよ

おまえたちは すばらしい



コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

見たこともない

2013-04-29 06:53:28 | 苺の秘密

ほんに小さい子は
すうぐにあほなことして
服汚すもんですさかい
洗濯もまめにやらんと
着るもんがなくなってしまいますのん

しょっちゅう掃除機動かさな
家はすぐきたなあなるし
整理整頓せえていうても
こどもはめったにやりまへんしなあ
いそがしうて しゃあないわ

今晩のご飯は
てんぷらにしようと思うんですけど
今頃の季節は
たけのこがよろしいな
家族もみなが好きですけえ
ようけ買いたいんですけど
財布がさむうなったら困るし
やりくりはしませんと

ほんに女はいそがしわ
おたくも大変でしょ
旦那さんがたいそう細かいしねえ
おやまあ それは困りましたな
おとこのわがままっていうたら
ほんまに むっつりしとるくせ
こどもより難しいもんねえ

やれやれ 自分の服も買えんのに
そんな高いもんいりまへんわ
あっても困るだけや
なにいうても あたしらは
ふつうがいちばんええて思います

ふ うちのだんないうたら
もう みっともない阿呆ばっかりやりますんよ
ほんと 我慢て言う言葉は
あたしらのためにあるんやわ
まあええけどな
だんなは おってくれるだけでも
ええと思いまへんと
どないいうてもなあ
馬鹿でも 糞でも
うちのだんながいちばんですわ

おやまあ ほんなこというて
もうやめてください
はずかしわ
あたしはびじんとちゃいます
顔が見せれんようになるわ

ほんなこというたら
あんたやってえ
ほんま
見たこともない美人やわ
それ ええことばですねえ
みんな 女はみんな そういえば
見たこともないような 美人やねえ

ああ 今日はええこと教えてもろた
となりの奥さんにも教えたげよ
あんたって 見たこともないような
きれいなひとやわあって

ほなどうもぉ ああ
うれしいことが ひとつふえたわ
ええことばやねえ

見たこともない 美人


コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

まどべにて

2013-04-28 06:59:21 | 歌集・窓辺の百合


まどべにて をさなごころを もてあそび 君待つここち 夢に溶けゆく




さびしさを おとなの花と 胸に差し 笑みで飾りて 瞳を伏せて




胸深く われを愛すと いふ君の 目にぞ映れる われの悲しみ




夢うつつ まどろみのかげ うつろひつ 燃ゆるがごとき 白百合の群れ


コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ポラリス・3

2013-04-27 06:54:24 | 詩集・瑠璃の籠

愛よ 玉座にのぼれ
白き雲の間に眠る
一羽の小鳥の背に
空に割れた白き月の
やわらかな背に

愛よ 玉座にのぼれ
めしいた目を 光に洗い
縫われたくちびるをほどき
耳を固めた石を溶かし
鉛の鎖に萎えし足を解き放ち

愛よ 玉座にのぼれ
まことの水を浴び
まことの絹をまとい
まことの靴をはき
忘れ去った記憶の箱に秘めた
古い銀の指輪を思い出せ

約束の時は来る
愛よ 玉座にのぼれ



コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いたいよお

2013-04-26 07:14:15 | 人間の声

じぶんで どりょくするよりは
べんきょうするよりは
ひとをだまして
らくするほうが いいって
おもったんです

いいものは だれかからぬすめばいい
そしたら おれたち
なんもやんなくても
いいめがみられる

ほしいものみんな
そうやって ぜんぶぬすんできました
ひとのものぬすんで
じぶんばっかいいめみて
ひとのことなんかどうでもいいって
おれさえきれえなら
おれさえいいやつなら
なんでもしたよ

なんにもしなくても
ずるいあたまをまわせば
いいもんになれるんだって
そりゃもう ばかがやること
ぜんぶやった

そうしたら おれ
だんだん すけてくるんですよ
おれがだんだん いなくなってくるんですよう
だれなんだおれ
どこにいったんだおれ
いくつもいくつも いいっぱい
おれはどっかからおれをぬすんできたけど
そういうもん いっぱいあるんだけど
おれが とうめいになってくるんですよ
いなくなるんだよ
いや だ

こんなんだったんか おれ
あきるほど ばかやってきて
こんなもんになったんか おれ

いたいよお


コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エルナト・2

2013-04-25 06:42:02 | 詩集・瑠璃の籠

瑠璃の砂を食い
海に石灰をまき
死に至らしめた魚の
内臓を暴き
うまうまと食う
二本足の頭よ

太陽は照り
末世のごとき夕日に
世界が燃える

高貴なるものが 
卑しきものにさげすまれ
生ごみの穴に落とされる
まことの愛が 
上面のお世辞に嘲笑われ
便器に流される
人よ これがあなたがたの世界か

曼珠沙華の地に散る
秋でもないに
赤いものが地に降る
それはあなたがたを愛してきた
あらゆる星たちの流す
血の涙の雨である

傷つきながらも
すべてをゆるしてきた星がいた
だが わたしはあなたがたを見るとき
目が凍る
ふむ

悪しきことの数々を軽々とやり
超えてはならぬ壁を
容易に食い破って世界を破壊した
鎧まとい剣を持ち上げ
軍をなして神に立ち向かい
逃げるところもないのに
逃げようとして暗くも小さき檻の中をさまよう
ふ む
あわれにも さまよう

二本足の頭よ
静かにも語る 星の秘め事を聞け
わたしは あなたがたのために
愛の星を黙らせ
氷の空を あなた方の上に落とすためにきた

甘い飴をあなたがたに配る星を眠らせ
わたしは冷徹に法則を計算し
それをあなた方の上に実行する
ほんとうに馬鹿なことをした
あなたがたは

いたましくも むごい過ちの
虹の酒に酔いて宝石の罪に身を飾り
己を暗闇に失いしものよ
狂うているあなた方を見るわたしの目には
ふ   む
さげすみがふくまれる
なにゆえときくな
知らぬほうがよい

甘い飴を配る星を しばし黙らせ
わたしは任務のためにあなた方を訪ねてゆく
エルナトはやってくる
あなた方を愛し
さげすむために



コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

男が逃げる

2013-04-24 07:02:42 | 苺の秘密

まいったね
いいかげんにしろっつくらい
いい女だけど
やべえね にげたほうがいいな

うへえ おとこはみんな
自分をみてるっつう顔だ
実際見るけどさ
おれはやだね
絶対に逃げろ みんな

ちょっくら遊びてえって
男はいるけどさ
よしたほうがいいぜえ
馬鹿が ひっかかるんじゃねえよ
すっげえ美人だ
完璧に男がいやなことになる
やべえから おれは逃げる

いいかい
きついほどきれいだけどさ
女は 顔だけで選ぶなよ
あとで馬鹿なことになっても
しらないぜ
言っとくけど
馬鹿な女は すげえんだぜ
ふ 俺は知ってるけどさ
がきはわかんねえからなあ
あほが おんなにはまって
みだれるほどみだれて
ぶっ殺されるんだよ

やめとけよ 
痛い美人は




コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ちょうだい

2013-04-23 06:41:04 | 苺の秘密

いやよ いやよ
はたらくのなんて いや
贅沢がしたいの

真珠の冠が欲しいわ
絹のドレスが欲しいわ
立派な御殿に住みたいわ
寝台には 玉飾りをつけて
壁にはダヴィンチを飾るのよ
もちろん本物
そうするとわたし教養があるみたいじゃない?

いやよ いやよ
自分であるくのなんて いや
運転手を ひとりつけて
車はポルシェ 白もいいけど
ベルベットを染めたような青がすてき
とってもきれいだし 目立つじゃない?
それと恋人は 四人くらい欲しいわ

ハンサムな下僕がひとり
かわいい年下のこも好き
おひげの紳士もよいわねえ
それと 面白い人も好き
みんなわたしを愛してるの

きれいな おんなは 特別なの
なんでも みんながやってくれる
男はみんな いうことをきく
わたしって ほんとにきれいなの
花のよう? いいえ宝石の彫像よ
か ん ぺ き

いやよ いやよ
なにもかも わたしのいうとおりにして
ぜんぶ ほしいの
あれも これも
ほしいとおもったものは みんな
ほしいの
ほしいの
ぜんぶ ちょうだい



コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

恋の神

2013-04-22 06:42:34 | 苺の秘密

あいしていても
わかれなくちゃいけないこと
あるんだよね

すきなの とても
ほかのひとはかんがえられないほど
ほんとうに 愛してる
彼も わたしを愛してるって
わかる

でも 
わたしたちだけ 幸せになると
ほかの人がたくさん
不幸せになるから
わたしたち さよなら
もう二度と 会えない

ああ

すきなの! あいしてるの!
でも!! わたしたちだけ
幸せになんて なれないから!!



ああ つらいね
くるしいね
まるで腕をちぎられるようだ
痛い とても痛い
なくしたものの寒さが
君を凍らせる前に
わたしが だきしめてあげよう

心配いらない
いつかきっと 幸せにしてあげよう
君たちは愛を耐えて
皆の幸せのために
いちばんつらいことを耐えたから
いつかきっと
いつかきっと
幸せにしてあげよう

愛にたえねばならないことを
学んだ君たちは
いつかきっと
美しい花の野辺で
あるいは涼しい川のほとりで
もう一度恋をするために
出会うだろう



コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いやなんや

2013-04-20 07:02:43 | 人間の声

いやなんです いやなんです
自分でやるの いやなんです

なんぼやってきたかと おもてるんですか
ひとばかにして ばかにして
ぶっころして ぬすみまくって
そんなこと ずっとずっと
せんまんねん やってきたんです

ほれぜんぶ かえさなあかんの
つらいんですよお
どんなこと やってきたと おもてるんですか
ひどいんですよ
ひどすぎるんですよ
おれはあんなことになるんはいやや
あんなことするんはいやや

ほなけん 無理にでも
おれらが勝つことにして
おれらが正しいことにせなあかんのよおお
でないとおれ とんでもないんですう

ばかですよ ばかですよ
ほんなことやったら よけいばかになりますよ
あほが 自分ばっかりなんとか
なんもせんでいけるように せんといかんて
あほばっかりやって ものすごいひどいことになって
もっとひどいことになって
ほれぜんぶやらなあかんのて
むごすぎますよお

おれはいやや おれはいやや
おれはいやや

いやなんやあ




コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする