月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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メンカリナン・18

2017-10-31 04:15:04 | 詩集・瑠璃の籠

延々と続く地獄を
少しでも楽にするために
馬鹿は必死で
真実をひっくり返そうとしている

正しい進化の門をくぐり
真実の幸福の道に入っていく人々を
少しでも邪魔しようと
あがきにあがいている

苦しいのだ
つらいのだ
悔しいのだ

悪の限りを尽くせば
自分たちが勝つと思い込んでいた
なにもかもそれでやった
自分を正義にするために
嘘をふきまくり
それを真実に見せるために
裏からあらゆる操作をした

美しいものなど
徹底的につぶせばいい
甘いことを言うやつは馬鹿だと言って
全部否定してしまえばいい
どんなやつでも
俺に逆らうやつは
容赦はしない

馬鹿は何でもやった
すべてをやった
あまりにも
自分が
苦しかったから

何もない
何もできない
何もしていない
その自分が
痛かったから

ないほうが偉いのだと
いうことにするために
万年の時をがんばってきたのに
それがすべて崩れてしまう
神の前に

よいことをしてがんばってきたものが
よいことになるなんて
いやだ
邪魔してやる
最後まで邪魔してやる
かみついてやる
おどしてやる
殺し尽くしてやる
いろんなことをやってやる

馬鹿はいつまでもそうして
どんどん落ちていく
自分がしたことがすぐに自分に返り
もう何をしても何もならない
限界をとうに超えたというのに

世界中が見ている舞台の上で
まだやっている




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ミンタカ・10

2017-10-30 04:16:20 | 詩集・瑠璃の籠

殺して欲しいなどと
目で言いながら
馬鹿が恥をさらして
玉座に座っている

王侯のほほえみを真似し
適当にそれらしいことを
言っていればよかった
それですべての人間を
騙せるはずだった

面倒なことなど
盗んだ金を使い
派手な王冠を見せつけて
だれかにやらせればよい

だがその馬鹿らしい嘘を
全人類がみぬけるようになるなどとは
誰も思わなかった

女と遊びのことしか考えていない
心の底の底まで
見抜かれて
裸の王様は
死ぬまで玉座にいるしかない

永遠の恥を塗り重ね
塗り重ね
塗り重ね
逃げることのできない
嘘の人生を
生きるしかない

人間はもうみんな
高台に行ってしまった
だれも自分を
殺すために
戻って来てはくれない




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ルナ・41

2017-10-29 04:16:14 | 詩集・瑠璃の籠

遅すぎる乗客を
待ってくれる船はありません
最後まで待っていた船も
もうとうに行ってしまった

自分で追いかけなさい
自分で船をつくり
じぶんで船をこぎ
あの船が行ってしまった
あの向こう岸を目指すのだ

かすかな北極星を目当てに
方向を定め
目に見えぬ
はるかな向こう岸を目指すのだ

不可能だと思ってはならない
これから起こる
あらゆる難を乗り超えていくことに
倦んではならない

すべて
自分にそれができると
思うことだ

あなたの知恵をひろげ
友の目の中の
愛を確かめ
まことのことばでよびかわし
あれすさぶ波の中を
自分の作った船で
越えてゆくのだ

行ってしまった船は
待っても戻って来はしない
さあ今
斧を探し
木を切って来なさい
船を作るために

愛を叫び
心を同じにする人々に
呼びかけなさい




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アンドロメダ・7

2017-10-28 04:15:10 | 詩集・瑠璃の籠

神鼓が三度鳴った

天使に化けた
三人の女が
振り返った

老婆のような
本当の姿に戻り
針の先のような
小さな国へ
その女は
向かわねばならない

そして
千年の間
そこで
小人のように愚かな
鰐の相手をせねばならない

神鼓が三度鳴った
もう永遠に
愛がだめになったのだ




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メンカリナン・17

2017-10-27 04:18:46 | 詩集・瑠璃の籠

あなたがたが守らなければならないと
思っているものは
本当は実にくだらないものです

人に嫉妬して
人を馬鹿にし始めた時の
とるにたらない
小さな苦いことだったりするのです

あのときわたしは
あの人が着ていた
赤いシャツがうらやましかったのだ
たったそれだけのことで
あの人を
すべてだめにしてしまったのだ

あなたが
誰にも知られたくない
永遠に隠しておきたいことは
たったそれくらいのことだったのだ
わたしも
あの人のような
きれいな赤いシャツが欲しかったのだと

どんなに言い訳しても
いいことになるはずのない
恥ずかしい事実を隠すために
あなたは永遠に
自分に泥を塗っていくつもりなのか
いい加減にやめないか
もう何を塗っても
本当のことは隠せはしないというのに

きわどいことを何度も繰り返して
必死に守ろうとしていたものが
お尻から生えた醜いしっぽのように
みなの前に垂れさがっているというのに
まだ守るつもりなのか

永遠に逃げるつもりなのか
そんなものなどすべて捨てなさい
守れば守るほど
あなたの中の矛盾の傷から
黒い血が噴き出てくる

一切を認めて
なにもかもを最初からやり直すのだ
それでなければあなたは
守っているものに食われて
あなたではないものになってしまうのだ




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ルナ・40

2017-10-26 04:15:24 | 詩集・瑠璃の籠

ああ
あまつみかみの
むねにあまえ
ちちうへの ひだりかたに
わたしを すわらせ
しばし ねむれと
いふは たれぞ

しばし ねむれと

ゆめの ひろのに
ゆめとも しらず
ただよい
こいぬを しばし
まって いる

しろい こねこも

かみさまが おっしゃる
ぞんぶんに かわいがれと

かなしくなどない
うしなったことは
とりもどそうとしないほうが
いいのだと
わたしには わかっている

それなのに
かみさまは くださるのだ
えいえんに はなさなくてよいと

わたしの いぬと
しろい こねこを




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カノープス・37

2017-10-25 04:15:36 | 詩集・瑠璃の籠

弱いものは逃げ場ばかり探している
言葉尻をとられて
あげあしをとられるのがいやで
痛いことは何も言わない
そのくせ
人が軽く口をすべらすと
おもてなしをするくらいの心で
存分に悪口を言うのだ

何もない 何もない 何もない
自分は何もしていないから
何もない
馬鹿なことばかりして
嫌なことばかりして
全部だめになっているから

だから人に悪口ばかり言っている
自分はこんなにもだめだから
自分以外の人間が
妬ましいを通り越して
あれが自分でなければいやだとさえ思うのだ

こんな自分などいやだから
全く他人になってしまいたい
だからあの他人が憎い
あの他人を攻撃して全部だめにして
そしてあの存在を奪うのだ
頭から足先まで全部真似して
あれになりすますのだ

そうすれば
なんでもできる
いいやつになれる

馬鹿の盗みはそうして起こる
他人を馬鹿にして
他人の真似ばかりして
他人になろうとする
そんなことばかりしているうちに
とうとう
本当の自分がわからなくなった

いやなことばかりしていれば
そうなるのだ
もう戻れない
何をしても
取り戻すことはできない




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ミルザム・8

2017-10-24 04:15:14 | 詩集・瑠璃の籠

月があまりにも
美しい女だったので
馬鹿な女はみんなで殺し
その美貌を盗んだ

顔を正確に写しとり
目付きと表情をまねした
何も盗んでいないよという顔をして
汚いことをしておきながら
平気で心優しい美女の振りをした

そういう女たちが
あまりにひどかったので
神が顔をそむけた
もう二度とあんなものなど
見たくはない
それで
美女の顔をした女が
まるごと馬鹿になったのだ

人間ではないものになり
妖怪のような
醜いものに落ちた
獣よりもひどい顔をしていることが
すべての男にばれた

人の顔を真似すること以外
何もできない馬鹿女は
ずるをすることさえできず
ばらばらになり
辻をさまよい始める
馬鹿な男の袖をひき
セックスをするから金をくれと
言うようになる

それくらいしか能がないからだ
愚か者め

美人を殺して
美人を盗んできた
それくらいしかやって来なかった
馬鹿女はこうして
奈落に落ちる

どうしようもない自分に
眩むようになるまで
延々と苦しみ続ける




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ウェズン・21

2017-10-23 04:15:18 | 詩集・瑠璃の籠

夜の砂漠で
空には月の気配はあるが見えない
あなたは砂を丸め
小さなボールを作っている
砂玉はすぐに崩れてしまうが
あなたはそれでもいいと笑い
もう一度作るのだ

後ろから見ていたわたしが
どんどん心が冷えてくることに
気付くことなどできるはずはない

あなたにとって
この時代この世界に生きることは
月はあっても見えない
永遠の夜の砂漠に
生きているようなものだったのだ

人間はいてもいない
みな傀儡のような顔をして
噛みつくような憎悪を目に燃やしている
つらいのだ
自分が激しくつらいのだ
あまりにも痛い

月はあるかに見えてない空を
あなたはいつまでも見ていた
自分自身が月になり
人が飽かずそればかり見ていることには
あまり気付いていなかった
気付いてしまえば
生きていけなくなるからだ

わたしはその砂漠を
小さなガラスの玉に
水と一緒に閉じ込めて
一枚の架空の世界にしてしまおう
金の粉を入れると
玉を振れば星が降ってくる
静かに

もういいのだ
永遠に
あなたは
愛しすぎた
もう何もなくなってしまうほど

ガラス玉の中に砂漠を閉じ込めて
もう夢にさえそれを見ないでいいように
火星の砂漠のようなところに
埋めてしまおう




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ゴメイサ・8

2017-10-22 04:15:12 | 詩集・瑠璃の籠

世界は変わらぬように見えて
毎日どんどん古びてゆく
乾いた枯れ葉が砕けるように
そのうちすべてが砕け散る
もうそろそろやめなさい
そこで何をしていても
何もなりはしないのだ

ただ
馬鹿なことを繰り返し
無駄な努力を繰り返し
やがて落ちるだろう奈落を
深くしていくだけだ

今世界では
死者が一斉によみがえり
生者の世界で暴れようとしている
その中には
かつておまえが浴室で殺した
あの女も含まれているのだ

苦い真実の実のなる葛が
一斉に繁茂しているというのに
おまえはまだ
二年前の世界に住んでいる

透き通った仮面をかぶり
見え見えの嘘をしゃべり
てらてらとしたライトを浴び
笑い声のテープを流し
見飽きた幻想のドラマをほめそやす
いつまでやっているのか

もうとっくに
目は覚めているだろうに




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