月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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アンタレス・16

2015-09-30 04:00:07 | 詩集・瑠璃の籠

酸素の爆弾が落ちてくる
それは黄昏の光を吸い込み
金色に染まりながら
美しい彗星のように落ちてくる

爆弾は木の葉よりも静かに落ちるが
被害はヒロシマよりもむごい
人々は瞬時に生きた死人になり
都市は瞬時に生きた遺跡になる

これはなんだと気づいた時
何を見ても馬鹿に見える
人間がみんな変な服を着ている
なぜこんなことになっているのか

さわがしい嘘で塗りたくった
薄っぺらな現実を壊し
真実の自分を見いだすために
自己存在の回路をフルに回せ

笑うに笑えない喜劇に落ちた
人類文明の姿を眺め
人類のやったことの真実を認め
新たな道を探るべく行動を起こすのだ

道は甘くはない
何よりもそれだけはやりたくない
そう言う課題がおまえたちの頭の上に
鉄の林檎のように落ちてくる

あきらかに自分が正義だと言ったことが
すべて嘘だったとばれる前に
自ら明らかにしてやり直せ
これは愛だと言いながら
売って儲けていたものの正体を自ら暴き
地に額をつけて人々に心から謝るのだ

愚か者め
ただセックスがしたかった
それだけのためにやったことなのだと
すべてを認め
真実の爆弾が起こす風の津波に流されてゆけ




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アルマァズ・33

2015-09-29 04:04:08 | 詩集・瑠璃の籠

淋しさをくちびるに塗り
風はあなたの中を吹き通るたび
あなたの心臓に口づけをしてゆく

都市は 黄昏の迷宮
ゆく道はわかっているはずなのに
どこにいけばいいのか
もうわからない

父も母も 姉も弟も
いなくなった
暖かかった家は
もう帰れるところではなくなった

あなたは深海を這う海老に従い
今は骨となった
鯨の腹の中に逃げてゆく
そこはまるで雪の降る砂漠のようだ
寒いのに 熱い

楽しかったことも
苦しかったこともあった
それらのすべての思い出が
チョコレートが溶けてゆくように
崩れてゆく
あれはみな嘘だったのだと

欲しいものをやろうと
だれかがあなたに尋ねてくれたなら
きっとあなたは何も答えられないだろう
涙だけが水に溶けて
愛が 愛が足りないとあなたは瞳で叫ぶ

ジーザス・クライスト
たすけて
ジーザス・クライスト

静寂の闇を食った口で
その名を叫びながら
あなたは深海の砂の中に崩れていく
もう何もいらない
何もしたくない
ただ できるだけ穏やかな死を

疲れ果てた小鳥が
ほとりと木の実ように枝から落ちる
そんな静かな死を

淋しさをくちびるに塗り
風はあなたの中を吹き通るたび
あなたの心臓に口づけをしてゆく

都市は深海の骨の森
二度と帰れない故郷の思い出を
涙と一緒に握り潰し
あなたはひとりでゆかねばならない





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アルマァズ・32

2015-09-28 04:05:01 | 詩集・瑠璃の籠

とおりすぎていく
時の流れに導かれながら
自分というものを
感じて行きなさい

その心の手触り
かたち うごき
あらゆる活動の傾向
自分の心というものの
特質を知りなさい

あまりにもむごたらしい馬鹿を
平気でやりながら
反省もできぬ馬鹿には
神から離縁状が渡されます
泥と闇だけがある世界に
永遠の砂時計と共に
落ちて行かねばならない

なぜこんな目に会うのかと
神のせいにするものは
もっと深い闇に落ちる
それがわかっているのなら
せめて沈黙に唇を閉じ込め
何も言わずにうめいているほうがいい

いずれあなたがたも
解脱の光というものを
自己存在の本義の光というものを
見ることができるでしょう
そのときがきたら
大いなる神の悲しみも
理解することができるでしょう

哀れなものたちよ
救いとは自分自身のことである
天国はいつもあなたを包んでいる
それに気づくことこそが解脱であり
自己存在の本当の幸いなのです

今は何もわからなくとも
いずれきっとわかるときがくる
そのときになったら
神に感謝をし
自分で自分の生き方を決めなさい

あらゆる命をつぶしてきた
おそろしい悪魔の中にさえ
真実の光を燃やす魂はあるのです



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ゲンマ・12

2015-09-27 04:04:35 | 詩集・瑠璃の籠

おまえは 存在するだけで
多くの人を だましているのだ
がらくたのような
夢をかなえるために
おまえは千人の人間から血を吸った
それで金持ちになった

おまえの家も
美しい妻も
すべては 盗んだ金で買った
幸せなのだ
だがそれはもう崩れてゆく

他人事と思い
通り過ぎてゆくでない
悪魔と言うものは
人類の一種なのだ
おまえは知らなくとも
おまえの裏側の影たちが
おまえのために人から血を盗んでくる
そのせいでおまえは
多くの人を殺しているのだ
ゆえにおまえは悪魔と呼ばれる

やがておまえの本当の運命が流れてきても
おまえにはわかりはすまい
知らぬ方が幸せだろうが
どこにも
ゆくところがなくなったときに
だれかがおまえの耳元で
真実をささやくかもしれぬ

風の声に耳を澄まし
自分で自分の足を動かし
ゆくべきところに流れ流れて行け
そこがおまえにとって
どんなに恐ろしいところであろうと
おまえはそこ以外にゆくところはない
すべての愚かな夢を捨てて
罪の償いをすべく働いてゆかねばならない
元の暮らしを取り戻そうと
焦ってあがいていると
足元が崩れて一層深い奈落に落ちる

考えよ どうすれば生きて行けるかを
考えよ
自分の本当の頭と体を使い
どんな惨めな仕事でも
おまえはやらねばならぬ

誰も助けてはくれぬ
もうおまえには
おまえしかいないのだ





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シルマ・4

2015-09-26 04:08:22 | 詩集・瑠璃の籠

何が本当のことなのかは
見知らぬ故郷へと向かう
途中で出会う蝶が教えてくれる

特別に自分だけがおかしいのではない
この時代はみなが
おまえのように 嘘の仮面をかぶって
嘘の人生を生きていたのだ

嘘と盗みで
馬鹿がいるはずのない人間を大量生産して
馬鹿が増えすぎ
とうとう人類がほとんど馬鹿になってしまった
それが今の時代なのだ

軽い罪ではない
おまえは嘘の自分を生きれば生きる程
命の宝を他人から盗み続けなければならない
ただ生きているだけで
馬鹿は吸血鬼のように
他人から命を盗んでいるのだ

それがわかったなら
すぐにその仮面を脱ぎ
見知らぬ本当の故郷へと向かえ
地図はなくとも
風の匂いが道を教えてくれるだろう

嘘だった人生はすべて忘れるがいい
そして何もかもが違う
本当の自分を生きて行くがいい
風に舞う白い蝶が かすかな神の声を
おまえの耳元に流してくれるだろう

正しいということをふみにじり
嘘とずるばかりで生きて来たおまえには
厳しすぎるほどに厳しい道だが
もう逃げてはならない

おまえが落ちなければならない奈落に
せめて柔らかな草を敷いておいてやろう
そうすれば 受ける傷が少しは小さくなるだろう
そこでどんなものを見ても驚いてはならない
それが当然なのだということを
自分の中に受け入れなさい

もう夜明けが来る
古い夢の貝を開いて目を覚まし
新しい空の風を受けて
真実の自分の故郷へ帰るのだ



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アルデバラン・22

2015-09-25 03:54:21 | 詩集・瑠璃の籠

寂しさの奥に
ほんとうのくにがある
つまずきのなかに
たしかな宝がある

暗いところに
いけばいくほど
自らの中の光は強くなる
自らの愛が動き出す

絶望の荒野に落ち
なにもかもを見失った者よ
己自身の光を焚き
墨のような暗闇の中に
たった一粒の真珠を産み
自らゆく道を照らしだせ

死魚の腐臭がつきまとい
がれきの山が立ちふさがる
罵りの風がおまえを翻弄し
天は針の雨を落とす
暗闇は鯨のようにお前を飲み込み
恐怖でおまえの肝をちぎろうとする

顔が剥げ落ち
蛙のように小さな醜いものになろうとも
自らを打ち捨ててはならぬ
自らの光をつかみ
それを信じて己が道をゆけ

シジフォスは徒労と知りつつも
岩を担ぎ上げる
お前もそれに習うのだ
何度失敗しようとも
はじめから無駄だとわかっていても
挑戦することをやめてはならない

見せかけの幸せの中に
ほんとうの愛はどこにもない
いらだちの湯につかりながら
自分を無理やり型にはめようとする痛さの余り
暗がりで浴びるように酒を飲む

おまえはもう
そんなやつらの仲間になってはならない
全てを捨てて 暗闇に落ち
苦い泥と涙を飲みながら
自らの光に従ってまっすぐに進め

それこそがおまえの
真実の幸福なのだ



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ウラヌス・10

2015-09-24 03:41:12 | 詩集・瑠璃の籠

たとえたった0.1ミリの差でも
ボーダーラインに届かぬ馬鹿は
全て切れ
同情してはならない

奈落の闇に落ちた人々を救わんと
神が投げた救いの糸を
全て切れ
もう期限は過ぎた

夢に浮かれ狂っている
人間の舞台に
糞尿の津波が落ちてくる
もう誰一人として救ってはならない

黄金の堤にも限界がある
われわれがどのように努力しても
救えぬ馬鹿は
法則の鬼に食われるほうがよい

人間の血を吸って生きて来た馬鹿は
蚊のように叩き潰されても
文句は言えぬ
運命を素直に受け入れるがよい

オリンポスの正体がばれる
なしてきたことのすべてを裏返され
人類の正体がばれる
愚か者め

苦い愛のボーダーラインをひき
たった0.1ミリでもそれに届かぬ者は
すべて切れ
永遠の双子の妹の
支配する砂の国へ
突き落とせ





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ルクバー・11

2015-09-23 03:38:45 | 詩集・瑠璃の籠

鋼鉄の堤を造らねばならぬ
人夫をそろえよ
腕っぷしに自信のあるやつは
すべてやって来い

馬鹿どもが
オリンポスを超えるほどの山を
錆び釘を積んで造った
それが水となり一気に崩れてくるのを
押しとどめねばならない

使命を感じる者はすべて来い
やらねばならぬことは多すぎる
だがやらねばならぬ
鼠であろうが
虎であろうが
自分の力に自信のあるものは
すべて来い
あらゆることを
やっていかねばならない

腐乱死体が埋もれていることに気をつけよ
腐水を垂らしながら死にきれぬ亡霊に気をつけよ
あらゆるものを
きよめねばならない

人間が糞と小便をためこんだ
堰がとうとう崩れる
工事を休んではならぬ
月光の正義に濡れた
美しい鋼鉄の堤を千万と造れ
破壊と亡霊の氾濫から
世界を守るのだ

ルクバー
力がもう一つ必要だと感じるものは
我が名を呼べ
おまえの力に火をつけてやろう

逃げ出すものはずるいことをするやつだけだ
真の男は誰も逃げはしない
馬鹿どもの造った偽物のオリンポスが
崩れてくる前に
月光の正義に濡れた
美しい鋼鉄の堤を造るのだ



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ヴィンデミアトリックス・5

2015-09-22 03:59:53 | 詩集・瑠璃の籠

蛙のように醜い馬鹿が
自分が嫌なばっかりに
生きている人間みんなを
馬鹿にしたくって
鼠のテロリストを操って
裏から人を殺しまくっている
そういう世界がある

ずるい手をつかって
あくどいことをやって 
人間を殺したい
ただそれだけのために
人間を殺しているやつがいる

いやなんだ いやなんだ
全ての人間より
自分が偉いことにならなければ
いやなんだ
みんな死んでしまえ
辛い思いをして
いやらしいことをやって
汚い馬鹿になって 死んでしまえ

人間なんて馬鹿なんだ
俺様以外は馬鹿なんだ
汚い地獄の罠を作って
みんなを放りこんでやる
殺してやる 殺してやる
死ねばいい みんな死ねばいい

おまえは永遠にそれをやるつもりかと
言われてそいつが後ろを振り向くと
そこに天使がひとりいる
そいつは答えない 
馬鹿なことを言えば馬鹿にされるからだ
すると天使は低い声でそいつに言ったのだ

沈黙はイエスの意味だ
もう何もかも遅い
神の目が
とうとうおまえを捕まえたからだ



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カノープス・18

2015-09-21 04:00:12 | 詩集・瑠璃の籠

あたりまえの人生を
生きて行けるとは
思わぬ方がよい

学校を卒業して
それなりのところに就職して
結婚し 家庭をつくり
子供を育てていく

そんな型通りの幸せは
ないと思いなさい
それはもはや幸せではないのだ
人の幸福を盗み
嘘と真似で作った幸せは
どんなに頑丈に作ってみても
いつかはもろく崩れてゆく

もういいだろう
あきらめなさい
あれは夢だったのだ
なにもかもははかない幻影だったのだ
幽霊の作った透明なガラスの舞台で
演じていた自分を
本当の自分だと勘違いしていただけだったのだ
愚かな人間よ

もうすぐ風が変わる
盗んだ幸福が足元から崩れ始め
おまえの顔はバッタのように青くなる
何をしてもむだだ
美しいことになりはしない
全てを助けてくれる天使は
もう死んでしまった

愛の中で 愛を愚弄する
生を歩んできたおまえたちは
まさに今
愛に復讐されるのだ
法則の腕につかまれ
糞の沼にほうり込まれても
二度と愛はおまえを振り向かない

人間よ
愚かな人間よ
自分らしい自分とは
一体だれのことだ



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