月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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エルナト・18

2015-01-31 07:25:31 | 詩集・瑠璃の籠

北斗の星はやさしい
あなたがたのために
やわらかくものを言ってくれる
励ましてもくれる

だがそういうやさしさというものは
今のあなたがたにとっては
返って毒だとわたしは考えます
あなたがたが大勢いるように
わたしたちも大勢いる
わたしたちは同じて和せずではない
それぞれに個性もあれば
意見もちがいます

ウルトラマンは
故郷に帰って二度と来ないのではありません
あなたがたの方を怪獣だと認識して
戦うことに決めたのです

いいですか
あなたがたこそが
ウルトラマンに倒されるべき
怪獣になってしまったのです

ウルトラマンというのは
地球創造活動において
とても大きな役割を果たしている
すばらしい巨霊のひとりのことです
天使よりも高い存在です

その巨霊が 人類を愛することをやめ
返って敵とみなすことに決めたのです
人間がやっていることが
あまりにも醜いからです

真実というものは
実に厳しい
ゆえにやさしい北斗の星は
全ては言わずにとどめたのです

だがこのわたしとて
この真実がこれからどういう現象を引き起こしていくか
それを予測することはできない
彼らはわたしたちとは全く別の存在だからです

あなたがたが戦わねばならないものの中には
ウルトラマン自身も入っているのです
それがどういうことであるかということは
残念ながらわたしにはわかりません

だがあなたがたは必ず
かつて経験したこともないような現象を
身に浴びることでしょう
ウルトラマンは
脳味噌の代わりに性器が頭に詰まっているような人間を
見たこともないような不思議な炎で
燃やしていくことでしょう

わたしはエルナト
あなたがたのために
最も痛い真実を教えてさしあげます



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メラク・41

2015-01-30 06:51:54 | 詩集・瑠璃の籠

人間は
ウルトラマンに背を向けられたのです
宇宙の彼方からやってきて
人間をあらゆる怪獣から守ってくれていた
ウルトラマンに嫌われたのです

あなたがたはあまりにも愚かなことをやって
人間を愛してくれていたものを皆怒らせたのです
自分たちが助けていた
人間とはこんなものだったのか
こんなもののために なぜ
苦労をして戦う必要があるのか

人間を愛してくれていた
ウルトラマンはもう
宇宙の彼方の故郷へ帰ってしまったのです
もう二度と会うことはないだろう
二度と愛することはないだろう

子供たちには 秘密にしておきなさい
でも大人になったら教えてあげなさい
ウルトラマンはもう
永遠に地球には来ないのだと
テレビの中のウルトラマンは皆
人間が勝手に作った偽物なのだと

これからは あなたがたは
自分たちの力で怪獣と戦わねばなりません
助けてくれるものはいるでしょう
けれどあなたがたの代わりに
決して戦ってはくれないでしょう

ウルトラマンはいつも
人間の味方だと思っていましたね
危ない時にはいつも
すぐにやってきてくれるものだと
思っていましたね
でももうそれは本当ではないのです
愛を裏切り切った人間のためには
ウルトラマンはもう来てはくれないのです

心配はない
戦い方を教えてくれる天使はいる
傷つくことを恐れず
倒れることを恐れず
何度負けても立ち上がり
襲ってくる怪獣に立ち向かいなさい

怪獣とは
人間があふれるほどやってきた悪業の
反動の波が化身したものです
ウルトラマンは 人間がもろにそれをかぶらないように
身をていして守ってくれていたのです

だがもうその愛は人間の前から消えた
ゆえにあなたがたは
自らを鍛えあげ 学びを重ね
自らを強くして 挑戦してゆかねばなりません

多くの愛は人間から退いていく
だが助けてくれる者は必ずいます
愛を大切にし
自らも愛を捧げ
みなのために戦いなさい

もうウルトラマンは
人間の味方ではないのです



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アケルナル・3

2015-01-29 06:55:54 | 詩集・瑠璃の籠

ゆりかごの中で
眠る白い月の子の顔を
大きな星が のぞき込んでいる

つらかったか 苦しかったか
みんなに いじめられたのか
阿呆ばかりの世の中で
ここまでがんばったのか

人間はみな
おまえばっかりに
貧乏くじをひかせて
馬鹿にしたのか

ああ 心臓の音が
まるで瀕死の小鳥の息のようだ
がんばりすぎたのか
できると信じて
やり過ぎたのか

だれがおまえをいじめた
だれがおまえに 馬鹿だと言った
小さなおまえが いちばんがんばって
みんなのために いいことをしていたのに

阿呆ばかりのこの世の中を
おまえのために ひっくり返してやる
馬鹿にした者の腹を裂いて
真っ黒な内臓を 暴いてやる

決してやってはならない悪を
焼け石にしておまえにぶつけたやつらを
皆殺しにしてやる
鏡に映った青い薔薇のように
生きたまま恥さらしの死をかぶせてやる

人間が造った
黄金のローマ帝国を
おまえのために
屁のような糞にしてやろう

あらゆる愛が
翼を広げて集まってくる
おまえのために
おまえのために
すべてをやってやろう

人間に 馬鹿にされたのか
人間に 殺されたのか
人間のために がんばったのに

だれがこのわたしの心を
責めることができよう
愛する者のために
激しい憎悪の炎に焼かれる
この心を

おまえへの愛のために
わたしは
すべての人間を 踏み潰してやろう



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スピカ・14

2015-01-28 07:06:11 | 詩集・瑠璃の籠

いかさまのカードをめくって
ハートのエースが出てくると思ったら
どこかで見たことのある小鬼が出て来たよ
おまえ なぜこんなところにいるんだ

馬鹿にして 
きついいやなものにして
二度と出て来れない
臭い地獄に落としたはずなのに

美しいものをみんな取り上げて
素裸にして からかって
みんなでなぶりものにして
ぶち殺したはずなのに

カードは小鳥のように宙に飛び上がって
けらけらと笑いながら逃げて行く
ばらしてやる
ばらしてやる
おまえのやったことみんな
ばらしてやる

窓のすき間から逃げて行くそいつを
おれは急いで追いかけた
けれどカードは外に出たとたん
白いカラスになって町の空高く飛んでいく

もうだめだ もうだめだ
苦しいほど 馬鹿なことばかりやって
やっと金持ちになれたのに
やっとイエスになれたのに

遠い山の向こうから 
カラスの叫ぶ声が聞こえてくる
終わるぞ すべてが終わるぞ
でっかいアップルパイが ひっくり返る

Aは アップルパイの


Aは アホばっかりの




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アンタレス・10

2015-01-27 07:06:32 | 詩集・瑠璃の籠

緩やかな緑の登山道を
上っていたと思ったら
突然 深い氷壁の奈落を
真っ逆さまに落ちている

薄紅の花びらの舞う庭で
皆で楽しく踊っていたと思ったら
突然 山のように大きな
恐竜の牙の前にいる

ああ なにもかもがうまくいくと
思っていたら
突然ギロチンの刃のような
運命に首を落とされる

なぜこうなった
何をしてこうなった

馬鹿がまだわからないのか
テロリストのように酷い
運命の氷風を 
自ら壁となって防いでくれていた
大きな愛をおまえたちが壊したからだ

甘い林檎が爆発する
薔薇の香りが毒ガスに変わる
幸運の白猫が飢虎に変わる
あの人だけは 許してくれると
信じていた人が 背を向けて逃げていく

時代のからくりを回す
神の呪文が聞こえる
ああ 
人間の 当たり前の 幸福が
除草剤をまかれた花のように
枯れ果ててゆく

あきらめろ 馬鹿どもよ
芝居はもう 終わりだ
盗んだ心臓を神に返し
忘れ去った砂漠の帰途を探せ

誰も助けてくれる者はいない
地雷のような運命の花を浴びながら
本当の自分の国にひとり帰れ

やり直せ 生き直せ
馬鹿を洗い流し 真実の自分に戻れ
悪あがきはするな

運命の船は沈んだ
両腕にまいていた鉛の鎖を外し
炎の翼を空に広げ
天使のテロが始まる



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ヌンキ・11

2015-01-26 06:43:04 | 詩集・瑠璃の籠

霊峰の巨霊が
白い雪の翼をひきずりながら
世界を歩いている

嘘をついているものは
いないか
馬鹿をやっているものは
いないか

いたら糞を食わせてやる
いたら蛇を飲ませてやる
いたら煮えた小便の中に放り込んでやる

阿呆はいないか
悪餓鬼はいないか
師に嘘をついて
マンドレイクの畑を作ったやつは誰だ
親をだまして
太陽の心臓をすり替えたやつは誰だ

白い雪の足音が近づいてくる
赤い薔薇の実に
青い絵具を塗ったのは誰だ
白い百合の花に
黒い墨を塗ったのは誰だ

軍隊蜂のように雪が舞っている
あれが霊峰の秀軍だ
何万といる 何億といる
霊峰の巨霊の白い翼に導かれ
蟻の巣に隠れている大馬鹿を
完膚なきまで叩きのめしにゆく

馬鹿はいないか
嘘つきはいないか
いたら
焼けた馬糞の上を歩かせてやる
冷えた嘲笑の視線を幾千と突き刺してやる

おお 呆れてものも言えぬ
阿呆がいるぞ
かかれ 者どもよ

霊峰の巨霊が
白い雪の翼をひきずりながら
世界を歩いている



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ゾスマ・6

2015-01-25 06:20:22 | 詩集・瑠璃の籠

青い山が 胎内に隠していた
翡翠の棺の蓋を開くと
千羽の白い小鳥が
中から一気に飛び出してくる

真珠の声をした小鳥は
海を越え 山を越え
あらゆる町の
毒に染まった影の中に
飛びこんでゆく

黒い絵具に 一筋白い絵具を混ぜるだけで
瞬時に純白に変わってしまうように
明らかな真実があらゆる影に破滅を打ってゆく

あきれかえるほどの
馬鹿をやったな 人間よ
全てが終わるまで
手をこまねいて見ていることしかできぬほど
愚か者になりさがったか
阿呆め

黒い心臓をつかまれ
自ら吐く反吐の海に埋もれ
いつまで泣いているつもりなのだ
臭い奴らめ

鳥よ 真珠の声で鳴き渡り
あらゆる愚弄を吐く泥蛙を
殺し尽くせ

金箔を塗った糞の彫像の
心臓を射抜き
すべての馬鹿の正体を暴け

あらゆるものよ驚け
神のラッパが鳴る
一本の百合の影に隠していた
衰えたるもの中から正義が蘇る



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2015-01-24 07:18:58 | 詩集・空の切り絵・別館

あこがれの
緑の衣装を着た 花嫁を
めとりたかった

におやかな肌が
白い木蓮のようなあなたと
ともに暮らしたかった

かなわぬ夢は
涙といっしょに
砂玉の中に埋めて
海に放り投げて
捨てた方がよかったのだ

あるいは
いつまでも 
さなぎにならないイモムシのように
あなたへの思いの中に住んで
死んだように孤独を生きる
その方がよかったのだ

あなたなどいやだと
殺してしまいたいと
この世から消えてしまえばいいと
火傷に痛む心を叫んで
見たこともない大きな花火をあげて
狂人の群れに身をなげることなど
しなければよかった

小さな菫の花を
大事に鉢に植えるように
あなたへの思いを
もっと美しくしてゆけばよかった

ああ ほんとうは ほんとうは
ほんとうは
だれよりも 愛していたのに

思いを美しく整えて
わたしの思いを束ねた菫を
あなたにあげたらよかった
そうしたら
あなたは驚いても
わたしはうれしかったのに

何もかも無くして
何もかもが無くなって
初めて見えるのだ
わたしの 本当の心は

ああ 道端で見つけた
小さな青い菫を
大事に鉢に植え替えるように
わたしの思いを
美しくすればよかった

そうすれば
わたしは あなたのために
何でもすることが できたろうに
きっと それだけで
わたしは 幸せだったろうに

菫を 小さな鉢に
植え替えればよかった



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ウェズン・11

2015-01-23 07:21:15 | 詩集・瑠璃の籠

金砂 銀砂 霊砂
とりまぜて 箱に注ぎいれ
小さな箱庭を作りましょう

あなたの好きなものを入れて
あなたの夢が生きていける
小さな世界を作りましょう

宝石のような甲虫や
千代紙の切れ端のような蝶々や
色紐のような小さな子供の蜥蜴
空からまろび落ちてきた
小鳥の さえずり

紅に染まった 庭のもみじ
桜のほほ笑み 梅の悲しみ
薔薇は心を隠して 逃げて行く
かすかな香りだけを残して
ああ 空を見れば 落ちてくる
星の吐息 月の香り

風に揺れる ひなげし
緑のくすのきの 心
海の色は薄い藍玉の氷にして
空の色は菫の花びらに吸わせて
山の声は緑色の小さな小石にして

日だまりのかけらを 散らして
澄んだ水晶のような空気を入れて
さあ 小さな魚を池に放つように
あなたの夢を 箱庭に呼びましょう

あなたの夢は 
見知らぬ森の中を歩く
小さな鹿のように
箱庭の中を不思議そうに泳いでいる

もうどこにも行かなくていい
わたしが いつまでもこうして
見ていてあげましょう
欲しいものは何 なんて
あなたに聞くような馬鹿な真似はしない
なぜならそう聞けば
あなたは何もいらないと言うに決まっているから

金砂 銀砂 霊砂
とりまぜて あなたのために
美しい夢の世界を織りましょう



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スピカ・13

2015-01-22 06:47:29 | 詩集・瑠璃の籠

翼もないのに飛んでいる
飛行機がある
だれを乗せているのか
右目と左目に
違う魂が住んでいる
奇妙な小人が乗っている

自由気ままに
勝手気ままに
自分の好きなようにやっていいんだと
馬鹿が笑って乗っている
民主主義だからね
自分の好きなように
何でもやっていいんだとさ

噂によれば 噂によれば
銀の馬鹿は鹿の毛皮を盗んで
きれいな糞の国の王様になったそうだ
好きなようにやっていいんなら
だれかが王様になったっておかしくない

噂によれば 噂によれば
金の馬鹿は聖者の声を盗んで
贋金の山で説教をしているんだそうだ
好きなようにやっていいんなら
だれかが聖者になったっておかしくない

翼のない飛行機が
右目と左目に
違う魂が住んでいる
奇妙な小人を乗せて飛んでいる

落ちて来ないのは
まだ人間が知らないからだ
翼がなければ飛べないのだと

人間は
まだわからないのだ



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