月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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たまだれの

2014-03-10 03:35:51 | 歌集・窓辺の百合

たまだれの 見ずとも知れる あくがれを てつのおもてに 噛み殺す日々




よしといふ こともなくして さらひきぬ 紫は戸の かげにくづれぬ




ことごとく ほしきものみな むさぼりて つひに切れぬる よもつひらさか




かなしきは みくだりはんの せうもんを おきさりし日を おもひかへす身





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百合をよる

2013-10-26 05:07:38 | 歌集・窓辺の百合

あしたみる 夢はほのかに 明るみて しばし忘るる はるかなる道




ほほゑみを 蛍にのこし 消え去りぬ 夏の香りは 風に染みゆく




あきらめて のちの心は 熱けれど なみだのごはず 泣くわれは愚か




あめのした あをき花野の 風に立ち 月の窓辺に 置く百合をよる




あかつきを 見ることもなく 去る月を とほく見て立つ 蒼杉の森





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きみかたる

2013-09-02 05:29:08 | 歌集・窓辺の百合


きみかたる ことはやさしく あきらかに 月ひかること 花は咲くこと



ゆきしろく たいらかにして しづかにも 月下の世にて しばしやすらふ



ひさかたの つきのひかりの したてらす みちひとりゆく かげのさみしさ





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うつくしき

2013-08-28 03:21:39 | 歌集・窓辺の百合



あまつひの かげさすみづに ひそみゐて こほれるうをの ごとねむる月




あをき野に ひかりはありて かぜうたふ あめうしなひし 月のおもかげ




よりときて なぞのをりめを たどれども さりし月夜の 声も聞こえず




うつくしき しろきおもての あをざめて とおききおくの 箱のしらたま




のにふして ひかりとけゆく まぼろしを みしとおもひて ゆめとなりぬる




たまひかる しろかねのみや とはあきて よぶこえのする ゆめのうきふね




はるかなる ねむれるもりの ひめをとひ ぎんのいわとの とびらをさがす






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まどべにて

2013-04-28 06:59:21 | 歌集・窓辺の百合


まどべにて をさなごころを もてあそび 君待つここち 夢に溶けゆく




さびしさを おとなの花と 胸に差し 笑みで飾りて 瞳を伏せて




胸深く われを愛すと いふ君の 目にぞ映れる われの悲しみ




夢うつつ まどろみのかげ うつろひつ 燃ゆるがごとき 白百合の群れ


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琴をだき

2012-12-22 03:22:56 | 歌集・窓辺の百合


琴をだき 月の岩戸に まどろみて ゆめのなかばに すみれを植ゑよ


あをじろき もの訪ひきたり 窓辺にて 名をたづぬれば ぷろきおんとふ


ふゆきたる もみじなごりの 朱を焼きて 生くるに膿みし 日々を灰とす


こえゆかむ こえゆかむとぞ 琴鳴らす 風がわらひぬ まだやる気かと



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あをき百合

2012-12-21 14:35:43 | 歌集・窓辺の百合



しづかなる 新月の風 あをき百合 われの窓辺に おき去りし君





むねにゆる ガラスの百合を くだくこと なく鳴らしゆく 風の君かな



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