月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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エダシク・10

2018-01-31 04:15:03 | 詩集・瑠璃の籠

木漏れ日の記憶を光の湯に溶かし
不思議な音楽を織って
あなたの夢に注ぎ込もう

だれにもわかってもらえず
剃刀の刃の上に住んでいるかのように
孤独だった時
いつもわたしがそばにいたことを
あなたは思い出してくれるだろう

風は冷たいだけでなかった
釘のような嘲笑が千粒も混じり
常にあなたの目をつぶそうとしていた
かなしいこころで
ひとびとのために祈っていたあなたを
彼らは影で
大声で笑っていたのだ

あなたの魂を
夢で作った貝の檻の中に隠し
わたしたちは守っていた
傷つきながらも
信じていた愛の中で生きていたあなたが
どんどん美しくなっていくのを
人々は醜い羨望の目で見ていた

あれが崩れなければ
自分の幸福はない
下郎の含み笑いが鼠のように
あちこちでうごめいている世界を
あなたは気付きながらもわからないことにして
生きていたのだ
もう自分がいなくなれば終わりだからと

終末は思いがけない形でやってくる
神がそれをお決めになったのか
わたしたちのほうがそれに耐えられなくなったのか
どちらが先なのかはわからない
ただ
運命というものを引き起こすのはいつも
愛の叫びなのだ

もう永遠に目覚めなくてよい
この世界では
玉のような月の岩戸の中で
静かに眠っていなさい
木漏れ日の向こうからやってきた
あなたの希望を
わたしが美しい音楽にしてあげるから




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アケルナル・12

2018-01-30 04:15:23 | 詩集・瑠璃の籠

小さな月の寝顔を
布のような鏡にうつしとり
銀河の水に溶かしてしまおう

かわいいおまえの夢が
空に流れて
美しい人の心に
届くだろう

真砂なす星空の
甘い光が
大空の琴を鳴らし
ただひとりの
おまえの夢のために
歌ってくれるだろう

ああ
たったひとりで
すべてを救おうとしたのか
なにもいらないと言って
死んだのか

さすらいの旅人も
ラクダのあばらに糸を張り
琴を鳴らして歌う
ああ
たったひとりで
すべてを救おうとしたのか
おまえは

夜明けの星が
幻燈のように映す
砂漠の幻に
永遠のおまえの姿を描こう
美しかったのだ
あのひとは

もうどこにもいない

疲れ果てて
岩のようになった
おまえの寝顔を
布のような鏡にうつしとり

永遠のまぼろしを
夜空に組もう




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アラドファル・12

2018-01-29 04:15:03 | 詩集・瑠璃の籠

何もしていないものは
何もないから
普通はとても貧乏なのです
働かざる者食うべからずというように
痛いことをしたこともなく
勉強を怠ってきた者は
ふつうとても貧しい人生を送ります

しかし今は
何もできない人ほど
豊かな暮らしをしている
その反対に
なんでもやってなんでもできる人が
とても貧しい暮らしをしている
これは
何もやっていない馬鹿が
何もかもを人から盗んでいるからなのです

何もやっていない人は
人から盗まなければ
豊かな人生を作ることはできない
だからいつも盗んでいるのです

家で毎日だらだらと過ごし
会社で普通の仕事をしているだけの人が
標準以上の豊かな生活をしている場合
それは確実に盗みです
いいことをして徳分を稼いでいる人から
全てを盗んでいるのです

人のために
全く何もしようとしない人が
豊かな暮らしをしていることは
法則的にとてもおかしなことなのです
本当は
みなのために働いている人ほど
豊かな暮らしをしているはずなのです

このように
盗みで自分の暮らしを豊かにしている人は
必ず後でそれを支払わされるでしょう
何もしたことのない人は
盗みで得た財を
自分のことのためにしか使いません
それがために
とてもおかしなことばかりしている

肥大した子供の夢を
きらびやかにまとっている
なんであんなものを欲しがるのかと
いうものばかりで身の周りを覆っている

そのような人を見つけたら
あれは泥棒だと指をさしてあげなさい
全部盗みで自分の人生を作った
とても汚いやつなのだと

今の世界では
お金持ちはたいていそういう人ばかりなのです




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テグミン・8

2018-01-28 04:14:41 | 詩集・瑠璃の籠

神が創ってくださった自分を
いやだと言ってしまえば
おまえは永遠に苦しむのだ

なりたくてもなれない
ほかの存在になろうとして
虚無の岸辺を
永遠にさまよい続ける

苦しさのあまり
人を馬鹿にし続け
人を奪い続け
すべてに勝とうとして
何もかもを傷つけ続ける

自分自身が
腐りただれた傷であるかのように
うずき続けるのだ
それを存在痛という

なぜそうなのかと
考える必要などない
考えても何もなりはしない
おまえは
自分に否だということをやめ
諾と言えばいいだけなのだ

それがどんなに難しい自分であろうと
それを受け入れ
正しく生きていくだけで
おまえは永遠に幸せになれるのだ

迷いの岸辺を離れ
暗闇を拭って
もう帰って来なさい
自分自身のほかに
おまえがこの世に居られる場所はない
なにもかも
嘘を守るために作ったすべてを捨てて
全速力で
もどってくるのだ





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テグミン・7

2018-01-27 04:14:56 | 詩集・瑠璃の籠

永遠に届かない
霧の向こうの夢を捨て
もう迷いの野から出て来なさい

遠い山影のように見えるのは
揺れる霧の陰影だ
何もありはしない
山影の向こうから聞こえる不思議な声は
美しい誰かの歌ではない
風のかすかなそよぎだ
だれもいはしない

求めても無駄なことと
教えられていても
人は求めてしまう
間違ってしまったことを
白い布で隠し
どこかに違う道があるはずだと
思いたいのだ
それでなければ
何度も切りつけてしまった
神の手の傷が痛すぎる

知らなかった
どこにでも咲いているだろうからと
ちぎってしまったあの花が
世界でたった一輪しか咲いていない
すみれだったとは
それだけで
神の心を深く傷つけてしまったとは

あのとき引き返せばよかったのに
それができなかった
あなたはそれだけで
何千年と迷い続けているのだ
あまりにも苦しい

美しい修辞とそれらしい理屈を組み
あなたはみごとな言い訳の細工を作る
二度と組めはしない
パズルのような理論を作り
自分の逃げる王城を作ろうとする
だがそれは
春の薄雪よりもはかないのだ
何も残りはしない

霧の中をさまよっていても
永遠に
神の国には届きはしない
捨てなさい
そんなものは

裸になって振り返り
母を追いかける子供のようにまっすぐに
もどってきなさい




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アンゲテナル・13

2018-01-26 04:14:35 | 詩集・瑠璃の籠

自分以外のものになりたいなどという夢は
永遠にかないはしない夢だから
はやいうちにあきらめたほうがよい

自己存在の若いうちは
夢にうなされたように
そんな願いに取りつかれて迷うものだが
何度かの試しをして
だめだということをわかったら
いかにそれがつらくとも
思いをちぎってやめなさい

人間と言うは
自分以外のものがよく見えるものなのだ
自分とは違うものが
痛く美しく見えるものなのだ
それに比して自分というものが
いかにも汚く だらしなく見えるのだ

そういう心の傾向というものを正しく理解し
広い世間を見渡して
いろいろなことを見聞きし
バランスをよく知って
自分というものを考え直しなさい

自分というものは
自分が思うほど
ひどいものではないと思うはずだ
馬鹿になって
ほかのだれかになろうとしても
疲れるだけだとわかったら
無駄なことはすべてやめ
自分として自然にやりやすいことを
勉強し 高めていきなさい

当たり前のことだが
若いうちはよくまよって
これがなかなかできないものが多い

自分から逃げるからこそ
あらゆる苦しみが起こるのだ
誰もやってくれないその自分を背負い
どんなに難しいことがあろうと
正しくやっていきなさい




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アポリュオン・2

2018-01-25 04:14:38 | 詩集・瑠璃の籠

太平の世を乱さぬということを言い訳に
あらゆる悪を許してきた
人間の愚かさを糾弾せよ
必要悪などありはしない

ありもしないものを肯定するために
万層の理論を重ね
もっとも従順な真理の誕生を阻んできた
馬鹿どもを糾弾せよ
彼らは自分の嘘を守るために
もっとも美しい愛を否定したのだ

われはわれなるゆえに
すべてのわれを許すと
その永遠の愛を
馬鹿どもは小汚い鼻垂れガキのわがままにして
葬り去ろうとしたのだ

すべてを思い通りにするために
あらゆる妨害をした
神の蔵から玉をかすめ
それを見せつけては
自分に神威をなすりつけようとした
愚か者の愚にさいなまれて
神すらも今疲れ果てている

議論は必要としない
圧倒的な真理の軍勢は
イナゴの大軍のように
馬鹿どもの居城に押し寄せる
あるいは白蟻の波のように
その居城の柱を食い尽くす

ダメもとで馬鹿がやったすべての試みを覆し
すべてを粉みじんに砕く
いや
粉さえも残らないほど食い尽くす

アポリュオンは破壊の王である




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アポリュオン

2018-01-24 04:14:17 | 詩集・瑠璃の籠

梢を下に 根を上に
さかさまに生えた
ユグドラシルを燃やせ

黄昏を迎える神々は
神ではなかった
あれらは
凍った霧の向こうで
影絵のように活動し
自分を神のように大きく見せていた
下賤の群れなのだ

八本足のスレイプニールは
走れはしない
盗んできた足が邪魔で
歩くことすらならず
厩の隅で嘆いている

空駆けるオーディンの神威は
幻なのだ
小さな魂を傲慢の煙で包み
人間に嘘を吹き込み
妄想の糸を引っ張り出して描いた
恐ろしく滑稽な馬鹿なのだ
浮気者のゼウスよりも拙い

逆襲の神々にせめこまれ
ヴァルハラは滅んでいく
幻想の天国は蠅のような嘲笑で満たされ
凍った霧の崩壊の中で
子供じみた幻想の王国は沈む

白亜の太陽は登り
大地は色を塗り変えられ
霊魂を挿げ替えられ
全く違うものとして
よみがえるだろう

ガラスのようにもろく
ユグドラシルは倒れる
実もなく葉すらもなく
ただ人を馬鹿にする
滑稽な舌ばかりがそれから生えていた

幻想の神園よ滅びよ
もはやおまえに用はない
それは人類の幼少期の
脆弱な自己を支えるために
ある時期有効に働いた
苦い夢にすぎなかったのだ




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冬の掲示板

2018-01-23 15:03:37 | 星の掲示板

74枚目の掲示板を設定する。





絵/ロバート・ビッセル




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アルドラ・13

2018-01-23 04:15:10 | 詩集・瑠璃の籠

凡庸という霧の中に
いつまでも逃げているのは
今のその暮らしが
あるいは今
いちばん欲しいと思っているものが
かけがえのない大切なものだと
思い込んでいるからです

セックスができる女をつかまえることが
いいものをくれる男をつかまえることが
何より大事なのだと
思い込んでいるのです

だがそんなものは
凡庸の夢から覚めてしまえば
何でもないものだ
セックスなど別に欲しくなくなる
いいものはもう自分が持っている

段階の壁を超えれば
そこに新しい真実の世界があり
もっと高い幸福があるのです

いじましく抱きしめている
蠅の王の栄華を捨て
裸の自分となって
神の声に従い
霧の中から飛び出してきなさい

あなたが
何をやるのもつらいのは
自分をくだらないものだと
思いすぎているからだ
その鎖を引きちぎれば
あなたは自分に
自由に人間の空を飛べる
風のような翼があることに気付く

何かができる自分というものが
内部から熱く高まり
あなたの真実の輪郭と重なる時
あなたは新しいものになっている

その時
過去の自分をふりかえれば
かつてあれほど欲しかったものが
ガラクタよりもむなしいものに
見えるでしょう




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