にぎやかな街を避け
人通りの少ない
路地裏に入れば
そこには
誰かが捨てた自分が
転々と落ちている
愛を盗んだ罪に
耐えられなくなった馬鹿が
みんな捨てていったのだ
美しくなりたいからと
みっともない盗みをした
いやらしい自分など嫌だと
みんな捨てていったのだ
こんな馬鹿な自分は嫌だ
こんな汚い自分は嫌だ
馬鹿は永遠に逃げ続ける
自分ではない
美しい他人になりたくて
愚かな美人をつくっては
嫌になって捨てるのだ
誰も生きようとしない
誰も背負おうとしない
愚かな自分が
路地裏に落ちている
死ぬこともできずに
イソギンチャクのように
揺れている
黎明の穴に
すべてが吸い込まれるまで
馬鹿の抜け殻が
命のない命を
呆然と生きている