嘘ばっかりで
できている人間は
もうそろそろ消えていく
この世界に
しっかりとした姿を描こうにも
墨もインクも一滴もないからだ
馬鹿が
ありもしない紙を
あると思い込んでいる
その上に
ありもしない虚空から
あると思い込んでいるインクを絞り出して
無理矢理自分を印刷している
馬鹿は
世界に無理に印刷した
偽物の自分を
どうしても生きることができなくて
今息も絶え絶えなのだ
詩を書くどころか
あいうえおもできないのに
詩を書いている
絵を描くどころか
筆も持てないのに
絵を描いている
なぜそんなことができるのか
百万人の幽霊が
みんなでそいつを生きているからだ
透明な幽霊も
百万人いれば
薄墨インクくらいの濃さは出る
そんなことで
無理矢理自分を印刷しているのだ
真実が
一滴もない
馬鹿はもう
そろそろ消える