月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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アンタレス・28

2017-04-30 04:15:17 | 詩集・瑠璃の籠

連続する
意識の中を
泳いでいく魚がいる

弦月のように細く
白い魚が
神の
とこしえの年月のような
恐ろしく長い
意識の中を
泳いでいく

おまえはだれだ
なぜわたしの心を
騒がせる
どこから来た

問う声に
その魚は答えるのだ
わたしは
あなたの子なのですと

あらゆる巡り会いの中で
これれほど
美しく
切ない巡り会いは
あるまい




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ラサラス・3

2017-04-29 04:21:40 | 詩集・瑠璃の籠

嘘ばっかりで
できている人間は
もうそろそろ消えていく

この世界に
しっかりとした姿を描こうにも
墨もインクも一滴もないからだ

馬鹿が
ありもしない紙を
あると思い込んでいる
その上に
ありもしない虚空から
あると思い込んでいるインクを絞り出して
無理矢理自分を印刷している

馬鹿は
世界に無理に印刷した
偽物の自分を
どうしても生きることができなくて
今息も絶え絶えなのだ

詩を書くどころか
あいうえおもできないのに
詩を書いている

絵を描くどころか
筆も持てないのに
絵を描いている

なぜそんなことができるのか
百万人の幽霊が
みんなでそいつを生きているからだ
透明な幽霊も
百万人いれば
薄墨インクくらいの濃さは出る

そんなことで
無理矢理自分を印刷しているのだ

真実が
一滴もない
馬鹿はもう
そろそろ消える




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奥の掲示板

2017-04-28 16:36:27 | 星の掲示板

54枚目の掲示板を設定する。





絵/ジョセフ・ライト・オブ・ダービー





コメント (217)
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ラサラス・2

2017-04-28 04:15:51 | 詩集・瑠璃の籠

憧憬というは
永遠にそうなれはしない
美しい他人を
追いかけ続けるという心だ
黎明ではない
黄昏の中に永遠に住み続けようとする心だ
沈み切って闇に落ちてしまう寸前の
幻の時空に酔い続けようとする

馬鹿な男はそれゆえに
美女にあこがれ続ける
あのような美しい存在になりたい
だがなりきってしまうのは嫌だ
自分のような汚いものに追いかけられる
だがそんなものに追いかけられるほどの
美しさも欲しい

どうにもなりはしない心の中に立ち尽くし
馬鹿になって何もわからないことにし
黄昏に設定した心の中で
どうでもいいことを繰り返し
永遠に美女ばかり追いかけようとする
影のように張り付き
すべてを奪おうとする
だが決して奪えないものを感じて
狂い続ける
その狂い続けることを肯定するために
あらゆる幻の論理を生む

阿呆の周りには
屑のようなものが次々と生み出される
歪んだ創造が
世界を汚し続けていく

嫌なものなのだあれは
美しいが全部馬鹿なのだ
哀れなことになれば
みんなだめになる
嫌らしいものなのだ
そういうことにするために
馬鹿な男は女を馬鹿にし続ける

たまらないのだ
そんなことばかりしている自分が
それゆえに一層
美女ばかり見続ける



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アークトゥルス・26

2017-04-27 04:15:43 | 詩集・瑠璃の籠

幻のように
野に降りてきていた月を
野辺の草のように
折ろうとしてはならぬ

道端に
千金を収めた箱が落ちていると
恐ろしいくらいの幸運が
落ちていると
錯覚して
馬鹿なことをやってはいけない

簡単に手に入れられるものと
思い込んで
やったことのすべてが
あまりにも恐ろしいことになる

月は人類を救おうとしていたのだ
そして人類を救ったのだ
その月を
すべて馬鹿にしてしまったら
もうおまえは
月の照らすところにいることはできない

月が救った人類と
同じところに住むことはできない

ただ一言
影から言った痛烈な罵倒が
おまえの永遠を駄目にする
馬鹿なことをして
本当の愛を馬鹿にするような
ことばかりしてきたから
おまえはそんなことになる

神の教えを馬鹿にせず
真面目にやってきたならば
そんなことをせずにはすんだものを

たったひともとの百合でさえ
その心を踏みにじるような気持ちで
折れば
おまえはたまらないことになるというのに

野に降りてきていた月を
たった一度馬鹿にしただけで
おまえはもう永遠に
この世界に帰ってくることができなくなったのだ




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ミネラウヴァ・15

2017-04-26 04:17:00 | 詩集・瑠璃の籠

馬鹿な男は
馬鹿が作った偽物の美女を
女神のように
信仰していたのだ

悪いことなどせずに
清らかなことばかりする美人は
ずるい罠を仕掛けて
汚いものにした
思い通りにならないものは
殺した

それで馬鹿なことばかりして
いやな心をしてはいるが
顔だけは美しいという女が
いいものだとして
それを頼りに生きていたのだ

ずるいことをしてもかまわない
悪いことをしてもかまわない
それでも何とかなる
美しい女がいる
それだけが目当てで
馬鹿な男は生きてきた
それだけを頼りに
馬鹿な世界を作ってきた

だが
この世界から
本当の美女がすべて消えてしまうと
もう何もなかった
馬鹿な偽物の美人の
本当の姿が見えると
それだけのために生きてきた自分が
あまりにも寒かった

阿呆な男は
あんなものをいいものにして
あらゆることをやってきたのだ
命さえすり減るような
情熱を燃やしてきたのだ

すべてが馬鹿になった

女が馬鹿だったというだけで
男のすべてが駄目になった




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ルナ・29

2017-04-25 04:16:55 | 詩集・瑠璃の籠

忘れてしまった
記憶の
入っていた小箱を
割って
小さな木くずに砕いて
蜜にとき
小さな練り香を作ろう

それを
銀の香炉で焚いて
薄紫の
小さなすみれの花びらに
焚きこもう

すみれはかすかに
悲しみを帯びて
重くなった花びらを
つけてくれるだろう

風に揺れるたび
それはあえかな
吐息のような
透明な鈴の音を立てて
匂うのだ

ああ
あなたのことだけは
忘れたくなかったのにと




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ヴィンデミアトリックス・26

2017-04-24 04:52:25 | 詩集・瑠璃の籠

あなたがたは
女性の天使を消去したがゆえに
われわれはしばらくの間は
女性として降りてくることはない

しかし
あなたがたの学びが進み
神がお許しになれば
真っ先に女の姿をして降りてくるのは
わたしだと思いなさい

そのときわたしは
アテナの娘のように勇ましく
弦月のような白い槍を持って
あらわれるだろう

娘たちの心を
次の時代に導くために

ヴィンデミアトリックスは
葡萄を摘む娘という意味である




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ヴィンデミアトリックス・25

2017-04-23 04:16:49 | 詩集・瑠璃の籠

静かにしなさい
あなたがたに判決が下った

あなたがたは
この世界に自己存在の真実をもたらした
月を否定した
ゆえに
あなたがたが自己存在であることも
否定される

あなたがたは
自己存在の真実を否定した
ゆえに
自己存在ではないもの
というものになる

あなたがたはもう
自己存在ではない
ゆえに
自分ではないものとして
扱われる

だれもあなたがたを相手にしない
何をしても何にもならない
馬鹿なことをしても
偉いことをしても
何も起こらない

神も
あなたがたを
存在するものとしては
見ない

法則の風も
そういうものとして
あなたがたに吹く

この世界にかつて
自己存在ではないもの
というものが存在したことは
なかった

それほどに
あなたがたがしたことは
愚かだったのである




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ミネラウヴァ・14

2017-04-22 04:15:02 | 詩集・瑠璃の籠

法則はいつも
真実を元に働きます
ごまかしはききません

あなたがたは時に
自分のしたことを
奇妙な方法でごまかし
無理にその姿を曲げようとするが
そのようなことをすれば
それがそのままの形で
見事に返ってきます

自分をごまかすためについた
嘘を守るために
あまりにもおかしなことをすると
自分があまりにもおかしなものになる
それを阿呆というのです

楠の木陰でひった
青い糞を
赤くきれいな玉にしようとしている
そのために
赤いキレをふんだんに買い
おもしろげな香水を買い
妙な蝋燭を買っている
そのような技術を巧みに使い
青い糞を赤い玉にできないかと考えている
実際にそういうことをしている

そんなことをすれば
あなたがもっているきれいな白珠が
赤い糞になってしまうのです
阿呆ですよ
それは

法則というものは
まがい物の石には目もくれない
真実の珠玉のみにて動く
阿呆はこれを肝に銘じなさい

嘘はどんなにがんばっても
嘘にしかならないのです




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