ストラトを選択する理由の一つに『アーム付き』という点が挙げられる
「ストラトの音は好きだけどアームは必要ないなぁ・・」
という声も良く耳にする
アームを使わない事を前提にブリッジを板などで固定する場合も多いのだ
実際のところ、クラプトンのコピーモデルは最初からブリッジとボディの間に板が挟み込まれているのだ
板を外してバネを調整し直せば通常のストラトとして使用する事も可能だが・・・
クラプトンのファンの人が心変わりをするとは思えないのだ
ストラトを使ってアームプレイを披露するギタリストは多いが
表現力と引き出しの多さではダントツ一位でジェフベックだと思う
”ジェフベック≒アームプレイ・・”
と言っても過言ではないほどにアームを多用するのだ
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ライブ映像などでは常に薬指と小指の間にアーム棒を挟んでいるのが確認できるのだ
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アーム棒を取り外してしまう人の多くはチューニングの狂いを嫌っての事だという
中にはこんな人もいるらしい
「アームの使い方が分からないんで・・・」
「取っちゃおうなか? って思うんですよね」
いつもの楽器店のお客さんの例なのだ
アームの使い方に特に決まりはないと思う
フェンダー側もあまり過激なプレイをすることを望んでいないようだ
”和音を軽く揺らす程度の使い方・・・”
というのがメーカー推奨の使用方法なのだ
アームの可能性を世界的に知らしめたのはジミヘンなのだ
フェンダーの創設者であるレオ・フェンダー氏を激怒させたエピソードは有名なのだ
それをさらに進化&発展させたのがジェフベックという事になるのだ
ジェフベックのアームプレイは変幻自在で文章で表現するのは難しいが・・・
一つだけ特徴的な使い方をご紹介したい
多くのプレイヤーは実音をアームダウンさせることが多い
一方のジェフはアームダウンした状態から発音させるのだ
ジェフベックに多大な影響を受けたと思われるスティーブヴァイの18番プレイの一つなのだ
特に難しいテクではないと思う
しかしながら、音楽的にリズムと音程を持たせるという事は簡単ではないのだ
「変な音がするでしょ? アームって面白いなぁ・・」
という段階で止まってしまっている素人ギター弾きが多過ぎるように感じる
カッコいい言い方になってしまうが・・・
”アームプレイは音のパズル・・”
だと思うのだ
つまりは音楽的にアームプレイを昇華させるにはアームを動かした後の音を予測する必要があるのだ
アームダウンさせた音が何の音階になるのか?
アームアップさせた音に何の音を繋げるのか?
要するにセンスの問題なのだ
アーム無しのギターでもギリギリの人にとっては敷居が高いのだ
たかがギターだと軽く見る人もいると思うがロックギターも極めれば深い世界観があるのだ
常に理論的に考えを煮詰めていく必要があるのだ
これはプレイ以外のメンテにもいえるのだ
”何故、その調整が必要なのか?”
”求める弾き心地には何が必要か?”
趣味とは言えども考える事も必要なのだ
他の趣味にも同様な事が言えると思う
特にギターや楽器だけが繊細で深いというわけではないと思うのだ
余談だが私は別の趣味として自転車も少々弄っているのだ
パーツ代にかなりお金はかかるが満足度も高いのだ
いわゆるママチャリの数十倍くらいの自転車になっているのだ
妻は私の自転車の値段を知らないのだ
知らない方が幸せな事も多々あるのだ
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ちなみにストラトの値段も嘘をついているのだ
ギターを知らない妻は三万円くらいだと思っているのだ
興味無い事をパソコンで検索しないのも女性の良い習性なのだ
話はアームに戻るが・・・
『ギターの神様』と言われているクラプトンは別格として・・
アームを使わないならばストラトである意味はないと思うのだ
仮に使わないとしてもブリッジを固定するのは音的に好ましくないのだ
ストラトのブリッジは『フローティング』を前提に設計されているという事なのだ
アームを使わないといってアーム棒を取り外しても結局はチューニングは安定しないのだ
つまりはフローティングの調整が出来ていないという事なのだ
こんな状態では軽いチョーキング一発でも音程が狂ってしまうのだ
「ストラトってチューニングが狂うギターだよね?」
などと分かったような事を言っている人を見かけた事がある
『俺ってメンテが下手なんだよ~』
と力説しているようなものなのだ
気付かないのは本人だけなのだ
フローティングの調整を楽器店に依頼することもできる
しかしながらその調整が永久に続くわけではないのだ
使っているうちに微妙にバランスが狂ってくるのだ
弦交換でも狂う場合もある
その都度、足繁く楽器店に通い、数週間という時間待ちができる人はそれでも良いと思う
お金も時間も無駄なのだ
問題なのはそんなスキルでは絶対にギターは上手くならないのだ
言葉は悪いが・・
自分のお尻を他人に拭いてもらうような恥ずかしい事なのだ
小金を持っている中年世代の中にはメンテをお店に任せるのがステータスだと信じている事がある
お金を節約したい若い世代には信じ難いだろうが・・真実なのだ
「週末に仲間とジャムるんだよね 最近、触ってないから調整頼むよ」
内容にもよるが五千円くらい請求されるのだ
もちろん仕上げは完璧なのだ
結構な常連さんのようでお店で顔を見かけた事が何度もあるのだ
「誰が弾いているのかな?」
ギターを覚えたての高校生が弾くようなアルペジオが聴こえてきたのだ
小金持ちのオジサンなのだ
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持参していたストラトはUSAのカスタムショップ製らしい
もちろんアーム棒など必要ないのだ
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まぁ、他人の事などどうでも良いが・・・
そんな人もいるという事を話のネタにご紹介したかったのだ
「俺って何だかんだ言ってギター歴30年は超えていると思うよ」
ベテラン≒上手いという神話は存在しないのだ
先に述べておくが・・・
この世に完璧なギターは存在しないのだ
ギターのチューニングは狂うものなのだ
メンテと知識と若干のテクで軽減する事ができるという事を初心者の人に知っていただきたいのだ
そもそも何で完璧に合わせたはずの音程が狂ってしまうのか?
理由は様々なのだ
この様々というのは曲者なのだ
張った弦が完全に伸びきったという前提でお話したい
ヘッド側ではナットとペグポストに巻き付けた弦の抵抗が原因だと言われている
ブリッジ側ではスプリングの調整不良・・
他にも考えられる要因があると思うが大別すればこの二点だと思う
逆に二点に絞り込めるということは解決も容易だという事なのだ
ナットの滑りが渋い場合の荒業としてはワンサイズ上の弦で強制的に溝に当たりを付ける方法がある
つまり弦の通り道を作ると言う事なのだ
簡単なようで難しい作業なのだ
自信がない人は手を出さない方が無難だといえる
擦り合わせの『角度』が重要なのだ
安心して尚且つ素早く・・
という人にお薦めの方法もある
弦を通常よりも少々強めに張るのだ
ダウンチューニングという言葉があるが・・・
アップチューニングなのだ
この状態でひたすらアーム棒を激しく動かすだけというお手軽な方法なのだ
実際に弦が張られているので妙な角度でナットが削れるという事もない
その際に重要なのが『潤滑剤』なのだ
高額だが楽器店で購入できるのだ
私の場合には古典的な『鉛筆』なのだ
各種のケミカルが販売されていても鉛筆を愛用しているベテランも多いようだ
私の拘りは芯の柔らかさなのだ
文字を書くのではないのだ
芯の削り粉が欲しいのだ
都内の画材専門店でスケッチ用の特殊な鉛筆を購入して使っているのだ
ナットが鉛筆の粉で汚れるという事でこの方法を嫌う人がいるのも事実なのだ
汚れる方がいい?
チューニングが狂ってもいい?
という選択になると思う
多少汚れたとしても楽器として音程が正しい方が良いと思うが・・
弦を張った後に不要な部分をキレイに拭き取れば良いのだ
ちなみに私のアリアは目の粗い牛骨ナットを使っているのだが鉛筆の芯が目に入り込んでいるのだ
何とも言い難い色あいになっているのだが目をつぶっているのだ
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「本当にゴトー製のペグとブリッジなの?」
というくらいに購入当初はチューニング狂いに悩まされたのだ
真剣に売却を考えた時期もあったのだ
録音の最中に中断してチューニングを合わせた事も多々あったのだ
その頃には読者の皆さんにご紹介したような知識がなかったのだ
実は私もここ数年でかなり色々な経験をしているのだ
楽器店のお兄さんと仲良くなったのも大きいと思う
その頃に現在のような知識とメンテ技術があればもっと早い段階で解決できたと思うのだ
私のブログも様々なキャリアの方が読んでいるのだと想像しているのだ
すでに独自の方法に開眼している人は問題ないと思う
ギターで思い悩んでいる初心者~脱中級者レベルの人をイメージして文章を書いているのだ
ご了承いただきたい
ナットの次はペグポストへの弦の巻きつけなのだ
弦の正しい巻き方については別の機会にご紹介したい
正しく弦が巻けるということを前提に話を進めていきたい
巻きつけ数は少ない方が良いのか?
あるいは多い方が良いのか?
実はこれには正解はないのだ
ポストに巻き付けた弦の伸び縮みや巻きつけそのものが抵抗になるという意見が一般的なのだ
つまりは巻きつけ数は少ない方が良いということになるのだ
巻きつけ数を少なくするあまり弦が外れてしまうのは本末転倒なのだ
”弦が緩むことがない範囲での最低巻き数・・・”
ということになると思う
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アリアの場合、試行錯誤の結果として現在はこんな感じなのだ
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2~3巻きくらいだろうか?
実はナットに当たりがついているので以前ほど厳密である必要はなくなったのだ
イメージとしては太い弦は少なく細い弦は少し多め・・で良いと思う
ツルツルのプレーン弦は滑り易いのだ
ある程度ポストに巻きつけておく必要があるのだ
ロックペグではないがかなり精度が高いのだ
「ゴトーのペグって言うほど精度高くないよな~」
という意見をネット上で見かけるが取り扱いが正しくないだけなのだ
恥ずかしい記述だと思う
ギターに限らず、道具は絶対に裏切らないものなのだ
高価な道具はそれなりに満足を提供してくれる
綿密なメンテは必ず応えてくれるのだ
ここに開眼する前に見切りを付けてしまう人が多いと楽器店のお兄さんが嘆いていた
「今の人って気が短いですよね・・・」
「もっと気長に楽しめないのかな・・?」
という事なのだ
私も同感なのだ
ギターを始めてすぐに憧れのプロのサウンドを目指してしまうのだ
悪い事ではないが・・・
ストラトはロックペグなのだ
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ロックペグはすでに定番アイテムであるが・・・
実は調整やメンテに関しては未だ確立していないのだ
楽器を取り扱う販売店でも様々な意見が飛び交っている現状なのだ
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行き付けの楽器店のお兄さんはすべての弦をピンピンに張り詰めるという考えだったのだ
考えだった・・・
何故に過去形なのか?
実は私の実験的アドバイスで若干考えが変わったようなのだ
「ロックペグでもチューニングは狂いますよ・・・」
「嫌ならロックナットしかないですよね・・・・」
様々なギターを所有しているお兄さんだがアーム系ギターのメインはロックナット式なのだ
メタル系が好みなだけに正しい選択なのだ
当然ながらストラトなどのロック式ではないギターはロック式と比較してチューニングが狂い易いのだ
アームの可動範囲などを考えてみても別物だという見解が正しいと思う
しかしながら調整を追い込めばかなり精度が高いアームシステムを構築できるのだ
私のストラトの調整は以下のとおりなのだ
4~6の巻き弦はお兄さんと同様にピンピンに張りつめた状態でロックするのだ
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一方の1~3のプレーン弦はかなり巻きつけるのだ
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巻きつけるといっても2~3巻き程度だが・・・
アリアと同じくらい巻き付けているのだ
厳密には3弦よりも1弦の方が多く巻き付けているのだ
僅かではあるが・・・
実はロックペグの穴は細い弦も太い弦も一緒のサイズなのだ
これは他のメーカーも同様の傾向が見られる
コストの問題もあるのだと思う
太い弦には食いついても細い弦では穴から滑ってしまうのだ
”ロックすれば大丈夫!”
と信じ込んでいる人も多いようだ
ロック無しのアリアでも十分に使用に堪え得ると言う事を考えればロック式ペグの効果は微妙なのだ
”弦交換が楽なペグ・・・”
という感じで割り切って使っているのだ
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つまりは通常のギターとして考えればすべてが解決するのだ
『ロック式』に捉われ過ぎていて簡単な事を見落としているというケースなのだ
私も購入当初は刷り込みの知識で弦をピンピンに張りつめて張っていたのだ
「ナットが安定していないのかな?」
「それともスプリングの調整かな?」
ロックペグにも関わらずその恩恵をあまり実感できていなかったのだ
『普通のギター』だと気付いてからは調整の方法も変わったのだ
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”弦交換が楽なギター・・・”
というだけではないのだ
やはり、太い弦に余りが無い事はアドバンテージになっているように感じる
決して無駄なアイテムではないような気がしているのだ
楽器店のお兄さんも早速、自宅で実験?してみたようだ
「意外でしたね・・ 盲点っていうか・・・・」
「お客さんにも教えてあげますよ~ 」
確かに盲点なのだ
ロックペグを買った人の多くは通常のペグとの『差別化』を感じたいのだ
つまりは同じ数だけ弦を巻き付けたのでは満足できないのだ
ある意味では人間心理の盲点なのだ
ギターのメンテは臨機応変だと思うのだ
読者の皆さんもネットなどの情報に振り回され過ぎないようにご注意いただきたい
私も好きでチェックしているが・・・
8割は正しい意見が記載されている
後の2割は思い込み・・という感じなのだ
自身の信念がある人には参考になると思う
ちなみにカタログスペックをコピペしたような意見が多いのも事実なのだ
特にQ&Aなどのコーナーではその傾向が強いように感じる
「ロックペグに交換したんですけど・・・」
「全然チューニングが安定しないんですけど」
色々な回答があるのだが・・・
ダメな回答例を幾つか
「ロックナット式のギターに買い替えたら?」
「・・っていうか狂わないギターって存在しないよ」
「狂ったらチューニングすればいいんじゃないかな?」
「保証期間で直してもらったらどう? 若葉でしょ?」
まったく答えになっていないのだ
まぁ、ネットに助けを求める人も微妙だが・・・
楽器店が近くにない離島に住んでいるのだろうか?
明確な答えが出せない人は楽器店に相談するのが近道だと思う
近道というよりは確実だと思う
ちなみにアームの音程狂いはギターの常識でありクレームの対象にはならないのだ
実はこのような苦情の多いというから驚きなのだ
楽器店のお兄さんの気苦労は絶えないのだ・・
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