
気がつくと、熱いコーヒーと熱いお茶が唇に沁みて痛い。熱いみそ汁も。。。
唇を噛まれた覚えもないのに。。。
何故だろう?そうだ、あの日演奏会に行った時、閉まっていたガラスのドアに顔を激突させて唇が切れていたのか。
ぶつかった瞬間は恥かしさと己の不甲斐なさに、急いでそこを立ち去った。衝撃のわりには痛みもなく、怪我もなかったことに、少しの後悔を吹き払っていた。
次の日、目の上に小さな瘤があり痛みを感じた。眼鏡が壊れなかったことに運がよかったと、自分の不注意をプラス思考に変えた。
しかしひとりで飲む夜明けのコーヒーが唇と胸に沁みる。目の上の眉の辺りの瘤は大きくなった。潰れた顔はそのときの衝撃によるものではない。生まれつきである。
☆
鉢植えの椿の根元に咲いた都忘れが、朝日に照らされて眩しく
ガラスのドアに激突した僕は物忘れが激しくなった。
鉢植えの椿の根元に咲いた都忘れが、朝日に照らされて眩しく
ガラスのドアに激突した僕は物忘れが激しくなった。