黄昏迫る下町の空に、ドド~ンというひときわ大きな音が響いた。
晴れ上がった空に光るオレンジ色の小さな二つの火の塊と黒い煙は、夏の夜空に繰り広げられる光のショーの始まりの合図である。
年に一度、この日だけ開放されるマンションの屋上は、強めの風が汗ばんだ肌に心地よく、三々五々人々が集まり始める。
午後7時、暮れなずむ群青色の空を舞台に、腹に響く大きな音と共に色とりどりの光の競演の幕開けである。
徐々に暗さを増す空のキャンバスに描かれる光の絵画は、儚き故に尚美しい。下町の夜空に繰り広げられた光のページェントをお楽しみいただけたら幸いです。
隅田川の二つの会場から打ち上げられた火の花の乱舞もつかの間、夏の夜の1時間半の夢舞台は終わりに近づいていった。