歩くたんぽぽ

たんぽぽは根っこの太いたくましい花なんです。

eiga.『乱暴と待機』

2011年07月15日 | 映画
たんぽぽのわがまま映画批評No.15
『乱暴と待機』日本/2010
監督・脚本・編集:冨永昌敬
原作:本谷有希子
音楽:大谷能生
主題歌:相対性理論と大谷能生

キャスト:浅野忠信(山根英則)、美波(緒川奈々瀬)、小池栄子(番上あずさ)、山田孝之(番上貴男)


乱暴と待機、
この映画は劇作家・本谷有希子が2005年に発表した戯曲の映画化で小説も出版されている。

映画全体が狂気に満ちていた。
コミカルに描かれているからこその狂気とでもいおうか。
俳優人の演技から字幕の字体から、やくしまるえつこのエンディングテーマまで。
ポップでコミカルなコメディ映画と紙一重なのになんという狂いっぷり。

しかし、笑える。

生きるって?恋って?
いろんな価値観がめちゃくちゃになってて、普通の頭じゃついていけない。

こういう狂気たまに欲しくなるんだな。
日本人にしか理解されないような、独特の空気感。


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eiga.『その街のこども』

2011年07月15日 | 映画
たんぽぽのわがまま映画批評No.14
『その街のこども』日本/2010
演出・監督:井上剛
脚本:渡辺あや
音楽:大友良英

キャスト:森山未來中(中田勇治)、佐藤江梨子(大村美夏)、津田寛治


この映画は2010年1月17日NHK総合で放映されたテレビドラマの劇場版である。
NHK大阪放送により、阪神・淡路大震災15年特集ドラマとして制作された。

地震のトラウマを未だに抱える成長した”その街のこども”の話である。

放送後、約1年が経ち東北・関東大震災が起こった。
今観るには少しためらう人もいるかもしれない。
しかし、今観れば納得できる部分も多いタイムリーな映画ともいえる。

ドキュメンタリータッチの映像と会話。
少し怖いくらいのリアリティ。
観ていて喉の辺りが熱くなる。

演出もいいのだろうとは思うけど、森山未来の演技力には目を見張る。
彼演じる中田勇治は、表面的には現代の若者を象徴するような青年でありながら、本心はなかなか明かさない。
要は何を考えているか分かりにくいタイプの青年である。
その微妙なラインを表現する森山未来の演技が光った。

そして感情をすぐ表に出す佐藤江梨子演じる大村美夏。
映画の大部分が、その二人のやり取りによって進んでいく。

地震に対する二人の答えが見つかったわけではない。
しかしほんの少しだけでも前に進めた、そんな映画である。

エンディング、阿部芙蓉美の柔らかくかすれた声がまたさりげなく2人の思いにかぶさっていく。


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