歩くたんぽぽ

たんぽぽは根っこの太いたくましい花なんです。

中央銀座通り

2016年03月24日 | 日記
昭和の最後の年に生まれ、平成の時代を育った。

経済面では生まれて間もなく失われた10年に突入し、教育面では勝手にゆとりのレッテルを貼られた。

暗い時代に育ったらしく、その影響を多分なく受けているそうで、何かと問題視される世代だ。

他の時代を知らないから私たちは自覚出来ないけれども。



手に余る現代を放り投げて、知りもしない昭和に思いを馳せては叶うわがけない妄想の中へダイブする。

映画の場面や白黒写真、親に聞いた話を手がかりに私の中の昭和が構築されていく。

それはきっと非日常に一瞬の安らぎを求める旅行なんかと同じなのかもしれない。

よく言えばリフレッシュ、悪くいえば現実逃避といったところか。

ここではない何処かへ。



大学生の頃住んでいた町に中央銀座通りという商店街がある。

シャッターはほとんど下りていて、商店街というのも憚れる程寂れている。

でもその錆び付いた空気がたまらなく好きだった。

地元の人は賑わっていたかつての話をするけれど、私は今の姿に胸を打たれるのだ。

何回か映画の撮影に使われたこともあるのだとか。



先日用事で久々にその町に行き、帰りに中央銀座通りをぶらり散歩してきた。

取り潰されることもなく、数年前のままの姿でそこにあった。

止まった時間を巻き戻す人も進める人もいない。



何年か前の大雪でアーケードが壊れたらしい。


閉館したはずの映画館が復活していた。
毎年この時期に町を挙げて映画祭が開催されるがそのためのための一時的な復活なのか。


なぜか若き日のエリック・クラプトン。


オリオン座。この通りの2つ目の映画館。ここはやってないみたいだ。
ポスターがボーン・アイデンティティで止まっている。


映画に出てきそうな壁。


飲屋街でもあるので夜は人が集まってくる。












行き交う人を風景の一部にしてしまう、不思議な空気を持った寂しい通り。



この日は日曜日だったにも関わらず町中に人の姿がほとんど見えず、

こんなにも静かな町だったろうかと首を傾げていたがしばらくして合点がいった。

トイレのために寄った駅前のデパートに、驚く程たくさんの人がいたのだ。

地方都市における大型店舗への一極集中を目の当たりにして、残念な気持ちになるが何かをするわけでない。



そういえば駅の裏通りに見かけない喫茶店があったので入ってみたら、私の母校の学生が運営しているお店だった。

コーヒーはもちろん、地元の食材にこだわって作ったというピザトーストがとてもおいしくて驚いた。

何もしない私がいる一方で、何かをやっている大学の後輩がいて少し感化されて神奈川に帰ってきた。

これからの時代、地方にも新しい可能性が秘められているのかもしれないね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする