歩くたんぽぽ

たんぽぽは根っこの太いたくましい花なんです。

鎮座DOPENESS(チンザドープネス)

2016年04月13日 | 音楽
音楽に対して特定のジャンルに偏った聞き方はあまりしないけれど、

メジャーなジャンルでこれだけは手が出ないというのが2つかある。

まずメタル、ハードロックは好きだがメタルはうるさいイメージがあって苦手だ。

そして日本人のヒップホップ、東洋人の血には合わないような気がしている。



今日のテーマはヒップホップだ。

自分から聞いてみようと挑戦したことはないのではっきり言って食わず嫌いだ。

日本人がやったところで本場には勝てないし、チャラチャラしていて共感出来ないというイメージ。

海外のアーティストをとってしてもiTunesにはEminemやLauryn Hillくらいしか入っていない。



テレビ朝日にて火曜の深夜25時26分からフリースタイルダンジョンという番組がやっている。

これは即興のラップで相手を倒すというラップバトル番組だ。

Eminemの『8Mile』を彷彿とさせる。

去年の暮れ辺りから何となくこの番組を知り、何となく見るようになった。

最初は「何か変な番組がやっている」という半分茶化す態度で見ていたのだが、

生の言葉の掛け合いに少しずつはまっていくのがわかった。

もともと言葉への関心が強いのもあり、想像以上に素直に入ってきた。

今思えば勝敗を決める審査員の中にいとうせいこうがいたのも大きかったと思う。

信頼を置く大人が一人いるだけで、番組を見る時の安心感が違う。



日本のアンダーグラウンドな音楽シーンには以前からフリースタイルラップバトルというものがあり、

そういうルーツを辿るとチャラチャラしているというイメージもなくなった。

反対に真面目でなければこんなに言葉に向き合うことは出来ないだろうという気さえする。

全体的には冷めていてつかみ所がないと言われがちな今の若い人たちが、

暑苦しいほどの情熱を持った真剣な眼差しで舞台に立つ姿は見ていて気持ちがいい。

面白いのは一瞬一瞬に言葉を紡ぎだすというスリルを含むライブ感と、

一人一人の生き方を投影するようなドキュメンタリー性だ。

そして日本語のラップだからこんなにもストレートに伝わるのだと思う。

余談だが、俳優浅野忠信や中村獅童もこの番組を見ているのだとか。



こんなに熱く語ってみたが、本当のところは私よりも同居人の方が熱心に見ている。

私はどちらかというと面白いと思うバトルだけ見ている。

また私の中のラップはあくまで番組の中で完結しておりそれ以上を求めるという風でもない。



そんな折私の中で事件が起きた。

つい先日、同居人が「凄い人を見つけてしまった」と一人で興奮していたのだ。

ネットサーフィンしていたら偶然ぶつかったらしい。

なんでも以前日本のラップバトル界で名を馳せた有名人らしく、彼曰く「神に許された人」なんだとか。



それが鎮座DOPENESSだ。

何と表現したらいいのか、確実なのは一回彼のラップを聞いただけでファンになったということだ。

少ないが今まで見てきたどんなラッパーとも違う異質な存在感。

並外れたリズム感と自由自在なフロウ(メロディのようなもの)、言葉を選択するセンスと説得力。

余裕と絶妙な間、肩の力を抜いて一番楽しんでいるのが本人。

神は分からないけれど音楽にはとことん愛された男なんだと思う。

今はラップバトルはしておらず楽曲製作などをしているらしい。



正直なところラップに関して私はド素人だ。

しかし素人目で見ても鎮座DOPENESSが普通のラッパーでないことは分かる。

こんなに中毒性のある人は他のジャンルでもなかなか見当たらない。



戦極MC BATTLE 第六章(13.4 .28)黄猿 vs 鎮座DOPENESS @BEST BOUTその1




もはやこれがラップなのかどうかさえ私には判断しかねる。

ただ2人の温度差が鎮座DOPENESSのかっこよさを際立たせる。



最近の一連の出来事ではヒップホップへの扉が開いたというだけで、そこに浸水したわけではない。

私が面白いと思ったのは即興でラップをするというフリースタイルの文化である。

しかしもしかしたら鎮座DOPENESSがヒップホップの道をもう少し導いてくれるかもしれない。

一つネックなのはラップバトルを見たあと言葉遣いが少し暴力的になること。



なんであれ、知らなかったものを知るというのは楽しいことだ。

さてはてメタルが近づく日は来るのだろうか。
コメント
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