歩くたんぽぽ

たんぽぽは根っこの太いたくましい花なんです。

あれはいったい何だったのか

2022年12月10日 | 日記

最初に断っておきますが、本当にあった怖いっぽい話なので苦手な人は読まないでください。

夫は怖い話が苦手なので話すこともできず気持ちが悪いのでここに書くことにしました。

 

昨日の夜のことです。

私は午前2時くらいに布団に入り、寝付けるまで『泥濘の食卓』という漫画を読んでいました。

人間の怖さが描かれた最近の漫画でとても面白いと話題でした。

怖さやグロさには耐性のある私ですが思わず本を閉じてしまうほどおぞましい。

これ以上読んだら大変なことになりそうだという予感がずっと続きます。

30分ほど読んで電気を消し目をつむりました。

 

寝ていたのでしょう。

階段を上り下りする気配で目が覚めました。

まどろみの中で夫が忘れ物を取りに行ったりなんだりしているのだろうと思いました。

今から寝るのかなとかそういうことを考えた気がします。

私と夫は各々の部屋で寝ているのですが、私の部屋のドアがふわっと開いたような気配を感じました。

なんじゃ?

「たんぽぽ、まだ起きてる?」

夫でした。

小さなささやき声でした。

なぜかその瞬間ぎゅーっと体がこわばっていったのです。

私は緊張していました。

起きていることを悟られてはいけないと思い、力いっぱい目を閉じ息をひそめていました。

不思議なもので夫がどんな姿勢で話しかけているのかわかるんですね。

扉側に頭を向けて寝ていたこともあり、夫は私の枕元に立ち顔を覗き込んでいました。

存在の輪郭を感じ取ることができるんですよ。

「たんぽぽ、まだ起きてる?もう寝た?」

妙に立体感のある声でした。

しつこいな、なんか変だな、何かあったのかな、と思いつつ今更顔をあげることもできません。

頑なに寝たふりをしていたら夫は諦めていなくなりました。

それからしばらく目を閉じたまま過ごしました。

10分くらい経ちスマホで時間を確認すると3時半を過ぎていました。

 

冷静になってみるとなんであんなことをしてしまったんだろうと自分を疑いました。

正直に話して何の用事だったのか明日聞いてみようと思いその後すぐ寝ました。

 

今日の午後3時過ぎ、外から帰ってくると夫が起きていていたので、

何の気なしに「昨日さ、夜話しかけてきたよね?」と聞いたら、

「そうだね」と言うので「あれなんだったん?」と聞くといまいち話がつかめていないようでした。

いつも説明が足りないのです。

話を整理して丁寧に伝えると、「昨日リビングで話したことと勘違いをしていた」とのこと。

「私が寝た後部屋に入ってきてない?話しかけてこなかった?起きてる?って言ってないの?」

「うん」

ふざけているのだと思い「じゃああれは夢だったのか」と冗談で返すと夫が「怖いからやめて」と言いました。

はぁ?いいかげんにせえよ。

冗談にしてはタチが悪い。

私がしつこく確認すると夫が不安そうな顔で「ドアが開いてたからそれは閉めたけど」とだけ言いました。

うはははははははははははははははははは。

確かに違和感はあったけれど、あれが夫でないなんて1mmも考えていなかったのです。

それ以上は夫が怖がるので、何があったのか話していません。

 

これからあの部屋で過ごすのが怖いとか、そういうことではないんですよ。

確かにあの部屋にある姿見には布をかけたけれど。

ただ妙に存在感のあるあの声を思い出すと首筋がゾワッとして鳥肌が立つのです。

夫の声だったんですよね。

彼が一番怖がりそうな話だな。

漫画の影響で怖い夢でも見たのかしら。

それにしては妙に立体的な出来事でした。

久々の怖いっぽい話です。

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