街角の植物屋さんでヴァイオレットさんと出会ったのはいつのことだったか。
珍しいことに成長したアデニウムが大量に入荷されていて、破格の値段で売られていた。
生育環境が悪かったのか、どれもあまりいい状態ではなかったように思う。
それでも私は興奮していてどれも魅力的に見えた。
丁寧に育てて元気を取り戻してあげればいい話だ。
一際目立っていたのが鉢から大きなお尻をはみ出して窮屈そうにしていたヴァイオレットさんだった。
形が変わっていてアデニウムっぽくない、バランスが悪くてきっと売れ残ってしまう。
そう思いながらも気になり鉢を持ち上げてあれこれ見ていると、目があった。
こっちを見ていた。
はっとして、それからはもうその株しか目に入らなくなった。
一緒にいた友達にはその時点ですでに「このひとはヴァイオレットさん」と言っていた。
植物に名前をつけたのなんてこの一回きりだ。
それほどまでにこの株には表情があった。
帰ってすぐに大きな鉢に植え替えて、それから何年も一緒に過ごした。
ヴァイオレットさんの表情が少しすぐれないような気がしたしたのは、今年のはじめのことだ。
葉っぱには張りがないし、幹の色がくすんでいてシワが寄っている。
冬は休眠期でいつも元気がないからその時点ではそこまで気にしなかった。
それが春頃になると異変が顕著に現れた。
水をあげても幹はやせ細っていきぶよぶよしたまま一向に回復しない。
さすがに焦った。
引っ越してきて初めての越冬でリズムを誤ったか、確かに今思えば水をあげすぎたような気もする。
幹を掴んで左右に動かすと痩せすぎてカパカパしていた。
やめてくれ、お願いだから!と祈る思いで土から出してみると、深いところまで根腐れしていた。
あまりのショックにしばらく放心していた。
頭の中は後悔でいっぱいだった。
しかしここで諦めてはヴァイオレットさんに申し訳が立たない。
これで終わりなんて悲しすぎる。
そういうわけで、日を改めてヴァイオレットさん救出大作戦を決行することにしたのだ。
4月7日 手術決行日
根腐れ
消毒したナイフないしハサミで根腐れした部分をカットしていく。
想像以上に深くまで侵食していた。
少しでも腐った部分を残してしまうとまたそれが広がってしまうので思い切ってカットした。
するとほとんど根っこがなくなった。
大丈夫かこれ。
細菌が入らないように傷口に癒合剤を塗る。
それからは風通しのいい場所でひたすら乾燥させる。
4月18日 傷口が完全に乾いたので鉢に植え付けた。
ずいぶん小さくなったもんだ。
場所:風通しがよく、たまに直射日光が当たる場所
水やり:根っこができていないので最初はほとんどあげなかった
それから1ヶ月経っても変化はあまり見られず、やはりだめだったかと落胆する日々がつづいた。
幹を触ると相変わらずぶよぶよしていて、回復の兆しが見えないので半分諦めていたと思う。
それでも葉っぱが完全に枯れることはなく、どうにか生きていることだけは確認できた。
なんだかんだでのらりくらり4ヶ月生き延びて、植物の生命力に改めて驚いていた。
そんなところに展覧会で2週間離れることに。
しかもちょうど夏の暑さが戻ってきたころだった。
どうなることやらと家を出たのだが、戻ってみるとなんとびっくり、復活しているではないか。
葉っぱを見て一目でわかった。
青々として張りとツヤが戻っている。
そっと幹をつまむとみっしり満ち満ちで硬い。
なんだか涙が出そうだった。
おかえり、いやただいまか。
ずいぶん小さくなって、私のせいでごめんよ、でも生きててくれて嬉しいよ。
君はやっぱりこっちを見ているね。
珍しいことに成長したアデニウムが大量に入荷されていて、破格の値段で売られていた。
生育環境が悪かったのか、どれもあまりいい状態ではなかったように思う。
それでも私は興奮していてどれも魅力的に見えた。
丁寧に育てて元気を取り戻してあげればいい話だ。
一際目立っていたのが鉢から大きなお尻をはみ出して窮屈そうにしていたヴァイオレットさんだった。
形が変わっていてアデニウムっぽくない、バランスが悪くてきっと売れ残ってしまう。
そう思いながらも気になり鉢を持ち上げてあれこれ見ていると、目があった。
こっちを見ていた。
はっとして、それからはもうその株しか目に入らなくなった。
一緒にいた友達にはその時点ですでに「このひとはヴァイオレットさん」と言っていた。
植物に名前をつけたのなんてこの一回きりだ。
それほどまでにこの株には表情があった。
帰ってすぐに大きな鉢に植え替えて、それから何年も一緒に過ごした。
ヴァイオレットさんの表情が少しすぐれないような気がしたしたのは、今年のはじめのことだ。
葉っぱには張りがないし、幹の色がくすんでいてシワが寄っている。
冬は休眠期でいつも元気がないからその時点ではそこまで気にしなかった。
それが春頃になると異変が顕著に現れた。
水をあげても幹はやせ細っていきぶよぶよしたまま一向に回復しない。
さすがに焦った。
引っ越してきて初めての越冬でリズムを誤ったか、確かに今思えば水をあげすぎたような気もする。
幹を掴んで左右に動かすと痩せすぎてカパカパしていた。
やめてくれ、お願いだから!と祈る思いで土から出してみると、深いところまで根腐れしていた。
あまりのショックにしばらく放心していた。
頭の中は後悔でいっぱいだった。
しかしここで諦めてはヴァイオレットさんに申し訳が立たない。
これで終わりなんて悲しすぎる。
そういうわけで、日を改めてヴァイオレットさん救出大作戦を決行することにしたのだ。
4月7日 手術決行日
根腐れ
消毒したナイフないしハサミで根腐れした部分をカットしていく。
想像以上に深くまで侵食していた。
少しでも腐った部分を残してしまうとまたそれが広がってしまうので思い切ってカットした。
するとほとんど根っこがなくなった。
大丈夫かこれ。
細菌が入らないように傷口に癒合剤を塗る。
それからは風通しのいい場所でひたすら乾燥させる。
4月18日 傷口が完全に乾いたので鉢に植え付けた。
ずいぶん小さくなったもんだ。
場所:風通しがよく、たまに直射日光が当たる場所
水やり:根っこができていないので最初はほとんどあげなかった
それから1ヶ月経っても変化はあまり見られず、やはりだめだったかと落胆する日々がつづいた。
幹を触ると相変わらずぶよぶよしていて、回復の兆しが見えないので半分諦めていたと思う。
それでも葉っぱが完全に枯れることはなく、どうにか生きていることだけは確認できた。
なんだかんだでのらりくらり4ヶ月生き延びて、植物の生命力に改めて驚いていた。
そんなところに展覧会で2週間離れることに。
しかもちょうど夏の暑さが戻ってきたころだった。
どうなることやらと家を出たのだが、戻ってみるとなんとびっくり、復活しているではないか。
葉っぱを見て一目でわかった。
青々として張りとツヤが戻っている。
そっと幹をつまむとみっしり満ち満ちで硬い。
なんだか涙が出そうだった。
おかえり、いやただいまか。
ずいぶん小さくなって、私のせいでごめんよ、でも生きててくれて嬉しいよ。
君はやっぱりこっちを見ているね。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます