歩くたんぽぽ

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なぜか見ちゃう7SEEDS

2020年04月01日 | 映画
私は娯楽と名のつくほとんどの作品形態が好きだ。

本、映画、ドラマ、漫画、アニメ、演芸、それからまだ出会っていないあれこれ。

作品の質をどこに求めるのかは、時と場合、主にその時の精神状態によって変わってくる。

クオリティの低いとされるB級映画が廃れないのもわざわざそれを求める人が多いからだ。

作り手の意図が垣間見えるあえての低クオリティにはある種の美学さえ感じる。

乱暴な言い方をすれば低品質のものを惰性で見るというという行為は極上の贅沢といえる。

それを踏まえて未知の低クオリティに遭遇し混乱した話を一つ。



最近NETFRIXオリジナルアニメの『7SEEDS』第2期が配信された。

これをことの外喜んでいる自分におどろいている。

『7SEEDS』とは田村由美による日本の同名漫画を原作としたアニメシリーズ作品である。

漫画は読んだことがないけどネットのレビューを見ると評価は高い。

アメリカの大人気ドラマシリーズ『LOST』を彷彿とさせるストーリーで、

多くの登場人物による様々な人間模様を描くSFサバイバル作品。

主人公たちはある日嵐の中船の上で目を覚ましとある陸地に上陸するが、

誰もが相手の顔を知らず、なぜそこにいるのか、

そこはどこなのか分からないまま当惑の中で物語が始まる。

見知らぬ陸地は未知の生物が生息する未開の地で、

彼らは否応無く危険だらけのサバイバル生活に放り込まれるわけだが、

その裏には国家規模の壮大なプロジェクトがあった。



このアニメがなんとも不思議なのだ。

キャラクターデザインは少女漫画色の強い原作から大幅に変更し、

いい言い方をすればすっきりした、悪い言い方をすれば味がなくなった。

全体的な作画もすっきりはしているが、逆にすっきりしすぎでお世辞にもうまいとは言えない。

「なんだその手は?」とか「なんだその髪は?」とか「その角度には曲がらんよ」とか、

びっくりするほど下手だったり物理的に無理のある絵だったりと問題が多々。

ストーリー展開については原作との齟齬まではわからないけれど、

サバイバルにしては緊張感がなかったり、テンポが悪かったりとにかくじれったい。

いくらフィクションとは言えそんなわきゃないだろ!という突っ込みどころ満載。

最初の3話ほど見てなんじゃこりゃ?と興ざめ、本気でそのアニメの存在意義について考えた。

が、不思議なのはここからである。



誰もが認める(知らんけど)低クオリティにもかかわらず、なぜか続きを見てしまう。

自分でも理由がわからない。

徐々に諸所の突っ込みどころが愛しくさえなってくるこの不思議。

整理整頓されていないだるだるぐちゃぐちゃむちゃくちゃな人間模様から、

目が離せなくなるこの不思議。

崩壊した作画を作品のアイデンティティだと受け入れてしまうこの不思議。

様々な要素が高品質の軸から絶妙な距離でズレており、それが心地よい。

なぜなのか理由がわからない。

精密な歯車が幾重にもつながり最高純度の時計が出来上がるように、

様々な違和感が複雑に絡み合ってここに唯一無二の『7SEEDS』が出来上がった。

ここまで読んで褒めるのか貶すのかどっちかにしろ!と思うかもしれない。

しかし最初に言ったように私はこの未知の作品にいまだ混乱しているのだ。



なぜなら作為を感じないから。

もし全てに明確な理由があってなるようになっているのなら、こっちも納得する。

しかし『7SEEDS』は言わば、天然の人たらし。

製作側の意図を感じないこの無自覚的な魅力は、

B級映画とかC級映画といった類のそれとは一線を画す次元にあるものだ。

もし意図的な作戦であったなら、その途方ない計算とセンスに平伏せざるを得ない。



そして私は混乱を楽しんでいる。

はっきり言えるのは私はこのアニメが好きだということ。

最初は嫌な奴ばかりの登場人物も時とともに成長し、

それと同時に作画もどんどん綺麗になっていく。

第2期も見たけれど絵が格段にうまくなっていて驚いた。

様々な要素が混乱から抜け出し成長していく過程を見届けるのも一興。

そこで思うのはわざわざ低品質を好んでいたわけではないということ、

この作品が持つたくさんの違和感が心地よかったのだということ。

違和感にはある種の中毒性があると思っている。

原作は高評価なのだからメインストーリーがちゃんと面白いのは前提なのかもしれない。

漫画は絵もうまいし面白いらしいけれど、私はこれからもアニメを楽しもうと思う。

我ながら酔狂なこって。

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