とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

永遠の都ローマ展(東京都美術館)

2023-09-22 23:59:00 | 美術館
東京都美術館にて、永遠の都ローマ展を鑑賞。

ローマ建国神話にまつわる牝狼が ロムルス、レムスの双子に乳を与える銅像「カピトリーノの牝狼」が最初に出迎える。
世界最古の美術館のひとつとして、1734年に一般公開が始まったカピトリーノ美術館の所蔵作品を中心とした展示。

時間の流れの中で雨風に耐えて残ってきたものとして、絵画よりも彫刻が多いのだろう。

目玉は、初来日となる「カピトリーノのヴィーナス」だ。

皇帝から教皇へ文化継承の担い手が変わっていく中で、市民が台頭していく流れも感じられる。
二千年続く街の重厚感を感じた。






テート美術館展 光(国立新美術館)

2023-07-14 23:59:00 | 美術館
国立新美術館にて、「テート美術館展 光」を鑑賞。

英国のテート美術館のコレクションから「光」をテーマにした作品を選りすぐった展示。
巨匠の絵画から現代アートまでの多様な作品が面白かった。

絵画では光を表現する技法や、光の当て方の効果を狙ったものがあった。
現代アートでは、光の持つ意味であったり、人間の知覚の仕方など、鑑賞者との対話で成り立つ作品が面白かった。



噴火するヴェスヴィオ山とナポリ湾の島々を臨む眺め(ジョゼフ・ライト・オブ・ダービー 1776-80年頃)


露に濡れたハリエニシダ(ジョン・エヴァレット・ミレイ 1889-90年)


星くずの素粒子(オラファー・エリアソン 2014年)

マティス展(東京都美術館)

2023-07-14 23:30:00 | 美術館
東京都美術館にて、マティス展を鑑賞。

20世紀を代表するフランスの巨匠、アンリ・マティス(1869-1954)の芸術活動全般の変遷と、最晩年のロザリオ礼拝堂に注目した展示。

意外だったのは、マティスが画家の道を目指したのが20代に入ってからで、代表作品が生み出されるのが30代後半からと、遅咲きだったことだ。
絵画だけでなく、彫刻、切り紙絵など、多様な表現に挑戦している。
絵画では「色彩の魔術師」と言われる、赤やピンクなどの鮮やかな色使いが特徴だが、人物の造形のアンバランスさなども面白い。

時代のうねりの中で、新しい表現方法を試したり、病気による自分の体の変化に対応した表現に移っていったり、変幻自在さに目がいく。
しかし、そのタイミングでのマティスにとっての最善を追究した結果が、表現の変遷だったことがよくわかった。

最後の作品が、単純な絵画ではなく、これまでの表現の粋を結実させたロザリオ礼拝堂だったことに運命を感じる。
礼拝に訪れる人たちに安らぎの空間を演出することが最後の仕事をいうのは、最高の人生だと思う。



赤の大きな室内(1948年)

ガウディとサグラダ・ファミリア展(東京国立近代美術館)

2023-07-07 23:59:00 | 美術館
東京国立近代美術館にて、「ガウディとサグラダ・ファミリア展」を鑑賞。

ガウディの創造の原点である「歴史」「自然」「幾何学」にまつわる作品の展示から、生涯を捧げたサグラダ・ファミリア建設の経緯と現在がよくわかった。
あとは、現地へ行くだけというか、すごく行きたくなった。

直線で曲面を生み出す技法や二重らせん円柱の構造など、映像と模型による説明で理解できた。

もともと貧しい人たちの祈りの場として計画されたとのことで、集めた寄付金に見合うペースで建てられていることがすごい。
今も建設中だが、キリスト教信者だけでなく、世界から多くの観光客が集まることで、バルセロナの人々の生活の糧を生み出している。
そういう意味では単に理想を掲げるだけではなく、現生の利益ももたらしている。

なかなか完成しないということは、絶えず変化しているということでもある。
そのことも、多くの人々を惹きつける理由ではないだろうか。





サグラダ・ファミリア聖堂、身廊部模型

富士と桜(山種美術館)

2023-05-06 23:52:00 | 美術館
山種美術館にて、「富士と桜 ―北斎の富士から土牛の桜まで―」を鑑賞。
富士山の世界遺産登録10周年を記念して富士山を描いた絵画と、同じく日本を代表する花である桜を描いた絵の作品展。
多くの絵描きや画家が富士山の絵を残しているが、色も形も様々である。
横山大観は、富士山を描くと自分の内面が投影されるというようなことを述べたらしい。
その作品を制作するときの自分の全力を出し切ると自然とそうなるようにも思えるが、どうなのだろう。

桜もいろいろあるが、趣向を凝らした夜桜の展示がよかった。
できれば、日本酒を嗜みながら愛でたいところだが。



横山大観「富士山」(1933年)