とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

コートールド美術館展(東京都美術館)

2019-10-29 23:59:00 | 美術館
東京都美術館にて、コートールド美術館展を鑑賞。

コートールド美術館は、ロンドンにあり、現在、改修工事中とのこと。
創設者のサミュエル・コートールドは、レーヨンで財を成した人で、当時、イギリスでは評価されていなかった
フランス発祥の印象派の作品を収集したということで、審美眼があり、気骨もある人だったのだろう。

魅力的な女性をモチーフにした作品がいくつかあり、女性が見られることを肯定し始めた、
当時の空気を感じることができる。
そういう意味で、エドゥアール・マネの「フォリー=ベルジェールのバー」と
オーギュスト・ルノアールの「桟敷席」、ポール・ゴーガンの「テ・レオリア」は味わい深い。

作品全体を通じて、名作であるばかりでなく、どことなく風刺や遊び心のある作品が選ばれていると感じた。
創設者の人柄が表れたコレクションと言えるだろう。


ゴッホ展(上野の森美術館)

2019-10-29 23:58:00 | 美術館
上野の森美術館で開催中のゴッホ展を鑑賞。

ゴッホの作風の変化を「ハーグ派」、「印象派」の二つの会派の画家たちとの出会いから紐解く展示。
ゴッホのみならず、「ハーグ派」、「印象派」の画家たちの作品も展示されており、
どういった影響を受けたのかを想像しながら見ることができる。

「ハーグ派」の特徴は、田園風景や農民の生活といったオランダの庶民の生活に寄り添ったテーマを
茶色を基調とした色使いで描くといったものだ。
土のにおいのする画風といってもいいかもしれない。

この頃のゴッホの作品は暗い色使いで、人物の描写に関して、動きを感じないとの友人からの指摘を受けている。
ゴッホの画業を振り返って作品を見ると、作品の対象の持つエネルギーや人物の内面を表現しているようにも
思えるが、当時は技術も対象への迫り方も足りなかったのだろう。

その後、「印象派」の画家たちとの出会いと、パリ、プロヴァンスへの移住を経て、作風が大きく変わる。
ゴッホは自らが画家を志したのが遅く、技術的に未熟であったことに非常にコンプレックスを持っていたのだろう。
それ故に、浮世絵や新進の「印象派」の技法を学び取り、独自の作風にたどり着けたのだと思う。

死の2年前、精神療養院に入る頃からは、作品に妥協というものが感じられない。
精神を病むほどの絵への執着。技術を超越したエネルギー。
それこそがゴッホの魅力だ。