とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

KING&QUEEN展(上野の森美術館)

2020-10-23 23:00:00 | 美術館
上野の森美術館にて、「KING&QUEEN展」を鑑賞。
英国王室の歴史を肖像画と肖像写真でたどるという企画で、
大河ドラマをみているような面白さだった。

やっぱり、ヘンリー8世(1491~1547:即位1509)が凄い。
長身で体格に恵まれ、若い時はスポーツ万能だったのが、晩年は激太りし、
自力では動けないので、椅子ごと担がれて移動していたとのことだ。
また、6度の結婚と4度の離婚、妻のうち2人は処刑。
多くの臣下を処刑し、度重なる戦争。
自分の権力を維持するための苦悩の結果であれ、誰も止められないとこうなるのか。
この後、娘のエリザベス1世(1533~1603:即位1509)の時代に英国は大きく発展することになる。

時を隔てて、ヴィクトリア女王(1819~1901:即位1837)の時代からは、
肖像画に加え、肖像写真が使われるようになる。
また、王個人から王家の家族にスポットが当たるようにもなっている。
それに伴って、王家の一人一人が必ずしも品行方正で完璧な人物でなく、
自分の境遇に悩み苦しみながら生きている、良い意味での人間らしさを感じることができる。

レベルは違えど、どこの家族にもあるような、すべての人が感じるような
自ら選べない生い立ちの理不尽さと闘いながら、人生を自分のものとしていく歩みの縮図がここにあった。




「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」(ネタバレ注意)

2020-10-20 23:59:00 | 映画
噂に違わず、最高に面白かった。

公開初日から3日間の観客動員342万人、興行収入46億円は、
日本国内で公開された映画の観客動員・興行収入の歴代1位とのこと。

電車の時刻表並みの劇場上映スケジュールと
座席の前後左右空けを解禁しただけのことはある。

ストーリーはマンガを読んで知ってたが、
映像の綺麗さ、迫力がテレビアニメから圧倒的にクオリティが上がっている。
オープニングシーンは一瞬、実写かと思うほど。

人間の弱さと儚さ、強さと優しさをこれでもかと突き付けられる。
そこがこの作品の魅力だと感じる。

点数は、10点(10点満点)。

タイトル:劇場版「鬼滅の刃」無限列車編
製作年:2020年
製作国:日本
配給:東宝、アニプレックス
監督:外崎春雄
主演:花江夏樹
他出演者:鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、日野聡、平川大輔
上映時間:117分


「82年生まれ、キムジヨン」(ネタバレ注意)

2020-10-15 22:00:00 | 映画
行ったことがないので実感として理解できないが、
韓国は想像以上に男性社会のようだ。
日本もかつてはそうだったが、変化のスピードがより急激なのだろう。

社会に適合できないのは、社会の方に問題があるという考え方はいつごろできたのだろうか。
よく考えると、最初に気付いた人は凄いと思う。大発見だ。
今後も、社会の変化と人間の進化が両輪で回って、世界はどんどん変わっていくだろう。

ジヨンの場合、他人が乗り移ったようになることが自分を守ることだったが、
人間の精神にとって、生きやすい方へ世界が変わっていくことを願うのみだ。

点数は、7点(10点満点)。

タイトル:82年生まれ、キムジヨン
製作年:2020年
製作国:韓国
配給:クロックワークス
監督:キム・ドヨン
主演:チョン・ユミ
他出演者:コン・ユ、キム・ミギョン、コン・ミンジョン、パク・ソンヨン、キム・ソンチョル、キム・ウンピョ
上映時間:118分


「望み」(ネタバレ注意)

2020-10-13 23:59:00 | 映画
非常に重いテーマを扱っており胸が痛んだが、映画としては新しいものを感じなかった。
俳優陣の演技がすばらしく、リアリティーもあったのだが。
原作小説を読んではいないが、小説で読んでこその作品なのかもしれない。

残酷だが、松田翔太が演じていた雑誌記者のコメントが観客の率直な感想ではないだろうか。
映画を観ている人にそう感じさせる演出が意図的になされていたとするなら怖い気がする。
他人事ならば、ドラマティックなものを見たいという人間の心の闇だ。

心の闇を抱えて生きていくことを受け容れることで、人間は強くなるのだろうか。

点数は、7点(10点満点)。

タイトル:望み
製作年:2020年
製作国:日本
配給:KADOKAWA
監督:堤幸彦
主演:堤真一、石田ゆり子
他出演者:岡田健史、清原果耶、加藤雅也、市毛良枝、松田翔太、竜雷太
上映時間:108分


「星の子」(ネタバレ注意)

2020-10-10 23:59:00 | 映画
なかなか解釈が難しい作品だった。
それにしても芦田愛菜は演技の天才なんだと感じた。
人間としての距離感の表現が絶妙だった。
次はもっと感情を爆発させる役を演じてほしい。

主人公のちひろの両親の立場からすると、
ちひろの病気を治してくれた宗教を心から信じるのは仕方ないように思う。
頭から水をかける儀式も、家の風呂場でやるとか、
他人に見えないところでやればいいのにと思うが、
すばらしいものを他人に見せたいという気持ちがあるのだろうか。

ちひろも両親の愛情は信じている。
家を出た姉のことも大切に思っている。
宗教のせいで贅沢ができないことも受け容れている。
好意を寄せていた教師から、あからさまに両親の行為を否定されても、
両親への愛情は変わらない。
ちひろ自身は物心がついたときから宗教が当たり前に存在したので、
特に疑問は感じていなかったように見える。
両親の愛情と宗教は、一体化しているのかもしれない。
ある意味、宗教の存在の仕方としては正しいのだろう。

人知を超越した存在として宗教が存在するには個人的な信じる理由が必要だ。
それが両親との関係を壊さないためということでもいいのだろう。
結局、何が大切かの優先順位の問題だ。

できれば、何が大切かは自分で選びたいし、選んだ結果に対して、他人から文句は言われたくない。
ただし、その考え方では違う宗教を信じる人同士は連帯することが難しくなってしまう。
貧乏な間は、まず、衣食住のレベルを上げることが目的になるだろうが、
それが達成されると、人間の関心はどこに向かうのだろうか。

点数は、7点(10点満点)。

タイトル:星の子
製作年:2020年
製作国:日本
配給:東京テアトル、ヨアケ
監督:大森立嗣
主演:芦田愛菜
他出演者:永瀬正敏、原田知世、岡田将生、大友康平、高良健吾、黒木華、蒔田彩珠、粟野咲莉、新音、池谷のぶえ、池内万作、宇野祥平、見上愛、赤澤巴菜乃、田村飛呂人、大谷麻衣
上映時間:109分