とても興味深く見ることができた。
アクションシーンの表現について試行錯誤の経緯...。
オリジナルでアクションシーンを担当していた大野剣友会への思いとコダワリ...それは東映時代劇からの伝統芸でもあり、経験を積んだカタと段取りから成り立っている。
だが...庵野さんはその「段取り」が次第に鼻についてきて、全て否定的に。
アクションスタントマンの動きも嘘くさく見えるばかりで徐々に排除していき、仕舞いには池松さんなどメインキャストだけに絞ってしまう。
準備期間に時間が無かったのか...事前の演出プランの段階で方針を固められるはずではなかったのか?
あれではアクション担当の立場もないし、扱いも酷いなと。
意外だったのは主演でもある池松さんの活躍ぶりだった。
監督とアクション担当の間に立って、一緒に悩み、一緒に考えていた姿に好感がもてた。
それも現場で認知、影響していったのだろう、池松さん自身がアクションするシーンが目立って増えていく。
ショッカーライダーとの格闘シーンは結果的には全部カットされたが、池松さん自身が起こしてしまったアクシデントで何かが見えて来たという。
まぁ...やはりアニメ畑の人ゆえ、脳内で構築された映像にカッチリハマらないとダメなんだろうし、どれもこれもイメージとの差異をどれだけ埋められるかが課題なのだろう。
その結果が物凄い数の iPhone カメラでの撮影に繋がっているってワケで。
現場は凍り付くばかりで、尾上さんや轟木さんらの沈鬱な表情からは「ここに樋口さんがいてくれたらなぁ...」という心の声が聞こえてくるようだった(^_^;
それに比して、ライダーのデザイン設定会議やCGシーン制作の現場は和やかで楽しそう...。
やっぱりアニメ畑の人なんだよなぁと思うばかりだったね。
...ともあれ、このドキュメンタリーは非常に良かった。あのギクシャク感が作品によく反映されているなと。
ちなみに「段取り」臭いんでしょうけど、クモオーグや戦闘員との肉弾戦描写は素晴らしく、これがライダーのアクションだよなぁと個人的には一番好みだ。
重みを感じないCGは全くライダーらしくないし、新しいとも思えなかった次第。