そのステージと繰り出すパフォーマンスは確実に深い爪跡を残したと思います...。
YouTubeによる配信は、Perfumeの前にアリアナ・グランデさんの派手で規模の大きいステージを映し出していました。
Perfumeの出番を固唾をのんで待ちながら、脳裏に浮かんだのは..やはりMIKIKO先生の言葉です。
4年ほど前にBSフジ放送の「ESPRIT JAPON」。
演出・振付家として腕を磨くため、ニューヨークに渡ったMIKIKOに初めて立ちはだかる厚い壁。
ニューヨークに留学するというのもある日突然すすめられて...私は行く前のダンスシーンはアメリカのものが見本になっていて、
黒人っぽく踊る事、いかにそれを再現できるかっていうのが注目されていたんですけど...体型も私はボン!ギュ!っていうワケでもないし、やっぱりアレはアノ体型のアノ血が流れた人たちのダンスだったり表現方法だなっていうのが凄い感じて、それを真似していること自体が凄い恥ずかしいなって思って...。
自分のやってきた事は欧米の真似事...そう感じてしまった彼女は思わず立ち止まってしまったという...日本人らしさとは?...その答えを探し求める日々が始まった。
ニューヨークで日本の文化を発表しますっていう舞台を観に行ったんです。で、どんな事をやるんだろうと興味を持って観に行ったんですけど。やっぱり着物きて太鼓叩いて和の表現だったんですけど、それは確かに間違ってるとか正解はあるとは思ってないけど、自分がやりたいのはそれじゃないなと思って。なので敢えて日本っぽくするというよりも、そこを意識しないようにするというか...。
辿り着いたのは敢えて、日本っぽくしないということ...。
それからというもの彼女は日々気になるものやアイデアをひたすらメモし、振り付けに活かすことを始めた。
しかし...これが自分にとって本当に正解なのか?不安な日々が続いた...。
留学からの帰国後...それまで日本の情報は耳に入れないようにしていたMIKIKO先生...「
事故!」と感じてしまう程の意外な Perfume のブレイクにすっかり浦島太郎のような気持ちになってしまったとのことですが(^_^;、それまで地道にやってきた事が間違いではなく、確信へと繋がって行きます(^_^)
帰ってきてみて、よりそこが鮮明になったと...やるべきことがハッキリして、日本人の体型に似合うものプラス、緻密さというか細やかさみたいなのが日本独特の良さでもあるなと思うので、それが知らず知らずの内にフリに反映されるようになったと思っています。
それにしてもまるでマリオネットのような振り付け...いったいどこから生まれたのだろうか?
好みとして自分がダンスを踊ってますと言うより、日常の仕草だとかが体現できたら、その人が魅力的に見えてくるのではないかと思うことが多くて...なので、こうダンス踊ってますというのではなくて、リズムに日常の仕草をはめていってるとこは振り付けの方法としてはあって...
...かな?...っていうようなポージングを...それがダンスっぽくないから独特と言われるのか...なぁ(笑)
国内でさえ、個性が強すぎて...まぁテクノサウンドを表現する上で人間ぽくないロボットみたいなキコキコしたようなダンスだと奇異な目で見られていましたしね...(^_^;
でもMIKIKO先生の留学経験と、日本人の限界と壁...その挫折感をもって生み出された振り付けのデザイン言語に間違いはなかったと私も感じているんです。
コーチェラ・フェスにて同時参加したお隣の国・韓国の女性グループ・BLACKPINKと比較されることも多かったようですが、方向性はまるで違う...その指向はかつてMIKIKO先生がニューヨークで感じた「黒人っぽく踊る事、いかにそれを再現できるか」の壁に向かっていると。
韓国のグループはその土俵で戦いを続けているんだと思うのですが、欧米人の目にどう映っているのか...それを知る手だてはありません。
ただ日本人にとって、その土俵は合ってないんじゃないかなとは感じていて、それは過去、米国市場に打って出た多くの歌手やグループの挫折が物語っています。
恐らく欧米人にとって東洋人が英語で歌い、ヒップホップやストリートダンスを舞っても奇異でニセモノっぽく見えてしまう...ネイティブでないものの壁があるのだと思うんです。
それ故に敢えて土俵をかえ、独特の場で勝負するPerfumeには...それは急激にではなくても...ジワリと浸透していくような余地と可能性があるんじゃないかなと。
理解され、面白いと思い、気づいたら虜になってしまう...私のような人間はまだまだ世界にいっぱいいるんじゃないかなと(*^o^*)
...とまぁ、そんな事を考えながら、コーチェラでのステージを見守っていた次第です(^_^)