どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

この世界の片隅に、66回目鑑賞+(4)

2018年08月31日 20時35分00秒 | アニメ
前回「マイマイ新子と千年の魔法」からの続きです。

満を持しての小黒さん「『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の制作状況について聞きたいけど、みんなも聞きたいっ?」とイタズラっぽく(笑)

片渕さん、思わず「アチャ〜」に(*^o^*)

映画としての長さは伸びる。5分とか10分ではなく、もっと大々的に伸びる。でもどれくらいなのかはまだ判らない。内容も吟味しているところ。

これまでも3バージョンにもなっている。一つ目は自分たちも初めて繋がったものとして観た16年9月9日の0号完成披露試写。10月までのマスコミ試写はこれを上映し、二つ目が10月の終わりくらいに色々手直ししてエンディングも加えたもの。そして原動画200カットほど(全体の6分の1程度)修正したものが17年11月に(BD版も含めて)公開した(現行上映でもある)三つ目のバージョン。

すずさんへの想いは以前と変わりはない。逆にこういうヤツなんだなと定着しているので、それを作画で上手く表現しないといけない。たまたま(そう見える)ではなく、意識的に。

作画では一身に背負っている浦谷さんが大変な思いをしてやっているところ。


う〜ん...楽しみですね!(*^o^*)

これは今見慣れているシーンも含めて、かなりガラッと変わるんじゃないかと思います。ポスターに加え、特報ティザー映像のリンさんや戦後(?)の浦野家周辺描写を観ただけで伝わってきますし!


期待せずにはいられませぬ!!

...ということで、トークはまとめに入ります。

今日は「エースコンバット」から上映されるが、作った順で言えば「アリーテ姫」、「エースコンバット」、(上映はないが『ブラックラグーン』が間にあって)「マイマイ新子と千年の魔法」、「この世界の片隅に」と繋がり、何が見えるのか。

「アリーテ姫」を作ってから...その間にもいろいろあって「マイマイ新子」や「この世界の片隅に」に戻ってきた...あるいは距離感みたいな...ひょっとしたらそんな感じ方や見え方をするのかもしれない。


いやいや...今回も含蓄あり...そして「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」がどのような作品に変貌するのかもアレコレ妄想膨らませてくれる素晴らしいトークを聞かせていただけました(^_^)

そして「エースコンバット」から始まって「この世界の片隅に」まで、早朝6時過ぎまで観たわけですが、やはり一気観による気づきがありましたよ!

去年のオールナイトでもセリフや描写で三本が不思議な繋がりで結ばれているものがあって驚いたのですが、今回は別の描写にも...それは「エースコンバット」の冒頭に予感させるものがあったのです。

空をスッと鋭利に切り裂くような共通する描写が..それは流星であったり、地表に落下する隕石であったり、飛行機雲であったり...。


4作すべてにこの表現があり、「自然からの恩恵と災い」とか「人類の功罪」などの言葉を思い浮かべました。

空から飛来する恩恵により、良質な資源を得て、技術が進歩し、それはやがて再び災いとして飛来してくる...古代から現代にかけて、壮大な皮肉を投げかけていると。

最初から何部作とか予定されていたものではないのに、20年近くもかけて、テーマを仕込み発展させてきたように見えてしまう...これが意図的なものなのか、運命的なものなのか...本当にわからない事だらけなのですが、その気づきに恐ろしさもあって愕然としてしまったのです...(´д`)

しんなこんなで...今回も参加できて大満足でした(^_^)

来年もあるのかな...「アリーテ姫」「マイマイ新子と千年の魔法」「この世界の片隅に」「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」の4本立てになったりして(*^m^*)



8月30日(木)のつぶやき

2018年08月31日 06時04分03秒 | 事件・事故・災害

この世界の片隅に、66回目鑑賞+(3)

2018年08月30日 20時00分00秒 | アニメ
前回「アリーテ姫」からの続きです。

トークで話題になるまで気づいてませんでしたが、今回の「マイマイ新子と千年の魔法」の上映方式はDCPではなく、旧来のフィルムによるものでした。

映画館での初見からDCPでの鑑賞のみでしたので、かえって有り難い!と思いましたが、今回の上映も当然DCP版を予定していたが、松竹に問い合わせたら(貸し出し分が)見つからないと言われてしまったとのことで...(^_^;

そしてトークのテーマは、やはりデジタル制作における裏話となりました。

「マイマイ新子」も「アリーテ姫」同様デジタル素材で制作し、フィルムレコーダーでフィルムへ出力という方法だったが、この時期には「アリーテ姫」のような色味の違いはほぼ解消されていた。元データも加工することは無かったので、DCP化するときにも問題なかった。

これから再上映の機会も増えそうだし、BD化も同じ素材で可能、製作委員会もノリノリだったので、DCP版はすぐに出来た。

DCP化の折に「この世界の片隅に」BD版(現在上映しているリテイク版)同様な手直しをしたかったが、忙しくてほとんどできなかった(背景のズレなど気づかれないだろう程度の調整くらい)。

CS放送などで使われているものもDCP同様に色味を鮮明な方向に調整している。フィルム版のようにシックな方向にもできるが、「アリーテ姫」の時と同じように元素材も変質させてしまうことになってしまう。なので元素材をいじらずデフォルトの状態を維持させた。テレビでフィルムのように観たければ、シネマモードなどで好みの画調にできるので。

この判断は正解だったと思います。自分のテレビ(あるいはモニター)でシックにも鮮明にも自由にコントロールできるワケですから。

今回のフィルム版の鑑賞で、以前片渕さんが「フィルムでなかなか出なかった麦畑などの緑系の色味を、DCP化の折にかなりの調整をした」という意図はダイレクトに感じ取れる事が出来ました(^_^)

DCP版を見慣れた目に、フィルムの色(特に緑系)はシックというより、全体的に精気なく、くすんで褪せて映ったのです。

この違いはDCP化以前(おそらくフィルムスキャンのみ)のDVD版と、以後のBD版を比較しても感じ取れます。

DVD版↓

BD版↓

BD版は全体的に明るく発色が良くなっています。

でも思ったほどの差はない...もしかしたらDVD版に際し、最低限の色味や輝度の調整をかけたのかもしれません。

上映されたフィルム版はもっと差があったと思います。印象に残る色味はこんな感じでした。

フィルム版(印象)↓

何度も映写機にかけられ、キズもありましたし、経年劣化による褪色が進んでしまった結果なのかもしれませんが。

緑を鮮明にすることで、戦後世代の前向きさを強く押し出したかった...そんな片渕さんの意志を感じるコダワリの色調整なんでしょうね!

この後テーマは「この世界の片隅に」...そして「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」がどのようなものになるのか?...お話しはまだまだ続きます(^_^)



この世界の片隅に、66回目鑑賞+(2)

2018年08月29日 20時30分00秒 | アニメ
前回「エースコンバット4」からの続きです。

今回「アリーテ姫」はもちろんですが、「マイマイ新子と千年の魔法」も35ミリフィルムでの上映となりました。「マイマイ新子」はDCP化され、現状フィルムでの鑑賞はなくなっているので、レアなものとなりました。もちろん私もフィルム版を観るのは初めてとなります。

この2本の制作時期(2000年代)はアニメのデジタル化の過渡期で、作品によってマチマチなんですよね。どちらかというとテレビが先行、映画版は従来のセル画を使っていることが多い時期でもあったと。

スタジオ4℃では「スプリガン」まではセル画で、その後に切り替わっていった。その前のオムニバス映画「MEMORIES」の中の一作「大砲の街」を作ったが、4カ所のみカメラワークの都合でデジタルを使った。大友克洋さんがギャラ代わりにクライアントからもらったというMacintosh Quadra(私も好きなマシンでしたが、どのタイプだろう?)を貸してもらって、Photoshop の練習とかしていたが、95年ころデジタルに詳しい安藤裕明さんに来てもらって色々対応できるようになった。

この時期、アニメ業界は各社でデジタル化への試行錯誤を始めていた頃で、私も誘われて「ストリートファイターII MOVIE」(94年)のお手伝いしたもんです。デジタルは未知の分野だったため、そのノウハウを吸収したかったんでしょうね...私もそれを契機にアニメ業界の仕事も増えるかなと思ってたんですが、ほぼそれ一回くらいで終わっちゃいました...その時期に片渕さんと出会っていたらまた違う仕事人生だったのかも...(^_^;

98年制作開始された「アリーテ姫」がセル画を使わず、フルデジタルで作った最初の作品となった。だがフィルムでしか上映できない時代だったため、フィルムに焼き付けないといけなかった。だが問題はデジタル素材とフィルムにした時の色合いの違いだった。そのため色相・彩度を細かく調整してフィルターを作り、フィルム上で思うような色合いになるような作業をした。結果、デジタル上の原版はメチャメチャ変な色合いのものになったが、なんとかフィルムでまともに見えるようなものができた。

デジタルになったからといって、パッと派手で明るいものにはしたくなくて、作風に合わせてシックなものを目指した。美術館などにいって影のない日本画を参考にした。

そして一番大変だったし工夫を凝らしたのは金色の表現だった。従来は黄色を塗って表現していた。昔、黄土色も試してみたが宮崎駿さんにカレーみたいと言われたことも。どうせデジタルなんだからと色んな色と表現も試してみた。でもいわゆるCG(ここでいうのは3Dモデルを使っての意味)は使用せず、あくまで手作業で行った。

それは作品のテーマ、自分の手で何ができるのかということにも繋がっていると思う。


今回の「アリーテ姫」鑑賞は、金色表現に注目して鑑賞しましたが、なるほど随所に工夫が凝らされているのが判りました。

作中、金銀財宝や、姫が大事に持ち歩く重くて大きな本...そのカバーが金細工でできているのですが、持ち上げたり広げたり、本が動く度に細かくテカったり金色グラデーションが光の反射を受けて微妙に色合いを変えていて、こんなところにまで心血注いでいたんだなぁと改めて溜め息しながら観てしまいました...。

ラストの金色の巨鳥なんかも...ウロコの一つ一つが別々に煌めいていて、絵作りへのコダワリ...ハンパのない凄味に触れた次第です。

お話しは「マイマイ新子と千年の魔法」へと続きます



さくらももこさん、逝去

2018年08月28日 20時20分00秒 | 話題
享年53歳...作品から同じ世代だろうとは思ってましたけど、私よりも3つも若い...突然の訃報に驚きつつ、思考がついていけないです。

顔写真も初めて...こんなお顔していたんですね。

常々絵は描き手に似ると思ってますが、まさに...。

「ちびまる子ちゃん」は自分世代が子供だった頃(高度成長末期からオイルショックの時期)あたりに初めて光を当ててくれた人だと認識してます。

それまでレトロ感も特徴もないと思っていた時代に、面白さと発見を見いだしてくれた...。

アニメがブレークした90年代初頭、私は正に子育て真っ最中の時期で、子供を連れて出かけると必ずと言っていいほど「ピ〜ヒャラピ〜ヒャラパッパパラパ〜♪」という主題歌が聞こえてくるほどでした。

作品自体、ハマっていたほどでもなく原作マンガもほとんど読んでませんが、なぜかエッセイ本「ひとりずもう」(2005年)だけは買って読みました。

内容はちびまる子ちゃんのその後みたいな内容で、主に思春期あたりの感慨をまとめているという感じ、この人は文章も面白いなぁと、その読後感も印象に残っています。

去年ですが、映画「この世界の片隅に」の監督・片渕須直さんのトークイベントで、さくらさんとの関わりを語っていらっしゃいましたけど、アニメへのコダワリ・関わりも深かかったようで、その時のエピソードを思い出しました。

目にし耳にする作品への熱意...まだまだ創作意欲も旺盛だったと思いますし、心残りも沢山あったと...。

人の死は誰にでも平等に訪れるもの...それは判っていても、理不尽だなぁと感じさせられる、さくらさんの訃報です。

お疲れ様でした..合掌。



ゲリラ豪雨

2018年08月27日 22時39分00秒 | 生活
19時台、ものすごい雷雨で、ビカビカで叩きつける雨で飛沫があがって、こりゃ停電してしまうかも...というほどでした。

20時を過ぎて徐々に沈静化していきましたが、カミサンも買い物に出かけようとしていたところ、断念。

昨日の続きを書こうかなと思っていたのですが、それどころじゃない気分に...。

いや〜凄まじかった(^_^;



8月26日(日)のつぶやき

2018年08月27日 06時07分29秒 | 事件・事故・災害

この世界の片隅に、66回目鑑賞+(1)

2018年08月26日 20時50分00秒 | アニメ
1年ぶり、2回目の新文芸坐オールナイト上映に行ってきました(^_^)

今回も目出度く満員御礼 SOLD OUT!

プログラムの基本は冒頭に片渕須直さんとアニメスタイル編集長・小黒祐一郎さんの対談、そして「アリーテ姫」「マイマイ新子と千年の魔法」「この世界の片隅に」の三本立てですが、前回との違いは来年1月発売の「ACE COMBAT 7」を記念して、片渕さんが初めてサイドストーリー制作に関わった「ACE COMBAT 4」サイドストーリー(21分)の上映です。

そして「この世界の片隅に」は66回目の鑑賞にもなってしもうた...(^_^;

去年同月(9回も行ってるし...(´д`))ほどではないですが、公開から3年目で2回目の8月迎えて3回も行っているという...周りではとっくのとうですが、我ながら呆れるばかり(^_^;

でもね、そんなに観に行っているのに未だに新たな気づきがあるんですよ。今回は三作通しで観て、ハッと思わされたことを含めて書き記しておきたいと思います。

オールナイト上映はのトークから開始です。

まずは恒例の初見さん確認からスタート、「この世界の片隅に」で20人くらい、「マイマイ新子」で40〜50人、「アリーテ姫」で半数程度、「エースコンバット4」(を映画館など)でほぼ全員(逆に観たことある人は1〜2人程度)という感じ(各人数は雰囲気的なものです(^_^;)。

「エースコンバット4」の映像自体はPS2である程度見てましたし、YouTubeなどの動画サイトでも見ようと思えば可能ですが、流石に私も映画館では初めてです。片渕さんによれば、記憶が曖昧みたいですが、最初が渋谷で国内では2〜3回、海外(フランス)で1回程度上映したのではないかと。

着想段階では全編静止画で構成されているフランス映画「ラ・ジュテ」のような形で「プライベート・ライアン」のようなストーリーをとのことだったらしいです(極簡単に言っちゃうと、ゲームとゲームの合間に展開させる紙芝居)。

時期的にはスタジオ4℃在籍時、「アリーテ姫」制作が一段落した後で、同社プロデューサー・田中栄子さんがナムコ(現・バンダイナムコ)の依頼を受けて、片渕さんに白羽の矢を立てたことが発端だったと。基本プロットは3日間くらいであげてしまったようです(仕事早い!)。

大枠はナムコ側から示されたものの、割と自由にやれたが、反面ゲーム性に左右することにもなってしまい、結果的にゲーム自体に口を出すみたいな形になってしまったが臨機応変に対応してくれたようです。

止め絵を映画的に表現することに意味を持たせようと考え、パンやトラックアップを多様するような誤魔化しにはしないように心がけ、カメラワークを付けるにも意味を持たせようと。浦谷千恵さんと組んだのは本作が最初だったとも。ホンマに浦谷さんの作画能力はハンパないです...(板野一郎さんも協力、主にメカ描写ですかね?(^_^))。

...で観た感想なんですが、正直なところPS2まんまの解像度と圧縮画像での上映はあまりにも勿体ないなぁと。大きな画面に映写すると、低解像度による眠さと圧縮ノイズのジラジラが浮き出てしまって、辛い〜(´д`)

モノトーンな色合い、そして一枚一枚の描き込みと迫力は申し分なく、深い人間模様が素晴らしい...20年近く前とは言え、元データは縦横倍以上の解像度(1280×960pixel)が確保されていると思うし、そのままの状態で編集できるんじゃないかなぁ。

権利の問題で難しいのかもしれませんが、今後このような上映機会が増えるとすれば、御一考願いたい次第ですm(_ _)m

ということで、次回に続きます。