監督ですが、
主演の西島秀俊氏も
相当なシネフィルなんだそうですね。
「CUT」28点★☆
イラン出身アミール・ナデリ監督が
日本で撮った作品。
映画監督で熱心な映画ファンである秀二(西島秀俊)は
ある日、兄が借金トラブルで死んだと聞かされる。
兄の残した莫大な借金を返すため、
彼はヤクザを相手に
自分を殴らせてお金を稼ぐ“殴られ屋”をすることになるが――?!
バイオレンスシーンは多いけど、
思ったより痛くなかったのは
いいのか、悪いのか。
「いまの映画は娯楽ばかりで死んでいる。
昔、映画が芸術だったころを取り戻そう!」と叫ぶ主人公は、
殴られても殴られても、倒れない。
そんな主人公の姿に、
映画への信念を託してるのでしょう。
で、殴られている間に
名画のシーンが挟まる、という具合。
情熱や思いは伝わるんですが、
「映画愛」と「殴られ」の間にあるものが
あまり丁寧に埋められていないので、
やはり観ていて違和感がある。
思い入れと思いつきだけで、2時間、突っ走った感が否めない。
そもそも「殴らせて、お金を稼ぐ」って、
一度くらいはおもしろがられても、
何度もみんなが夢中になるもんか?(苦笑)
映画内の名画映像に使用許諾が降りなかったものがあって、
134分が120分に急きょカットされたそうですが、
この映画を象徴している話な気がする。
情熱は買うけど
監督、ちょっと勇み足だったんですかね。
同じシネフィルなら
マチュー・アマルリックのほうが
その昇華がうまいかな、と。
★12/17(土)からシネマート新宿、シネマート心斎橋で公開。ほか全国順次公開。
「CUT」公式サイト