ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―

2011-12-23 17:02:31 | ら行

もっとこわもてな人物かと思ってました。
その意外性に、好感。

「聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―」68点★★★


1939年、夏。

日独伊三国同盟を締結させようと
世論が盛り上がるなか、

海軍の山本五十六(役所広司)は、
同盟締結に反対していた。

「日本がドイツと結べば、必ずアメリカと戦争になる。
それは避けなければならない……」

が、1940年
ついに日本はドイツと手を組むことに。

そして1941年の夏、
アメリカとの対決が避けられないと悟った五十六は
ある作戦を立案した。

それは
「真珠湾攻撃」。

武士道精神を重んじる五十六は、
「必ず米軍に通達をしてから攻撃せよ」と
命じていたのだが――?!


戦艦が出てくるにも関わらず
ドンパチが非常に少ない、いやほとんどない、
静なる戦争映画でした。

それは
山本五十六という人の人柄の描き方にありまして

意外なことに
いかつさよりも、柔らかさが際立つ人物。

えばったりせず、
どこか飄々としていて、情にあつく
なにより平和主義者。

甘党で下戸なところや、
名誉欲も出世欲もないところなどを丁寧に見せていくので
好感度アップするってもんです。

演じる役所広司氏の得意技というか
「ちょっとお茶目」感もうまく出ている。

実際、五十六を知る海軍大将は
その人となりを聞かれて、まず
「茶目ですな」と言ったんだそうで。


その人物像に呼応するように
終始静かな演出なんですね。

それは開戦前のややのんびりした時代から
「真珠湾攻撃」を経て戦争に至っても変わらない。

ただ、歴史の歯車が悪いほうに回っていく恐ろしさは
十分に伝わってきます。


「真珠湾」で奇襲をかけるつもりなどなかったのに、
結果そうなってしまったり、

わずかな誤算やボタンの掛け違いから、
ズブズブと戦争に至ってしまう様が
よく描かれていました。

なんといっても
歴史オンチの番長にとっては

名前だけは知っている
「三国同盟」やら「ミッドウェー海戦」やら
「カダルカナル島」を静かに学ぶことができたのが
とても助かった。

ちょっと長かったけど
勉強になりましたよ。

★12/23(金)から全国で公開。

「聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―」公式サイト
コメント (5)
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