美しさと、こみ上げるエモーションに
圧倒されました。
「ミラノ、愛に生きる」80点★★★★
ミラノに暮らすエンマ(ティルダ・スウィントン)は、
裕福な一族の妻として、
何不自由ない生活を送っている。
3人の子どもたちも
だんだんと巣立ち始めたある日、
エンマはふとしたことから
娘(アルバ・ロルヴァケル)の秘密を知り、心ざわめかせる。
そんな折、エンマは息子の友人で
庶民階級のシェフ・アントニオ(エドアルド・ガブリエリーニ)に出会う。
エンマはいつしか、
アントニオの姿を目で追っている自分に気づくのだが・・・。
いや~、これはすごいですマジで。
冒頭から
往年シネマのクラシカルな雰囲気で始まり、
気分が盛り上がる!
そして“優雅”というにはあまりにもスゴい
上流階級の耽美な暮らしぶりに圧倒されます。
家具も調度品も、目の保養すぎる。
そんななか、
生きる世界も、年も違いすぎる
息子の友人に出会ってしまう上流マダム。
その愛の解放を、
極上の映像と感性で色づけし、
単なるオバさんのドリーミーなメロドラマでなく、
至高の体験に昇華したセンスが素晴らしいんですよ。
おそらく男女問わず、受け入れられると思います。
大抵こういう話って
裕福だけれど満たされない金持ちが愛に出会う、って
描き方が多いけど、
この映画は違うんですねえ。
裕福でこそ成り立つ「豊かさ」と、
滋味に溢れた暮らしの持つ「豊かさ」、
質の異なる「豊かさ」を
どちらが上、とかでなく、
甲乙つけがたい美しさで描いたのが出色です。
それに51歳のティルダ・スウィントンが
ホント奇跡の美しさですよ。
その美しさは
「45歳なのに20代にしか見えない!」とかいう
どこかの国の間抜けなものではなく、
きちんと「その年齢」の美しさなんだよなあ。
でもお金は完璧にかかってる(笑)。
役柄が役柄でもあるしね。
あと、すごいのが
娘役のアルバ・ロルヴァケルが彼女にそっくりなこと!
「ボローニャの夕暮れ」に出ているイタリア女優ですが、
常々、似てるなあと思ってたんですよね。
ティルダ自身もそう感じていたそうで、
「いつか娘役にキャスティングしたい」と
思ってたんだって。
素敵!(笑)
くそ忙しい年の暮れ、
スーッと優雅な気持ちになれるはず。
オススメです。
★12/23(金)からBunkamura ル・シネマで公開。ほか全国順次公開。
「ミラノ、愛に生きる」公式サイト