ファニーで、切なくて
ステキに笑える、いい映画!
「人生はビギナーズ」80点★★★★
主人公のオリヴァー(ユアン・マクレガー)は
38歳独身のアートディレクター。
人と深く関わるのがあまりうまくない性格で
心を許せるのは
仕事と、犬のアーサーだけ。
そんな彼に、ある日突然
驚くべき事態が起こる。
75歳の父(クリストファー・プラマー)が
「私はゲイだ」とカミグアウトしたのだ。
いや、別に個人の自由ですが、と
許容しようとするオリヴァーだが、
やっぱり息子として戸惑いを隠せない。
「父と母は、愛し合っていなかったのか?」
そんなオリヴァーにも
人生の転機が訪れることに――。
「サムサッカー」(05年)の監督でもあり
X-girlのグラフィック・デザインなども手がける
マイク・ミルズ監督(45)の、
ホントの体験談から生まれた映画です。
75歳の父がゲイ?なんて
もっとドタバタ劇なのかと想像したんですが
これが違ってて、
最高に柔らかく、
不思議な肌触りのいい映画でした。
映画全体が
くすんで、でも肌になじんだ生成りのシーツみたいというか。
風合いが気持ちいいんですよねえ。
1966年生まれのミルズ監督は、
失うことが怖くて
そもそも大切なものを掴むことを拒んでしまう主人公に
まさに自分を映してると思う。
それって性格とか以前に
60年、70年代以降の
ジェネレーション的なものも、すごくある気がするんですよ。
そんな世代の人との関わりかたを、
実にグッドセンスですくってるんですねえ。
なーんかツボるものがあり、
背中をやさしくさすられたみたいに、
なんでもないに泣けてきました。
自身が書いたイラストもいいし、
オリヴァーのよき伴侶(?)愛犬アーサーも最高!
パルムドック賞あげたいですねハイ。
★2/4(土)から新宿バルト9、TOHOシネマズシャンテほかで公開。
「人生はビギナーズ」公式サイト
プレス資料を読み返していたら
川勝正幸さんが文章を寄せていらっしゃった。
郊外住宅地(サバ―ビア)、というところで、
はた、と時代を振り返った。
早すぎるけど、どうぞ安らかに。ご冥福をお祈りします。