これもまたツボりました。
久々の80点越え!
「最高の人生をあなたと」83点★★★★
ロンドンに暮らすメアリー(イザベラ・ロッセリーニ)と
建築家のアダム(ウィリアム・ハート)は、
30年連れ添った還暦間近の夫婦。
3人の子どもたちはいずれも巣立ち、
お互いの仲も良好だ。
そんなある日、メアリーはふとしたことから
自分の“老い”を自覚し始める。
いっぽう夫のアダムは
事務所で若いスタッフに囲まれ、
まだまだ“現役感アリアリ”。
そんな二人の間に
徐々にギャップが生まれはじめ……?!
ウィリアム・ハートとイザベラ・ロッセリーニがシニア夫婦役、と聞けば
観るしかないでしょう!
そんな魅力的なキャストに加え、
期待以上に笑えて深みのある映画でした。
まず実にチャーミングで軽やかなんですよねえ~。
主人公夫婦は、夫婦仲も別段問題ない。
しかし妻はふとしたことから
「自分の記憶が抜ける」ことに気づくんです。
ここで「認知症」とかになれば深刻なんですが、
そうはならないのがいい。
ただ彼女はそれをきっかけに
自分の変化に気づき始めるんですね。
それは人間誰もが避けようのない“老い”というもの。
で、ここの過程と描写が実にいい。
コケティッシュというか、すごく軽妙なんです。
マスカラをつけようとして、老眼鏡が邪魔になったり(笑)、
外で男性の目線が、まったく自分に来てないこと気づいたり。
(この男性の視線については
マジ番長もリアルに感じてるんです最近。
道や駅のホームですれ違い様に、若い女の子ををまじまじと見る男性が
いかに世の中に多いか、
実は気づいたの、最近なんですよ。
自分が見られていたかは別として
若いときは、まったく気づいていなかった!(爆笑))
この映画はそういうリアルを
とても軽快に表現しているので
悲愴感はまったくなし。
同時にいつまでも現役でいたい男性側の
心理も繊細に描写されてて、
「なるほど」と思うことばかり。
しかもこの映画にツボるのは
なにもシニア世代だけじゃない。
監督は「ぜんぶ、フィデルのせい」のジュリー・ガヴラスで
彼女はたしか40代。
なので主人公の子どもたち(20代~30代後半)の心情も
リアルに織り込んでいる。
だからいろんな世代が
共感できるんですよねえ。
「いずれは、誰にも訪れるんだよな~」って。
しかし“あの”イザベラ・ロッセリーニが
このチャーミングなキャラって、すごい驚きでうれしい。
観ながら、
日本でやるなら、風吹ジュンさんがピッタリだなあとか
思いました。どうかな?
★2/4(土)からBunkamura ル・シネマほか全国順次公開。
「最高の人生をあなたと」公式サイト