ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

最高の人生をあなたと

2012-02-02 22:21:47 | さ行

これもまたツボりました。
久々の80点越え!

「最高の人生をあなたと」83点★★★★


ロンドンに暮らすメアリー(イザベラ・ロッセリーニ)と
建築家のアダム(ウィリアム・ハート)は、
30年連れ添った還暦間近の夫婦。

3人の子どもたちはいずれも巣立ち、
お互いの仲も良好だ。

そんなある日、メアリーはふとしたことから
自分の“老い”を自覚し始める。

いっぽう夫のアダムは
事務所で若いスタッフに囲まれ、
まだまだ“現役感アリアリ”。

そんな二人の間に
徐々にギャップが生まれはじめ……?!


ウィリアム・ハートとイザベラ・ロッセリーニがシニア夫婦役、と聞けば
観るしかないでしょう!

そんな魅力的なキャストに加え、
期待以上に笑えて深みのある映画でした。


まず実にチャーミングで軽やかなんですよねえ~。


主人公夫婦は、夫婦仲も別段問題ない。

しかし妻はふとしたことから
「自分の記憶が抜ける」ことに気づくんです。

ここで「認知症」とかになれば深刻なんですが、
そうはならないのがいい。

ただ彼女はそれをきっかけに
自分の変化に気づき始めるんですね。

それは人間誰もが避けようのない“老い”というもの。

で、ここの過程と描写が実にいい。
コケティッシュというか、すごく軽妙なんです。

マスカラをつけようとして、老眼鏡が邪魔になったり(笑)、
外で男性の目線が、まったく自分に来てないこと気づいたり。

(この男性の視線については
マジ番長もリアルに感じてるんです最近。

道や駅のホームですれ違い様に、若い女の子ををまじまじと見る男性が
いかに世の中に多いか、
実は気づいたの、最近なんですよ。

自分が見られていたかは別として
若いときは、まったく気づいていなかった!(爆笑)


この映画はそういうリアルを
とても軽快に表現しているので
悲愴感はまったくなし。


同時にいつまでも現役でいたい男性側の
心理も繊細に描写されてて、
「なるほど」と思うことばかり。

しかもこの映画にツボるのは
なにもシニア世代だけじゃない。

監督は「ぜんぶ、フィデルのせい」のジュリー・ガヴラスで
彼女はたしか40代。
なので主人公の子どもたち(20代~30代後半)の心情も
リアルに織り込んでいる。

だからいろんな世代が
共感できるんですよねえ。

「いずれは、誰にも訪れるんだよな~」って。


しかし“あの”イザベラ・ロッセリーニが
このチャーミングなキャラって、すごい驚きでうれしい。

観ながら、
日本でやるなら、風吹ジュンさんがピッタリだなあとか
思いました。どうかな?

★2/4(土)からBunkamura ル・シネマほか全国順次公開。

「最高の人生をあなたと」公式サイト
コメント
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