ちょっと長かったけど、よかったな。
「苦役列車」70点★★★☆
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1986年、東京。
19歳の貫多(森山未來)は日雇い労働者。
家庭の事情で中卒となって以降、
どこかひねた性格となってしまった彼は、
友達もなく、読書を趣味とし
酒や風俗に溺れる日々を送っていた。
そんなある日、貫多は職場で
専門学校生・日下部(高良健吾)と知り合う。
初めて友達と呼べる存在となった日下部に、
貫多は古本屋の店番の少女(前田敦子)に
片思いしていることを打ち明けるのだが――。
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2011年に芥川賞を受賞した
西村賢太氏の同名小説を、
「マイ・バック・ページ」の
山下淳弘監督が映画化したものです。
昭和43年(1967年)生まれ、不遇の中卒、
日雇い人足暮らしの19歳・貫多の
鬱屈と泥まみれな日常は
おそらく作者・賢太氏自身に
ほとんどかぶっているのでしょう。
演じる森山未来氏は
体型なんか全然違うのに、本人とかぶるような印象の芝居で、
叩きつけるような鬱屈ぶりと、
不器用な“もがき”を表現していて、けっこうグッときます。
また
いまおかしんじ脚本らしく、エロネタの扱いがうまいのも
泥臭くて、いい!(笑)
何事もそつなくこなす高良建吾氏との対比も
上手い具合にいっているし、
本屋の店番役のあっちゃんも
昭和な感じではまってる。
同世代としては
缶ジュースの「サスケ」とか、デザイナーブランドとか
1980年代の風俗がかなり懐かしかったりもしました(笑)
113分がちょっと長く感じるのが惜しいですが
主人公・貫多が
初めて「書きたい」と想いを発露させるシーンは
ちょっと感動的でした。
7/14(土)から全国で公開。
「苦役列車」公式サイト