わからないけどクール。
わかれば2度、楽しめる。
まさに最近、この映画と同じような印象の
現代美術を見ましたよ。
(ドイツのトーマス・デマンドでした)
「眠れぬ夜の仕事図鑑」69点★★★☆
「いのちの食べかた」「プリピャチ」の
ニコラウス・ゲイハルター監督が、
深夜に働く人々を映したドキュメンタリー。
無人の監視カメラの奥に操作している人がいたり、
夜勤の看護師さん、
テレビ局や、警察官訓練所などなど、
ナレーションも説明もナシでジーッと映しており
まるで「これなーんだ?」謎かけをして、それを推理させるような、
5分ほどの短いシーンの集積からなっています。
わかんなくても
じっと見ていると単純に面白かったり
何を映しているかがわかれば
今度はトリックのようなシュールな面白さがあったり
余分なものナシのミニマム感覚が
なんともクールでカッコいい。
難民や移民問題が何度も出てくることから、
奥にある問題提起などもしずしずと感じられます。
なのですが、
さすがに予備知識ゼロだと
何を映しているのか、わからないものも多かった。
例えば、
ラストのマッチョな若者だらけのライヴ会場の映像。
どこか「不気味さ」はあるんだけど
どういう意味なんだろう?・・・と思ってたんですが
発売中の『週刊朝日』(8/3号)のツウの一見で
谷崎テトラさんに伺いましたところ
あれは谷崎さんも体験したことのある
ドイツのレイブ会場で
まあ見たとおり、ほとんど白人マッチョしかいなくて
かなり「白人優越主義」に根ざしたものであるらしい。
そう聞くと
あの力を鼓舞するような
低音ビートの繰り返しにも、軍隊チックな意味が立ち現れてきて
なるほどねー。
見ながら感じた奇妙さの理由がクリアになると
これが、さらにおもしろいんです。
なのでやはりこれは、
シーンの解説のついたパンフレットと
セットで見るのがオススメです。
ちなみに
取材時、谷崎さんに
「自分がどこに引っかかるかを、知ることもおもしろい」と言われたのですが
番長が一番ひっかかったのって
本番オクトーバーフェスト(ビール祭ね)の
凄まじい熱気と、人、人、人!(笑)な現場だったりして
いやはや、自分のレベルが、
こう……なんつうんですか・・・
えーと、どーもすみません(失笑)
★7/28(金)からシアター・イメージフォーラムで公開。ほか全国順次公開。
「眠れぬ夜の仕事図鑑」公式サイト