ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

毎日かあさん

2011-02-04 12:00:40 | ま行

子役がサイバラ漫画にそっくり(笑)

「毎日かあさん」74点★★★★


6歳の息子と4歳の娘を持つ
漫画家、サイバラリエコ(小泉今日子)。

その毎日は
締め切りと子どもたちの世話に追われ
戦場のよう。


特に息子のブンジは
もう小1だというのに
ちょっとアホで手がかかるのだ。


そんなとき
アルコール依存症で入院していた
夫のカモシダ(永瀬正敏)が

勝手に病院を抜け出して帰ってくる。

ブンジと釣りに行ったり
子どもたちと楽しそうに過ごす彼だが
つい、酒に手を出してしまい――。


このところ続いてた
サイバラ漫画の映画化も
これでひと段落でしょうか。

ついに実名だし(笑)。


もっと子ども寄りのネタが多いのかと思ったら
サイバラ視点から見た
夫婦ストーリーが主軸でした。


鴨志田氏原作の
映画「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」の
完全なアンサーソングというか
視点違いの別バージョンですね。


「酔いが~」の浅野忠信が
想像以上によかったので
これはどうかなと思いましたが

いやいや
永瀬正敏演じる鴨志田氏も
相当いいですよ。

というか、
本人にえらく似ている気がする。


映画を見た子どもたちが
「そっくり!」と言ったそうですが
そうでしょうねえ。


となればおのずと
サイバラ役の対決となり


これは本作が妻目線で
「かあさん」であるので
キョンキョンのほうが
ビシッとしててやや怖いキャラですね。

永作博美はもっとゆらんとしていたから。
やっぱ男性目線の願望?


て、比べてもしょうもないんですが(笑)

公開も割と近いし
どうしても比べたく
なっちゃいますよねえ。


そうすると本作の目玉は
子役のよさだな。

サイバラ漫画から出てきたように
イメージピッタシ。
男の子もだけど
おかっぱの女の子が特に。


あと“家族感”もすごく出てましたね。

永瀬氏、
子どもとの絡みかたが
自然でうまいんですよ。


観ながら
「ほつれそうで、でも家族」という
ほのかな幸せと
現実的な手応えを感じました。


しかし
あまりにしっくりきている
疑似家族を見ていて

もちろん演技だし
そうするのが当たり前なんだけど

なんだか不思議な気持ちになった。

キョンキョンと永瀬氏は
やっぱお似合いだったと思うんだよねえ。

ハイ余計なお世話でした!


★2/5から全国で公開。

「毎日かあさん」公式サイト
コメント (2)
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ザ・タウン

2011-02-03 12:00:31 | さ行
本年度アカデミー賞助演男優賞に
ジェレミー・レナーがノミネート。

なーんかしょうもな~い感じが
いいよねえ、彼。


「ザ・タウン」69点★★★


アメリカで最も強盗犯罪の多い
ボストンの一角“タウン”

この街で生まれ育ったダグ(ベン・アフレック)は
銀行強盗団のリーダーだ。

綿密な計画で
血を流さず「仕事」をこなす様は
まさにプロフェッショナル。

だが、あるとき
仲間のジェム(ジェレミー・レナー)の行為で
想定外の事態が発生し――?!


ベン・アフレック主演&監督の
気合いがみなぎる犯罪ドラマ。


代々、家業がプロの強盗という
主人公の設定や

環境が磁場となり
人を捕まえる
「街に囚われた感」に
着眼したのがおもしろく

「悪人」との共通点も感じました。


ベン・アフレックも
男っぷりいい役で
「悪いことしてるのに、肩入れしたくなる主人公」を
端正に作っている。


主人公を街に捕まえる
もうひとつの要因となっている

幼なじみの強盗仲間を演じる
ジェレミー・レナーがやはりいいですね。


ワルなんだけど、ちょっと甘えたふうで
見捨てられねえなあ、というか。


環境を受け入れて
“街”に根付こうとしている彼と
ダグの関係が
映画のポイントだな。



ただ結末はほぼ予想できるし

強盗する→ヤバい→逃げる
のパターンが

何度も出てくる構成は
ちょっとダルく長く感じたなあ。

「クロッシング」みたいな
深い闇までとはいかなかったけど
そのへんの犯罪ドラマよりは
完成度、高いと思います。


さらに。

今年1月に惜しくも亡くなった
ピート・ポスルスウェイトが
出演しているのも見逃せない。

相当に痩せちゃってますが
ゆえに鬼気迫る感じです。

合掌。


★2/5から全国で公開。

「ザ・タウン」公式サイト
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ウォール・ストリート

2011-02-02 17:58:34 | あ行

金融知識なくても
全然、大丈夫!


「ウォール・ストリート」80点★★★★


ときは2008年。

刑務所から
ある男が出所してきた。

彼の名はゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)。

かつてカリスマ投資家だったが
インサイダー取引の罪で
8年間服役していたのだ。


いっぽう
ウォール街の投資銀行に勤める
ジェイコブ(シャイア・ラブーフ)
若くして成功し、

婚約者ウィニー(キャリー・マリガン)と
順風満帆な日々を送っていた。

が、そんな彼の人生が
一夜にして暗転する。

勤務先が
突然破綻したのだ。!

そしてジェイコブは
ある目的を持って
ゲッコーに接近してゆく――。


実は前作「ウォール街」(87年)
観てないんです。

当時は
「株とかの話?わかんなそう」とか思って。

しかしこれを観るかぎり
全然、大丈夫そうですね。


逆に
「大恐慌!」「金融パニック!」とか
ニュースでは知ってはいたけど

実際のところ何が起こってるんだか
よくわからなかった
アメリカ金融界のことを

教えてもらったくらいです。


ちゃっかり
激動の市場第一線で
戦ってるような気分になれたし


「ああ、映画を楽しんだなあ」
という充足感を
与えてもらいました。


優雅さのあるカメラワークなど
さすがオリバー・ストーン監督、という
重厚でラグジュアリーなムードに溢れ

なんとなく80年代“よき時代”に
「返り咲いた」感があります。


またシャイア・ラブーフ&キャリー・マリガンという
若手二人のあてかたが大成功。


特にシャイア・ラブーフは
超・当たり役で

如才なく立ち回っても
誠実そう、という
若き金融マンにハマってました。


いま番長、一番のお気に入り
キャリー・マリガンの使い方も贅沢だしなあ。
(ショートヘアがむちゃカワイイ!


人情や心理面では
あっさりしすぎな展開もあったけど

映画らしい映画なので
金曜の夜のデートなんかに最適。

楽しめると思いますハイ。


「ウォール街」も観たいんだけど
TUTAYAでレンタル中なんだよな…(ブツブツ)

★2/4から全国で公開。

「ウォール・ストリート」公式サイト
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YOYOCHU SEXと代々木忠の世界

2011-02-01 04:27:25 | や行
公開から2週目に入り
すでにだいぶ評判になってますが

すごいガツンときたんで
なんか、紹介しないと収まらない!


「YOYOCHU SEXと代々木忠の世界」79点★★★★


80年代初頭のAV黎明期から
数々のヒット作を生み

72歳のいまも現役の
“ヨヨチュウ”こと代々木忠監督の
ドキュメンタリーです。


まず激動の人生を送ったというのに
興味をひかれ

さらに
AVを撮るというのは
どんなもんなのかという

単純な好奇心がありました。


だって
愛染恭子の本番シリーズや
「ザ・オナニー」なんて
名前は知ってても
さすがに
ちゃんと観たことないわけですよ。


で、観ながら
マジで釘付けになりました。


いろんな意味で目が開いたし
なんか、やる気をもらったんですよねえ。


まずおもしろかったのが
本だけ読んでてもピンとこなかった


ピンク映画からロマンポルノ、AVへ至る
日本映画史や
性産業の現実を

上手な構成でわかりやすく
教えてもらえたこと。


なんでSONYのベータが敗れたのか、とか
本当のヒミツが
わかったりもします。(笑)


その歴史のなかに
ヨヨチュウ作品が
時系列に並べられるわけですが


すると
ひとつひとつの作品に
監督が常に怠らなかった
「挑戦」が

はっきりと映っているのが
わかるんです。


ドキュメンタリータッチという
新しい撮り方をした
「ザ・オナニー」がなぜ生まれたか。

その後も新しいネタや撮り方を
工夫し、取り入れ、


ひいては
「セックスとは何か?」という
研究まで始めちゃう監督。


失敗もしながら
とにかく
前に前に、進んでいく

その表現者としての矜持に
すんごいパワーもらいました。


さらに女優も男優も
「自分を開いて、ガチンコで向かってかないと
ダメなんだ」という現実が

映像にバッチリ映ってることにも
しびれたなぁ。


「なぜAVを撮り続けるのか」という
質問にも答え、
罪悪感や、後ろめたさもさらけ出した
ヨヨチュウ監督。

ホントはこの世界、
もっともっと
フクザツで深いところもあるのかなあと
ちょっと思ったりもするけど。


とにかく
私のようなAV素人には
こういう映画として
作ってもらわなければ

まるで
わかんなかったことばかりなんで

とてもいいものを
観せてもらった、という言葉に尽きます。


1本1本で観たら
コーフンしただけで
終わっちゃうかもしれないからなあ(笑)


女性にも怖がらずに観て欲しいし

やる気不足の解消や
モチベーションあげたい人、

とにかくガツンと
目を覚ましたい人におすすめ!


★1/22から銀座シネパトス、渋谷アップリンクXで公開中。ほか全国順次公開。

「YOYOCHU SEXと代々木忠の世界」公式サイト
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