なぜか宮沢賢治のイメージがある。
楽隊のシーンがそう思わせるのだろうか。
「野のなななのか」72点★★★★
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現代の北海道・芦別。
3月11日、14時46分、
元医師の鈴木光男(品川徹)が92歳で亡くなった。
告別式のため鈴木家の親族たちが集まるなか、
謎の女・信子(常盤貴子)が現れる。
信子によって、明かされる光男の過去。
それは1945年8月15日以降も、
まだ戦争が続いていた樺太で、光男が体験した出来事だった――。
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大林宣彦監督の新作。
“なななのか”は「四十九日」という意味です。
前作「この空の花 ―長岡花火物語」の姉妹編という感じで
戦争と震災後の現代をつなぐ
ファンタジックで、
しかし現実的でもある不思議な語り口といい
北海道・芦別という“場所”との縁で生まれた点にも
共通するものがあります。
全編171分あって、観る前はかなりビビリましたが
本当に意外とあっという間だったことに驚いた(笑)。
章立ての構成が見やすく、
幕間に不思議な楽隊が
北海道の美しい四季の風景のなかを
行進するシーンが挟まれるのも印象に残りました。
そのシーン含め、
全体に幻想的なイメージを持ちつつ
しかし戦争や原発問題など主張や意見は、
ぼやかすことなくストレート。
何より
長丁場を見せ切るためには
核にしっかりした“物語”があることが大きいですね。
死者と生者が混じろうとも
時空を越えようとも
決して話の根本、テーマを曖昧にせず
謎は明らかになり、謎の人物の来歴も明らかになる。
こちらをモヤモヤさせない
さすがの技だなあと思いました。
★5/10(土)から北海道先行上映。17(土)から有楽町スバル座ほかで全国順次公開。
「野のなななのか」公式サイト