繁華街で困った時は勿論、落とし物を届けたり、迷子を連れて行ったりと、若い頃に大阪でお世話になったのが、梅田の曽根崎警察と、このミナミ・難波は戎橋(通称ひっかけ橋)の南詰にある「戎橋巡査派出所」でした。
この写真は昭和30年代のものですが、僕が学生時代に見慣れた戎橋南詰の風景はこれです。橋詰の西側が1部ガラス張りの、モダンな派出所でした。
現在の同じ場所に立つ派出所とは、ずいぶん趣が違います。
昔の開かれた交番と違い、現在は要塞のように見えてしまいます。
しかし、時代は変われど伝統も守られる大阪。その背後には、劇場建築の名手・木村得三郎が設計した大正12年竣工の松竹座が、今もそびえ立っています。古い映画の看板の前には、「高島易断」の占いが出ています。若い人は知らないかな?
この場所は阪神タイガースが優勝した時には、ファンが道頓堀川に飛び込んだり、橋の北側のケンタッキーのカーネルサンダース像を投げ込んだりと騒動を起こした場所。この戎橋が「ひっかけ橋」と呼ばれるだけあり、若者の喧嘩や非行補導も多く、勿論酒の上でのトラブルや事件事故が絶えないエリア。ここで勤務される警察官は、地方の派出所等とは比較にならないほど忙しく、いろんな実務経験を短期間に習得します。だから、東京なら銀座の派出所とここには、優秀な人材が配属されると聞き及びます。
ただでさえ、人が背中を向けて逃げて来る方向へ飛び込むのが警察。コロナ禍でもあり、人と街の安全を守る仕事は大変だと思います。皆さん、警察の手を煩わせる行為は断じて慎みましょう。