僕は1990年代には山奥に住んでいました。大阪・梅田に出るのにも、バス・電車の乗り継ぎがあって面倒なので、自動車で遊びに行ったものです。自動車を使うならば距離・時間的にも、京都・河原町に出る方が遥かに早いので、行き慣れた梅田から京都・河原町に買い物や遊ぶ場所を変えたほどでした。
梅田で車を駐車するのに便利だったのは、阪急17番街・5階の駐車場。いつも空いていて、その上場所が梅田のド真ん中なので便利。阪急17番街と言うと、「どこ?」とよく訊かれるのですが、阪急・大阪梅田駅を降りると、紀伊国屋があります。左右にビックマン等のビジョンがある場所です。その前にはヨドバシカメラや御堂筋線に繋がる地下通路がありますが、そこの陰になって1階に喫茶スペースとエレベーター乗り場だけがあるビルの入り口が見えます。
その阪急梅田ターミナルビルの5~6階を占めるセンスあふれたハイファッションの店を集めた一画で、女性に人気があったのが「阪急17番街」でした。
「ルイヴィトン」「サンモトヤマ」等の世界のトップブランドが並んでいましたが、値段の方もハイクラス。5階と6階を繋ぐのに空間を上手く利用していて、映像を映し出したり、バックミュージックを流したりして、当時としてはとても都会的な感覚を演出していた場所です。
現在は「英國屋」という喫茶店になっていますが、ここに2010年代半ばまであったのが、「西班牙珈琲館伊達」(にしはんきばこーひーかんだて)でした。スペインのパティオ風の雰囲気の店内は、昼と夜とでは違う顔を持ったお店でした。
このお店の奥の窓際の席が、僕のお気に入りの場所でした。陽当たりが良くて、いつもポカポカと気持ちが良い。
梅田で珈琲と言えば、どこでも混雑しているのですが、ここは隠れ家的なお店でいつ行っても座ることが出来ました。荷物を多少持っていても、広いスペースでゆったりと休憩することが出来ました。珈琲にはクッキーが付いて来る。独特の味でした。
お店の真ん中のフロアと、外側の窓際とで雰囲気が違い、僕は窓際派。
こちらは夜の店内です。お昼間とは随分雰囲気が違いますが、どちらも居心地が良く、いつ行っても座れる「隠れ家」でした。
いつ行っても利用出来て、雰囲気が良くてつい長居をしてしまう。ゆったりしてて居心地が良い。静かで、話をするにも使い勝手が良くて、子供がいない大人の隠れ家・・・それは混雑していない、つまり儲からないお店ということだったのかも知れません。
梅田での待ち合わせにビックマンの前やグランドビルの前を使ったのは高校時代。社会人になれば、こういうお店での待ち合わせからデートや買い物はスタートするのが楽しかった。気持ちに余裕が持てました。値段を値上げしていても、倍額にしていても、僕はこのお店があれば使い続けていました。こんなに便利な喫茶店はなかなかありません。
良いお店はすぐに無くなってしまいます。だから今も、このお店の後釜になるお店は見つかっていません。「西班牙珈琲館伊達」・・・80年代後半から20数年間使わせて頂きました。よく続いてくれたなと思いますし、良き思い出を作ってくれたことに感謝しています。